めまい・息切れ・不安感…その不調、苓桂朮甘湯で改善できる?
めまい・息切れ・不安感…その不調
苓桂朮甘湯で改善できる?

めまいがあるので『苓桂朮甘湯』使えますか?

苓桂朮甘湯は、「気と水のバランスの乱れによる心身の不調」に対して使われる伝統的な漢方薬です。
体質に合う方には、めまいや動悸、息切れ、不安感などを改善する可能性があります。
苓桂朮甘湯はオンラインで処方することができます。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
目次
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)とは
苓桂朮甘湯は、茯苓(ぶくりょう)・桂皮(けいひ)・白朮(びゃくじゅつ)・甘草(かんぞう)の4種の生薬からなる漢方薬です。
古典医学書『傷寒論(しょうかんろん)』や『金匱要略(きんぴようりゃく)』に記載されている処方です。
この薬は、めまい、ふらつき、動悸(どうき)、息切れといった「気(き)と水(すい)の巡りの乱れ」が関係する体調不良に対して用いられます。
苓桂朮甘湯の特徴
◉ 症状に合わせた使用
以下のような症状に、証(体質)に応じて使用されます:
- 気力の低下(気虚)
- 体内の水の巡りの滞り(水滞)
- 不安・緊張・ふらつきなどの心身症状
効能・効果
以下のような症状を対象に保険適用されています:
めまい、ふらつきがあり、または動悸があり尿量が減少するものの次の諸症:
神経質、ノイローゼ、めまい、動悸、息切れ、頭痛
つまり、自律神経の不安定や、「水分バランスの乱れ(水毒)」が関係する不調が対象です。
有効性(エビデンスと臨床経験)
現時点で、苓桂朮甘湯に関する大規模な無作為化比較試験(RCT)などのデータは限定的です。
しかし、古くからの臨床経験や漢方医の知見によって、
特に「証(体質)」が合致するケースでは、めまいやふらつきの改善効果が期待されています。
用法・用量
- 通常、成人1日7.5gを2〜3回に分けて服用
- 食前または食間に服用するのが一般的
- 年齢・体重・症状により、用量を適宜調整する必要があります
使用できない方・注意が必要な方
添付文書上、絶対的な禁忌(使用禁止)は記載されていませんが、以下の方は注意が必要です:
◉ 証が合わない方
→ 体質に合わない場合は効果が出にくく、副作用が出る可能性も。
◉ 妊婦・授乳婦・小児・高齢者
→ 慎重な投与が求められます。医師の指導のもとで使用を検討してください。
◉ カリウム値が低い方、浮腫(むくみ)や腎障害のある方
→ 甘草による電解質異常のリスクがあるため、血圧や血清カリウムの管理が必要です。
飲み合わせに注意が必要な薬(相互作用)
◉ カンゾウ(甘草)含有製剤
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
- 抑肝散(よっかんさん)など
◉ グリチルリチン酸含有製剤
- グリチルリチン酸二アンモニウム配合剤(例:強力ネオミノファーゲンC)など
併用リスク:
- 偽アルドステロン症(高血圧、むくみ、体重増加など)
- 低カリウム血症
- ミオパチー(筋力低下やけいれん)
副作用とその頻度
◉ 重大な副作用(頻度不明)
- 偽アルドステロン症(ぎあるどすてろんしょう)
→ 浮腫、血圧上昇、ナトリウム・水分の貯留、体重増加、低カリウム血症など - ミオパチー(筋肉の障害)
→ 脱力感、けいれん、四肢のしびれ・麻痺など
※ 上記症状が出た場合は直ちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
◉ その他の副作用(頻度不明)
- 過敏症状:発疹(ほっしん)、発赤、そう痒(かゆみ)など
まとめ
苓桂朮甘湯は、「気と水のバランスの乱れによる心身の不調」に対して使われる伝統的な漢方薬です。
体質に合う方には、めまいや動悸、息切れ、不安感などを改善する可能性があります。
- 数週間で効果がなければ中止を検討
- 他の甘草を含む薬との併用注意
- 高齢者や利尿剤服用中の方では電解質バランスの確認が重要
参考文献・出典
🧾添付文書(JAPIC/KEGG)
効能・用法・注意点が網羅されています
🧪ツムラのインタビューフォーム
開発経緯・製剤特性・構成生薬など詳細に掲載
📄代表的論文・報告例
・日東医誌「自律神経障害に対する使用経験」
・「起立性調節障害の子どもに対する症例報告」
🖥️日本東洋医学会/厚労省 医療用漢方製剤リスト
よくある質問(Q&A)
-
この薬は、他の“めまい向け漢方薬”と比べて何が違うの?(強みは?)
-
苓桂朮甘湯は「ふらつき・動悸・息切れ・尿量減少・神経質」など、水分代謝の乱れ+気の上昇(気逆)をともなう“体質”に合うのが特徴です。
比較項目 苓桂朮甘湯 五苓散 半夏白朮天麻湯 主な用途 めまい・動悸・息切れ・ふらつき 吐き気・むくみ・尿減少 高齢者の頭重・立ちくらみ 対象体質 神経質、疲れやすい、水分過剰+気逆 水滞(水のめぐりが悪い) 虚弱、痰が多い体質 強み 心身両面に作用、シンプルな構成で使いやすい 利水・むくみ改善に特化 めまい+体力低下に対応 強みまとめ:
生薬4味だけの構成で処方判断がしやすい
動悸・息切れなど「気の上昇」も整える
めまいと神経過敏が両方ある人に向く
-
この薬(苓桂朮甘湯)の先発薬の発売年はいつですか?
-
「ツムラ苓桂朮甘湯エキス顆粒(医療用)」などの先発品は、1986年(昭和61年)10〜11月ごろに医療用として発売されています。
すでに30年以上の使用実績がある、比較的歴史の長い漢方製剤です。
-
1か月(30日)処方時の薬価・実際の目安価格(自己負担額含む)は?
-
ツムラ製剤(薬価:6.7円/g)を基準に計算すると:
- 1日量(7.5g)× 30日 = 225g
- 225g × 6.7円 = 1,507円(薬価ベース)
- 自己負担3割なら ≒ 約450〜500円+調剤料
計算項目 金額の目安 1日薬価 約50円 30日薬価 約1,507円 3割負担 約450円(+薬局手数料) ※他社製剤では薬価がやや高いもの(9〜11円/g)もあります。
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作用発現時間・持続時間はどれくらいですか?
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- 効果が早い人では数日で実感
- 多くは2〜4週間程度で改善傾向を確認
- 明確な効果がない場合は、1カ月以内に見直しを
※漢方薬は「その人の体質に合うか」が重要なので、即効性を期待するよりも“じんわり効く”ものと考えるとよいでしょう。
-
妊娠中の使用(使用の可否、リスク、注意点)は?
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- 原則、慎重投与(添付文書に記載あり)
- カンゾウ(甘草)を含むため、偽アルドステロン症や浮腫、血圧上昇のリスクに注意
- 妊婦に対する安全性の十分なデータはない
➡ 医師とよく相談し、「治療上の必要性がリスクを上回る」と判断された場合のみ使用されます。
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授乳中の使用(母乳への移行、使用の可否と注意点)は?
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- 母乳移行のデータは不明確
- 添付文書では「授乳継続または中止を検討」とあります
- 安全性を重視する場合、使用を控える/授乳を一時中断することも検討されます
➡ 必ず医師に相談し、母乳育児とのバランスで判断してください。
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子どもへの使用可否と注意点は?
-
小児での臨床試験データはなし(添付文書より)
ただし、実際には小児の立ちくらみや頭痛に処方されることもあります
体重や体力、発育状態に応じて慎重な用量調整が必要
➡ 小児使用は「専門の医師の判断のもと」で行うのが前提です。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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