昼夜逆転の不眠に「ロゼレム」とは?自然な眠りに近づける仕組みを解説

昼夜逆転の不眠に「ロゼレム」とは?
自然な眠りに近づける仕組みを解説

なかなか寝付けないので『ロゼレム』を使っています。

光を浴びない方に少なくなる眠気ホルモン

メラトニンを補充してくれる薬です。

ロゼレムはオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

ラメルテオン(ロゼレム)とは

ラメルテオン(先発品名:ロゼレム錠8mg)は、

「夜になると体の中で自然に出る“眠気のホルモン”=メラトニン」と似た働きをする薬です。

この薬は、体の中の「眠りのスイッチ」にやさしく作用し、自然な眠気を引き出して寝つきをサポートします。

従来の睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)と違い、脳の活動を無理やり抑えるような働きはありません

そのため、

  • 翌朝のふらつきや眠気が出にくく
  • 飲み続けてもクセになりにくい(依存性が少ない)

という特長があります。

この薬は2010年に「寝つきの悪さ(入眠困難)」の治療薬として国内で承認され、今も比較的新しいタイプの睡眠薬として使われています。


ラメルテオンの特徴

● 自然な眠りをサポートする発想

メラトニンは、日中光を浴びて、夜になると脳から出てくるホルモンで、体に“もう寝る時間だよ”と伝える役割があります。
ラメルテオンはこのメラトニンと同じ受容体にだけ働きかけることで、自然な眠気を誘うよう設計されています。

● クセになりにくい・向精神薬ではない

ラメルテオンは、気分や意識に強く働きかけるような「向精神薬」には分類されていません
そのため、依存や耐性(だんだん効かなくなる)になりにくいと考えられています。

● 再審査でも安全性が確認済み

2019年の再評価(再審査)でも、安全性や効果が改めて確認されています。


効能・効果

「なかなか眠れない」「布団に入っても寝つけない」といった入眠困難の改善を目的に処方されます。


有効性(効果の裏づけ)

● 国内の短期試験(第II相試験)

2日間、8mgを服用した群では、眠りにつくまでの時間が平均13.5分短縮されました(プラセボと比較して)。

● 大規模試験(第III相試験)

971人を対象にした試験では、1週目に眠りにつくまでの時間が平均4.5分短縮(統計的に意味がある結果)。
ただし、2週目には差が縮まり、有意差はなくなったと報告されています。

● 長期試験(24週間)

半年間の服用でも、入眠の効果は維持され、副作用の発生率は10.8%でした(主に眠気・肝機能の変化)。

👉 効果はすぐに出るよりも、続けることで安定してくるタイプの薬といえます。


用法・用量(飲み方)

1日1回、就寝前に8mgを服用します。

注意点:

  • 食事と一緒や食後すぐの服用は避けましょう(薬の吸収が悪くなります)
  • 服用後はすぐに寝るようにしましょう。仕事や運転はNGです。

使用できない方(禁忌)

以下の方は使用できません:

  • ラメルテオンにアレルギーのある方
  • 重い肝臓の病気がある方
  • フルボキサミン(デプロメール®/ルボックス®)を飲んでいる方

飲み合わせに注意が必要な薬

以下の薬と一緒に使うと、ラメルテオンの働きが強くなったり、弱くなったりします。

相互作用のタイプ代表的な薬起こりうる影響
代謝をおさえる薬キノロン系抗菌薬、マクロライド系、ケトコナゾールなど血中濃度が上がり、副作用が出やすくなる
代謝を早める薬リファンピシンなど効果が弱くなる
抗うつ薬フルボキサミン※併用禁止です(重い副作用のリスク)
アルコール(お酒)眠気が強まり、注意力が下がる可能性

副作用と頻度

● 重大な副作用(まれ)

  • アナフィラキシー(アレルギー反応):じんましん、顔や喉の腫れ など

● よくある副作用(0.1〜5%未満)

  • 眠気・ぼーっとする感じ(傾眠)
  • 頭痛、めまい、だるさ
  • 胃腸症状(便秘・吐き気)
  • プロラクチン上昇(女性ホルモンのバランスが変わる)
     → 生理不順、乳汁が出る、性欲が下がる などが出た場合は相談を

👉 副作用の報告率は3.4%と比較的少なく、他の睡眠薬よりも副作用は軽めとされています。


まとめ

ラメルテオン(ロゼレム)は、

  • 夜になると自然に出てくる「眠気のホルモン」に似た作用で、自然な眠りをサポート
  • 翌朝にふらつきが少なく、長く使ってもクセになりにくい
  • 効果は穏やかでも、続けることで寝つきがよくなっていくタイプ

です。

ただし、重い肝臓の病気がある方や、一部の抗うつ薬(フルボキサミン)を飲んでいる方には使えません

眠れない夜が続く方は、まずは生活習慣の見直し(スマホの見過ぎやカフェイン摂取など)とともに、このような“自然な眠りをサポートする薬”の活用も選択肢の一つです。

気になる症状や他のお薬との飲み合わせについては、医師にお気軽にご相談ください。


参考文献・出典

医薬品添付文書(PMDA、JAPIC)

  • 「ロゼレム添付文書」:効能、禁忌、副作用、安全性情報を網羅

インタビューフォーム(IF)

  • 開発経緯や臨床試験成績、薬物動態などの詳細を記載

KEGG DRUGデータベース

  • 医薬品の化学構造や分類を含む総合情報

PubMed / CiNii

「Ramelteon insomnia Japan」で検索すると、国内臨床試験の英語論文や総説が見つかります。

よくある質問(Q&A)


この薬(ロゼレム)は他の睡眠薬とどう違う?同じ系統の薬に対する強みは?

ロゼレムは「メラトニン受容体アゴニスト」という種類に分類される薬で、従来の睡眠薬(ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系)とは全く異なる働きをします。
その最大の強みは以下の点です:

  • 自然な睡眠リズム(体内時計)を整える作用で、依存性が少ない
  • GABA受容体には作用せず、翌朝のふらつきや記憶障害が起きにくい
  • 精神科薬に該当せず、「非向精神薬」として長期使用しやすい

この系統の薬としては、ロゼレムが日本で最初に承認された薬であり、使用実績も豊富です。

ロゼレムの発売はいつ?どんな経緯で登場したの?

日本国内での承認は2010年4月です。
もともとアメリカで2005年に「Rozerem」として承認されており、「自然な眠気を再現できる薬」として注目されました。
体内のメラトニンの働きを補うことで、高齢者や薬に抵抗のある方にも使いやすい薬として広がりました。

1か月(30日)処方された場合の薬価は?自己負担額はどれくらい?

1か月(30日)処方された場合の薬価は?自己負担額はどれくらい?

A. 2023年時点の薬価は以下の通りです。

  • ロゼレム錠8mg(先発品):41.1円/錠
  • 後発品:18.9~22.8円/錠

30日間使用した場合の薬剤費:

製品名薬価合計(30日)自己負担額(3割)
ロゼレム錠8mg(先発)約1,233円約370円
ラメルテオン錠(後発)約567〜684円約170〜205円

※別途、診察料・調剤料などがかかります。

ロゼレムは飲んでどれくらいで効く?効果はどれくらい続く?

作用発現時間:服用後30分〜1時間ほどで眠気が現れ始めます

効果の持続時間:おおよそ4〜5時間程度とされています

ただし、即効性よりも継続使用によるリズム改善が中心の薬なので、「何日か使い続けることで寝つきが安定する」ケースが多いです。

妊娠中でもロゼレムは使える?

妊娠中は基本的に慎重に扱うべき薬です。
ラットの動物実験では胎児への影響(横隔膜の異常など)が報告されています。

そのため、**妊娠中の使用は「医師が有益性が上回ると判断した場合に限る」**とされており、自己判断での使用は避けましょう。

授乳中にロゼレムを飲んでも大丈夫?

授乳中の使用も注意が必要です。
動物実験では母乳中への薬の移行が確認されており、人での詳細なデータは不明です。

そのため、医師の判断のもとで、

  • 授乳を中断する
  • 他の薬に切り替える

などの対応が検討されます。自己判断での使用は控えましょう。

子どもには使える?小児での使用はどうなっている?

ロゼレムは小児への使用は原則として想定されていません。

思春期のホルモンバランスや脳発達に影響を及ぼす可能性も否定できないため、医師の判断で慎重に検討されます。

小児を対象とした十分な臨床試験が行われておらず、安全性が確立されていません。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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