夜になると咳き込む…そんなときによく使われる麻杏甘石湯ってどんな薬?

夜になると咳き込む…
そんなときによく使われる麻杏甘石湯ってどんな薬?

子供が喘息で『麻杏甘石湯』使えますか?

吸入薬や抗炎症薬など標準治療を基本としつつ

体質や生活背景に合う方に対して補助的に併用するという位置づけです。

麻杏甘石湯はオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。


麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)とは

麻杏甘石湯は、漢方の古典『傷寒論(しょうかんろん)』に記載される処方で、
**麻黄(まおう)・杏仁(きょうにん)・甘草(かんぞう)・石膏(せっこう)**の4つの生薬から構成されます。

医療現場では、**ツムラ麻杏甘石湯エキス顆粒(医療用)**が一般的で、
小児ぜんそくや気管支ぜんそくの治療に使われています。


麻杏甘石湯の特徴

▶ 古典処方を現代製剤に

『傷寒論』由来の処方をもとに、ツムラが顆粒剤として開発。

▶ 製法のポイント

  • 4つの生薬を水のみで煎じて、噴霧乾燥法で乾燥エキスに。
  • それを**ツムラ独自の乾式造粒法(有機溶媒・水を不使用)**で顆粒化。
    → 服用しやすい製剤になっています。

▶ 承認の背景

1985年5月31日付、厚生省(当時)の通知に基づき医療用漢方製剤として承認。

▶ 成分の目安

  • アミグダリン(杏仁由来)
  • エフェドリン(麻黄由来)
  • グリチルリチン酸(甘草由来)

効能・効果

  • 小児ぜんそく
  • 気管支ぜんそく

主に、咳・喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー音)・呼吸困難など、気道の過敏性や炎症にともなう症状の改善に用います。


有効性(有効性試験等)

▶ 薬理学的エビデンス

抗アレルギー作用が、薬効薬理試験(基礎研究)で確認されています。

▶ 臨床試験について

  • 本剤については小児を対象とした臨床試験は実施されていません
  • しかし、適応として「小児ぜんそく」が明記されており、医師が**症状や体質(証)**を見て判断します。

▶ 当院の考え方

吸入薬や抗炎症薬など標準治療を基本としつつ
体質や生活背景に合う方に対して補助的に併用するという位置づけです。


用法・用量

  • 成人:通常、1日7.5 gを2〜3回に分けて食前または食間に服用
  • 小児:年齢・体格・症状に応じて、医師が個別に用量を決定します。

⚠ 服用開始後は、症状の変化を観察し、改善が乏しければ継続投与は避けるようにします。


使用できない方(禁忌)

添付文書上の「禁忌」の明記はありませんが、以下の方は慎重投与・使用回避が必要です。

状態・疾患理由・注意点
重症高血圧症血圧がさらに上がる恐れ
狭心症・心筋梗塞の既往循環器系への刺激作用で悪化の懸念
甲状腺機能亢進症動悸・代謝亢進が増強する
排尿障害(前立腺肥大など)症状が悪化することがある
発汗傾向が著しい脱水や倦怠感の増強
病後・高齢などで体力低下副作用リスクが高まる
胃腸が弱い、吐き気・嘔吐のある方消化器症状が悪化しやすい
高度の腎障害薬の代謝・排泄に影響が出る
妊婦・授乳婦有益性とリスクを慎重に検討

🔔 これらの背景がある方は、必ず受診時に申し出てください。


飲み合わせに注意が必要な薬

併用により以下のような副作用が起こりやすくなることがあります。

▶ 交感神経刺激作用の増強

(→ 不眠・動悸・発汗・頻脈・精神興奮 など)

  • 麻黄含有漢方:葛根湯、小青竜湯、麻黄湯
  • エフェドリン類:エフェドリン塩酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、フェキソフェナジン+プソイドエフェドリン含有薬
  • MAO阻害薬:セレギリン、ラサギリン
  • 甲状腺製剤:チロキシン、リオチロニン
  • カテコールアミン製剤:アドレナリン、イソプレナリン
  • キサンチン系薬剤:テオフィリン、ジプロフィリン

▶ 偽アルドステロン症・低カリウム血症のリスク

(→ 筋力低下やミオパチー)

  • 甘草含有製剤:芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散など
  • グリチルリチン酸含有製剤:配合剤・錠剤(例:グリチルリチン酸一アンモニウムなど)

💊 服薬中の薬がある場合は、自己判断での併用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してください。


副作用と発生頻度

🟥 重大な副作用(頻度不明)

症状内容
偽アルドステロン症むくみ、体重増加、血圧上昇、低カリウム血症など
ミオパチー脱力、四肢のけいれん・麻痺など

🟨 その他の副作用(頻度不明)

  • 自律神経系:不眠、発汗過多、動悸、頻脈、精神興奮、全身脱力感
  • 消化器系:食欲不振、胃の不快感、悪心、嘔吐、軟便、下痢
  • 泌尿器系:排尿障害(尿が出にくい)など

要注意サイン:むくみ、急な体重増加、筋力低下、こむら返り、動悸、不眠などがあれば、速やかに医療機関を受診してください。
血圧や血清カリウムの検査が必要になることもあります。


まとめ

  • 麻杏甘石湯は、小児ぜんそく・気管支ぜんそくの漢方治療に使われる薬です。
  • 抗アレルギー作用が基礎研究レベルで確認されており、証(しょう:漢方的な体質診断)に合う患者さんに有用です。
  • 用法は1日7.5gを2〜3回に分けて服用。症状の経過を観察しながら調整します。
  • 飲み合わせには特に注意が必要で、麻黄・エフェドリン・甘草含有製剤との併用に要注意。
  • 副作用としては、偽アルドステロン症やミオパチーに注意が必要です。

🩺 当院では、標準治療をベースに、体質・症状・生活背景を丁寧に伺ったうえで、必要な方に麻杏甘石湯の使用を検討しています。
気になる症状や他の薬との飲み合わせがある方は、まずご相談ください。

※本記事は医療機関による情報提供を目的としたものであり、診断や処方の代わりとなるものではありません。使用可否は必ず医師の判断を仰いでください。。


参考文献・出典

ツムラインタビューフォーム(薬効薬理、製造工程、安全性などが詳しく記載)

KEGG DRUGデータベース(ID:D07044)

JAPIC添付文書情報

厚生労働省:漢方エキス製剤に関する通知

医中誌・PubMed:"Makyokansekito"や"Ma Xing Gan Shi Tang"での検索で薬理学的論文あり

よくある質問(Q&A)


この薬(麻杏甘石湯)の、同じ系統の漢方薬と比べたときの強みは何ですか?

麻杏甘石湯は「咳・喘鳴(ぜんめい)・息苦しさ」など気道の炎症・過敏性を伴う症状に特化した処方で、特に以下の点が強みとされています:

  • 熱感・炎症に伴う咳や喘鳴(ゼーゼー)への適応が明確(→石膏の清熱作用と麻黄の去痰・鎮咳作用の組合せ)
  • 小児ぜんそくにも使える数少ない漢方
  • 抗アレルギー作用が薬理学的に確認されている(基礎試験)
  • 乾式造粒製剤のため、服用時に水分や味のばらつきが少ない

特に小青竜湯との使い分けとして、「冷えよりも熱感・炎症が前景にある場合」に優先されやすい処方です。

麻杏甘石湯の先発医薬品はいつ発売されましたか?

ツムラ麻杏甘石湯エキス顆粒(医療用)は、1985年5月31日(昭和60年)に厚生省通知(薬審2第120号)に基づき承認されました。

麻杏甘石湯を30日分処方されたときの薬価と実際の負担額は?

1gあたりの薬価(ツムラ製):10.8円/g
通常の処方量:1日7.5g × 30日 = 225g

  • 薬価総額:10.8円 × 225g = 2,430円
  • 自己負担額(3割負担の方):約730円
  • 自己負担額(2割負担の方):約490円
  • 自己負担額(1割負担の方):約240円

※実際は調剤料などが加わるため、総支払額はこれよりやや高くなります。

麻杏甘石湯は服用後どれくらいで効きはじめ、効果はどのくらい続きますか?

漢方薬のため西洋薬のような厳密な「半減期」等は示されていませんが、

  • 作用発現時間:早ければ数時間~半日程度で効果実感されることがあります。
  • 持続時間:体質や症状により異なりますが、通常は1日2〜3回の服用で安定した効果を維持するよう設計されています。

※急性症状への対処だけでなく、慢性的な気道過敏にも対応します。ます。

妊娠中に麻杏甘石湯を飲んでも大丈夫ですか?

妊娠中の使用は**慎重投与(医師による個別判断が必要)**とされています。

水分バランス異常(甘草による電解質変動)

使用の可否:妊娠中は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限り使用」と添付文書に記載。

注意点:麻黄・甘草など、妊娠中に注意すべき生薬を含むため、自己判断での使用は禁物です。

具体的リスク

子宮収縮の可能性(麻黄の交感神経刺激作用)

妊娠中にプリンペランは使っていいの?

妊娠中でも、必要と判断される場合は使用されることがあります。

動物試験や疫学データでは明確な催奇形性は報告されていませんが、
**「治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合のみ」**使用されます。

特に**つわりがひどい妊娠悪阻(にんしんおそ)**で処方されるケースがあります。

📌【注意点】
自己判断での服用はせず、必ず産婦人科または処方医と相談してください。

子どもにも使えますか?年齢や注意点はありますか?

はい、麻杏甘石湯は小児への使用が認められている漢方薬です。

甘草により電解質異常(低カリウム血症)を起こす可能性があるため、長期投与は避けることも

**適応症として「小児ぜんそく」**が明記されています。

用量は体格・症状・年齢に応じて個別設計されます(成人の1/2〜1/3程度が目安)。

注意点

胃腸虚弱な小児では、下痢や吐き気などの副作用が出る可能性

この記事の監修者

佐田七海子