潤腸湯を飲んでみた|便秘への効果と副作用、どんな人に向いてる?
潤腸湯を飲んでみた
便秘への効果と副作用、どんな人に向いてる?

便が固くて出にくいので潤腸湯を処方してもらってます。

潤腸湯は「お腹が張って出にくい」「コロコロ便が多い」
といった便秘に効果を発揮します。多様な生薬含まれるのが特徴です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
潤腸湯(じゅんちょうとう)とは
潤腸湯は、便秘を改善するための漢方薬です。
10種類の生薬を組み合わせて水だけで煎じ、そのエキスを顆粒にした製剤で、
特に「腸が乾いて、硬くて出にくい便秘」のタイプに処方されます。
製品の種類
- ツムラ潤腸湯エキス顆粒(医療用)
- 太虎堂の潤腸湯エキス顆粒
潤腸湯の特徴
📕 古典の処方を現代化
- 原典:明の時代の医書『万病回春(まんびょうかいしゅん)』
- ツムラ製剤では、有機溶媒(アルコールなど)を使わず、**乾式造粒法(かんしきぞうりゅうほう)**で飲みやすい顆粒に加工されています。
🌿 使用される10種の生薬
| 生薬名 | 主な働き |
|---|---|
| 地黄(じおう) | 体を潤し、血を補う |
| 当帰(とうき) | 血行を良くし、月経調整など |
| 黄芩(おうごん) | 炎症を抑える |
| 枳実(きじつ) | 胃腸の働きを整える |
| 杏仁(きょうにん) | 咳を鎮め、腸に潤いを与える |
| 厚朴(こうぼく) | 胃腸のガスを除く |
| 大黄(だいおう) | 強力な下剤成分を含む |
| 桃仁(とうにん) | 血の巡りを良くする |
| 麻子仁(ましにん) | 腸を潤して便通を改善する |
| 甘草(かんぞう) | 薬全体の調和、炎症や胃の不快感を抑える |
💧 “潤して出す”というコンセプト
- 腸に潤いを与えながら自然に排便を促す、緩やかな下剤作用が特徴です。
- 「腸が乾いて便が硬くなる」タイプの便秘に適しています。
効能・効果
- 便秘
- 特に「腸の乾燥傾向」「硬い便」「お腹のハリ(腹部膨満感)」がある方に向いています。
有効性(エビデンス)
近年の観察研究や臨床報告では:
- 排便回数の増加
- お腹の不快感の改善
などが報告されています。
用法・用量
- 通常、成人には 1日7.5g を 2〜3回に分けて、食前または食間に服用します。
- 年齢、体重、症状に応じて医師が調整します。
※ 特に**大黄(強力な下剤成分)**に敏感な方がいるため、
服用は少量から開始し、便通を見ながら調整するのが安全です。
使用できない方(禁忌)
以下に当てはまる方は使用を避けてください。
| 状況 | 理由・リスク |
|---|---|
| 妊娠中、または妊娠の可能性がある方 | 大黄・桃仁に子宮を収縮させる作用があり、流産や早産のリスクがあります。 |
| 明らかな下痢・軟便がある方 | 効果が強くなりすぎて症状が悪化する恐れがあります。 |
| 胃腸が極端に弱い方、著しく体力が低下している方 | 腹痛・下痢・脱水などを起こしやすく、注意が必要です。 |
| 構成生薬にアレルギーのある方 | アレルギー反応や過敏症が出る可能性があります。 |
飲み合わせに注意が必要な薬(併用注意)
❶ 甘草(かんぞう)を含む製剤との併用
- 主成分グリチルリチン酸によって、以下の副作用リスクが高まります。
| 代表的な併用薬 | 起こり得る副作用 |
|---|---|
| 芍薬甘草湯・補中益気湯・抑肝散 など | 偽アルドステロン症(むくみ、血圧上昇、低カリウム血症)、ミオパチー(筋力低下やけいれん) |
❷ 大黄を含む他の下剤との併用
- 効果が強く出すぎて、下痢や腹痛がひどくなる場合があります。
- 医師と相談の上、用量調整を行ってください。
副作用と発生頻度
⚠ 重大な副作用(頻度不明)
以下のような症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
| 副作用名 | 主な症状 |
|---|---|
| 間質性肺炎(かんしつせいはいえん) | 咳、息切れ、発熱 |
| 偽アルドステロン症(ぎあるどすてろんしょう) | むくみ、血圧上昇、低カリウム血症(だるさ、けいれん) |
| ミオパチー(筋肉障害) | 脱力感、四肢のしびれやけいれん |
| 肝機能障害・黄疸(おうだん) | AST/ALTの上昇、皮膚や白目の黄ばみ |
その他の副作用(頻度不明)
- 食欲不振、胃のむかつき、吐き気、腹痛、下痢 など
※ 多くは一過性ですが、甘草による電解質異常や大黄の強い下剤作用には注意が必要です。
まとめ
潤腸湯は、「腸が乾いて、便が硬くて出にくい」という便秘に対して、
**“腸に潤いを与えて、自然に排便を促す”**という、漢方ならではの発想で作用します。
- 古典的な処方に基づいた実績
- ツムラ製剤は飲みやすさと品質を両立
- 穏やかな作用で高齢者や女性にも使われやすい
ただし、以下の点には注意が必要です
- 甘草・大黄由来の副作用(特に長期服用)
- 妊婦・妊娠の可能性がある方には禁忌
- 効果が薄い場合は、他の治療法への切り替えも検討
💬 ご相談を希望される方へ
「水分をとっても便が出にくい」
「市販の下剤ではお腹が痛くなるだけでつらい」
そんな方には、体質に合った処方選びがとても大切です。
当院では、症状や生活習慣を伺いながら最適な処方を提案しています。
お気軽にご相談ください。
参考文献・出典
ツムラ医療用漢方製剤 添付文書(潤腸湯)
https://www.tsumura.co.jp/products/
医薬品医療機器総合機構(PMDA)添付文書検索
https://www.pmda.go.jp/
KEGG DRUG データベース(D06983 潤腸湯)
https://www.genome.jp/kegg-bin/show_drug?D06983
日本東洋医学会学術雑誌(慢性便秘に関する潤腸湯の報告あり)
よくある質問(Q&A)
-
潤腸湯ってどんな便秘に効くの?
-
潤腸湯は、腸が乾いて便が硬くなっているタイプの便秘に向いています。
とくに高齢者や産後の女性、慢性便秘の人に処方されることが多く、「お腹が張って出にくい」「コロコロ便が多い」といったケースに効果を発揮します。
-
同じ系統の漢方薬と比べた強みは?
-
潤腸湯は、「潤して出す」タイプの穏やかな漢方という点が大きな特徴です。
他の便秘向け漢方(例:大黄甘草湯、麻子仁丸など)と比べて:
- 乾燥した腸を潤す作用を重視している
- 緩やかな瀉下効果があり、比較的腹痛を起こしにくい
複数の緩下作用を持つ生薬を組み合わせている点も他製剤との違いです。
-
潤腸湯(ツムラ製)の発売年は?
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ツムラ潤腸湯エキス顆粒(医療用)は、1985年(昭和60年)5月31日に承認を受けています。
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潤腸湯の1か月あたりの薬価と自己負担額は?
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薬価は15.2円/g(ツムラ製・太虎精堂製薬ともに同額)です。
● 1日量:7.5g × 30日 = 225g
● 薬価ベース:225g × 15.2円 = 3,420円【自己負担額(3割負担の例)】
→ 約 1,030円/月※調剤料・管理料などは別途加算されます。
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潤腸湯の効果はどれくらいで出る?どのくらい持続する?
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体質や腸の状態によりますが、2〜4日ほどで便通が改善するケースが多いです。
即効性よりも穏やかに自然な排便を促すタイプなので、数日間の継続使用が前提となります。持続時間は明確なデータはありませんが、1日2〜3回の服用で安定した効果が期待できます。
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妊娠中に潤腸湯は使ってもいいの?
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基本的に妊娠中の使用は避けたほうが安全です。
構成生薬の大黄と桃仁には子宮収縮作用や骨盤内臓器への血流促進作用があるため、流早産のリスクが指摘されています。妊娠中の便秘対策には、より安全性が確立された方法(生活習慣改善・他の便秘薬)を選ぶのが望ましいです。
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授乳中は潤腸湯を飲んでも大丈夫?
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慎重に判断が必要です。
潤腸湯に含まれる大黄の成分(アントラキノン誘導体)が母乳中に移行することがあり、赤ちゃんが下痢になる可能性があります。どうしても必要な場合は、医師と相談のうえで「授乳の一時中止」や「服用タイミングの調整」などを検討しましょう。
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子どもにも潤腸湯は使える?
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子どもへの使用は推奨されていません。
潤腸湯は小児を対象とした十分な臨床試験が実施されておらず、安全性が確立されていないためです。
また、大黄や甘草の作用が強く出る可能性があるため、小児には別の処方を選択することが一般的です。



