香蘇散ってどんなときに使うの?風邪のひきはじめに

香蘇散ってどんなときに使うの?
風邪のひきはじめに

風邪で『香蘇散(こうそさん)』使えますか?

香蘇散は、「胃腸が弱くて神経質な人の風邪の初期」にピンポイントで合う処方です。

同じように風邪に使われる漢方薬には葛根湯や麻黄湯もありますが、

これらは体力がある方向けだったり、汗をかかせて熱を下げる方向の作用が強めです。

香蘇散はオンライン診療で処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。




香蘇散とは?

  • 由来:漢方の古典『和剤局方』に記載された処方に基づく漢方薬
  • 効能胃腸が弱く、神経質な人の風邪の初期

当院では、「体質と症状のパターン=証(しょう)」を確認してから処方します。
合えば風邪の悪化を防げますが、効果が見られない場合は中止が原則です。


香蘇散の特徴

● 生薬の構成(5種類)

  • 香附子(こうぶし)
  • 蘇葉(そよう)
  • 陳皮(ちんぴ)
  • 甘草(かんぞう)
  • 生姜(しょうきょう)

● 名称の由来

  • 「香附子」と「蘇葉」から一文字ずつ取り「香蘇散」に
  • 元々は粉末状(散剤)で用いられていた処方

効能・効果

  • 対象:胃腸が弱く、神経質な体質の人
  • 適応症状
    • 寒気
    • 軽い頭痛
    • 食欲不振
    • 気分がふさがる

高熱や強い咳・喉の腫れがある場合は、別の漢方が適します。
※効果が出なければ継続使用しないことが推奨されています。


有効性について

  • 添付文書には明確な臨床試験データは記載なし
  • ただし、長年の使用実績と体質へのマッチが前提
  • 特に、寒気・食欲低下・不安定な気分がある初期風邪で有用とされます

用法・用量

  • 成人:1日7.5gを2~3回に分け、食前または食間に内服

使用できない方・注意すべき方

明確な禁忌は記載されていません

飲み合わせに注意が必要な薬(相互作用)

● 注意すべき併用薬

  • カンゾウ含有の他の漢方薬
    • 芍薬甘草湯
    • 補中益気湯
    • 抑肝散など
  • グリチルリチン酸含有の一般薬・市販薬
    • グリチルリチン酸一アンモニウム+グリシン+L-システイン配合薬
    • 同上+DL-メチオニン配合薬

● 相互作用の理由と影響

  • 偽アルドステロン症のリスク上昇
    → むくみ、体重増加、高血圧など
  • 低カリウム血症

★ 甘草(グリチルリチン酸)は腎臓でカリウム排泄を促進する作用があります
→ 血清カリウムの低下に注意


副作用とその対応

● 重大な副作用(頻度不明)

副作用症状対応
偽アルドステロン症むくみ、体重増加、血圧上昇、こむら返りなど内服中止、血清カリウム測定、カリウム補充
ミオパチー(筋障害)脱力感、けいれん、麻痺など内服中止、医療機関受診

まとめ

  • 香蘇散は、風邪の初期×胃腸虚弱・神経質な体質にマッチした漢方
  • 合う体質なら早めの対処に効果的
  • ただし、甘草の副作用・飲み合わせには細心の注意
  • むくみ・けいれん・脱力感などのサインがあれば、すぐに中止して医療機関へ

当院では、証(体質)評価・既往歴・他薬の確認を行ったうえで、香蘇散が合わないと判断した場合には別の処方をご提案しています。


参考文献・出典

🧾 添付文書

🧬 KEGGデータベース

よくある質問(Q&A)


香蘇散って、他の似た漢方薬と比べてどこが優れてるの?

香蘇散(こうそさん)は、「胃腸が弱くて神経質な人の風邪の初期」にピンポイントで合う処方です。
同じように風邪に使われる漢方薬には葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)もありますが、これらは体力がある方向けだったり、汗をかかせて熱を下げる方向の作用が強めです。

一方、香蘇散は「冷え」「胃のもたれ」「神経過敏」などの繊細な体質に合わせて調整されたやさしい処方で、刺激が少ないのが特長です。
「なんとなく寒気がするけど、ガツンとした漢方は合わない」人に選ばれやすいお薬です。

香蘇散の発売はいつ?歴史はあるの?

医療用製剤としての香蘇散は、ツムラ製剤が1985年(昭和60年)に製造承認取得されています。
ただしその処方自体は、中国古典の「和剤局方(わざいきょくほう)」に記載されているほどの長い歴史を持つ漢方薬です。

つまり、伝統的処方に現代の製剤技術を加えて製品化された漢方薬といえます。

香蘇散を30日分もらうと薬代はいくらぐらい?

医療用の香蘇散(ツムラ製剤、小太郎漢方製薬製ともに)は、
薬価が1gあたり10.7円です。

通常の成人量は1日7.5gなので、

  • 30日分(225g)=2,407.5円(薬価ベース)

▼実際の自己負担額(保険3割負担の場合)

  • 約720円程度/月(調剤料など別途)

※風邪で処方し、長期処方はしません

香蘇散の作用はどれくらいで効いて、どのくらい続くの?

香蘇散は漢方薬なので、即効性はそこまで強くありません
ただし体質に合っていれば、服用当日〜翌日あたりに寒気・気分の悪さが軽くなることもあります。

妊娠中でも香蘇散は飲んでいいの?

妊娠中の使用については、添付文書に次のように記載されています:

「妊娠中または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること」

つまり、医師が必要と判断したときには使うことができるということです。

授乳中に香蘇散を飲んでも母乳に影響はないの?

香蘇散に含まれる生薬の成分が、母乳中に移行するかは明確なデータはありません

添付文書では、

「授乳の有益性と治療上の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること」

子どもにも使えるの?何歳から?

香蘇散は、添付文書上では:

「小児を対象とした臨床試験は行われていない」

と記載されています。つまり、正式な年齢制限は設けられていませんが、医師が個別に判断して処方する形です。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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