当帰芍薬散はどんな人に効く?更年期・月経不順・不妊体質に使われる理由

当帰芍薬散はどんな人に効く?
更年期・月経不順・不妊体質に使われる理由

月経不順に『当帰芍薬散』を飲んでいます。

当帰芍薬散は、血流改善・ホルモン調整・自律神経調整・抗酸化など複数の作用をもち、

「冷え・むくみ・貧血・月経トラブル・更年期症状」などが重なった体質に幅広く対応できる点が強みです。

当帰芍薬散はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)|効能・効果・副作用・飲み合わせ・飲み方【医師解説】

キーワード:当帰芍薬散 効能/更年期/月経不順/不妊症/冷え/むくみ/副作用/いつ飲む


当帰芍薬散とは

当帰芍薬散は、6つの生薬(シャクヤク・ソウジュツ・タクシャ・ブクリョウ・センキュウ・トウキ)からなる漢方薬です。
漢方の古典『金匱要略(きんきようりゃく)』に由来し、
「体力が弱く疲れやすい」「下半身が冷えやすい」「むくみやすい」といった体質の方に昔から用いられてきました。


当帰芍薬散の特徴

● 証(しょう)=体質に合わせて使う

この漢方薬は、体質や症状に合う人に効果を発揮します。
特に以下のような方に向いています:

  • 冷え性
  • 貧血気味
  • むくみやすい
  • 疲れやすい

● 女性のライフステージに広く対応

月経不順・月経困難・更年期障害・不妊症など、女性の体調管理でよく使われます。
一方で、倦怠感(だるさ)や動悸、むくみ(浮腫)などの症状にも、性別問わず使われています。


効能・効果

「筋肉が全体に軟弱で疲れやすく、腰脚が冷えやすい体質」の以下の症状に適応します:

  • 貧血、倦怠感、動悸
  • 更年期障害(頭重・頭痛・めまい・肩こりなど)
  • 月経不順、月経困難、不妊症
  • 慢性腎炎
  • 妊娠中の諸症(むくみ、習慣性流産、痔、腹痛)
  • 脚気、半身不随、心臓弁膜症

※「妊娠中の諸症」に使われることがありますが、妊婦への使用は、医師が有益性が危険性を上回ると判断した場合に限ります。


有効性(薬効薬理データより)

臨床・基礎研究で以下のような作用が確認されています。

● ホルモンに関連する作用

  • 卵巣の細胞でエストラジオールやプロゲステロンの分泌を促進(試験管内)
  • 下垂体細胞でLH・FSH(排卵に関わるホルモン)を増やす作用
  • ラット実験で、子宮重量やエストロゲン受容体数が増加。hMG(排卵誘発ホルモン)との併用で排卵率が上昇

● 自律神経・更年期に関連する作用

  • 卵巣を除去したマウスで、ストレス時の脳内ノルアドレナリンの過剰分泌を抑制
  • 睡眠時間の短縮を抑える作用も報告されています

● 抗酸化・免疫調整作用

  • 活性酸素(フリーラジカル)の消去、脂質の酸化を抑制
  • TNF-αやIFN-γ(免疫系の指標となる物質)の分泌を増やす

● 血流・子宮への作用

  • 妊娠高血圧モデルラットで、胎盤の血流や胎児体重の低下を防ぐ
  • 子宮筋の収縮を抑制(試験管内)

まとめ:
ホルモン、自律神経、血流、抗酸化、子宮への多面的な作用があり、女性の体調に関わるメカニズムへ広く働きかけます。
ただし、症状改善や妊娠率改善など、明確な臨床データはまだ限られており、使用時は体質の見極めと経過観察が重要です。


用法・用量(医療用)

  • 成人:1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に服用します。
  • 医師が年齢・体重・症状に応じて増減します。

継続がポイント。2~4週間服用して症状の変化を確認し、改善がみられなければ中止するのが基本です。


使用できない方(禁忌)

明確な「絶対禁忌」はありませんが、以下の方は注意が必要です:

  • 胃腸が弱い方/食欲不振・悪心・嘔吐のある方:症状が悪化することがあります
  • 妊婦・妊娠の可能性がある方:医師が有益と判断した場合のみ使用
  • 授乳中の方:母乳栄養とのバランスを考慮し、医師と相談
  • 小児:効果・安全性が未確立
  • 高齢者:体の機能が低下しているため、慎重に投与(減量など)

飲み合わせに注意が必要な薬

特定の薬との重大な相互作用は報告されていませんが、以下の点に注意しましょう:

  • 他の漢方薬と併用すると、同じ生薬(当帰・芍薬など)が重なり、過量になる可能性があります。
  • サプリ・市販薬・他の処方薬を服用中の方は、必ず医師や薬剤師に申告を。

副作用と発生頻度

頻度は不明ですが、以下の副作用が報告されています:

  • 【過敏症】発疹、かゆみなど
  • 【肝臓】AST・ALTの上昇など肝機能異常
  • 【消化器】食欲不振、胃の不快感、吐き気、腹痛、下痢など

対応の目安:
強い腹痛や下痢、吐き気が続く場合、または白目が黄色くなるなどの症状が出たら、服用を中止して医療機関へ相談してください。


まとめ

他の漢方薬との併用や、副作用には注意を。気になる症状があれば中止し、必ず受診を。
治療薬の選び方に不安がある場合も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

当帰芍薬散は、「冷えやすく疲れやすい体質」に合う代表的な漢方薬で、月経や更年期の不調、むくみなどに幅広く使われています。

ホルモン調整・自律神経・抗酸化・血流改善・子宮への作用など、多面的な働きがある一方で、体質との相性が非常に重要です。

服用量は 1日7.5gを2〜3回に分けて、食前または食間に内服
2~4週間で様子を見て、合わなければ継続はしないことが原則。

妊娠中・授乳中・高齢者・小児・胃腸虚弱の方は慎重に

参考文献・出典

ツムラ「医療用医薬品添付文書」
(JAPIC / PMDAより閲覧可能)

KEGG DRUG:D07021
https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?dr:D07021

「ホルモンと臨床」「和漢医薬学雑誌」「Am J Reprod Immunol」等の学術論文(妊娠率・ホルモン分泌・抗酸化作用に関するデータあり)

よくある質問(Q&A)

この薬(当帰芍薬散)は、同じ系統の他の薬と比べてどんな強みがありますか?

当帰芍薬散は、血流改善・ホルモン調整・自律神経調整・抗酸化など複数の作用をもち、「冷え・むくみ・貧血・月経トラブル・更年期症状」などが重なった体質に幅広く対応できる点が強みです。

同じ婦人科系で使われる漢方(例:加味逍遙散、桂枝茯苓丸など)と比べて、体力が低下しているタイプの方やむくみが目立つ人向けに設計されており、妊娠中の浮腫などにも使いやすい点が特徴です。

先発薬の発売年はいつですか?

医療用として承認された「ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒(医療用)」は、昭和60年(1985年)5月31日に厚生省薬務局薬審2第120号通知に基づき承認されました。
漢方古典では『金匱要略(きんきようりゃく)』に記載されており、伝統的な処方としては1000年以上の歴史があります。

1か月(30日)分処方された場合の薬価と、実際の目安価格(自己負担額)は?

製品名薬価30日分の薬価(7.5g/日)自己負担額(3割負担)
ツムラ当帰芍薬散14.9円/g3,352円約1,006円
小太郎漢方製薬9.5円/g2,138円約641円
太虎精堂製薬(錠剤)6.1円/錠(※用量により変動)

※1日量7.5g × 30日で算出(顆粒の場合)
※調剤料・薬剤服用歴管理指導料などは別途かかります。

飲んでからどれくらいで効果が出ますか?作用の持続時間は?

個人差がありますが、効果実感までの目安は2〜4週間程度とされています。
比較的ゆるやかに作用するため、急性症状には不向きで、体質改善を目的として継続的に使用します。

持続時間は明確なデータがないものの、1日2〜3回に分けて服用することから、約6〜8時間ごとの服薬が基本となります。

妊娠中に当帰芍薬散を使っても大丈夫ですか?

「妊娠中の浮腫・腹痛・痔など」に適応はあるものの、添付文書では以下のように記載されています:

妊婦または妊娠している可能性のある女性には、有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合にのみ使用すること。

したがって、自己判断での服用は避け、産科・婦人科医の診断のもとで使用可否を決める必要があります

授乳中に服用しても母乳への影響はありませんか?

授乳継続の有益性と治療上の有益性を比較し、継続または中止を医師と相談すること。

当帰芍薬散に含まれる生薬の成分が母乳に移行するかどうかは十分な研究データが存在しません
そのため、授乳中の服用も医師の判断が必須となります。

子どもにも使えますか?使用上の注意点は?

小児に対する有効性・安全性の臨床試験は行われておらず、適応外使用となります。

添付文書でも以下の通りです:

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

小児には体重・体格の影響が大きく、副作用(下痢・腹痛など)のリスクもあるため、原則として医師の管理下での処方が必要です。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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