便秘と生理痛がつらい人に…桃核承気湯ってどんな漢方?

便秘と生理痛がつらい人に…?
桃核承気湯ってどんな漢方?

便秘と冷えのぼせがあり『桃核承気湯』を使っています。

桃核承気湯は、のぼせ気味で

便秘や月経痛があり

精神的にも不安定になりやすい

という方に、複数の症状をまとめて改善できる処方です。

オンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)とは?

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)は、以下の5つの生薬から構成される漢方薬です。

  • 桃仁(とうにん)
  • 桂皮(けいひ)
  • 大黄(だいおう)
  • 甘草(かんぞう)
  • 芒硝(ぼうしょう)

主に、**のぼせがあり便秘しやすい体質(瘀血おけつ+実熱じつねつ)**の女性に使われます。

月経痛・便秘・精神的不安など、複数の不調をまとめて和らげる処方として用いられ、
保険診療でも処方可能です(ツムラ・クラシエ・小太郎漢方製薬などから顆粒や錠剤が市販されています)。


桃核承気湯の特徴

📜 古典+現代のハイブリッド処方

  • 原典:漢方古典『傷寒論(しょうかんろん)』
  • ベースは「調胃承気湯(ちょういじょうきとう)」という処方に、桃仁と桂皮を加えて、
    • 血のめぐりの滞り(瘀血)
    • 腸の熱による炎症(実熱)
      を同時に改善するよう設計されています。
  • ツムラ製剤は1986年から販売。味やにおいも控えめな飲みやすい顆粒タイプ

👩 女性の瘀血体質に特化

  • 「便秘+月経痛+気分不安定」などの組み合わせによく使われます。
  • 便通を改善しつつ、痛みや精神的なゆらぎにも対応できる“一石二鳥”の処方です。

効能・効果(添付文書より)

比較的体力がある人で、のぼせて便秘しやすい方に使われます。具体的には:

  • 月経不順・月経困難症
  • 月経中や産後の不安感
  • 腰痛・便秘
  • 高血圧にともなう頭痛・めまい・肩こり

有効性のデータ

● 月経困難症への効果

  • 桃核承気湯を4週間服用した試験で、月経痛と便秘スコアが明らかに改善しました。

● 産後の気分の落ち込み

  • 抑うつが疑われる産後ママ36人を対象とした解析で、2週間で不安感が軽減し、便通も改善しました。

📝 ※いずれも小規模な研究で、しかも単一グループだけの試験が中心です。
そのため、体質(証しょう)に合っているかどうかが効果を左右すると考えられています。


用法・用量

年齢1日量(顆粒)回数飲むタイミング
成人(15歳以上)7.5g2〜3回食前または食間
  • 症状や体格に応じて、医師が量を調整します
  • 水または白湯(ぬるま湯)で服用し、水分補給も忘れずに行ってください。

使用できない方(禁忌・慎重投与)

状態・体質注意の理由
妊娠中・妊娠の可能性がある方桃仁・大黄・芒硝に子宮を収縮させる作用があり、流産や早産のリスクがあります。
授乳中の方大黄の成分が母乳に移行し、赤ちゃんに下痢を起こす可能性があります。
下痢・胃腸が弱い方、体力が低下している方腹痛や脱水、**電解質異常(血液中の成分バランスの乱れ)**が悪化するおそれがあります。
高齢者加齢に伴う身体機能の低下で、副作用が出やすくなるため、減量で慎重に使う必要があります。

飲み合わせに注意が必要な薬

相互作用の原因代表的な併用薬起こりうる問題点
甘草(かんぞう)成分の重複芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散 など**偽アルドステロン症(血圧上昇、むくみ、低カリウム血症)や筋力低下(ミオパチー)**のリスクが高まります。
大黄を含む他の漢方大黄甘草湯、大承気湯 など下痢や腹痛が強くなる可能性があります。
利尿薬・降圧薬ループ利尿薬、チアジド系 など脱水・電解質バランスが崩れやすくなり、薬の効果にも影響します。

💡 服用している漢方薬やサプリメントも含めて、事前に医師へご相談ください。


副作用と発生頻度

⚠ 重い副作用(頻度不明)

副作用症状対応策
偽アルドステロン症むくみ、血圧上昇、体重増加、低カリウム血症血液検査(血清カリウム値)による管理が必要
ミオパチー(筋肉障害)脱力感、手足のしびれやけいれんカリウム補給や服薬中止などが必要

🌀 その他の副作用

  • 発疹・かゆみなどのアレルギー反応
  • 胃の不快感、食欲不振、下痢、腹痛 など

🔔 むくみ・体重増加・脱力感が現れた場合は、早めに医師に相談し、血液検査を受けましょう


まとめ

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)は、

  • のぼせ気味で
  • 便秘や月経痛があり
  • 精神的にも不安定になりやすい

という方に、複数の症状をまとめて改善できる処方です。


ただし注意が必要です

  • 甘草の副作用(高血圧・低カリウム血症)に注意
  • 自己判断での継続使用はNG
  • 妊娠・授乳中、体力の低下している方は避けましょう


参考文献・出典

KEGG DRUG:D07017(桃核承気湯の化学構造・情報)

JAPIC添付文書(2023年12月改訂):効能・用法・副作用詳細

「漢方製剤インタビューフォーム」ツムラ桃核承気湯エキス顆粒(製品特性・エビデンス・注意事項を網羅)

論文例:

原裕美ほか「桃核承気湯の月経困難症に対する効果」(日本東洋医学雑誌)

市川真澄ら「産後うつ症状に対する桃核承気湯の使用経験」(漢方の臨床)

これらの情報は、製薬企業の医療関係者向けサイト(ツムラ・小太郎など)や、PubMed・CiNii Articlesで検索可能です。

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?

桃核承気湯は、瘀血(血の滞り)と実熱(こもった熱)を同時に改善できる漢方処方であり、次の点で他の便秘系漢方薬と一線を画します:

  • **便秘と月経関連症状の“同時改善”**が期待できる(例:月経困難症+便秘+精神不安など)
  • 大承気湯などの“攻下薬”に比べ、女性特有の体調不良への応用範囲が広い
  • ツムラ製剤では味や匂いを抑えた乾式造粒顆粒として服用しやすさが向上

とくに「便秘だけでなく、のぼせやイライラもある」「生理前に症状が悪化する」といった体質に対して、汎用性が高い処方です。

先発薬の発売年はいつ?

ツムラ桃核承気湯エキス顆粒(医療用)は、**1986年(昭和61年)**に厚生省薬務局の通知に基づき製造承認を取得し、以降医療用漢方エキス製剤として処方されています。

1か月(30日)処方時の薬価と自己負担額の目安は?

ツムラ桃核承気湯エキス顆粒の薬価は12.8円/gです。
1日量7.5gで計算すると:

  • **薬価:**12.8円 × 7.5g × 30日 = 2,880円(保険点数換算)
  • 自己負担額:
    • 3割負担 → 約864円
    • 1割負担(高齢者など)→ 約288円

※調剤料・管理料・薬剤服用歴管理指導料などは別途かかります。

作用発現時間や効果の持続時間は?

便秘に対する効果:早い人で当日〜翌日から排便効果を感じることがあります(特に大黄・芒硝による緩下作用)。

月経痛や精神不安などの改善:****2〜4週間の継続投与により徐々に体質改善が現れるケースが多いとされています。

※ただし、作用には個人差が大きく、「証(体質)」の合致が前提となります。

妊娠中の使用は可能?リスクや注意点は?

妊娠中の使用は基本的に避けるべきです。

  • 含有成分の桃仁・大黄・芒硝・無水ボウショウには、子宮収縮作用骨盤内の充血作用があり、流早産のリスクがあります。
  • 特に妊娠初期や切迫流産の既往がある場合は、絶対禁忌と考えられます。

妊婦に便秘治療が必要な場合は、より安全性の高い漢方や薬剤(例:麻子仁丸など)を医師が選択します。

授乳中の使用は安全?母乳への移行と注意点は?

授乳中の使用には慎重な判断が必要です。

授乳を継続すべきか、または一時中断すべきかは、医師と相談しながら判断してください。

大黄に含まれる**アントラキノン誘導体(センノシド様成分)**が母乳中に移行し、乳児に下痢を引き起こす可能性があります。

子どもにも使える?使用可否と注意点は?

桃核承気湯は基本的に成人(15歳以上)を対象とした処方です。

  • 小児への臨床試験は実施されておらず、小児への安全性は確立していません。
  • また、大黄・芒硝などが含まれるため、腸管が未発達な小児では過度な下痢や電解質異常を招く恐れがあります。

小児の便秘には、別の漢方処方(例:小建中湯、麻子仁丸)や西洋薬を使用する方が一般的です。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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