中性脂肪が高い方へ。ベザトールSRの効能・用法・副作用を医師が詳しく解説
中性脂肪が高い方へ。
(ベザトールSR)
効能・用法・副作用を医師が詳しく解説

高脂血症のお薬で『ベザフィブラート(ベザトールSR)』を飲んでいます。

フィブラート系薬剤で、中性脂肪を主に下げる薬ですね。
ベザトールSRは当院でも処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
目次
ベザフィブラート(ベザトールSR)とは
ベザフィブラート(商品名:ベザトールSR錠)は、脂質異常症(高脂血症)の治療に使用されるフィブラート系の薬剤です。
- 1978年に旧西ドイツで開発・承認され、日本では1991年から使用開始
- 徐放化製剤(SR錠)として、1日2回の服用で効果が持続
- キッセイ薬品工業が国内販売を担当
ベザフィブラート(ベザトールSR)の特徴
◎ 脂質改善作用に優れる
- 中性脂肪(TG)やLDLコレステロールを低下
- HDLコレステロールを上昇
◎ 徐放錠(SR錠)
- 成分がゆっくり放出され、1日2回の服用で安定した効果
◎ 海外でも広く使用
- ドイツ、イギリス、フランス、スイスなど約50か国で販売実績あり
効能・効果
◾️ 適応症
- 高脂血症(家族性を含む)
◾️ 効果の詳細
- 総コレステロール・LDLコレステロール:低下
- トリグリセリド:低下
- HDLコレステロール:上昇
※食事療法・運動療法で効果不十分な場合に使用されます。
用法・用量
◾️ 通常の服用方法
- 成人:1日400mgを2回に分けて(朝・夕食後)服用
- 例:ベザトールSR錠200mg × 2回
◾️ 腎機能・高齢者への配慮
- 腎機能低下や高齢者では用量の調整が必要
- クレアチニン値・クレアチニンクリアランスに応じて用量を設定
◾️ 服用上の注意
- 錠剤は割らず・砕かずにそのまま服用
- PTPシート誤飲に注意(必ず取り出してから服用)
使用できない方(禁忌)
以下のような方には使用できません。
- 人工透析中の方(腹膜透析含む)
- 重度の腎障害がある方
- 血清クレアチニン値が2.0mg/dL以上
- 本剤にアレルギーのある方
- 妊婦または妊娠の可能性がある方
併用に注意が必要な薬
◾️ 筋障害リスク(横紋筋融解症)
- スタチン系薬(プラバスタチン、シンバスタチンなど)
◾️ 出血リスク
- 抗凝血薬(ワルファリン)
- プロトロンビン時間を測定し、用量調整を行う
◾️ 低血糖リスク
- スルホニル尿素系薬(グリベンクラミドなど)
- インスリン
- ナテグリニド
- いずれも血糖値低下作用が増強されるため注意
◾️ 腎機能への影響
- シクロスポリン:腎障害のリスクが上がる
◾️ 吸収阻害の可能性
- コレスチラミン(陰イオン交換樹脂)
- 服用の間隔を2時間以上あける
副作用と発生頻度
◾️ 全体の副作用発現率
- 3.91%(387件/9,894例)
◾️ 主な副作用(頻度順)
項目 | 発現率 |
---|---|
CK(CPK)上昇 | 1.02% |
AST(GOT)上昇 | 0.54% |
ALT(GPT)上昇 | 0.37% |
クレアチニン上昇 | 0.35% |
BUN上昇 | 0.34% |
◾️ 重大な副作用(頻度不明)
- 横紋筋融解症(筋肉痛、脱力感、CK上昇 など)
- アナフィラキシー(ショック、顔の腫れ)
- 肝機能障害・黄疸
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)・多形紅斑
◾️ その他の副作用
- 消化器症状:嘔気、腹部膨満感、下痢 など
- 神経系:頭痛、めまい、しびれ感 など
- 皮膚:発疹、そう痒、光線過敏症
- その他:倦怠感、尿酸上昇、頻尿、味覚異常など
まとめ
ベザフィブラート(ベザトールSR)は、中性脂肪・LDLコレステロールを下げ、HDLを上げる脂質異常症治療薬として、長い使用実績があります。
- 1日2回の服用で効果が持続する徐放錠
- 腎機能が低下している方や高齢者では特に慎重な使用が必要
参考情報・出典
- PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構):添付文書・IF情報
- KEGGデータベース:薬剤情報(ベザフィブラート)
- 厚生労働省・日本動脈硬化学会:『脂質異常症治療ガイドライン(JAS)』
よくある質問(Q&A)
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ベザフィブラートには、他のフィブラート系薬剤にない強みがありますか?
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はい、あります。
ベザフィブラートは以下の点で他のフィブラート系薬(例:フェノフィブラートやクリノフィブラート)に比べて強みがあります。国内での使用実績が長く、再審査も通過
9,000例以上の実使用調査を経て安全性が評価され、用法・用量の最適化もなされています。HDLコレステロールの上昇作用が明確
複数の研究で、ベザフィブラートはHDL-Cの上昇作用が安定して認められています。服薬回数が少ない徐放錠(1日2回)
フィブラート系の中では比較的服用回数が少なく、飲み忘れ防止につながる設計です。
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ベザフィブラートの発売年はいつですか?
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日本国内では1991年4月に発売されました。
200mgの徐放錠(SR錠)として承認され、1995年には100mg錠も発売されています。
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ベザトールSRの薬価と自己負担額の目安はいくらですか?
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製剤名 薬価(1錠あたり) 30日分(1日2錠) 自己負担3割の目安 ベザトールSR錠200mg(先発品) 15.2円 約912円 約274円 ベザフィブラートSR錠200mg「サワイ」(後発品) 10.1円 約606円 約182円 ※調剤料・技術料は含みません。
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妊婦でもベザフィブラートは使えますか?
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妊婦または妊娠の可能性がある方への使用は禁忌です。
胎児への影響が否定できないため、原則として使用できません。
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小児でも使用できますか?
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現時点で小児を対象とした臨床試験は実施されていません。
そのため、小児への使用は原則として推奨されていません。
