水虫にラミシールは1日1回でOK?効果的な塗り方と使う期間

水虫にラミシールは1日1回でOK?
効果的な塗り方と使う期間

水虫で『ラミシール』を塗っています。

1日1回でOK・3種類の剤形から選べて使いやすい

ラミシールはオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

ラミシール(テルビナフィン塩酸塩)とは

ラミシール®は、アリルアミン系という種類の外用抗真菌薬で、有効成分はテルビナフィン塩酸塩です。水虫(足白癬)をはじめ、白癬や皮膚カンジダ症、癜風(でんぷう)といった、かゆみ・皮むけ・赤みを伴う皮膚真菌症の治療に広く使われています。

剤形は以下の3つ:

  • クリーム
  • 外用液(ローション)
  • スプレー

いずれも1日1回の塗布で十分な効果が得られるのが特長です。


アリルアミン系とは?

「アリルアミン系」とは、抗真菌薬の分類のひとつです。以下のような特徴があります:

  • 真菌(カビ)の細胞膜を作るために必要な「エルゴステロール」という成分の合成を妨げます。
  • 特に「スクアレンエポキシダーゼ」という酵素を狙ってピンポイントでブロックする薬です。
  • その結果、カビの増殖を抑えたり、高濃度では殺菌作用も発揮します。

製品の特徴

■ ラミシールの開発背景

スイスのサンドファーマ社(現ノバルティス社)が、既存の抗真菌薬ナフチフィンよりも効果が強く、持続性がある薬を目指して開発。

  • 1980年:海外で基礎研究開始
  • 1993年:クリーム剤、日本で承認
  • 1997年:液剤、2003年:スプレー剤 承認
  • 2016年より、販売はサンファーマ株式会社が担当

■ 独自の作用メカニズム

  • 真菌の細胞膜の材料「エルゴステロール」の合成を妨げる
  • スクアレンエポキシダーゼ」という酵素をブロック

→ カビの成長を止め、高濃度では殺菌も可能

■ 皮膚に長くとどまる(貯留性が高い)

  • ヒトの角質層のケラチンと強く結びつく(結合率:73〜98%)
  • 1日1回の塗布で、長時間効果が持続します

効能・効果(保険適用)

対象となる病気:

  • 白癬
    • 足白癬(いわゆる水虫)
    • 体部白癬(胴体や腕など)
    • 股部白癬(いんきんたむし)
  • 皮膚カンジダ症
    • 指の間のただれ(指間びらん症)
    • こすれた部分の湿疹(間擦疹)
  • 癜風(でんぷう)
    • マラセチア菌による皮膚の色むらやシミ

臨床試験データ(効果・有効性)

国内フェーズ II 試験(白癬33例)

  • 足白癬:81.8%
  • 体部白癬:91.7%
  • 股部白癬:90.0%

国内二重盲検試験(白癬・カンジダ症・癜風/315例)

  • 1日1回 vs 2回塗布で、有意差なし → 1日1回の使用で十分

国内フェーズ III 試験(比較対照薬:ビフォナゾール1%クリーム/544例)

  • 足白癬:ラミシール群 73.2% vs ビフォナゾール群 74.2%
  • 体部白癬:ラミシール 81.6% vs ビフォナゾール 77.3%
  • 股部白癬:ラミシール 92.1% vs ビフォナゾール 74.3%

一般臨床試験(最長7週間/176例)

  • 足白癬:75.8%
  • 体部白癬:96.3%
  • 股部白癬:93.8%
  • カンジダ症:最大100%
  • 癜風:90.9%

用法・用量(使い方)

  • 1日1回、患部より少し広めの範囲に薄く塗る/噴霧する
  • 塗る前に洗って乾かすとより効果的
  • 症状が改善しても2週間程度は続けて使用することが再発予防に重要

※目や粘膜には使わない(誤って入った場合はすぐに洗い流す)


禁忌(使えない人)

  • ラミシール成分にアレルギーのある人

飲み合わせ・併用の注意点

  • 外用薬なので、全身への吸収はほとんどなく飲み薬との相互作用は基本的に心配不要
  • ただし以下は注意:
    • ステロイドや保湿剤と併用する場合は時間をずらす
    • 内服のテルビナフィン錠と併用する場合は医師に相談を

副作用とその頻度

8,910例中161例(1.8%)に副作用が報告されています。

症状頻度(全体に対して)
接触皮膚炎0.9%
かゆみ(そう痒)0.4%
発赤(赤み)0.4%
刺激感0.4%

※他に、湿疹・色素沈着・皮膚の乾燥などがまれにありますが、多くは中止で改善します。


まとめ

  • ラミシールは水虫治療の定番薬
  • 真菌の酵素をピンポイントでブロックするアリルアミン系
  • 1日1回でOK・3種類の剤形から選べて使いやすい
  • 副作用は比較的少なく、安全性も高い
  • 後発品なら1gあたり約9.5円とコストも抑えられる

参考文献・出典

PMDA医薬品医療機器総合機構「医療用医薬品添付文書」
 → 最新の添付文書(2024年7月改訂 第2版)
 https://www.pmda.go.jp

KEGG DRUG:D02219(テルビナフィン塩酸塩)
 → 分子構造・薬理情報・ATCコードなど収録
 https://www.kegg.jp

医中誌、PubMedで「terbinafine topical」「pregnancy」「safety」「children」などのキーワードで検索

「皮膚真菌症診療ガイドライン」日本皮膚科学会発行

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の抗真菌薬に比べて、ラミシールの強みは何ですか?

ラミシールはアリルアミン系抗真菌薬で、イミダゾール系やアゾール系とは作用機序が異なります
真菌細胞膜の合成に必要なスクアレンエポキシダーゼを選択的に阻害することで、低濃度で増殖を抑え、高濃度では殺菌作用を示します。

同じ皮膚真菌症治療薬と比較しての強みは:

臨床試験でも他剤に劣らぬ、あるいは優れる有効率が示されています

皮膚への高い貯留性(ケラチンへの吸着率73〜98%)

1日1回の使用で効果が持続

広範囲な抗真菌スペクトル(白癬菌・カンジダ・癜風菌)

ラミシール(外用剤)の先発薬が発売されたのはいつですか?

日本では以下の通り承認・発売されています:

  • ラミシールクリーム:1993年7月承認
  • ラミシール外用液:1997年3月承認
  • ラミシール外用スプレー:2003年3月承認

もともとはスイスのサンドファーマ社が開発し、国内ではノバルティスを経て2016年からサンファーマ社が販売しています。

1か月(30日)分処方された場合の薬価と自己負担額の目安は?

先発薬(サンファーマ製ラミシール)の薬価は:

  • 18.5円/g・mL

1日1回、約1g使用すると仮定すると:

  • 30日分で約555円(18.5円×30g)

自己負担(3割負担)の場合:

  • 約167円

なお、後発品では9.5〜13円/gの製品もあり、コストをさらに抑えることが可能です。

作用発現時間と持続時間はどれくらいですか?

ラミシールは塗布後、皮膚内に速やかに浸透します。

作用持続時間:皮膚のケラチンに強く吸着する性質により、1日1回の塗布でも効果が持続します(良好な皮膚貯留性)

作用発現時間:個人差はありますが、数日〜1週間以内にかゆみの軽減や赤みの改善がみられることが多いです

妊娠中でもラミシールは使えますか?

【使用は慎重に】

  • 妊娠中の使用に関する十分な臨床データはありません
  • 添付文書では「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ使用」とされています

動物実験で弱い光毒性が認められている報告もあり、特に妊娠初期の使用には注意が必要です。
自己判断での使用は避け、必ず医師に相談を。

授乳中にラミシールは使えますか?母乳への影響は?

【基本的には使用可能ですが注意が必要です】

  • 外用薬であるため、全身への吸収はごくわずか
  • 母乳中への移行に関する報告は少ないが、リスクは低いと考えられています

ただし:

  • 乳房への塗布は避けること
  • 赤ちゃんが触れる部位への使用には注意

授乳中でも使えるケースは多いですが、医師・薬剤師と相談のうえでの使用をおすすめします。

子どもにも使えますか?使用時の注意点は?

【原則として使用可能。ただし年齢や症状に応じた配慮が必要です】

  • 添付文書では新生児や低出生体重児を対象とした臨床試験は実施されていません
  • 一般的な年齢の小児には医師の指導のもとで使われることが多く、小児に対する重大な副作用の報告は稀

注意点:

保護者の目の届くところで、適切な量を1日1回塗布する

目や口に入らないようにする

広範囲への使用は避ける