頻尿・血尿・排尿痛に|猪苓湯ってどんな漢方?効果や副作用をやさしく解説

頻尿・血尿・排尿痛に
猪苓湯ってどんな漢方?効果や副作用をやさしく解説

尿の出が悪いので『猪苓湯』使えますか?

猪苓湯は、

  • 尿の出が悪い(尿量が少ない・出にくい)
  • 口の渇きが強い

これらの症状に使われます。猪苓湯はオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。



猪苓湯(ちょれいとう)とは?

漢方の古典『傷寒論(しょうかんろん)』『金匱要略(きんきようりゃく)』に記された処方をもとに、医療用エキス製剤として作られた漢方薬です。


配合される生薬(しょうやく)

生薬名主な働き
滑石(かっせき)利尿・熱をさます
沢瀉(たくしゃ)利尿・むくみ改善
猪苓(ちょれい)利尿・抗菌作用もあり
茯苓(ぶくりょう)利尿・精神安定
阿膠(あきょう)血を補い、粘膜を守る

特徴と処方の考え方

猪苓湯は、以下のような体質・症状(証〈しょう〉)に向いています:

  • 尿の出が悪い(尿量が少ない・出にくい)
  • 口の渇きが強い

これらの症状に悩む方に選ばれやすい処方です。


効能・効果

次のような症状に使われます:

  • 尿道炎
  • 腎炎(じんえん)
  • 腎石症(尿路結石)
  • 淋菌感染(淋炎)
  • 排尿時の痛み(排尿痛)
  • 血尿
  • 腰から下のむくみ(浮腫)
  • 残尿感
  • 下痢

※高熱・腰や背中の強い痛み・明らかな血尿がある場合は、急性腎盂腎炎(じんうじんえん)や尿路結石の可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。


有効性の裏付け(前臨床データ)

● 結石形成の抑制

  • ネコの尿を使った試験管内の実験(in vitro)で、ストルバイト結石の形成を抑える効果
  • ラットにおいて、シュウ酸カルシウム結石の形成や腎臓の障害(水腎症など)を予防
  • マグネシウムを含む飼料を与えたネコでは、血尿の頻度や結石の量が減少

● 抗腎炎作用

  • 腎炎モデルのラットで、尿たんぱくや血清コレステロール、尿素窒素の上昇を抑制
  • ゲンタマイシンによる腎障害モデルでは、近位尿細管の傷害進行を抑制

※これらは動物実験のデータです。ヒトに対する効果を直接保証するものではありません。


用法・用量

  • 成人:1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に服用
  • 調整:年齢・体重・症状に応じて医師が調整

飲み忘れた場合

  • 1回分だけ服用し、2回分まとめて飲むことは避けてください。

使用に注意が必要な方(慎重投与)

以下に当てはまる方は、医師と相談して使用を検討します:

対象使用の考え方
妊婦・妊娠の可能性がある方治療の利益が上回るときに使用
授乳中の方授乳の継続と治療のどちらを優先するかを検討
小児十分な臨床試験がないため慎重に判断
高齢者身体機能の低下を考慮して、減量などの配慮が必要
証が合わない場合効果が出なければ中止し、処方の見直しが必要

飲み合わせ・併用注意

  • 他の漢方薬との併用に注意
    猪苓湯に含まれる以下の生薬が、他の処方にも含まれている可能性があります:
    • 滑石(かっせき)
    • 沢瀉(たくしゃ)
    • 猪苓(ちょれい)
    • 茯苓(ぶくりょう)
    • 阿膠(あきょう)

副作用(頻度は不明)

以下のような副作用がまれに起こることがあります:

  • 皮膚症状:発疹、赤み、かゆみなど
  • 消化器症状:胃の不快感など

→異常を感じた場合は、すぐに服用を中止して医師に相談してください。


まとめ

副作用は少ないですが、皮膚症状や胃の不快感が出た場合はすぐに中止し、受診を。は体質(証)と症状をしっかり診て、必要に応じて猪苓湯なども提案しています。気になる方はお気軽にご相談ください。

猪苓湯(ちょれいとう)は、排尿に関する不調(尿が出にくい・残尿感・排尿痛・血尿など)に対する医療用漢方薬です。

尿トラブルに加えて口渇(のどの渇き)があるタイプの人に適しています。

通常、成人には1日7.5g2~3回に分けて服用します。

漢方薬の併用時には、含まれる生薬の重複に注意しましょう。

参考文献・出典

添付文書(医療用):「ツムラ猪苓湯エキス顆粒(医療用)」 インタビューフォーム/添付文書(2023年12月改訂) KEGG+1

日本漢方生薬製剤協会「確認票:猪苓湯」 日本環境教育学会

漢方製剤の薬理試験報告例:例えば「モデルマウスを用いた漢方方剤の利水作用の検証」では、投与後3.5時間で累積尿量が増加したとのデータあり。 wakan-iyaku.gr.jp

その他、和漢医薬学会誌・漢方医学誌などにも「腎・尿路結石」「反復性膀胱炎」に対する症例報告あり。

よくある質問(Q&A)


猪苓湯は、同じような漢方薬と比べてどこが優れていますか?

利尿+抗炎症+結石予防の三拍子がそろった漢方です。

猪苓湯は、同じ利尿系漢方である【五苓散】【六味丸】などと比べて、

  • 炎症(尿道炎・腎炎)への対応力
  • 尿路結石の抑制作用(動物実験で確認)
  • 阿膠による粘膜保護・止血作用

が強みです。

特に「尿の出にくさ+口渇+血尿や排尿痛」といった複合症状をもつ人に適しています。

先発薬の発売年はいつですか?

「先発薬」として一般に参照される ツムラ猪苓湯エキス顆粒(医療用)の販売開始年月は 1986年10月 です。
(他社の同効薬は少しずつ発売時期が異なります。例えば、東洋薬行版「〔東洋〕猪苓湯エキス細粒」は1988年10月発売。)

1か月(30日)処方時の薬価・実際の目安価格(自己負担額含む)は?

医療保険適用で、1か月約3,090円(薬価ベース)です。

項目金額(目安)
薬価(1日7.5g × 30日)約3,090円(13.7円/g × 7.5g × 30)
自己負担(3割負担)約930円
自己負担(1割負担)約310円

※調剤料・管理料などは別途かかります。

作用発現時間・持続時間はどれくらいですか?

利尿などの効果は比較的早く、半日〜1日以内で感じやすいですが、持続時間は体質や症状によります。

添付文書上に明確な数値は記載されていませんが、
漢方薬としては速効性のある部類で、
「急性期の排尿困難」などにも使われています。

※慢性疾患では継続服用が前提となることもあります。

妊娠中の使用はどうですか?リスク・注意点は?

原則は避けるが、医師判断で使用されることもあります。

  • 妊婦または妊娠の可能性がある人には、
    治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ使用可とされています。

→ 自己判断せず、必ず医師に相談を。

授乳中の使用はどうですか?母乳への移行、使用可否と注意点は?

医師の判断で、授乳を続けるか中止するかを検討する必要があります。

  • 母乳への移行や乳児への影響について、ヒトでの十分なデータはありません
  • 「治療のメリット」と「授乳のメリット」のバランスで判断します。

子ども(小児)への使用可否と注意点は?

小児への使用実績はありますが、臨床試験は行われていません。

  • **添付文書では「小児等を対象とした臨床試験は未実施」**とされています。
  • 実際の臨床現場では、年齢・体重を考慮して処方されることもあります。

→ 小児に使う場合は専門医の判断が必須です。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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