便が出ない…そんな時のモビコール|妊娠中や子どもでも使えるの?

便が出ない…そんな時のモビコール|
妊娠中や子どもでも使えるの?

便秘で『モビコール』を処方されました。

海外ガイドラインで推奨されている

水に溶かして飲む便秘のお薬ですね。

モビコールはオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

モビコール®とは

モビコール®は、マクロゴール4000(ポリエチレングリコール4000)と電解質を含む慢性便秘症の治療薬です。海外では「MOVICOL」として1995年から広く使われ、日本でも2018年に承認されました。


モビコール®の特徴

✅ 海外ガイドラインでも推奨される薬

  • 英国NICEガイドライン(2010年)
  • 北米・欧州小児栄養消化器肝臓学会ガイドライン(2014年)
  • 世界消化器病学会(WGO)、米国消化器病学会(AGA)など

これらの専門機関で、ポリエチレングリコール製剤は第一選択薬として推奨されています。

✅ 小児から成人まで使える

  • 2歳以上の小児~成人まで使用可能。
  • 国内で承認された初のポリエチレングリコール製剤。

✅ 水分を保持して排便を促す

  • 浸透圧で腸内の水分量を増やし、便をやわらかく・量を増やす
  • 生理的な蠕動運動(腸の動き)を促進。
  • 電解質配合により、腸内のバランスも維持。

効能・効果

  • 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)

便が出にくい状態が続く方に処方されます。


有効性(有効性試験)

成人対象試験(15歳以上)

  • 2週間投与で排便回数が有意に改善(p<0.0001)
  • 長期使用(52週)でも排便回数は安定して推移

小児対象試験(2~14歳)

  • 2週間で自発排便回数が5.5回増加(平均)
  • 副作用は少なく、安全性良好

いずれの試験でも、明らかな排便改善効果と高い安全性が確認されています。


用法・用量(年齢別の目安)

💡服用方法

  • 水に溶かして飲む(LD1包:水約60mL/HD1包:水約120mL)

2~6歳

  • 初回:LD 1包/日
  • 最大:LD 4包/日またはHD 2包/日

7~11歳

  • 初回:LD 2包 or HD 1包/日
  • 最大:LD 4包/日またはHD 2包/日

成人・12歳以上

  • 初回:LD 2包 or HD 1包/日
  • 最大:LD 6包 or HD 3包/日

増量は2日以上の間隔をあけて行うのが原則です。


使用できない方(禁忌)

以下に該当する方は、モビコールを使用できません

  • モビコールの成分にアレルギーがある方
  • 腸閉塞・腸管穿孔のある方
  • 重症の腸炎や炎症性疾患がある(潰瘍性大腸炎、クローン病など)

飲み合わせに注意が必要な薬

特に明確な禁忌はないものの、以下のような薬を使っている方は注意が必要です。

  • 電解質異常を起こしやすい薬(利尿剤など)
  • 他の下剤・整腸剤と併用する際は医師に相談を

副作用と発生頻度

⚠️ 重大な副作用(頻度不明)

  • ショック、アナフィラキシー
    • 血圧低下、じん麻疹、顔のむくみ、呼吸困難などが起こる場合があります。

主な副作用(1~5%未満)

  • 下痢、腹痛、膨満感、悪心、裂肛、胃腸音の異常
  • 発疹などの皮膚トラブル

症状が強いときは服用を中止し、医師に相談してください。


まとめ

一方で、腹痛や下痢などの副作用や禁忌となる疾患があるため、使用は医師の指示に従いましょう。た注意が必要です。使用前には必ず医師や薬剤師に相談してください。

モビコールは世界的に評価されている便秘薬で、日本でも使えるようになった画期的な治療薬です。

小児から成人まで使え、体に優しい作用機序で自然な排便を促します。

国内外の試験で効果と安全性が確認されており、長期使用も可能です。

参考文献・出典

モビコール添付文書(EAファーマ)

国内第III相試験データ(成人・小児)

NICE・NASPGHAN・ESPGHAN・AGAガイドライン

よくある質問(Q&A)

他の便秘薬と比べて、モビコールの強みは何ですか?

モビコール®の最大の強みは、腸を無理に刺激せず、自然な排便を促すことです。

  • 主成分のマクロゴール4000(ポリエチレングリコール)は浸透圧の力で腸内に水分を引き込むため、便をやわらかくして出しやすくします。
  • 刺激性下剤と違い、クセになりにくいのが特徴です。
  • 子どもから大人まで使えるやさしい処方で、海外では長年にわたり第一選択薬とされています。
  • 電解質(ナトリウム、カリウムなど)を含むため、電解質バランスを保ちながら便通を改善できます。

モビコールはいつから使われている薬ですか?

モビコールは、もともと1995年に英国で成人向けに承認され、2002年には小児向けにも使用が認められました。

日本では、2018年9月に「モビコール配合内用剤」として製造販売承認を取得し、正式に使用できるようになりました。

モビコールを1か月使ったときの費用はどれくらい?

処方薬としてのモビコールの薬価は以下の通りです(2024年時点):

  • モビコールLD(1包6.85g):61.4円/包
  • モビコールHD(1包13.70g):110.8円/包

たとえば、LD 2包/日を30日使った場合の薬剤費:

  • 61.4円 × 2包 × 30日 = 3,684円

▼ 自己負担の目安(3割負担の場合)
約1,100円/月

※別途、診察料・調剤料がかかります。症状により使用量は異なるため、実際の費用は医師・薬剤師にご確認ください。

妊娠中でもモビコールは使えますか?

モビコールは、妊娠中の使用が完全に禁じられているわけではありません

  • 妊婦や妊娠の可能性がある女性には、**「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ」**投与されます。
  • 安全性に関する十分なデータはないため、自己判断での服用は避け、必ず医師に相談してください。
  • 他の便秘薬よりも体への負担が少ないという報告もありますが、妊娠中は慎重な判断が必要です。

授乳中でもモビコールは使っていいの?

モビコールは、授乳中に使用しても問題ないとされていますが、注意が必要です。

そのため、授乳中でも服用は可能と考えられますが、念のため、医師と相談して判断するのが安心です。

マクロゴール4000は消化管からほとんど吸収されないため、母乳に移行する可能性は極めて低いとされています。

子どもにもモビコールは使えますか?注意点はありますか?

はい。モビコールは2歳以上の小児にも安全に使用できる下剤です。

  • 日本国内での臨床試験でも、小児の便秘症に対する明確な効果と安全性が確認されています。
  • 初回は少量からスタートし、便の様子を見ながら調整します。
  • ただし、2歳未満の乳児・新生児には使えません
  • 服用方法(粉を水に溶かす)は年齢に応じて大人がサポートしてください。