血圧高めで頭痛が続く方へ|釣藤散(ちょうとうさん)の効果と注意点
血圧高めで頭痛が続く方へ
釣藤散(ちょうとうさん)の効果と注意点

頭痛があるので『釣藤散』使えますか?

釣藤散は、慢性的な頭痛に用いられる漢方薬で、
中年以降の方や高血圧傾向のある方の頭痛によく処方されます。
釣藤散はオンラインで処方することができます。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
目次
釣藤散(ちょうとうさん)とは?
釣藤散は、慢性的な頭痛に用いられる漢方薬で、
中年以降の方や高血圧傾向のある方の頭痛によく処方されます。
漢方では、症状だけでなく体質(証:しょう)に合った処方が重要です。
そのため、釣藤散が本当に合っているかどうかは、医師による診察と判断が必要です。
釣藤散の特徴
釣藤散は、漢方の古典に記された処方をもとにした医療用の顆粒製剤です。
以下のような11種類の生薬から構成され、飲みやすい顆粒の形に加工されています。
◎ 含まれる11の生薬
- 石膏(せっこう)
- 釣藤鈎(ちょうとうこう)
- 陳皮(ちんぴ)
- 麦門冬(ばくもんどう)
- 半夏(はんげ)
- 茯苓(ぶくりょう)
- 菊花(きっか)
- 人参(にんじん)
- 防風(ぼうふう)
- 甘草(かんぞう)
- 生姜(しょうきょう)
主な成分と働き
| 生薬の由来 | 含まれる成分 | 期待される主な作用 |
|---|---|---|
| 釣藤鈎 | リンコフィリン・ヒルスチン | 血管の過剰な収縮を抑える働き |
| 陳皮 | ヘスペリジン | 血流を改善し、血管をやわらかく保つ |
| 人参 | ギンセノシドRb1・Rg1 | 脳の代謝促進、抗ストレス作用など |
| 甘草 | グリチルリチン酸 | 炎症を抑える(ただし副作用に注意) |
| 生姜 | [6]-ショーガオール | 血行を促し、体を温める作用など |
※ 甘草(カンゾウ)を含むため、血圧上昇やカリウム不足への注意が必要です。
効能・効果
- 慢性の頭痛
┗ とくに中年以降や高血圧傾向のある方に適しています。
※ 証(体質)に合わないと効果が出にくいため、改善がなければ長期使用は避けます。
薬効のメカニズム(動物・細胞実験での確認)
釣藤散の作用は、ツムラによる研究で以下のような効果が報告されています。
✅ 血圧上昇の抑制
- 高血圧のラット(SHR)に投与したところ、血圧の上昇が穏やかになりました。
✅ 脳の血流を保つ効果
- 脱血により血流が下がるのを防ぎました。
- この効果は、一酸化窒素(NO)という体内物質に関連していると考えられています。
✅ 血管の収縮を抑える作用(細胞実験)
- ノルアドレナリンやカリウムなどで収縮しやすい血管の反応を抑える作用が確認されました。
※ これらの研究結果は「試験管レベルでの実験(=in vitro試験)」によるものであり、実際の診療では添付文書に記載された効能に基づいて使用されます。
用法・用量
- 通常、成人は1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に服用します。
- 年齢・体重・体調に応じて医師が適宜調整します。
- 高齢者には減量が必要な場合があります。
使用を避けるべき方(禁忌)
明確な禁忌はありませんが、以下に該当する方は必ず医師に相談してください。
● 妊娠中・妊娠の可能性がある方
- 明らかに必要と判断された場合のみ使用します。
● 授乳中の方
- 母乳栄養と薬の必要性を比較し、使用可否を判断します。
● 小児
- 安全性が確立されておらず、臨床試験も実施されていません。
● 高血圧、むくみ、カリウムが少ない方(低カリウム血症)の既往がある方
- 偽アルドステロン症のリスクがあるため、慎重な対応が必要です。
飲み合わせに注意が必要な薬(相互作用)
● 併用注意薬(=一緒に飲むと副作用が出やすくなる薬)
| 種類 | 代表例 |
|---|---|
| カンゾウを含む漢方薬 | 芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散など |
| グリチルリチン酸を含む薬 | グリチルリチン酸一アンモニウム配合剤など |
● なぜ注意?
グリチルリチン酸が、腎臓でのカリウムの排出を強める働きを持つため、
- 低カリウム血症
- 偽アルドステロン症(血圧上昇・むくみなど)
- ミオパチー(筋肉のけいれん・まひ)
などが起こりやすくなります。
✅ お薬手帳を必ず提示し、医師や薬剤師に相談しましょう。
副作用とその対処法
■ 重い副作用(頻度不明)
| 副作用名 | 主な症状 | 対処法 |
|---|---|---|
| 偽アルドステロン症 | 血圧上昇・むくみ・体重増加・低カリウム血症など | 服用中止+カリウム補正など |
| ミオパチー | 筋力低下、けいれん、手足の脱力 | 医療機関の受診を推奨 |
■ その他の副作用(頻度不明)
- 発疹、じんましんなどのアレルギー反応
- 胃の不快感、食欲不振、下痢・便秘 などの消化器症状
⚠️ むくみ・体重急増・筋力の低下を感じたら、早めに医師に相談してください。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 中年以降や高血圧傾向のある方の頭痛 |
| 通常用量 | 1日7.5g(2~3回に分けて服用) |
| 特徴 | 血圧の安定・脳血流保持作用(研究報告あり) |
| 注意点 | カンゾウ由来の副作用(カリウム低下・むくみなど) |
| 飲み合わせ | 他のカンゾウ含有薬との併用は避ける |
参考文献・出典
添付文書:「ツムラ釣藤散エキス顆粒(医療用)」 添付文書 PDF(2023年12月改訂) KEGG+1
インタビューフォーム:製造販売元(株式会社ツムラ)が出している医薬品インタビューフォーム。 ツムラ医療関係者向けサイト
論文:
・ Ishii K. et al., 和漢医薬学会誌, 4 (2), 107‑115 (1987) プラメドプラス
・ Sugimoto A. et al., Jpn. J. Pharmacol., 83 (2), 135‑142 (2000) プラメドプラス
これらは、薬の構成、生薬成分、作用機序に関する基礎データとして有用です。
よくある質問(Q&A)
-
この薬と“似た系統の漢方薬”と比べて、釣藤散の強みは何ですか?
-
釣藤散は、「中年以降の慢性的な頭痛」や「高血圧傾向による頭重感」に特化しているのが大きな特徴です。
同じく頭痛に用いられる漢方薬には下記のような処方もあります:
漢方名 主な適応 特徴 呉茱萸湯(ごしゅゆとう) 頭痛(特に冷えによる) 吐き気・冷えを伴う場合に向く 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう) めまい・ふらつき 脾虚(消化機能の弱り)に伴う症状向き 釣藤散 慢性頭痛+高血圧傾向 血圧抑制・脳血流保持のエビデンスあり 👉 釣藤散は、高血圧や脳血流低下による慢性頭痛に焦点を当てた処方であり、
実験的にも血圧・脳血流に関する作用が確認されている点が他処方との大きな違いです。
-
先発薬の発売年はいつですか?
-
釣藤散エキス顆粒(ツムラ製)は、
1985年(昭和60年)5月31日付の薬務局通知に基づいて製造承認されました。つまり、医療用漢方エキス製剤としての歴史は40年近くあります。
-
1か月(30日)処方時の薬価・実際の目安価格(自己負担額含む)は?
-
💰30日処方での薬価と自己負担の目安は?
- ● 薬価:34.7円/g
- ● 通常処方量:7.5g/日 → 30日で225g
- ● 薬価合計:
34.7円 × 225g = 7,807.5円(保険請求額)
✅ 自己負担額の目安
負担割合 自己負担額(概算) 3割負担 約2,340円 2割負担 約1,560円 1割負担 約780円 ※ 実際には、調剤料・技術料などが加わります
-
作用発現時間・持続時間はどれくらいですか?
-
添付文書上に明確な作用発現時間・持続時間の記載はありませんが、一般的に以下のように考えられています。
頭痛の発作に即効性があるというよりは、慢性頭痛の体質を整える方向で働きます。
釣藤散は体質改善も視野に入れた漢方薬であり、
数日〜数週間の継続使用で効果が現れることが多いとされます。
-
妊娠中の使用は可能ですか?リスク・注意点は?
-
妊婦・妊娠の可能性がある方には、
治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ使用されます。特別な禁忌ではありませんが、
甘草(カンゾウ)を含むため、むくみや血圧への影響に注意が必要です。👉 妊娠中は医師と十分に相談し、血圧やカリウム値の確認も含めて慎重に判断します。
-
授乳中の使用はどうですか?母乳への移行、使用可否と注意点は?
-
授乳中の使用も一律禁止ではありませんが、
母乳への影響(特に電解質バランスや乳児の体調)に配慮し、以下を考慮します:治療が本当に必要か
授乳の継続と中止、どちらが母子にとって有益か
👉 漢方だからといって自己判断での使用は避け、医師に相談のうえで検討してください。
-
子ども(小児)への使用可否と注意点は?
-
添付文書上、小児を対象とした臨床試験は行われていません。
小児への使用は慎重に判断する必要があり、
体格・体調・体質などを総合的に考慮したうえで医師が決定します。👉 保護者の自己判断での服用は避け、医師の診察を受けてから処方を受けるようにしましょう。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
最新の投稿
コラム2026年1月28日片頭痛の薬が効かない人に|話題のナルティークOD錠とは?飲み方・効果・副作用まとめ
コラム2026年1月27日目のかゆみ、充血、涙が止まらない…そんなときのアレジオンLXってどんな薬?
コラム2026年1月26日花粉の季節、目がかゆい…病院で処方されたアレジオンってどんな目薬?
コラム2026年1月23日花粉症やハウスダストで目がかゆい人へ|ザジテン点眼液の基本






