便が硬くて出にくい…そんなときに漢方で改善|麻子仁丸のしくみと使い方

便が硬くて出にくい…そんなときに漢方で改善
麻子仁丸のしくみと使い方

便が固くて出しにくくて麻子仁丸もらっています。

便が硬くて出しにくい人や、自然な排便を目指す人におすめの漢方薬です。

便秘の漢方薬の中でも効果が強くよく処方されるお薬です。

麻子仁丸はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

麻子仁丸(ましにんがん)とは — 便秘に悩む方のための古典漢方処方

麻子仁丸は、中国の古典医学書『傷寒論(しょうかんろん)』『金匱要略(きんきようりゃく)』に記載された処方をもとに、現代の技術で製剤化された医療用漢方薬です。

6種類の生薬(麻子仁・ダイオウ・キジツ・キョウニン・コウボク・シャクヤク)を配合し、エキス顆粒や細粒として使用されます。



麻子仁丸の特徴


① 瀉下(しゃげ)+潤滑(じゅんかつ)のダブル作用

  • 麻子仁(ましにん):腸内を潤し、便のすべりを良くします
  • ダイオウ由来のセンノシド:腸の動きを刺激して排便を促します

▶ 特に乾燥して硬いタイプの便秘に効果が期待できます。


② “証(しょう)”を重視した漢方処方

  • 適した体質:体力が中等度以上で、お腹の張りや乾燥傾向がある方
  • 効果が出にくいケース:体質(証)が合わない場合は効果が乏しくなることがあります

効能・効果

  • 常習性の便秘(慢性的な便秘)
  • 急性便秘
  • 病後(びょうご)の便秘
  • 痔核(じかく:いぼ痔)にともなう便秘
  • 萎縮腎(いしゅくじん)にともなう便秘

有効性 — エビデンスの概略

🔬 臨床報告

  • 慢性便秘の患者さんで、排便回数の増加や便の性状改善を認めた報告があります

🧪 薬理試験

  • センノシドA:腸を刺激して排便を促進
  • 麻子仁の油分:腸の中を潤滑にし、便を出しやすくする作用を動物実験で確認

※ただし、大規模な**ランダム化比較試験(RCT)**は実施されていません。
効果の証明は臨床経験や観察研究が中心です。


用法・用量

  • 通常、成人には1日6g2〜3回に分けて食前または食間に服用します
  • 年齢・体重・症状により増減が可能です

※ 下痢しやすい方や高齢の方は、少量から開始して調整することが推奨されます


使用できない方(禁忌)

対象リスク・理由
妊婦・妊娠の可能性がある方ダイオウが子宮を収縮させ、流産・早産のリスクあり
激しい下痢や著しい胃腸虚弱の方腹痛や下痢が悪化する可能性あり
授乳中の母ダイオウ成分が母乳へ移行し、乳児に下痢を起こす恐れ

飲み合わせに注意が必要な薬

相互作用のある薬注意点
センナ・プルセニド®などの下剤腸への刺激が強まり、腹痛や下痢が起こりやすくなる
利尿薬・他の下剤**電解質バランス(カリウムなど)**が乱れるおそれ
大黄甘草湯などの漢方薬成分が重複し、作用が強く出すぎる可能性

副作用と発生頻度

症状頻度対応
下痢・腹痛不明(臨床報告ベース)減量または中止を検討
食欲不振同上経過観察、持続する場合は中止

※ 添付文書では「頻度不明」とされています。大規模試験が行われていないためです。


まとめ — 麻子仁丸を安全に使うために

麻子仁丸は、体力が中等度以上あり、乾燥して硬い便に悩む方に適した処方です。

  • **「潤して出す」**という漢方らしいアプローチで作用
  • 麻子仁が腸内を潤し、ダイオウが腸を動かすという組み合わせが特徴
  • 妊娠中・授乳中・高齢者・下痢しやすい体質の方には注意が必要
  • 市販の下剤との併用は避けるようにしましょう

💬 不安な症状がある場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。

参考文献・出典

医療用医薬品添付文書(2023年改訂版)
→ 効能・用法・副作用・注意事項が記載されています
PMDA(医薬品医療機器総合機構)

KEGG DRUG データベース:D07046(麻子仁丸)
→ 生薬成分、薬理情報、構成がまとめられています
KEGG DRUG - D07046

「ツムラ漢方製剤インタビューフォーム」
→ 製剤の特徴・開発経緯・理化学的情報が詳しい

日本東洋医学会誌、漢方医学誌の便秘関連症例報告
→ 実臨床での使用経験や効果について

よくある質問(Q&A)


麻子仁丸って、他の便秘用の漢方薬とどう違うの?

麻子仁丸の一番の強みは、「潤して出す」ことに特化している点です。
市販の下剤や他の漢方(例えば大黄甘草湯など)は、腸を刺激して出すタイプが多いのに対し、麻子仁丸は**麻子仁(ゴマのような種子)**で便をやわらかく潤しながら、ダイオウの成分で腸の動きをサポートします。
そのため、便が硬くて出しにくい人や、自然な排便を目指す人に合いやすいのが特長です。

麻子仁丸の先発品っていつからあるの?

先発品の「ツムラ麻子仁丸エキス顆粒(医療用)」は、1985年(昭和60年)に医療用漢方エキス製剤として承認されました。
漢方の古典「傷寒論」「金匱要略」に記載された処方をもとに、ツムラが独自の乾式造粒技術で製剤化したものです。

麻子仁丸を30日分処方されたら、薬代はいくらくらい?

以下は、1日6g×30日(180g)の薬価から計算した目安です。

製品名薬価30日分の薬価自己負担(3割)
ツムラ麻子仁丸9.9円/g約1,782円約535円
コタロー麻子仁丸12.9円/g約2,322円約697円
オースギ麻子仁丸12.3円/g約2,214円約664円

※実際の負担額は、調剤料などにより前後します。

麻子仁丸はどのくらいで効くの?持続時間は?

個人差はありますが、服用後6〜12時間ほどで排便がみられるケースが多いと報告されています。
これは、腸を刺激するダイオウの作用と、潤滑成分である麻子仁の効果によるものです。

持続時間は1日程度とされ、翌日以降まで排便が続くことはまれです。
※継続して毎日服用することで、排便リズムが整う人もいます。

妊娠中に麻子仁丸は使っても大丈夫?

妊娠中は原則として使用を避けるべきです。

理由は、含まれるダイオウに子宮を収縮させる作用や、骨盤内の血流を増やす作用があるため、流産や早産のリスクが指摘されています。

妊娠中の便秘には、医師と相談して安全性が確認された他の薬や食事療法を選ぶようにしてください。

授乳中に麻子仁丸は飲める?

慎重な判断が必要です。

麻子仁丸に含まれるアントラキノン系成分(ダイオウ由来)が、母乳に移行する可能性があり、これが乳児の下痢を引き起こす可能性があります。

授乳を続けながら使用する場合は、医師と相談のうえ、母乳育児のメリットと薬の必要性を比較して判断しましょう。

子どもにも使えるの?注意点は?

添付文書では、「小児を対象とした臨床試験は行われていない」と記載されています。
そのため、明確に安全性が確認されているとは言えません。

特に、乳児〜学童期の子どもは、下痢や腹痛のリスクが高いため慎重な使用が求められます。どうしても使用が必要な場合は、必ず小児科医の指示に従ってください

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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