ロスーゼットの効果は?悪玉コレステロールを下げる仕組みと注意点
ロスーゼットの効果は?
悪玉コレステロールを下げる仕組みと注意点

コレステロールが高くて『ロスーゼット』が処方されました。

ロスーゼットは、エゼチミブとロスバスタチンを1錠にまとめた配合薬で、
腸と肝臓の両方に働きかけてLDLコレステロールを下げます。
単剤で目標に届かない方にとって、有力な選択肢です。
ロスーゼットはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ロスーゼットとは
ロスーゼットは、次の2つの成分を含む配合錠です。
- エゼチミブ
小腸でコレステロールの吸収を抑える薬 - ロスバスタチン
肝臓でコレステロールが作られるのを抑える薬
つまりロスーゼットは、
- 腸から入ってくるコレステロールを減らす
- 肝臓で作られるコレステロールを減らす
という2つの方向からLDLコレステロールを下げる薬です。
適応は、次の2つです。
- 高コレステロール血症
- 家族性高コレステロール血症
家族性高コレステロール血症とは、生まれつきLDLコレステロールが高くなりやすい病気です。
ロスーゼットには以下の2規格があります。
- ロスーゼット配合錠LD:エゼチミブ10mg/ロスバスタチン2.5mg
- ロスーゼット配合錠HD:エゼチミブ10mg/ロスバスタチン5mg
違いは、主にロスバスタチンの量です。
目次
ロスーゼットの特徴
ロスーゼットの大きな特徴は、作用の違う2つの薬を1錠にまとめていることです。
もともと脂質異常症の治療では、まずスタチン系薬(ロスバスタチンなど)が第一選択になることが多く、それでも目標のLDLコレステロールに届かない場合に、別の薬を追加することがあります。
ロスーゼットは、そうした併用治療を1錠で行いやすくした薬といえます。
1. 1剤だけでは不十分な人に、より強いLDL低下を期待できる
エゼチミブとロスバスタチンは、作用する場所が違う薬です。
そのため、組み合わせることでLDLコレステロールを下げる力を補い合えると考えられています。
2. 錠数を減らし、飲み忘れを防ぎやすい
2種類の薬を別々に飲むより、1錠で済むほうが負担は軽くなります。
服薬の手間が減ることで、飲み続けやすさ(アドヒアランス:きちんと飲み続けられること)の改善も期待されます。
3. 日本では2019年に承認された
ロスーゼットは、日本で高コレステロール血症・家族性高コレステロール血症に対して、2019年3月に承認されました。
現在はオルガノンが販売しています。
なお、添付文書上、ロスーゼットは高コレステロール血症治療の第一選択薬ではありません。
まずは食事療法や運動療法を行い、そのうえで単剤で効果が不十分な場合に検討される薬です。
ロスーゼットの効能・効果
ロスーゼットの効能・効果は、以下の2つです。
- 高コレステロール血症
- 家族性高コレステロール血症
ただし、使い方にはいくつか大切な前提があります。
最初から誰にでも使う薬ではない
添付文書では、ロスーゼットを第一選択薬として用いないこととされています。
治療前に十分な検査が必要
薬を始める前には、本当に高コレステロール血症や家族性高コレステロール血症なのかを、検査で十分に確認する必要があります。
治療の基本は薬だけではない
治療では、薬だけでなく次のような基本も大切です。
- 食事療法
- 運動療法
- 禁煙
- 高血圧や糖尿病など、ほかのリスク管理
ロスーゼットは、こうした基本治療を行ったうえで使う薬です。
ロスーゼットの有効性(有効性試験等)
ロスーゼットの効果は、日本人を対象とした臨床試験でも確認されています。
国内第III相試験
日本人の高コレステロール血症患者321例を対象に、エゼチミブ単独、ロスバスタチン単独、両者の併用を比較した試験では、併用療法のほうが単独療法よりもLDLコレステロールを大きく下げました。
LDLコレステロールの変化率は次の通りです。
- エゼチミブ10mg単独:-18.7%
- ロスバスタチン2.5mg単独:-39.8%
- ロスバスタチン5mg単独:-47.2%
- エゼチミブ10mg+ロスバスタチン2.5mg:-54.6%
- エゼチミブ10mg+ロスバスタチン5mg:-60.5%
つまり、1剤だけでは足りない人に、組み合わせることでよりしっかりLDLを下げられることが示されました。
長期投与試験
日本人高コレステロール血症患者135例を対象に、52週間投与した長期試験でも効果は確認されています。
- エゼチミブ10mg+ロスバスタチン2.5mg群:52週で平均-33.8%
- エゼチミブ10mg+ロスバスタチン5mg群:52週で平均-23.9%
試験の条件や患者背景がやや異なるため、数字を単純には比べられませんが、長期でもLDLコレステロール低下効果が維持されたことは大きなポイントです。
患者さんにとって重要なのは、ロスーゼットが「よく効く可能性がある薬」だとしても、どこまで下げるべきかはその人のリスクによって違うという点です。
たとえば、次のような条件で目標値は変わります。
- 心筋梗塞や脳梗塞のリスク
- 糖尿病の有無
- 家族歴
- そのほかの動脈硬化リスク
ロスーゼットの用法・用量
ロスーゼットの承認された用法・用量は、次の通りです。
ロスーゼット配合錠LD
通常、成人には
1日1回1錠(エゼチミブ10mg/ロスバスタチン2.5mg)を食後に内服します。
ロスーゼット配合錠HD
通常、成人には
1日1回1錠(エゼチミブ10mg/ロスバスタチン5mg)を食後に内服します。
LDとHDの使い分け
使い分けの目安も決まっています。
- LD
エゼチミブ10mgとロスバスタチン2.5mgを併用している場合、またはロスバスタチン2.5mgで効果不十分な場合に検討 - HD
エゼチミブ10mgとロスバスタチン5mgを併用している場合、またはロスバスタチン5mgやLDで効果不十分な場合に検討
つまり、いきなり強い薬にするというより、これまでの治療内容を踏まえて切り替えるのが基本です。
また、腎機能が悪い方では、ロスバスタチンの量に制限が必要になることがあります。
自己判断で量を増やしたり、飲む回数を変えたりしないようにしてください。
ロスーゼットを使用できない方(禁忌)
次の方は、ロスーゼットを使用できません。
成分にアレルギーの既往がある方
ロスーゼットの成分で過敏症(アレルギー反応)を起こしたことがある方は使えません。
重い肝機能障害がある方
具体的には、次のような方です。
- 急性肝炎
- 慢性肝炎の急性増悪
- 肝硬変
- 肝がん
- 黄疸
このように、肝機能が大きく低下している方は禁忌です。
妊婦さん、妊娠の可能性がある方、授乳中の方
ロスーゼットはロスバスタチンを含むため、妊娠中・授乳中は使用できません。
妊娠を考えている方も、必ず事前に医師へ相談してください。
シクロスポリンを使用中の方
シクロスポリンはロスーゼットと併用禁忌です。
これは、一緒に使ってはいけない組み合わせという意味です。
ロスバスタチンの血中濃度が大きく上がり、副作用のリスクが高まるためです。
ロスーゼットで使い合わせに注意が必要な薬
ロスーゼットは、飲み合わせに注意が必要な薬が比較的多い薬です。
特にロスバスタチンは、薬の体内での移動に関わるたんぱく質であるOATP1B1やBCRPの影響を受けるため、ほかの薬の影響で血中濃度が上がることがあります。
1. 筋肉の副作用が出やすくなる薬
次の薬では、筋肉の副作用が起こりやすくなることがあります。
- フィブラート系薬剤(ベザフィブラート、フェノフィブラートなど)
- ニコチン酸製剤
- 一部の抗真菌薬
- マクロライド系抗菌薬
特に注意したいのは、次のような症状です。
- 筋肉痛
- 強いだるさ
- 脱力感
- CK上昇
(CK=筋肉のダメージで上がることがある血液検査の値) - 横紋筋融解症
(筋肉が強く壊れてしまう重い副作用)
2. ロスバスタチンの血中濃度を上げる薬
以下の薬では、ロスバスタチンの血中濃度が上がりやすく、副作用リスクが高まることがあります。
- チカグレロル
- HIV治療薬の一部
(ロピナビル/リトナビル、アタザナビル/リトナビル、ダルナビル/リトナビル) - C型肝炎治療薬の一部
(グレカプレビル/ピブレンタスビル、ソホスブビル/ベルパタスビル など) - ダロルタミド
- レゴラフェニブ
- カプマチニブ
- バダデュスタット
- フェブキソスタット
- エルトロンボパグ
- ホスタマチニブ
- ロキサデュスタット
- タファミジス
一般の患者さんが、これらをすべて覚える必要はありません。
大切なのは、他院でもらっている薬、市販薬、サプリメントも含めて、必ず医師・薬剤師に伝えることです。
3. ワルファリン
ワルファリンと併用すると、血液を固まりにくくする作用が強くなることがあります。
そのため、開始時や用量変更時には、INRという血液検査を確認しながら調整します。
INRは、血液の固まりにくさを見る検査です。
4. 制酸薬
水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウムを含む制酸薬では、ロスバスタチンの血中濃度が下がることがあります。
ロスバスタチン投与後2時間以上あけると影響が小さくなるとされています。
5. 陰イオン交換樹脂
コレスチミドやコレスチラミンなどは、エゼチミブの吸収を下げることがあります。
そのため、ロスーゼットはこれらの薬の
- 2時間前
- または4時間以上後
に服用します。
ロスーゼットの副作用と発生頻度
ロスーゼットは比較的使いやすい薬ですが、エゼチミブとロスバスタチンの両方の副作用に注意が必要です。
国内臨床試験での副作用発現頻度
日本人高コレステロール血症患者・ヘテロ接合体性家族性高コレステロール血症患者を対象とした国内試験では、278例中14例(5.0%)に副作用が認められました。
確認された副作用は以下の通りです。
- 便秘:1例
- 背部痛:1例
- 四肢不快感:1例
- 感覚鈍麻:1例
- 紅斑:1例
- 発疹:1例
- ALT増加:4例
- 血中CK増加:1例
- 血中尿酸増加:1例
- γ-GTP増加:1例
- HbA1c増加:1例
- 肝機能検査異常:4例
数字を見ると、比較的多かったのは肝機能に関する異常です。
そのため、内服中は定期的な採血が大切になります。
比較的みられる副作用
添付文書では、比較的みられる副作用として次のようなものが挙げられています。
- 便秘
- 発疹、紅斑
- 背部痛
- 四肢の違和感
- しびれ感、感覚鈍麻
- ALT増加、肝機能検査異常
- γ-GTP増加
- CK増加
- HbA1c増加
- 尿酸増加
重い副作用
頻度は高くありませんが、以下のような重い副作用が報告されています。
- 過敏症(アナフィラキシー、血管浮腫など)
- 多形紅斑
- 横紋筋融解症
- ミオパチー
(筋肉の障害) - 免疫介在性壊死性ミオパチー
(免疫の異常が関わる、まれで重い筋肉障害) - 肝炎、肝機能障害、黄疸
- 血小板減少
- 間質性肺炎
- 末梢神経障害
- 重症筋無力症
(筋肉に力が入りにくくなる病気)
すぐ受診を考えたい症状
ロスーゼットを飲んでいて、次のような症状があれば早めに受診してください。
- 強い筋肉痛
- いつもと違う強いだるさ、脱力
- 茶色い尿
- 皮膚や白目が黄色い
- 息苦しさ、咳、発熱
- 全身の発疹、顔や唇の腫れ
- 手足のしびれが強い、力が入りにくい
特に、筋肉症状と肝障害のサインは見逃せません。
まとめ
ロスーゼットは、エゼチミブとロスバスタチンを1錠にまとめた配合薬で、腸と肝臓の両方に働きかけてLDLコレステロールを下げます。
単剤で目標に届かない方にとって、有力な選択肢です。
一方で、第一選択薬ではなく、食事療法や運動療法を行ったうえで、必要に応じて使う薬です。
妊娠中・授乳中の方、重い肝機能障害のある方、シクロスポリンを使用中の方には使えません。
また、筋肉の副作用や肝機能異常、飲み合わせには注意が必要です。
ロスーゼットを安全に使うためには、定期的な採血と、飲んでいる薬を医師・薬剤師にきちんと伝えることがとても大切です。
「自分はロスーゼットが合うのか」
「今の薬と一緒に飲めるのか」
が気になる方は、自己判断せず、主治医や薬剤師に相談しましょう。状や生活に合わせて調整されます。
参考文献・出典
✔日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」
✔添付文書(医療用医薬品)
✔PMDA(医薬品医療機器総合機構)の審査報告書
✔各臨床試験(第III相試験など)
よくある質問(Q&A)
-
ロスーゼットは他のコレステロールの薬と比べて何が違うの?
-
1錠で「2つの働き」を持つ点が大きな強みです。
一般的な治療では、
- スタチン(例:ロスバスタチン)→ 肝臓でコレステロールを作るのを抑える
- エゼチミブ → 腸からの吸収を抑える
といったように、別々に使うことが多いです。
ロスーゼットはこれらを1錠にまとめた薬で、
- より強いLDL低下が期待できる
- 錠数が減って飲み忘れを防ぎやすい
というメリットがあります。
-
ロスーゼットはいつ発売された薬?
-
日本では2019年に承認された比較的新しい薬です。
- 承認:2019年3月
- 販売移管:2021年(MSD → オルガノン)
比較的新しいため、併用療法を1錠にまとめた利便性の高さが特徴です。
-
ロスーゼットの薬代はどのくらい?(1か月の目安)
-
30日分で約2,000円前後(3割負担の場合)です。
薬価は以下の通りです。
- LD:約69円/錠
- HD:約68円/錠
▶ 30日分(1日1錠)
- 約2,000円前後(3割負担)
- 約700円前後(1割負担)
※診察料や調剤料は別途かかります
-
ロスーゼットはどのくらいで効き始める?
-
数日〜1週間で効果が出始め、2〜4週間で安定します。
- 効果の出始め:数日〜1週間
- 最大効果:2〜4週間程度
血液検査で効果を確認することが多いので、自己判断でやめず継続が大切です。
-
効果はどれくらい持続するの?
-
1日1回で24時間しっかり効果が続きます。
ロスーゼットは1日1回の服用で持続的にLDLコレステロールを抑える設計です。
飲み忘れが続くと効果が落ちるため、毎日継続することが重要です。
-
妊娠中にロスーゼットは使える?
-
使用できません(禁忌)です。
ロスーゼットに含まれるスタチン系薬は、
胎児の発育に影響する可能性があるため使用禁止とされています。▶ ポイント
- 妊娠中は使用不可
- 妊娠の可能性がある場合も注意
- 妊娠が判明したらすぐ医師に相談
-
授乳中にロスーゼットは使える?
-
原則として使用しないか、授乳を中止します。
成分が母乳へ移行する可能性があり、
赤ちゃんへの影響が完全には否定できません。▶ 対応
- 原則:使用を避ける
- 必要な場合:授乳を中止することも検討
-
子どもでもロスーゼットは使える?
-
原則として小児には使用されません。
ロスーゼットは主に成人向けの薬であり、
小児への安全性は十分に確立されていません。▶ 例外
家族性高コレステロール血症など特殊なケースでは
→ 専門医の判断で使われることがあります
-
副作用はどんなものがある?
-
多くは軽いですが、まれに重い副作用もあります。
よくある副作用(比較的軽い)
- 便秘
- 発疹
- 筋肉の違和感
- 肝機能の数値上昇
注意が必要な副作用(まれ)
- 横紋筋融解症(筋肉が壊れる状態)
- 肝障害
- 間質性肺炎
▶ 次の症状があればすぐ受診
- 強い筋肉痛
- だるさ+尿が濃い
- 息切れ・咳が続く
-
飲み合わせで注意する薬はある?
-
一部の薬は併用できない、または注意が必要です。
特に注意が必要なのは、
- シクロスポリン(併用禁忌)
- フィブラート系(副作用リスク増加)
- ワルファリン(作用が強く出る可能性)
また、市販薬やサプリも影響することがあるため、
服用中のものは必ず医師・薬剤師に伝えましょう。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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