マクサルトってどんな薬?頭痛持ちの人が気になる効果と副作用のこと

マクサルトってどんな薬?
頭痛持ちの人が気になる効果と副作用のこと

片頭痛で『マクサルト』を使っています。

以前の薬であるスマトリプタンより、即効性があり、効果が強いのが特徴です。

マクサルト(リザトリプタン)はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

マクサルト(リザトリプタン)とは

マクサルト®は リザトリプタン安息香酸塩 を有効成分とする経口片頭痛治療薬です。
トリプタン系(5‑HT1B/1D受容体作動薬)に分類され、発作時に拡張した頭蓋内血管を収縮させるほか、三叉神経からの炎症物質の放出を抑えて痛みの信号を抑制します。


マクサルトの特徴

  • 米国メルク社が「迅速な効果発現」を目指して開発。
  • 日本では1995年より臨床開発が開始され、2003年7月に承認されました。
  • 通常の錠剤に加え、**水なしで服用できる口腔内崩壊錠(RPD錠)**もあり、外出先での使用に適しています。
  • 血管収縮の標的を絞った設計で、心臓の冠動脈には比較的影響が少ないとされています。

効能・効果

  • 片頭痛発作の急性期治療
  • 前兆の有無を問わず、国際頭痛学会の基準により「片頭痛」と診断された場合に使用できます。

有効性(臨床試験成績)

◆ 国内試験

  • 第Ⅲ相二重盲検試験(140例)
     → リザトリプタン10 mg投与2時間後の頭痛改善率:59.4 %
     → プラセボとの差:+25.1 %(p<0.025)
  • 第Ⅲ相オープン試験(RPD錠, 41例)
     → 頭痛改善率:80.0 %
  • 長期反復投与試験(最長21週)
     → 発作1~5回目で一貫した改善率(69〜91 %)
     → 効果の減弱は見られませんでした

◆ 海外試験

  • プラセボスマトリプタン100 mgよりも高い改善率
  • 再発発作にも有効とされました。

用法・用量

  • 成人:片頭痛の発作時に10mgを経口投与
  • 効果が不十分な場合、2時間以上空けて追加投与可能
  • 1日最大投与量は20mgまで
  • 予防目的では使用不可(毎日飲まないように注意)。

使用できない方(禁忌)

以下に該当する方には使用できません

  • 本剤の成分にアレルギーがある方
  • 心筋梗塞・狭心症など心臓病の既往がある方
  • **脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)**の既往
  • 末梢の血管障害
  • コントロールされていない高血圧
  • 重い肝機能障害
  • 血液透析中の方
  • 以下の薬剤を併用または24時間以内に使用している方
     ・エルゴタミン製剤
     ・他のトリプタン系薬
     ・MAO阻害薬(中止後2週間以内も含む)
     ・プロプラノロール(錠剤:24時間以内、徐放剤:48時間以内)

飲み合わせに注意が必要な薬(相互作用)

併用薬影響・理由対応
エルゴタミン製剤血管収縮作用が強くなる前後24時間は間隔を空ける
他のトリプタン系薬(スマトリプタンなど)同上同様に前後24時間空ける
MAO阻害薬血中濃度が上がりすぎる併用禁忌、中止後も2週待機
プロプラノロール血中濃度上昇所定の間隔(24–48h)を空ける
SSRI/SNRIセロトニン症候群のリスク体調変化に注意し最小限で使用

副作用と発生頻度

◆ 重大な副作用(頻度不明)

  • アナフィラキシーショック
  • 心疾患様症状(狭心症・心筋梗塞など)
  • 発作性頻脈(WPW症候群)
  • てんかん様の発作
  • 血管浮腫、TEN(皮膚の重篤な障害)、呼吸困難、失神
  • 薬剤の使用過多による頭痛

◆ よくある副作用

  • 傾眠(7〜17%)
  • 浮動性めまい・倦怠感・無力感
  • 悪心・嘔吐・腹痛
  • 口の渇き・喉の違和感・硬直感

※多くは軽度かつ一過性ですが、症状が強い場合や胸痛がある場合は早めの受診を


まとめ

マクサルト(リザトリプタン)は、発作時に素早く効くことが期待される片頭痛治療薬です。

  • 通常錠と**口腔内崩壊錠(RPD錠)**があり、水なしでの服用も可能。
  • 臨床試験で有効性と安全性が確認されており、多くの患者さんに効果が見られます。
  • ただし、心血管リスクがある方や特定の薬を使用中の方は使用できません
  • 胸の不快感や異常な症状が出た場合はすぐに中止して受診してください。

ご相談ください

片頭痛は適切な治療でコントロール可能な疾患です。

  • 「痛みが強く、日常生活に支障がある」
  • 「市販薬では効かない」
  • 「発作時の対処に困っている」

このようなお悩みがある方は、当院のオンライン診療でもお気軽にご相談いただけます。


参考文献・出典

PMDA 医薬品医療機器総合機構:添付文書・インタビューフォーム
https://www.pmda.go.jp/

KEGG DRUG(リザトリプタン:D00675)
https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?dr:D00675

日本頭痛学会ガイドライン(慢性頭痛の診療ガイドライン)
https://www.jhsnet.net/

UpToDate や Micromedex(英語:医師向け臨床支援ツール)

よくある質問(Q&A)


この薬(マクサルト)は、同じ系統の既製薬(トリプタン系)と比べてどんな強みがある?

マクサルト(リザトリプタン)の強みは「作用の立ち上がりが速い」ことです。
投与後、1時間以内に効果が現れやすいとされており、スマトリプタンやゾルミトリプタンよりも即効性が優れるとの報告があります。

さらに、**口腔内崩壊錠(RPD錠)**の形でも服用できるため、「水がない場面」や「吐き気で水が飲みにくいとき」でも使いやすいという利便性があります。

マクサルト(先発品)はいつ発売された?

日本国内では、2003年7月に承認・販売されました。
開発は米国メルク社で、国内ではオルガノン社が製造販売を行っています(2024年より承継)。

マクサルトを30日分処方された場合、薬価と実際の自己負担額はいくら?

マクサルト錠10mg:335.9円/錠

マクサルトRPD錠10mg(口腔内崩壊錠):340.3円/錠

▼【1日1錠×30日間】で計算した場合

剤形30日分薬価自己負担額(3割負担)
錠剤10,077円約3,020円
RPD錠10,209円約3,060円

※診察料や調剤料は別途かかります。
※実際には「必要時に使用」される薬なので、1か月10日処方となります。

マクサルトの効果が出るまでの時間と、持続時間は?

作用発現時間:服用後 約30分〜1時間で効果が出始めます。

最大効果時間:服用後 2時間でピーク

効果持続時間4〜6時間程度持続します。

※ただし、個人差や片頭痛のタイプによって体感は異なります。

妊娠中にマクサルトは使える?リスクや注意点は?

妊娠中のマクサルト使用は、**「有益性が危険性を上回ると判断された場合に限って使用可」**とされています。
ヒトでの十分な安全性データはなく、動物実験では明確な催奇形性は示されていませんが、慎重投与が求められます。

妊娠中のポイント:

特に妊娠初期(12週未満)は注意が必要です

自己判断での使用は避ける

医師と相談のうえ、他の治療が使えないときに限り使用検討

授乳中にマクサルトは使える?母乳への影響は?

リザトリプタンは動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されています。
ヒトでの移行量は不明なものの、授乳中の使用については以下のように判断されます。

授乳中のポイント:

どうしても服用が必要な場合は、母乳育児の代替(搾乳・ミルク)を含めて検討

医師と相談のうえ、授乳継続の可否を検討

一時的に授乳を中断する、または服薬後一定時間(24時間など)あけて授乳を再開する対応も考えられます

子ども(小児)には使える?

マクサルトは日本国内において、小児を対象とした臨床試験が実施されていません。そのため、原則として子どもには使用されていません

一方、海外では年齢や体重に応じてリザトリプタンが処方されることもありますが、日本では慎重な判断が必要です。

当院では処方いたしません。