ラキソベロンってどんな薬?便秘で出ないときの下剤の選び方
ラキソベロンってどんな薬?
便秘で出ないときの下剤の選び方

便秘で『ラキソベロン内用液』を処方されました。

就寝前に飲む、液体で一滴ずつ調整できる便秘のお薬ですね。
ラキソベロンはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン)
1. ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン)とは
ピコスルファートナトリウム水和物は、大腸でのみ作用する下剤(緩下剤)です。
商品名は「ラキソベロン」。内用液(0.75%)や錠剤(2.5mg)などがあり、便秘や大腸検査の準備などに使われます。
- 薬効分類名:滴剤型緩下剤、大腸検査前処置用下剤
- 一般名:ピコスルファートナトリウム水和物
- 製剤例:ラキソベロン内用液0.75%、ラキソベロン錠2.5mg
この薬は1960年代にイタリアで開発され、日本では1980年代から使用されています。胃や小腸ではほとんど作用せず、大腸で腸内細菌の酵素により活性化されて効果を発揮します。
2. この薬の特徴
■ 大腸でのみ活性化
胃や小腸では分解されず、大腸で初めて活性化されて排便を促します。
■ 微調整しやすい滴剤
1滴単位で調整できるため、症状に合わせて細かく調整可能です。
■ 小児にも使用可能
年齢別に用量が定められており、小児にも安全に使えます。
■ 大腸検査にも使用
検査前に腸をきれいにする目的でも処方されます。
3. 効能・効果
- 各種便秘症
- 術後の排便補助
- バリウム検査後の排便促進
- 手術前の腸管内容物の排除
- 大腸検査(X線・内視鏡)前の腸管内容物の排除
4. 有効性(臨床試験)
日本国内の81施設で実施された臨床試験では、以下のような有効率が報告されています。
適応症 | 有効率 |
---|---|
各種便秘症 | 83.4%(750/899) |
術後排便補助 | 87.7%(57/65) |
造影剤排泄促進 | 94.8%(489/516) |
大腸検査前処置 | 77.4%(154/199) |
5. 用法・用量
■ 各種便秘症(成人)
1日1回 就寝前 10〜15滴(0.67〜1.0mL)
■ 小児の基準
年齢 | 滴数(mL) |
---|---|
6ヵ月以下 | 2滴(0.13mL) |
7〜12ヵ月 | 3滴(0.20mL) |
1〜3歳 | 6滴(0.40mL) |
4〜6歳 | 7滴(0.46mL) |
7〜15歳 | 10滴(0.67mL) |
※年齢・症状により増減可能
■ その他の目的
- 術後排便補助:10〜15滴
- バリウム検査後の排便促進:6〜15滴
- 手術前の腸管内容物の排除:14滴(0.93mL)
- 大腸検査前の腸管内容物の排除:検査10〜15時間前に20mL服用
6. 使用できない方(禁忌)
次の患者さんには使用できません。
- 急性腹症が疑われる方
- 本剤の成分にアレルギーがある方
- 腸閉塞またはその疑いがある方(検査前処置の場合)
7. 飲み合わせに注意が必要な薬
特に併用禁忌薬はありませんが、以下の点に注意が必要です。
- 他の下剤や利尿薬との併用
- 腸の動きに影響を与える薬との併用
不安な場合は、必ず主治医または薬剤師に相談しましょう。
8. 副作用と発生頻度
■ 重大な副作用(頻度不明)
- 腸閉塞・腸管穿孔
- 虚血性大腸炎
※とくに検査前に高用量を服用した場合に注意が必要です。
■ その他の副作用
頻度 | 内容 |
---|---|
0.1〜5%未満 | 腹痛、悪心、嘔吐、下痢、腹部膨満感など |
頻度不明 | 蕁麻疹、AST・ALT上昇、めまい、一過性の意識消失など |
9. まとめ
ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン)は、大腸でのみ活性化される下剤で、便秘や検査前の処置に広く使用されています。
- 用量調整がしやすく、小児にも対応可能
- 大腸検査時などには副作用に注意が必要
- 重大な副作用が起こることもあるため、医師の指示のもとで使用を
日常的な便秘治療から医療処置前の準備まで幅広く使われる薬ですが、服用時には「体調の変化」や「服用目的」に応じた注意が必要です。使用前には必ず医師や薬剤師に相談してください。
参考文献・出典
医薬品添付文書(PMDA掲載)
→ PMDAラキソベロン検索ページ で確認可能
KEGG薬剤データベース
→ ラキソベロン:D01612
よくある質問(Q&A)
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ラキソベロンは、同じ系統の便秘薬と比べてどんな強みがありますか?
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ラキソベロン(ピコスルファートナトリウム水和物)は、「腸まで届いてから効く」タイプの便秘薬です。胃や小腸ではほとんど分解されず、大腸に到達してから腸内細菌によって分解・活性化されるため、自然な排便に近い形で効果を発揮します。
また、液体タイプは1滴単位での微調整が可能で、小児から高齢者まで使いやすい点も特徴です。他の刺激性下剤(センノシド、ビサコジルなど)と比べると、腸の粘膜に直接刺激を与えずに働くため、マイルドな作用を期待できます。
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ラキソベロン(先発薬)はいつ発売されたのですか?
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日本では**1980年に「ラキソベロン液」**として初めて発売されました。その後、1990年に錠剤(ラキソベロン錠2.5mg)も追加され、便秘治療だけでなく大腸検査前や手術前の腸管洗浄にも使われるようになりました。
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ラキソベロンを30日分処方された場合、いくらかかりますか?
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ラキソベロンの薬価(2022年時点)は以下の通りです。
- ラキソベロン内用液0.75%(先発品):14.5円/mL
⇒ 1日1mL × 30日=435円(薬価)
⇒ 自己負担3割で約130円/月 - ラキソベロン錠2.5mg(先発品):6.1円/錠
⇒ 1日1錠 × 30日=183円(薬価)
⇒ 自己負担3割で約55円/月
※調剤料や処方料を除いた目安金額です。実際の負担額は薬局や処方条件により異なります。
- ラキソベロン内用液0.75%(先発品):14.5円/mL
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妊娠中にラキソベロンは使っていいの?
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妊娠中の使用は慎重に判断する必要があります。
添付文書では「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用」とされています。つまり、自己判断での使用は避け、医師の指示に従ってください。特に妊娠初期は子宮の刺激につながる可能性も指摘されており、安全性が確立されているわけではありません。
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授乳中にラキソベロンを使っても大丈夫?
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授乳中の使用に関しては、母乳への移行性は明確ではありませんが、使用実績があり、重大な影響を及ぼした報告は現在のところ少ないとされています。
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子どもにも使えますか?使うときの注意点は?
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はい、ラキソベロンは小児にも使用可能です。滴剤タイプであれば年齢ごとに細かく用量が設定されており、6ヵ月未満の乳児から使用実績があります。
ただし、年齢や便秘の程度によって適正な滴数が異なるため、小児科医の指導が必要です。必ず医師に相談し、独断での使用は避けましょう。
