「むくみがつらい…」に五苓散が効くって本当?薬の効果と飲み方を解説
「むくみがつらい…」に五苓散が効くって本当?
薬の効果と飲み方を解説

むくみがつらくて『五苓散』を使っています。

五苓散は、体の余分な水分を整える作用を持つ漢方薬です。
むくみ、二日酔い、胃腸の不調など、水分代謝の乱れによるさまざまな症状に対応します。
尿の出を促し、胃腸の働きを整え、アルコールの分解もサポートします。
五苓散はオンラインで処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
五苓散(ごれいさん)とは
五苓散は、古代中国の漢方書『傷寒論(しょうかんろん)』や『金匱要略(きんきようりゃく)』に収載されている処方をもとに、次の**5つの生薬(しょうやく)**を組み合わせて作られた漢方薬です:
- 沢瀉(たくしゃ)
- 蒼朮(そうじゅつ)
- 猪苓(ちょれい)
- 茯苓(ぶくりょう)
- 桂皮(けいひ)
現在ではツムラをはじめとする複数の製薬会社から、顆粒(かりゅう)・細粒・錠剤として製品化されております。
五苓散の特徴
水分代謝に関わる多面的な作用
五苓散には、次のようなさまざまな働きがあることが研究でわかっています:
| 作用 | わかりやすい説明 |
|---|---|
| ナトリウムチャネル阻害 | 尿の出をよくして、余分な水分を排出する |
| アクアポリン発現抑制 | 細胞が水を取りすぎないように調整する |
| 消化管運動促進 | 胃腸の動きを整えて、水分の停滞を防ぐ |
| アルコール代謝改善 | 二日酔いの原因物質の分解を助ける |
効能・効果
五苓散は、のどの渇きや尿が出にくいといった症状をともなう、以下の状態に用いられます:
- むくみ(浮腫 ふしゅ)
- ネフローゼ症候群
- 二日酔い
- 急性胃腸炎(きゅうせいいちょうえん)
- 下痢・吐き気・おう吐
- めまい・頭痛
- 胃内停水(いないていすい:お腹がチャプチャプする感じ)
- 尿毒症(にょうどくしょう)
- 暑気あたり(しょきあたり:軽い熱中症)
- 糖尿病にともなうのどの渇きや水の飲みすぎ
有効性(研究・臨床報告)
| 試験・対象 | 主な結果 |
|---|---|
| ラット水中毒モデル | 尿量の増加、むくみの軽減 |
| マウス下痢モデル(硫酸マグネシウム使用) | 下痢の抑制作用あり |
| 糖尿病マウスの口腔乾燥モデル | 唾液(だえき)分泌の低下を防ぐ |
| 臨床観察(透析患者) | むくみ・体重増加を抑制 |
※ 漢方薬の効果は、「証(しょう)=体質や症状のパターン」と合っているかどうかで変わります。
必ず医師の診断を受けてから服用してください。
用法・用量
- 成人:1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に服用します。
- 小児・高齢者・体格が小さい方:医師の判断で量を調整します。
使用できない方(禁忌)
五苓散に明確な「絶対禁忌」はありませんが、以下の方は使用に注意が必要です:
- 重い腎臓病があり、尿がほとんど出ない方
- 妊娠中・授乳中の方(必要性がある場合に限り医師の判断で使用)
- 他の漢方薬を併用していて、同じ生薬が重複している場合
飲み合わせに注意が必要な薬
| 種類 | 例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 利尿薬 | ループ利尿薬、サイアザイド系 | 利尿作用が強まり、電解質のバランスが崩れることがある |
| 他の漢方薬 | 猪苓湯(ちょれいとう)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)など | タクシャやチョレイの重複で効果が強くなりすぎることがある |
| アルコール | 飲酒 | 分解を助ける働きはあるが、飲みすぎると肝臓に負担がかかるため注意 |
副作用と発生頻度
| 分類 | 症状 | 頻度 |
|---|---|---|
| 過敏症(かびんしょう) | 発しん、赤み、かゆみ | 不明(まれ) |
| 肝機能障害 | AST・ALT・γ‑GTPの上昇(肝臓の働きの異常) | 不明(まれ) |
※副作用の頻度は市販後の報告に基づいており、正確な数字はわかっていません。
異常を感じたら、医療機関にご相談ください
まとめ
五苓散は、体の余分な水分を整える作用を持つ漢方薬です。
- むくみ、二日酔い、胃腸の不調など、水分代謝の乱れによるさまざまな症状に対応します。
- 尿の出を促し、胃腸の働きを整え、アルコールの分解もサポートします。
- 1日の基本的な量は7.5gですが、体質や年齢に応じた調整が大切です。
- 副作用は少ないものの、皮ふの異常や肝機能の変化が報告されており、長期間の自己判断による服用は避けましょう。
主要文献
ツムラ添付文書(2023年12月改訂 第1版)
KEGG DRUG データベース(ID:D06960)
「腎と透析」第41巻(桑原道雄ら):透析患者に対する浮腫改善効果
J. Med. Sci., 2011(Kuritaら):アクアポリンのダウンレギュレーション研究
日本東洋医学雑誌、和漢医薬学雑誌、歯科東洋医学会誌など複数の症例報告
よくある質問(Q&A)
-
この薬(五苓散)は、同じ系統の薬と比べてどんな強みがありますか?
-
五苓散は「体内の水分バランスの乱れ(=水毒)」に対する効果に特化した漢方薬で、利尿・止瀉・口渇改善・胃内停水改善など複数の作用を1つでカバーできる点が最大の強みです。
似た作用を持つ漢方薬には「猪苓湯」「防已黄耆湯」「苓桂朮甘湯」などがありますが、
- 五苓散は急性症状にも対応しやすく、熱や脱水症状をともなうむくみや胃腸症状にも適応がある
- アルコール代謝改善作用や、糖尿病性の口渇への対応など、多目的に使える
といった点で他の処方とは使い分けがされています。
-
五苓散(ツムラ製)の先発薬の発売年はいつですか?
-
ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)は、1985年(昭和60年)に製造承認・発売されました。
古典処方「五苓散」を近代製剤化し、ツムラ独自の乾式造粒法により飲みやすく製品化された先発漢方エキス製剤です。
-
五苓散を30日分処方された場合の薬価と自己負担額の目安は?
-
ツムラ五苓散エキス顆粒の薬価は、**13.6円/g(2023年時点)**です。
通常の成人用量(1日7.5g)で30日処方すると以下の通りです:- 薬価計算:13.6円 × 7.5g × 30日 = 3,060円
- 自己負担(3割負担の場合):約 918円
※薬局での調剤料や処方料は別途かかりますが、月1,000〜1,500円前後が一般的な自己負担額の目安です。
-
五苓散の作用発現時間と持続時間はどれくらいですか?
-
五苓散は漢方薬の中でも比較的作用発現が早いとされ、数時間以内に効果を感じることが多いです。
作用の持続時間は体質や病態によりますが、通常は数時間〜半日程度で代謝・排泄されると考えられています。ます
特に利尿作用や胃内停水(胃がチャプチャプする感じ)への改善は、当日中に効果を実感するケースもあります。
-
妊娠中に五苓散を使っても大丈夫ですか?
-
妊娠中の使用は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ」とされています。
動物実験や人での安全性が十分に確立されていないため、医師の判断のもとで慎重に投与されます。特に以下のようなケースでは使用が検討されることがあります:
- 妊娠中のむくみがつらいとき
- 胃の不快感や嘔気、頭痛、めまいなどの“水分代謝の乱れ”があるとき
※ただし、自己判断での服用は避け、必ず産婦人科医の診察を受けてください。
-
授乳中に五苓散を使っても母乳に影響はありませんか?
-
五苓散の成分が母乳中に移行するかは明確ではありませんが、
授乳中の使用についても「有益性と授乳の利益を比較して、慎重に判断する」こととされています。授乳を続けるか中止するかは、医師と相談のうえ判断します。
-
子どもでも五苓散は使えますか?注意点はありますか?
-
五苓散は、子どもでも使われることがあります。
特に以下のような症状で処方されることがあります:- 胃腸炎(嘔吐や下痢)
- 水分代謝が乱れたとき(熱中症初期、頭痛、むくみなど)
ただし、小児に対する正式な臨床試験データはなく、体重や年齢に応じて慎重に用量を調整します。
自己判断で服用せず、必ず小児科医に相談してください。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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