寝つきが悪い・夜中に目が覚める人に|依存の少ない睡眠薬「デエビゴ」とは?
寝つきが悪い・夜中に目が覚める人に
依存の少ない睡眠薬「デエビゴ」とは?

不眠でデエビゴを使っています。

デエビゴ®(一般名:レンボレキサント)**は、
「オレキシン受容体拮抗薬」という新しい仕組みの不眠症治療薬です
翌日にふらつきを残しにくいです。
デエビゴはオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
デエビゴ(レンボレキサント)とは
デエビゴは、不眠症の治療に使われる飲み薬です。
脳が「起きていよう」とする信号に関わるオレキシンという物質の受容体(OX1・OX2)をブロックし、覚醒から睡眠への切り替えを助けます。
このような働きをする薬は**デュアル・オレキシン受容体拮抗薬(DORA)**と呼ばれます。
デエビゴの特徴
- エーザイ株式会社が開発した新しいタイプの睡眠薬。
- **オレキシン1受容体(OX1R)とオレキシン2受容体(OX2R)**の両方に結合し、働きを抑えます。
- 海外を含む不眠症患者を対象とした複数の臨床試験で有効性が確認され、2020年に「不眠症」の効能で承認されました。
- 鎮静系を直接強める薬ではなく、“覚醒のブレーキ”をかける設計が特徴です。
効能・効果
- 不眠症(寝つきが悪い・途中で目が覚めるなど)
有効性(有効性試験より)
国際共同第III相試験(303試験、6か月間投与)
- 対象:不眠症患者949例(日本人161例含む)
- 比較:デエビゴ5mg、10mg、プラセボ(偽薬)
- 結果
- 入眠までの時間
- 6か月時点の中央値は、プラセボ:約−11分
5mg:約−22分、10mg:約−28分
- 6か月時点の中央値は、プラセボ:約−11分
- 睡眠効率(眠れていた時間の割合)
- プラセボとの差:+4.5〜+4.7%向上
- 中途覚醒時間(途中で起きていた時間)
- プラセボとの差:−13〜−17分短縮
- 入眠までの時間
安全性
- 主な副作用:傾眠(10.7%)、頭痛(4.2%)、倦怠感(3.1%)
用法・用量
- 通常:成人は5mgを就寝直前に1日1回内服
- 効果が不十分な場合、医師の判断で10mgまで増量可能
- 服用タイミング:必ず就寝直前
- 食直後は避ける(効き始めが遅くなるため)
- 夜間に起きて作業をする可能性がある場合は服用しない
用量調整が必要な場合
- CYP3Aを中程度〜強く阻害する薬を併用する場合:2.5mg
- 中等度の肝機能障害:5mgを超えない
- 他の睡眠薬との併用は有効性・安全性が確立されていません
使用できない方(禁忌)
- 本剤成分にアレルギー歴のある方
- 重度の肝機能障害(血中濃度が大幅に上昇)
注意が必要な方
- ナルコレプシーやカタプレキシー(急な脱力発作)がある方
- 脳に器質的障害がある方
- 呼吸機能障害(閉塞性睡眠時無呼吸・COPDは除く)
- 重度の腎機能障害
- 高齢者
- 妊娠中・授乳中(母乳移行はごくわずか:相対的乳児投与量2%未満)
飲み合わせに注意が必要な薬
効きすぎる恐れがある組み合わせ(CYP3A阻害薬)
- 例:イトラコナゾール、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、フルコナゾール、ベラパミル
→ 併用時は2.5mgに減量
効き目が弱くなる組み合わせ(CYP3A誘導薬)
- 例:リファンピシン、フェニトイン
→ 併用は推奨されません(血中濃度が大幅低下)
中枢神経抑制薬との併用
- 例:フェノチアジン系、バルビツール酸系
→ 眠気やふらつきが強まる可能性
アルコール
- 認知機能低下が相加的に起こり、血中濃度も上がるため禁止
副作用と発生頻度
- よくある:傾眠(10.7%)、頭痛(4.2%)、倦怠感(3.1%)
- ときどき:浮動性めまい、睡眠時麻痺、異常な夢、悪夢、悪心
- まれ/頻度不明:注意力障害、幻覚、錯乱、動悸、口内乾燥、腹痛、ALT上昇、耳鳴、体重増加、多汗、転倒、筋肉痛など
まとめ
副作用は眠気・頭痛・倦怠感が多く、異常時は早めに受診
デエビゴは、覚醒信号を抑える新しいタイプの不眠症治療薬
就寝直前に服用し、食直後や飲酒は避ける
用量調整は併用薬や肝機能障害の有無によって必要
臨床試験で、寝つきの改善・睡眠効率向上・中途覚醒の短縮が確認
参考文献・出典
添付文書(医療従事者向けPDF):PMDAまたはKEGG、JAPICで閲覧可能
インタビューフォーム(製薬会社による詳細情報)
国際共同試験(SUNRISE 1 / Study 303)論文:Lancet Neurology等に掲載
医中誌Web/PubMedでも「lemborexant insomnia」で検索可能
よくある質問(Q&A)
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デエビゴはどんな人に使う薬?
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デエビゴは、不眠症の治療に使われる飲み薬で、「デュアル・オレキシン受容体拮抗薬(DORA)」に分類されます。
脳の「起きていよう」という信号に関わるオレキシンという物質の受容体(OX1R・OX2R)をブロックして、自然な眠りを促します。
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この薬の同じ系統(DORA系)の既製薬と比べて、どんな強みがある?
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デエビゴ(レンボレキサント)は、「オレキシン受容体拮抗薬(DORA)」という新しいタイプの睡眠薬です。
同じ系統にはベルソムラ(スボレキサント)がありますが、デエビゴは以下の点で差別化されています。
- OX2受容体への強い親和性 → より深く自然な眠りを誘うことが期待されます。
- 血中濃度の持続が安定しており、朝まで効果が続く
- 翌朝の眠気やふらつきが比較的少ないと報告あり(国際共同試験)
特に、「眠りの質」を改善したい人に向いています。
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デエビゴはいつ発売されたの?
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デエビゴは2020年に日本で承認・発売されました。開発したのはエーザイ(日本の製薬会社)で、国内初の国産DORA系睡眠薬です。
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デエビゴを1か月分処方されたら、薬代はいくらぐらい?
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1日1回服用として、1か月(30日)分の薬価と自己負担の目安は以下の通りです。
錠剤の種類 薬価(1錠) 30日分 自己負担(3割負担)目安 2.5mg錠 44.9円 約1,347円 約404円程度 5mg錠 71.3円 約2,139円 約642円程度 10mg錠 106.4円 約3,192円 約958円程度 ※再診料・調剤料などは別途かかります。
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効果が出るまでどれくらいかかる?持続時間は?
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効果の出始め:服用後 約1〜2時間以内
効果の持続時間:約8〜12時間以上(個人差あり)
食後に飲むと吸収が遅れ、効果が出るのが遅くなるため、就寝直前の空腹時に飲むのが理想的です。
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妊娠中だけど、デエビゴを飲んでも大丈夫?
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妊娠中の使用は基本的に避けるべきです。
ただし、「どうしても不眠がつらい」といった場合には、医師がメリットがリスクを上回ると判断したときに限って使用が検討されます。動物実験で胎児への影響が完全には否定されておらず、安全性は確立されていません。
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授乳中にデエビゴを飲んでもいい?母乳への影響は?
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デエビゴは、少量ながら母乳に移行することが確認されています(相対的乳児投与量 約2%未満)。
そのため、授乳を継続するか、薬の服用を優先するかは、医師と相談のうえ判断が必要です。授乳中に使う場合は、授乳のタイミングを調整することもあります。
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子どもには使える?
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子どもへの使用は認められていません。
臨床試験が行われておらず、安全性・有効性は確認されていないため、原則として処方されません。
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朝までぐっすり眠れるってほんと?
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国際共同の大規模臨床試験(303試験)で、入眠時間の短縮(約20~30分)、中途覚醒の減少、睡眠効率の改善が確認されました。
また、レム睡眠とノンレム睡眠のバランスも保たれやすいとされています。



