LDLコレステロールが高いと言われたら|ロスバスタチン(クレストール)の使い方と注意点

LDLコレステロールが高いと言われたら|
ロスバスタチン(クレストール)の使い方と注意点

コレステロールの薬で『ロスバスタチン(クレストール)』を飲んでいます。

他のスタチン系薬剤に比較して治療効果がかなり高い薬です。

2.5mgから20mgまで使用できるため、患者さんに合わせて

適量を設定しやすい薬です。

クレストールは当院でも処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

ロスバスタチン(クレストール)とは

ロスバスタチン(一般名:ロスバスタチンカルシウム、商品名:クレストール)は、 HMG-CoA還元酵素阻害剤に分類される脂質異常症治療薬です。

主に以下の治療に使われます:

  • 高コレステロール血症
  • 家族性高コレステロール血症

LDLコレステロール(いわゆる“悪玉コレステロール”)を効果的に下げる作用があり、 世界120ヵ国以上で使用されています。


ロスバスタチン(クレストール)の特徴

強力なLDLコレステロール低下作用

臨床試験では以下のような効果が確認されています:

  • 2.5mg投与 → LDLコレステロールが約45%低下
  • 5mg投与 → 約52%低下

OD錠(口腔内崩壊錠)で飲みやすい

  • 水なしでも服用可能
  • 嚥下力が低下した高齢者などにも適しています

肝特異的に作用

  • 主に肝臓でコレステロール合成を抑制
  • 肝臓に特異的に作用し、他の臓器への影響が少ないとされています

効能・効果

  • 高コレステロール血症
  • 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体の場合はLDLアフェレーシスの補助)

※使用前には必ず診断と血液検査が必要です。


用法・用量

通常の開始用量

  • 1日1回 2.5mg から開始
  • 早期に効果が必要な場合は 5mg から開始も可能

効果不十分な場合

  • 4週経過後に効果が不十分な場合、10mgまで増量可能
  • 家族性高コレステロール血症で重症例に最大20mgまで投与可能

腎機能に配慮が必要な場合

  • クレアチニンクリアランス30mL/min/1.73m2未満の方は、 2.5mgから開始し、最大5mgまでに制限

使用できない方(禁忌)

以下の方は使用できません:

  • 成分に対する過敏症の既往歴がある方
  • 肝機能が低下している方(肝炎、肝硬変、肝がん、黄疸など)
  • 妊婦・妊娠の可能性がある女性、授乳中の方
  • シクロスポリンを服用している方

併用に注意が必要な薬

次の薬と併用する際は、医師が慎重に判断し、定期的な検査が必要です。

横紋筋融解症のリスクがある併用薬

  • フィブラート系薬剤(ベザフィブラートなど)
  • ニコチン酸製剤
  • アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾールなど)
  • マクロライド系抗生物質(エリスロマイシンなど)
  • チカグレロル

その他、血中濃度に影響を及ぼす薬

  • クマリン系抗凝固剤(ワルファリン)
  • 制酸剤(Mg・Al含有)
  • 抗ウイルス薬、抗がん剤の一部(BCRP、OATP1B1阻害薬)

副作用と発生頻度

重大な副作用(ごくまれ:0.1%未満 など)

  • 横紋筋融解症
  • ミオパチー、免疫介在性壊死性ミオパチー
  • 肝炎、肝機能障害、黄疸
  • 重症筋無力症の悪化
  • 血小板減少、過敏症(血管浮腫など)
  • 間質性肺炎、末梢神経障害、多形紅斑

その他の副作用

頻度症状例
2〜5%未満肝機能異常(AST、ALT上昇など)
0.1〜2%未満腹痛、便秘、下痢、頭痛、発疹など
0.1%未満筋けいれん、健忘、抑うつ、口内炎など

まとめ

  • ロスバスタチン(クレストール)は、LDLコレステロールを強力に下げる治療薬です。
  • 食事療法や運動療法では改善しにくい高コレステロール血症に効果的。
  • 併用薬との相互作用や副作用にも注意が必要です。

水なしで飲めるOD錠があるため、薬を飲みにくい方にも選ばれるケースが多い薬です。治療中に不安や体調の変化があった際には、必ず医師に相談しましょう。進めていきましょう。


参考情報・出典

よくある質問(Q&A)

ロスバスタチンは他のスタチン系薬と比べて何が優れていますか?

ロスバスタチン(クレストール)は、スタチン系(HMG-CoA還元酵素阻害剤)の中でもLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を最も強力に下げる効果があることで知られています。
臨床試験では、2.5mgで約45%、5mgで約52%のLDL-C低下効果が確認されており、これは同系統薬の中でも高水準です。

クレストール(ロスバスタチン)の発売年はいつですか?

日本国内では2005年1月19日に承認されました。
もともとは1991年に塩野義製薬で創薬され、その後アストラゼネカが開発を引き継ぎました。海外では2002年から承認・販売されています。

クレストールの1か月分(30日)の薬価と自己負担額の目安は?

用量剤形種類薬価(1錠)30日分薬価自己負担額(3割負担)
2.5mg錠剤/OD錠クレストール(先発品)21.3円約639円約192円
5mg錠剤/OD錠クレストール(先発品)36.3円約1,089円約327円
2.5mg錠剤/OD錠ロスバスタチン「EE」(後発品)10.1円約303円約91円
5mg錠剤/OD錠ロスバスタチン「EE」(後発品)10.1円約303円約91円

妊娠中にロスバスタチン(クレストール)は使えますか?

妊娠中は使用禁止(禁忌)です。

動物実験で胎児の骨格奇形が報告されており、また、他のスタチン系薬で先天性奇形のリスクが報告されています。妊娠が判明した時点で、速やかに服用を中止し、医師に相談してください。

授乳中にロスバスタチンは使えますか?母乳への影響は?

授乳中も使用禁止(禁忌)です。

ロスバスタチンが動物実験で乳汁中に移行することが確認されています。ヒトでも母乳を通じて乳児に移行する可能性が否定できないため、授乳中の方は他の治療法が検討されます。

子ども(小児)にロスバスタチンは使えますか?

日本国内では、小児を対象とした有効性・安全性を評価する臨床試験は実施されていません。

そのため、小児への使用は一般的に推奨されておらず、慎重な対応が必要です。特別な事情がある場合は専門医の判断が必要です。