過敏性腸症候群(IBS)の薬、ポリフルの効果や副作用をわかりやすく解説
過敏性腸症候群(IBS)のお薬ポリフル、
効果や副作用をわかりやすく解説

過敏性腸症候群で『ポリカルボフィルCa』を処方されました。

昔はコロネルという名でも発売されており、下痢にも便秘にも使われるお薬ですね。
ポリフルは当院で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ポリカルボフィルCa(ポリフル)とは
ポリカルボフィルCaは、過敏性腸症候群(IBS)による下痢や便秘、腹痛、膨満感などの症状を改善する整腸薬です。
- 主成分:ポリカルボフィルカルシウム
- 特徴:水分を吸収してゲル化し、腸内の状態に応じて便を「固めたり」「柔らかくしたり」調整します。
ポリカルボフィルCaの特徴
✅ 両方の便通異常に対応
- 下痢のとき:余分な水分を吸収 → ゲル状になって便を固める
- 便秘のとき:水分を保持し腸の動きを促す → 排便をサポート
✅ 吸収されにくく安全性が高い
- 消化管からはほとんど吸収されないため、体全体への影響が少ない
- そのため、過剰な作用による新たな下痢や便秘が起きにくい
✅ 海外でも広く使用
- アメリカでは**OTC(一般用医薬品)**としても販売されており、安全性・実績がある薬です
効能・効果
- 過敏性腸症候群における
- 下痢・便秘などの便通異常
- 腹痛・膨満感などの消化器症状の改善
※本剤は対症療法薬です。根本的な改善には、生活習慣の見直しやストレスケアも重要です。
有効性(臨床試験より)
国内後期第II相試験(2週間)
- 対象:IBS患者128例
- 有効率(「改善」以上):68.8%
- 主な副作用:口渇(1.3%)、発疹・皮疹(1.9%)
国内第III相試験(2週間)
- 対象:IBS患者88例
- 有効率:63.6%
- 主な副作用:口渇(4.0%)、発疹・皮疹(4.0%)
用法・用量
通常の服用方法
- 1日1.5〜3.0g(ポリカルボフィルカルシウム換算)を3回に分けて
- 食後にコップ1杯の水とともに服用
補足ポイント
- 下痢が強い場合:1日1.5gから開始も可能
- 2週間使用しても効果がない場合:漫然と継続せず、医師へ相談
使用できない方(禁忌)
以下のような方は使用できません:
- 急性腹部疾患(例:虫垂炎、腸出血など)
- 術後イレウスや腸閉塞の可能性がある方
- 高カルシウム血症
- 腎結石
- 中等度以上の腎不全(軽度や透析中の方は除く)
- 本剤に過敏症の既往がある方
飲み合わせに注意が必要な薬
✅ カルシウムやビタミンD関連薬
- 活性型ビタミンD製剤(例:アルファカルシドール)
- カルシウム剤(例:乳酸カルシウム) → 高カルシウム血症のリスク、薬の効果が落ちる可能性あり
✅ 一部の抗菌薬
- テトラサイクリン系(テトラサイクリン、ミノサイクリン)
- ニューキノロン系(シプロフロキサシンなど) → カルシウムとくっついて吸収されにくくなる
✅ 胃薬(胃酸を抑える薬)
- PPI(例:オメプラゾール)
- H2ブロッカー(例:ファモチジン)
- 制酸剤(アルミニウム・マグネシウム系) → 胃のpHが上がると、薬の働きが弱くなることがあります
副作用と発生頻度
▶ 承認時までのデータ
- 副作用報告率:8.79%(751例中66例)
▶ 市販後の調査
- 副作用報告率:2.20%(3,096例中68例)
▶ 主な副作用の内容
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 過敏症 | 発疹、かゆみ |
| 消化器 | 吐き気・嘔吐、腹部膨満、下痢、便秘、腹痛など |
| 肝機能 | AST、ALT、γ-GTP、ALPなどの上昇 |
| その他 | 浮腫、頭痛、尿異常(蛋白・潜血)など |
※異常が出た場合はすぐに医師に相談してください。
まとめ
- ポリカルボフィルCa(ポリフル)は、下痢と便秘の両方に対応できる整腸薬
- 腸の水分バランスを調整して便の状態を整える
- 消化管で作用し、体には吸収されにくいため副作用も比較的少ない
▶ 使用前には、持病や併用薬を医師・薬剤師に伝えましょう。
▶ 指示された用法・用量を守って服用してください。。
参考文献・出典
PMDA 添付文書情報
https://www.pmda.go.jp
KEGG DRUG:D03306(Polycarbophil Calcium)
https://www.genome.jp/db/kegg/drug/
厚生労働省 医薬品リスト/再審査結果報告
製薬企業発行のインタビューフォーム(ヴィアトリス製薬)
有効性、安全性、動物試験、臨床試験の要点が詳しく記載されています。
よくある質問(Q&A)
-
下痢にも便秘にも効くって本当?他の薬とどう違うの?
-
はい、本当です。
ポリフル(ポリカルボフィルCa)は、便秘・下痢どちらの症状にも対応できる珍しい薬です。同じIBS治療薬としてよく使われるトリメブチン(セレキノンなど)は腸の動きを整える薬で、症状のタイプにより向き不向きがあります。一方、ポリフルは腸の水分バランスを直接整えることで、下痢にも便秘にも作用します。
また、吸収されにくい高分子素材のため、体への負担が少ないのも強みです。
-
ポリフルっていつからある薬なの?
-
2000年7月に日本で承認・発売されました。
開発当初から「過敏性腸症候群(IBS)」の治療に特化した薬として評価されており、20年以上の使用実績があります。
-
ポリフルの薬価は?30日分の自己負担はいくら?
-
📊 1か月分(90g相当)の薬価と3割自己負担額(目安)
製剤名(剤形) 薬価 30日分の薬価 自己負担(3割) ポリフル錠500mg(先発品) 9.4円/錠 9.4円 × 180錠 = 1,692円 約508円 ポリフル細粒83.3%(先発品) 14.9円/g 14.9円 × 90g = 1,341円 約402円 ポリカルボフィルCa細粒(後発) 26.7円/g 26.7円 × 90g = 2,403円 約721円
-
妊娠中でもポリフルは使える?
-
**原則として「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用」**とされています。
ポリフルは消化管から吸収されにくい薬のため、全身への影響は少ないとされていますが、妊娠中の服用経験が十分とはいえません。
妊娠中に便秘・下痢で悩んでいる方は、必ず医師に相談した上で処方を受けましょう。
-
授乳中でも飲める?
-
添付文書では明記されていませんが、ポリフルは消化管からほとんど吸収されず、母乳中に移行する可能性も極めて低いと考えられています。
とはいえ、授乳中に服用する場合は、
他の薬との併用状況の確認
など、個別対応が基本です。自己判断での服用は避けましょう。
-
子どもでも使える?
-
小児への使用に関しては、臨床試験が行われていないため、基本的には使用されません。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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