ルセフィってどんな薬?糖を尿に出して血糖を下げる新しい糖尿病の薬
ルセフィってどんな薬?
糖を尿に出して血糖を下げる新しい糖尿病の薬

糖尿病薬として『ルセフィ』を使っています。

ルセフィは「日本生まれのSGLT2阻害薬」です。
腎臓での「糖の再吸収」をブロックし、
糖を尿として体の外に出すことで血糖値を下げるしくみです。
ルセフィーは糖尿病が落ち着いている方はオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ルセフィ錠とは
ルセフィ錠(一般名:ルセオグリフロジン水和物)は、2型糖尿病の治療に使われる「SGLT2阻害薬(選択的SGLT2〈エスジーエルティーツー〉阻害剤)」という種類の飲み薬です。
日本の製薬会社・大正製薬が日本で開発した薬で、
1日1回飲むタイプの経口血糖降下薬です。
この薬は、腎臓での「糖の再吸収」をブロックし、
糖を尿として体の外に出すことで血糖値を下げるしくみです。
インスリンを使わず、腎臓の働きを利用して血糖を下げるという、
比較的新しいタイプの糖尿病治療薬です。
※この記事は、当院に受診される患者さんに向けて、医師の立場からわかりやすく解説したものです。実際の治療は、必ず主治医の判断のもとで行ってください。
ルセフィ錠の特徴
1)日本で開発されたSGLT2阻害薬
ルセフィは日本企業が創薬・開発した薬です。
2008年頃から日本で臨床試験が始まり、2014年に「2型糖尿病」の治療薬として承認されました。
その後も、さまざまな状況での有効性・安全性が検証されています。
- 単独療法
- 他の糖尿病薬との併用療法
- 腎機能障害のある方
- インスリンとの併用 など
2)インスリンに頼らず血糖を下げる
腎臓の「近位尿細管〈きんいにょうさいかん〉」という部分には、
「SGLT2」という糖の再吸収に関わるタンパク質があります。
ルセフィは、このSGLT2を選択的にブロックして、
あえて糖を尿に出すことで血糖を下げる薬です。
- インスリンを増やしたり強めたりする薬ではありません。
- そのため、体重増加などのインスリン由来の副作用が少ないとされます。
- 膵臓(すいぞう)の負担も軽く済むため、長く使いやすい薬です。
3)剤形が選べる(錠剤+ODフィルム)
ルセフィには以下の3つの製剤があります。
- ルセフィ錠2.5mg
- ルセフィ錠5mg
- ルセフィODフィルム2.5mg(水なしでも飲めるフィルムタイプ)
このODフィルムは、2022年にSGLT2阻害薬として世界初の剤形として承認されました。
「錠剤が飲みにくい」「外出先で水がない」などの場合にも便利です。
効能・効果
ルセフィ錠の効能は、「2型糖尿病」のみです(添付文書より)。
注意点
- 1型糖尿病には使いません。
- まずは食事療法・運動療法が基本。
それでも血糖が十分に下がらない場合に使用を検討します。 - 重い腎機能障害や透析中の方には使用できません。
- インスリンや他の糖尿病薬と併用することもありますが、
その組み合わせは主治医が状態をみて判断します。
有効性(臨床試験の結果)
患者さん向けに、ポイントをわかりやすく整理してお伝えします。
1)単独療法での効果
- 食事・運動療法だけでは血糖が下がらない患者さんを対象に
- ルセフィ錠2.5mgまたは5mgを1日1回飲むと
→ HbA1cが約0.6〜0.8%低下 - プラセボ(偽薬)との比較でも、統計的に意味のある改善が見られました。
- 1年間の投与でも、平均約0.5%のHbA1c改善を維持した報告があります。
2)他の糖尿病薬との併用療法
- 様々な薬(メトホルミン、DPP-4阻害薬など)との併用試験で
→ HbA1cが0.5〜0.7%程度下がる効果が確認されています。 - 効果は1年経っても維持されました。
3)インスリンとの併用
- インスリン使用中の患者さんで、ルセフィ2.5mgを追加すると
→ 16週間でHbA1cが約1%低下(プラセボとの差:約1.1%) - 52週後もその効果が維持されました。
ただし、インスリンと併用すると低血糖のリスクは高くなるため、注意が必要です(後述)。
用法・用量
基本的な使い方(大人)
- 1日1回 ルセオグリフロジンとして2.5mg
- 朝食前または朝食後に服用
※効果が不十分な場合は、医師の判断で5mgまで増量することがあります。
注意ポイント
- 自己判断で増量・減量・回数変更はしないでください。
- 飲み忘れた場合も「次に2回分」などの対応は危険です。
- 必ず医師・薬剤師に相談を。
使用できない方(禁忌・原則使用しないケース)
添付文書で「使ってはいけない」とされている方
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡・前昏睡の方
→ インスリンと点滴での迅速な血糖コントロールが必要です。 - 重症感染症、手術前後、重い外傷のある方
→ これらの状況でもインスリンによる管理が優先されます。 - 成分にアレルギー(過敏症)がある方
実際には使用しないことが多いケース
- 重度の腎機能障害(eGFR15〜29)・透析中の方
→ 腎臓の働きを利用する薬なので効果が期待できません。 - 1型糖尿病の方
→ 効能効果の対象外であり、危険です。
慎重な検討が必要な方
- 中等度の腎機能障害(eGFR 30〜59)
- 重度の肝機能障害(臨床試験では除外)
- 高齢の方(脱水リスクが上がります)
- 妊婦・妊娠の可能性がある方・授乳中の方
飲み合わせに注意が必要な薬
1)他の糖尿病薬
以下の薬と併用すると低血糖のリスクが高まります。
- スルホニルウレア薬(例:グリメピリド)
- インスリン製剤
- GLP-1受容体作動薬
- 速効型インスリン分泌促進薬 など
→ 併用時は主治医が量を調整することがあります。
2)利尿薬(尿を出す薬)
- ループ利尿薬、サイアザイド系など
→ 脱水や血圧低下のリスクが上がるため特に高齢者は注意。
3)血糖に影響する薬
- β遮断薬、サリチル酸系、ステロイド、甲状腺ホルモン など
→ 血糖を上げたり下げたりする働きがあります。
市販薬やサプリメントも含めて、
服用中のすべての薬は必ず主治医や薬剤師に伝えましょう。
副作用と発生頻度
1)比較的よくみられる副作用(1〜3%未満)
- 頻尿・多尿
- 便秘
- 口の渇き
- 倦怠感
- 体重減少
- 膀胱炎・尿路感染症
- 性器のかゆみ、カンジダ症 など
→ 軽くても続くときは早めに相談してください。
2)注意が必要な重大な副作用
- 低血糖(約1%)
→ 冷や汗、手の震え、動悸、空腹感、ふらつきなど
→ 特に他の糖尿病薬と併用している場合は注意。 - 脱水(0.1%程度)
→ 強い口渇、立ちくらみ、尿量減少
→ 脱水→脳梗塞などのリスクもあります。 - 尿路・性器の重い感染症
→ 腎盂腎炎、フルニエ壊疽(陰部の壊死)、敗血症など
→ 発熱、陰部の強い痛みがあればすぐ受診を。 - ケトアシドーシス(頻度不明)
→ 吐き気、腹痛、強いだるさ、息苦しさ、意識障害など
→ 血糖がそこまで高くなくても起きることがあります。
3)検査値への影響
- 尿糖:陽性になりやすい
- 1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール):低く出やすい
→ これらの検査値だけで血糖管理は評価できません。
主治医はその点を考慮して診察します。
まとめ
- ルセフィ錠は日本で開発されたSGLT2阻害薬
- 1日1回服用で、腎臓を利用して血糖を下げる新しい作用機序
- 単剤でも併用でもHbA1cを約0.5〜1.0%下げる効果あり
- 通常は2.5mg 1日1回(朝)から開始し、必要に応じて増量
使用にあたっての注意
- 重い糖尿病性の状態、重症感染症、透析中の方は使用できません
- 他の薬との飲み合わせで、低血糖や脱水などのリスクが上がることもあります
- まれに重大な副作用(脱水・感染・ケトアシドーシスなど)が報告されています
最後に
ルセフィ錠は、正しく使えば長期的な血糖コントロールに役立つ選択肢の一つです。
ただし、すべての人に合う薬ではありません。
以下のような点で向き不向きが分かれます:
- 腎機能や他の持病
- 現在使っている薬
- 日常の生活スタイル(仕事・運動・水分摂取など)
当院でも、ルセフィ錠が適していると判断された場合にご提案しています。
「自分に合うかどうか」を一緒に相談しながら決めていく薬です。
処方されたけど不安がある方、向いているか知りたい方は、ぜひ受診時にご相談ください。
参考文献・出典
▼ 添付文書・インタビューフォーム(製薬会社公式)
- 医療従事者向けに詳細な情報がまとめられています
- PMDA 医薬品医療機器総合機構 で「ルセフィ」で検索可能
▼ KEGG DRUG / 医薬品データベース
- KEGG Drug ID:D09918
- 医薬品コード:YJコード 3969012F1025(2.5mg)/3969012F2021(5mg)
▼ 主な文献・論文
- Inagaki N, et al. Diabetes Obes Metab. 2015;17:582–590.(単独療法の有効性)
- Kadowaki T, et al. Expert Opin Pharmacother. 2014;15(18):2531–2546.
- 国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」内 SGLT2阻害薬に関する情報
よくある質問(Q&A)
-
この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?
-
ルセフィは「日本生まれのSGLT2阻害薬」です。
同じSGLT2阻害薬には、ジャディアンス(エンパグリフロジン)、フォシーガ(ダパグリフロジン)、スーグラ(イプラグリフロジン)などがあります。
その中でルセフィの強みは:
- 日本の製薬会社が開発した国産薬(安心感・日本人データが豊富)
- SGLT2阻害薬として世界初のODフィルム製剤(水なしで飲める)を2022年に承認
- 比較的体重減少効果がマイルドで高齢者にも使いやすいとされています
一方、体重をしっかり減らしたい・心臓病の予防効果も期待したい場合は、ジャディアンスやフォシーガが選ばれることもあります。
-
ルセフィ錠はいつ発売された薬ですか?
-
2014年4月に日本で承認・発売されました。
- 開発:大正製薬
- SGLT2阻害薬としては、日本国内で3番目に承認された薬です
- ODフィルム製剤(ルセフィODフィルム2.5mg)は2022年に追加承認されました
-
ルセフィの1か月分(30日)の薬価と自己負担額は?
-
2025年12月時点の薬価(薬の定価)は以下の通りです。
製剤名 薬価(1錠あたり) 30日分(1日1錠) 3割負担の目安 ルセフィ錠2.5mg 約82.7円 約2,481円 約744円 ルセフィ錠5mg 約133.5円 約4,005円 約1,200円 ODフィルム2.5mg 約91.6円 約2,748円 約825円 ※調剤料・技術料は含まれていません。
※薬局によって多少異なります。
-
この薬の作用はどれくらいで出て、どれくらい続きますか?
-
- 作用発現:数日以内(1週間以内に尿糖が出始めます)
- 効果持続:24時間以上(1日1回の服用で効果が持続)
血糖値(HbA1c)の変化は、2〜4週間で少しずつ現れ始め、8〜12週で安定します。
-
妊娠中はルセフィを飲んでも大丈夫?
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基本的に妊娠中は使用できません。
- 動物試験で胎児への影響が指摘されており、安全性が確立していません
- ヒトでの十分なデータもありません
→ 妊娠が判明したらすぐに主治医へ相談し、別の治療法へ切り替えます。
-
授乳中にルセフィは使えますか?
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原則として授乳中も使用しません。
- 母乳中への移行に関するデータは不十分です
- 赤ちゃんへの影響が否定できないため、慎重に判断する必要があります
→ 服用中は授乳を中止するか、他の治療薬へ切り替えることが一般的です。
-
ルセフィは子どもにも使えますか?
-
18歳未満の小児には使えません。
臨床試験も成人に限られており、現時点では使用対象外です
小児に対する有効性・安全性は確立していません
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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