疲れやすい・イライラ・生理不順…そんな女性に“加味逍遙散”ってどう?
疲れやすい・イライラ・生理不順…
そんな女性に“加味逍遙散”ってどう?

更年期障害で『加味逍遙散』飲んでいます

加味逍遙散は、肩こり・疲れやすさ・イライラ・便秘などが同時に出やすい女性に
処方されることが多い漢方薬です。
とくに「体質が弱く、ホルモンの変化で心身が乱れやすい」傾向のある方に合いやすいです。
加味逍遙散は、オンラインで処方することができます。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
目次
加味逍遙散(かみしょうようさん)とは?
◆ 古典に基づく女性向けの漢方薬
加味逍遙散は、古典医学書『和剤局方(わざいきょくほう)』にある**逍遙散(しょうようさん)**という処方に、**牡丹皮(ぼたんぴ)と山梔子(さんしし)**という2つの生薬を加えた漢方薬です。
◆ 医療用製剤としての特徴
ツムラの製品では以下の10種類の生薬を、水だけで煎じてエキス化し、噴霧乾燥→乾式造粒して顆粒状にしています。
- サイコ、シャクヤク、ソウジュツ、トウキ、ブクリョウ
- サンシシ、ボタンピ、カンゾウ、ショウキョウ、ハッカ
化学薬品や有機溶媒を一切使っていないのが特徴です。
加味逍遙散の特徴
● 古方を現代に合わせて改良
古典に基づいた処方を、現代の製剤技術で服用しやすく、成分も安定化。
● 幅広い女性の不調に対応
特に体質が虚弱な女性で、以下のような不調がある方に使われます。
- 肩こり、疲れやすさ
- 精神的不安
- ときに便秘を伴う
● 更年期を中心に確かな使用実績
薬理メカニズムは完全には解明されていませんが、更年期障害や月経に関連した不調への効果が、研究や臨床現場で認められています(後述)。
効能・効果(適応)
体質虚弱な婦人で
肩こり・疲れやすさ・精神不安などがあり、
ときに便秘を伴う方の次の症状に適応します:
- 冷え症(冷えが気になる体質)
- 虚弱体質(体力がなく疲れやすい)
- 月経不順・月経困難
- 更年期障害
- 血の道症(けちのみちしょう)
└※女性ホルモンの変化に伴って現れる様々な心身の不調を指します。
有効性(どんな効果があるの?)
◆ 薬の働き(作用機序)
はっきりとはわかっていません。
ただし、以下の動物試験による作用が知られています。
◆ 前臨床データ(動物実験)
- 卵巣を摘出したマウスで、ストレスによる睡眠時間の短縮を抑制
- 卵巣摘出ラットで、ホルモン刺激による皮膚温上昇を抑える
- 同様のラットで、ストレスホルモンによる過剰な運動を抑える
これらの結果から、のぼせ・不眠・不安などの更年期症状への作用が示唆されています。
◆ 臨床での使用実績
- 婦人科領域の研究で、更年期障害や月経不順への報告が多数あります。
- ただし、効果には個人差があるため、証(体質・症状の組み合わせ)の見極めが重要です。
用法・用量
- 成人:1日7.5gを2〜3回に分けて服用
(例:朝・昼・夕の食前や食間) - 年齢・体重・症状により調整可
◆ のみ忘れた場合は?
- 思い出した時点で1回分を服用。
- 次の服用時間が近いときはスキップし、2回分まとめては飲まないでください。
使用できない方(禁忌・慎重投与)
明確な「絶対禁忌」はありませんが、以下の方は使用を避けるか慎重に。
● 妊婦・妊娠の可能性がある方
牡丹皮により流早産のリスクがあるため、使用しないことが望ましいです。
● 胃腸が弱い方・吐き気のある方
- 食欲不振・嘔吐・悪心が悪化する可能性があります。
● 高齢者
- 加齢により生理機能が低下しているため、少量から慎重に。
飲み合わせに注意が必要な薬(相互作用)
⚠ カンゾウ(甘草)・グリチルリチン酸を含む薬との併用で…
発生しやすい副作用
- 偽アルドステロン症(ぎあるどすてろんしょう)
└むくみ、体重増加、血圧上昇、低カリウム血症など - ミオパチー(筋力低下・こむら返り)
● 注意すべき併用薬(例)
- 芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散などの漢方
- グリチルリチン酸含有の総合感冒薬、胃薬など
他に使っている市販薬・健康食品も申告しましょう。
生薬の重複がないか確認が必要です。
副作用と発生頻度
● 重い副作用(頻度不明・まれだが要注意)
❶ 偽アルドステロン症
- むくみ、体重急増、血圧上昇、だるさ
- 血清カリウム低下が起こることも
→ 中止+検査、カリウム補充など対応が必要
❷ ミオパチー(筋力低下・しびれ)
- 低カリウム血症に伴って発生
→ 投与中止+電解質補正など
❸ 肝機能障害・黄疸
- 強い疲れ、食欲低下、濃い尿、黄疸(皮膚や白目が黄色い)
→ 中止+血液検査で肝機能評価
❹ 腸間膜静脈硬化症(ちょうかんまくじょうみゃくこうかしょう)
- 山梔子(さんしし)の長期使用(5年以上)で報告
- 症状:腹痛、下痢と便秘を繰り返す、腹部膨満、便潜血陽性など
→ 中止+CT・内視鏡検査。まれに腸の手術が必要になることも
● その他の副作用(頻度不明)
| 分類 | 症状 |
|---|---|
| 過敏症 | 発疹、赤み、かゆみなど |
| 消化器 | 食欲不振、胃の不快感、吐き気、腹痛、下痢など |
気になる症状があれば早めに医師へ相談を。
血圧やカリウム値の定期チェックが必要なこともあります。
まとめ
- **加味逍遙散(かみしょうようさん)**は、女性に多い体質虚弱と関連した様々な不調(肩こり・疲れ・不安・便秘)に対応する漢方製剤。
- 更年期障害・月経不順・冷え症・血の道症などに保険適応があります。
- 用法:1日7.5gを2~3回に分けて食前または食間に服用。
- 妊婦には禁忌。高齢者や胃腸虚弱の方は慎重投与。
- カンゾウ・グリチルリチン酸含有薬との併用に注意。
- 長期使用では腸の副作用(腸間膜静脈硬化症)にも要注意。
- 作用機序は不明ですが、前臨床で有用性のヒントが得られています。
受診時のポイント
「なんとなく疲れやすい」「生理や更年期の不調が続いている」
そんなときは、加味逍遙散が自分に合っているかどうか、医師にご相談ください。緒に見つけていきましょう。
参考文献・出典
以下の資料・論文が参考になります:
【論文】産婦人科漢方研究のあゆみ(診断と治療社)
- 飯塚進ほか(1999年)No.16
- 譲原光利ほか(2003年)No.20
- 寺脇潔ほか(2004年)No.21
添付文書(2023年12月改訂版)
https://www.info.pmda.go.jp/
→「ツムラ加味逍遙散」で検索
KEGG DRUG:D06700(https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?dr:D06700)
よくある質問(Q&A)
-
この薬はどんなときに使われるの?どんな人に向いてる?
-
加味逍遙散は、肩こり・疲れやすさ・イライラ・便秘などが同時に出やすい女性に処方されることが多い漢方薬です。
とくに「体質が弱く、ホルモンの変化で心身が乱れやすい」傾向のある方に合いやすいです。
-
この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?
-
加味逍遙散は、古典漢方「逍遙散」に牡丹皮(ぼたんぴ)と山梔子(さんしし)を加えた構成で、より「イライラ・のぼせ・不安・抑うつ」など精神症状や熱感を伴うタイプに適しています。
たとえば:
漢方名 特徴 逍遙散 基本型。肩こり・不安などが中心の虚弱体質に 加味逍遙散 逍遙散+炎症・精神不安・のぼせ対応 抑肝散加陳皮半夏 不眠・神経過敏が強いタイプに 桂枝茯苓丸 血行不良・瘀血が関与する月経トラブルに → 「冷え+イライラ+疲れ」のような複合症状に対応できる処方構成が強みです。
-
先発薬の発売年はいつ?
-
ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)は、1985年(昭和60年)に厚生省薬務局薬審通知に基づいて承認・販売されました。
40年近い臨床使用実績があります。
-
1か月(30日)処方時の薬価・実際の目安価格(自己負担額)は?
-
● 薬価:15.9円/g(ツムラ製)
● 通常量(7.5g/日)×30日=225g → 約3,578円負担割合 自己負担目安 3割負担 約1,070円 1割負担 約360円 ※薬局での調剤料や管理料などは別途発生することがあります。
-
どれくらいで効いてくる?作用発現時間と持続時間は?
-
● 作用の出方:
個人差が大きく、早ければ数日~1週間以内に「疲れにくくなった」「イライラが減った」と実感される方もいますが、通常は2~4週間程度で効果判定されることが多いです。● 持続時間:
1日2〜3回の服用が基本で、数時間〜半日程度持続します(ただし西洋薬のような即効性や明確な半減期はありません)。。
-
妊娠中でも使える?リスクや注意点は?
-
原則として、妊娠中は使用を避けます。
- 加味逍遙散には牡丹皮(ぼたんぴ)が含まれており、これは漢方の世界でも子宮収縮を引き起こす可能性があるとされています。
- 流産や早産のリスクを避けるため、妊娠の可能性がある方にも慎重投与が推奨されます。
▶ 医師に相談せずに服用しないでください。
-
授乳中に使っても大丈夫?母乳への影響は?
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添付文書では、授乳の継続と治療の利益を比較して判断するよう記載されています。
実臨床では処方されるケースもありますが、赤ちゃんへの影響を完全に否定できないため、必ず医師と相談の上使用しましょう。
現時点で母乳中への明確な移行データは不十分。
-
子どもに使える?年齢制限や注意点は?
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小児・10代への投与例はありますが、添付文書上は明確な臨床試験データはありません。
● 使用する場合は、年齢・体重・体質をもとに慎重に量を調整します。小児に処方する場合は、小児科や漢方に詳しい医師の判断が必要です。
体質や体重が合わないと効果が出にくいだけでなく、副作用(下痢・胃の不快感など)が出ることもあるため、
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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