整腸剤ビオスリーは何に効く?下痢や便秘、腸内バランスを整える3つの菌

整腸剤ビオスリーは何に効く?
下痢や便秘、腸内バランスを整える3つの菌

下痢気味なので『ビオスリー配合錠』を飲んでいます。

整腸剤の中でも3つの菌が合わさった薬ですね。

ビオスリー配合錠は当院で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

ビオスリー(酪酸菌配合剤)とは

ビオスリーは、3種類の活性菌(乳酸菌・酪酸菌・糖化菌)を組み合わせた整腸剤(活性生菌製剤)です。

  • 有効成分:
    • 乳酸菌(ラクトミン/Enterococcus faecium T-110
    • 酪酸菌Clostridium butyricum TO-A
    • 糖化菌Bacillus subtilis TO-A

ビオスリーの特徴

① 3種の活性菌が共生

  • 糖化菌 → 乳酸菌を10倍に増殖(in vitro)
  • 乳酸菌 → 酪酸菌を10倍に増殖(in vitro)
  • 結果として、3種が互いを助けて腸内環境を整える力が強化されます。

② 有害菌の増殖を抑制

  • 乳酸菌・酪酸菌は、以下の菌に対して増殖を抑制:
    • 大腸菌O157、腸炎ビブリオ、ボツリヌス菌、MRSA など
  • 共存によってこの作用はさらに強まるとされています。

③ ビフィズス菌の増殖もサポート

  • 糖化菌がビフィズス菌の増殖を助け、より良い腸内バランスを実現します。

④ 選べる剤形

  • 散剤・錠剤・OD錠から、患者さんの状態や好みに応じて選べます。

効能・効果

腸内菌叢の異常による諸症状の改善

例:下痢、便秘、腹部膨満感など、腸内フローラの乱れが原因と考えられる症状に対応します。


有効性(有効性試験より)

小児

疾患名有効率
胃腸炎100%(13/13例)
下痢症93.2%(82/88例)
消化不良性下痢症88.8%(142/160例)
便秘症83.3%(20/24例)

成人

疾患名有効率
急性・慢性腸炎97.8%(44/45例)
下痢便秘交代症60.0%(3/5例)
便秘症(錠剤)53.3%(8/15例)
過敏性腸症候群(錠剤)50.0%(2/4例)

※ 上記355例中、ビオスリーによる明確な副作用報告はなし


用法・用量

※年齢や症状により医師が調整します。

■ ビオスリー配合散

  • 通常:1日1.5〜3gを3回に分けて経口投与

■ ビオスリー配合錠

  • 通常:1日3〜6錠を3回に分けて経口投与

■ ビオスリー配合OD錠

  • 通常:1日3〜6錠を3回に分けて経口投与
  • 水なしでも服用可能(ただし、唾液または水で「飲み込む」ことが必要)

使用できない方(禁忌)

  • 明確な「絶対禁忌」は設定されていません。
  • ただし、本剤の成分にアレルギーのある方は使用できません。
  • 使用前に、医師にアレルギー歴や持病を伝えてください。

飲み合わせに注意が必要な薬

  • 現時点では重篤な相互作用の報告はありません
  • ただし、抗生物質と併用する際は投与タイミングの調整が必要になる場合があります。

副作用と発生頻度

  • 一般臨床試験において、重大な副作用は報告されていません
  • まれに以下のような症状が現れる可能性があります:
    • 軽度の下痢、腹部のはり など

※不安な症状が出た場合は、すぐに医療機関に相談しましょう。


まとめ

  • ビオスリーは3種の活性菌の力で、腸内環境を整える整腸剤です。
  • 子どもから大人まで使用でき、腸内フローラの乱れによる症状の改善に効果が期待できます。
  • 副作用は少ないものの、体に合わないと感じたら早めに医師へ相談してください。

参考文献・出典

  • 医薬品インタビューフォーム(IF)(東亜薬品工業株式会社)
  • 医薬品添付文書(PMDA)
  • KEGG薬剤データベース(KEGG DRUG D08702

よくある質問(Q&A)

ビオスリーは他の整腸剤と何が違う?強みはあるの?

ビオスリーの最大の強みは、3種類の菌(乳酸菌・酪酸菌・糖化菌)を組み合わせている点です。
この“共生設計”によって、菌同士が増殖を助け合いながら腸内に届き、次のようなメリットが得られます。

  • 腸内フローラの乱れに幅広く対応できる(下痢・便秘どちらにも)
  • ビフィズス菌の増殖を助ける働きもある
  • 酪酸菌が作る酪酸や酢酸が、腸のエネルギー源となり便通を整える
  • 病原菌の増殖を抑える効果も確認されている

ほかの整腸剤には単一菌のみのものも多く、複数菌の相乗効果で腸内環境を整えられる点が、ビオスリーならではの特徴です。

ビオスリーはいつ発売された薬ですか?

ビオスリーは歴史のある整腸剤で、以下のように承認・販売されています。

  • ビオスリー配合散(粉薬):1963年承認
  • ビオスリー配合錠(錠剤):1965年承認
  • ビオスリー配合OD錠(口腔内崩壊錠):2015年承認、2016年発売

ビオスリーの薬価はいくら?30日分の自己負担額は?

2022年時点の薬価は以下の通りです。

剤形薬価1日上限量30日分の薬剤費3割負担の目安
ビオスリー配合散8.4円/g3g252円約76円
ビオスリー配合錠6.6円/錠6錠198円約60円
ビオスリー配合OD錠6.6円/錠6錠198円約60円

※自己負担額は目安であり、処方内容や調剤料によって異なります。

妊娠中にビオスリーは飲んでも大丈夫?

添付文書上は妊婦への禁忌・警告の記載はありませんが、以下の点に注意してください。

ただし、安全性に関する十分な臨床データはなく、妊娠中の服用は医師の判断を仰ぐべきです

有効成分は生菌製剤であり、全身吸収されにくい性質があります

母体や胎児への明確なリスクは報告されていません

授乳中でもビオスリーは使える?

ビオスリーの成分は基本的に腸内で働き、母乳中に移行することは考えにくいとされています。
添付文書にも授乳に関する禁止事項の記載はありません

  • 母乳への移行性に関する明確なデータはないものの、
    一般的には安全とされており、授乳中の使用も医師の管理下で可能です。

子どもにも使える薬?

はい。ビオスリーは小児にも使用される整腸剤であり、臨床試験でも下記のような効果が確認されています。

疾患名有効率
小児の下痢症93.2%(82/88例)
消化不良性下痢症88.8%(142/160例)
  • 年齢に応じて用量を調整します(医師の処方に従ってください)
  • 粉薬(配合散)は特に小児向けに使いやすい剤形です