貼るだけで更年期のつらさを改善?エストラーナテープの効果と使い方を解説

貼るだけで更年期のつらさを改善?
エストラーナテープの効果と使い方を解説

更年期に『エストラーナテープ』を貼っています。

エストラーナ®テープは、皮膚から女性ホルモン(エストロゲン)を吸収させる

ホルモン補充療法(HRT)薬です。

当院ではすでに更年期障害診断を受けていて

貼布により症状が落ち着いている方のみオンライン診療で処方可能です。

最小有効量・最短期間で使用し、定期的な乳がん・婦人科検診が必要です

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

エストラーナ®テープ(エストラジオール貼付剤)とは|効能・使い方・副作用を医師がわかりやすく解説

要点まとめ

エストラーナ®テープは、皮膚から女性ホルモン(エストロゲン)を吸収させるホルモン補充療法(HRT)薬です。

  • 対象症状:更年期のほてり・発汗、腟の乾燥や痛みなど
  • 適応:閉経後骨粗鬆症、低エストロゲン症
  • 使用場面:不妊治療(生殖補助医療)の周期調整やホルモン補充周期でも使用されます

エストラーナ®テープとは

  • 有効成分:17β-エストラジオール(生理活性の高い天然型エストロゲン)
  • 特徴:皮膚に貼るだけで安定した薬効を発揮し、肝臓を通らないため副作用を軽減しやすい
  • 血中濃度の目安:0.72 mgで貼付後48時間平均 52~61 pg/mL
  • 規格:0.09 mg/0.18 mg/0.36 mg/0.72 mgの4種類

エストラーナ®テープの特徴

▶ 皮膚刺激の改善を目指して

旧製品(エストラダーム®TTS®)の刺激性を改良するため、日本チバガイギーと久光製薬が1992年に共同開発。1999年に承認されました。

▶ 製剤面の工夫

  • マトリクス型:薬剤が膏体中に分散されており、安定した吸収を実現
  • エタノール不含:刺激を減らす設計
  • 目立たない貼付剤:薄く柔軟、うすい橙色

▶ 適応の拡大(時系列で整理)

  • 2002年:「閉経後骨粗鬆症」追加承認
  • 2014年:「低エストロゲン症」追加(性腺機能低下症・摘出・卵巣不全)
  • 2015年:小児対応として0.09 / 0.18 / 0.36 mg追加
  • 2022年:「生殖補助医療」での周期調整・凍結融解胚移植対応(0.36 / 0.72 mg)

効能・効果

● 共通(すべての規格)

  • 更年期障害/卵巣欠落症状による
    ‣ ほてり、のぼせ、発汗などの血管運動神経症状
    ‣ 腟炎、乾燥、尿失禁などの泌尿生殖器の萎縮症状
  • 閉経後骨粗鬆症
  • 低エストロゲン症(性腺機能低下症、性腺摘出、原発性卵巣不全)

● 生殖補助医療(規格により異なる)

規格用途
0.72 mg調節卵巣刺激の開始時期の調整/FET(ホルモン補充周期)
0.36 mgFET(ホルモン補充周期)

注意点
FET(胚移植)において、ホルモン補充周期では自然排卵周期に比べて妊娠率・出産率が低くなる可能性があると報告されています。方針は慎重に医師と相談しましょう。


有効性(エビデンスに基づく効果)

▶ 更年期障害・卵巣欠落症状(国内試験)

対象全般改善率(中等度以上)
更年期障害86.5%(211/244例)
卵巣欠落症状84.2%(85/101例)

▶ 骨密度

  • 腰椎骨密度:+4.83%改善(DXA法)

▶ 血中濃度の推移

  • 0.72 mg貼付で48時間後のE2濃度:52〜54 pg/mL
  • 除去後は速やかに低下、蓄積は認められない

用法・用量(使い方とコツ)

▶ 基本の使い方

  • 貼付部位:下腹部またはお尻(臀部)に貼る
  • 貼り替え:2日ごと、部位はローテーション

▶ 症状別の用法

● 更年期障害/卵巣欠落症状/骨粗鬆症

  • 通常:0.72 mgを2日ごとに貼り替え

● 低エストロゲン症

  • 成人:0.72 mgから開始、症状に応じて調整
  • 小児:0.09 mg → 0.18 mg → 0.36 mg → 0.72 mgと段階的に増量

● 生殖補助医療

  • 調節卵巣刺激(0.72 mg):21~28日間、2日ごとに貼り替え、黄体ホルモン併用
  • 凍結融解胚移植(0.36~5.76 mg):子宮内膜肥厚後に黄体ホルモン併用、妊娠8週まで継続(最長でも妊娠10週未満

▶ 使い方のコツ(重要な注意点)

  • 貼付部位の注意:胸部・摩擦部位はNG。傷や湿疹も避ける
  • 毎回違う場所に貼る(皮膚トラブルを避けるため)
  • 貼る前:肌は清潔・乾燥、切って使わない
  • 保存方法:0.09/0.18 mgは開封後袋に戻し、30日以内に使用
  • 黄体ホルモンの併用:子宮がある人は基本的に必要。医師の指示に従ってください

使用できない人(禁忌)

  • エストロゲン依存性悪性腫瘍(乳がん・子宮内膜がん)やその疑い
  • 乳がんの既往歴
  • 未治療の子宮内膜増殖症
  • 血栓症・脳梗塞・心筋梗塞の既往
  • 重度の肝障害
  • 原因不明の不正出血
  • アレルギー歴がある
  • 授乳中・妊娠中(生殖補助医療での一部使用を除く)

飲み合わせに注意(相互作用)

エストラジオールは主にCYP3A4で代謝されます。

▶ 注意が必要な薬

  • CYP3A4を強く誘導する薬
     リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン、セントジョーンズワートなど
  • HIV治療薬(リトナビル、ネルフィナビル など)

💡ポイント
サプリ・漢方・処方薬すべて申告を。調整が必要なことがあります。


副作用と発生頻度

▶ よくある副作用(国内調査)

  • 乳房の張り・不正出血・帯下(約10〜16%)
  • 貼付部位の赤み・かゆみ(約20〜30%)
  • 検査値変化:中性脂肪↑、肝酵素↑、フィブリノーゲン↑(2〜4%程度)

▶ 製造販売後調査(0.72 mg, 558例)

  • 副作用発現率:17.7%
    • 不正出血:12.4%
    • 接触性皮膚炎:0.7%
    • 乳房症状:1%未満

重大な副作用(頻度不明)

  • アナフィラキシー
  • 血栓症(静脈血栓塞栓症、血栓性静脈炎)

▶ 要注意のサイン

  • 急な足の腫れ・痛み
  • 胸痛・息切れ
  • 突然の視力異常

これらが出た場合はすぐに使用中止し、受診してください。


長期使用の注意点

  • エストロゲン+黄体ホルモンの併用HRTで、乳がんリスク上昇の報告あり
  • 心筋梗塞・脳卒中・胆石症・認知症などのリスクも考慮
  • 最小有効量・最短期間で使用し、定期的な乳がん・婦人科検診が必要です

まとめ

エストラーナ®テープは、貼るだけで安定したエストロゲン補充ができる便利な薬剤です。

  • 経口薬が苦手な方や肝機能が心配な方にも使いやすい
  • 一方で、副作用や使用できない条件があるため、事前のリスク評価が大切
  • 生殖補助医療での使用は、自然周期との違いをふまえ、慎重に方針を決定する必要があります

参考文献・出典

添付文書・インタビューフォーム(PMDA):
 https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

日本産科婦人科学会:HRTガイドライン
 https://www.jsog.or.jp/

日本不妊カウンセリング学会誌・日本生殖医学会誌(エストロゲン補充に関する知見あり)

PubMed / Ichushi Web:キーワード「estradiol transdermal」「FET estrogen」で検索

よくある質問(Q&A)


エストラーナテープってどんな症状に使う薬ですか?

エストラーナ®テープは、皮膚からエストロゲン(女性ホルモン)を吸収させる貼り薬です。主に以下の目的で使われます。

生殖補助医療(凍結融解胚移植や排卵調整)

更年期障害(ほてり、発汗、のぼせ、腟の乾燥など)

閉経後骨粗しょう症

卵巣摘出後や原発性卵巣不全などによる低エストロゲン症

この薬の同じ系統の貼り薬と比べて、どんな強みがありますか?

先代の経皮型製剤(例:エストラダーム®TTS®)に比べて、皮膚刺激が少ないことが大きな強みです。
その理由として以下が挙げられます:

  • エタノールを含まない基剤で肌に優しい
  • 薄くて目立ちにくいマトリクス型設計
  • 安定した血中濃度を48時間維持可能(0.72mg使用時)
  • 段階的な用量調整が可能な4規格(0.09 / 0.18 / 0.36 / 0.72mg)

また、貼付部位を毎回変えることで、接触性皮膚炎の発症も抑えやすい設計です。

エストラーナテープの先発薬はいつ発売されましたか?

エストラーナ®テープは、1999年に日本で初めて承認・発売されました(販売元:ノバルティスファーマ+久光製薬)。
その後も以下のように適応拡大が続いています。

2022年:「生殖補助医療での周期調整・ホルモン補充周期」追加

2002年:「閉経後骨粗鬆症」追加

2014年:「性腺摘出・卵巣不全による低エストロゲン症」追加

エストラーナテープの1か月あたりの薬価と自己負担の目安は?

用法に従い「2日に1枚」使用した場合の1か月(30日)あたりの薬価は以下の通りです(2024年薬価基準)。

● 1か月の薬剤費(2日に1枚 × 15枚使用時)

規格薬価(1枚)薬剤費(30日)自己負担3割目安
0.72mg74.5円約1,117円約335円
0.36mg52.3円約784円約235円
0.18mg126.2円約1,893円約570円
0.09mg86.6円約1,299円約390円

⚠ 黄体ホルモン剤(併用が必要なケースあり)は別途加算されます。

効果はどのくらいで出ますか?持続時間は?

  • 作用発現時間:一般的には数日以内に症状改善が見られることがあります(Hot flash、発汗など)
  • 持続時間:1枚で48時間効果が持続するため、2日に1回貼り替えが推奨されています

妊娠中は使用できますか?注意点は?

基本的に**妊娠中は使用できません(禁忌)**です。

ただし、生殖補助医療(FETなど)で妊娠初期の一部期間(妊娠8週まで)まで使用する場合あります。

⚠ 妊娠が成立した後も長期間使い続けると、女性胎児の性器形態へ影響を及ぼす可能性があります(外陰肥大、腟異常など)。
医師の明確な指示がある場合のみ使用し、それ以外は使用禁止です。

授乳中は使用できますか?母乳への移行は?

授乳中の使用は禁忌とされています
エストラジオールは母乳中に移行する可能性があり、乳児の発育やホルモンバランスに影響を及ぼす懸念があります。

特に新生児・乳児期の男児においては、エストロゲンの影響が問題になることがあります。
使用中は授乳を中止する必要があるため、医師と相談してください。

子ども(小児)でも使えますか?注意点は?

小児にも使用可能ですが、以下のような特別な注意が必要です

▶ 使用されるケース

  • 原発性卵巣機能不全(ターナー症候群など)
  • 性腺摘出後や性分化疾患のホルモン補充

▶ 注意点

定期的なホルモン検査と婦人科フォローが必須

0.09mgから段階的に増量し、発育状況に応じて慎重に調整

骨端線(骨の成長線)の閉鎖が早まるリスクあり
 → 使用前に骨年齢の評価が推奨される

乳房発育や子宮発育の段階も考慮しながら進める

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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