ジェニナックは強い抗生物質?

抗生物質オーグメンチンとは?
効く病気・飲み方・注意点まとめ

扁桃炎が再発して『ジェニナック』が処方されました

ジェニナック錠200mgは、キノロン系の飲み薬の抗菌薬(抗生物質)です。

1日1回の服用で十分な薬の量が体内で保たれやすいように設計されています。

耐性菌(薬が効きにくくなった菌)の発生を防ぐため、原則として感受性

(その菌に薬が効きそうかどうか)を確認し、必要最小限の期間だけ使うことが大切です

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。



「ジェニナック錠」とは

ジェニナック錠200mgは、キノロン系の飲み薬の抗菌薬(抗生物質)です。
有効成分はメシル酸ガレノキサシン水和物(ガレノキサシン)
です。

この薬は、細菌が増えるために必要な酵素である
DNAジャイレーストポイソメラーゼIVの働きを妨げ、細菌を死滅させるように作用します。
つまり、細菌を増えにくくするだけでなく、殺菌する方向にはたらく薬です。

一方で、かぜの原因の多くを占めるウイルスには効果がありません。
そのため、すべてののどの痛みやせきに使う薬ではなく、細菌感染が疑われる場合に使われる抗菌薬です。


「ジェニナック錠」の特徴

ジェニナックの有効成分であるガレノキサシンは、1996年に富山化学(現在の富士フイルム富山化学)で創製されたキノロン系抗菌薬です。

呼吸器や耳鼻科の感染症を意識して開発された薬

この薬は、のど・気管支・肺・耳・副鼻腔などの感染症に関係する細菌に対して、幅広く作用することが期待されて開発されました。
特に、肺炎球菌の中でも、ほかの抗菌薬が効きにくい多剤耐性肺炎球菌に対して、強い抗菌活性が示されています。

従来のキノロン系とは少し異なる構造を持つ

ジェニナックは、従来のフルオロキノロン系抗菌薬で重視されてきた構造とは一部異なる特徴を持っています。
専門的な化学構造の違いまで覚える必要はありませんが、既存のキノロン系とは少し性質の異なる薬として開発されたことがポイントです。

1日1回で使いやすいように設計されている

薬の体内での動きにも特徴があります。
ジェニナックは、1日1回の服用で十分な薬の量が体内で保たれやすいように設計されています。

ここで出てくるAUCとは、簡単にいうと薬が体の中でどれくらいしっかり効く量に達しているかを示す目安です。
ジェニナックはこのAUCが大きく、さらに感染している組織へ移行しやすいことも特徴とされています。

承認までの流れ

臨床試験の結果から、のど・気管支・肺・耳・副鼻腔の感染症に対する有効性と安全性が確認され、

2007年7月に製造販売承認を取得しました。


効能・効果

ジェニナック錠200mgの効能・効果(適応症)は、次の感染症です。

  • 咽頭・喉頭炎
  • 扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)
  • 急性気管支炎
  • 肺炎
  • 慢性呼吸器病変の二次感染
  • 中耳炎
  • 副鼻腔炎

どんな菌が対象になるのか

この薬は、使える感染症だけでなく、どの菌に効くか(適応菌種)も決められています。

対象となるのは、ガレノキサシンに感性のある、たとえば次のような菌です。

  • ブドウ球菌属
  • レンサ球菌属
  • 肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)
  • インフルエンザ菌
    など

実際には、ほかにも対象菌が定められていますが、詳しい菌種は添付文書に基づいて判断されます。

ポイント:抗菌薬は「必要なときだけ」使うことが大切

添付文書には、耐性菌(薬が効きにくくなった菌)の発生を防ぐため、原則として感受性

(その菌に薬が効きそうかどうか)を確認し、必要最小限の期間だけ使うことが大切と書かれています。

抗菌薬は便利な薬ですが、長く使えばよいわけではありません
本当に必要なときに、必要な期間だけ使うことが重要です。


有効性(臨床試験データ)

臨床試験では、国内・海外の第II相試験、第III相試験で、1日1回400mg投与した場合の有効性が調べられています。
試験ごとに評価のタイミングは異なりますが、疾患別の有効率が報告されています。

国内の主な有効率(有効例数/評価対象例数)

  • 咽頭・喉頭炎:85.0%(17/20)
  • 扁桃炎:95.2%(20/21)
  • 急性気管支炎:95.5%(21/22)
  • 細菌性肺炎:97.0%(227/234)
  • マイコプラズマ肺炎:100%(22/22)
  • クラミジア肺炎:92.3%(12/13)
  • 慢性呼吸器病変の二次感染:88.0%(139/158)
  • 中耳炎:87.2%(41/47)
  • 副鼻腔炎:92.0%(23/25)

菌が消える割合(菌消失率)も確認されている

感染症では、症状が良くなることに加えて、原因となる菌が消えるかどうかも大切です。
ジェニナックでは、菌消失率も確認されています。

たとえば、肺炎球菌では国内で100%(122/122)

多剤耐性肺炎球菌でも国内で100%(81/81)という結果が示されています。
ただし、これは試験に参加した症例の中での結果
であり、

実際の治療効果は患者さんの状態や菌の種類によって異なります。


用法・用量

基本の飲み方は比較的シンプルです。

基本の飲み方

通常、成人ではガレノキサシンとして1回400mgを1日1回、口から服用します。

ジェニナック錠200mgは1錠あたり200mgなので、通常量では2錠で400mgになります。

量の調整が必要になることがある方

ただし、次のような方では注意が必要です。

  • 低体重(40kg未満)
  • 高度の腎機能障害がある
  • 透析は受けていない
  • Ccr 30mL/min未満

このような場合には、低用量(200mg)の使用が望ましいとされています。

ここでいうCcrは、腎臓がどのくらい老廃物を排泄できるかをみる目安です。
腎機能が低下していると、薬が体に残りやすくなることがあります。

飲み忘れ・自己中断について

抗菌薬は、症状が少し良くなったからといって自己判断で中止しないことが大切です。
途中でやめると、治りきらないだけでなく、耐性菌が生まれやすくなる原因にもなります。

飲み方や飲み忘れ時の対応は、処方時の説明に従ってください。


使用できない方(禁忌)

次の方は、ジェニナックを使用できません。

  • ジェニナックの成分、または他のキノロン系抗菌薬で過敏症(アレルギー反応)を起こしたことがある方
  • 妊婦、または妊娠している可能性がある方
  • 小児(子ども)

授乳中の方

授乳中の方については、添付文書で授乳しないことが望ましいとされています。
これは、薬が母乳へ移行することが確認されているためです。

授乳中の方、妊娠の可能性がある方は、必ず事前に医師・薬剤師へ相談してください。


使い合わせに注意が必要な薬(併用注意)

ジェニナックは、ほかの薬やサプリメントとの飲み合わせにより、効き目が弱くなったり、

副作用が出やすくなったりすることがあります。
代表的なものを整理すると、次の通りです。

制酸薬・ミネラル入りビタミン剤

アルミニウム/マグネシウム/カルシウム/鉄/亜鉛を含む薬やサプリメント

→ ジェニナックと一緒に飲むと、薬の吸収が落ちて効き目が弱くなる可能性があります。
そのため、ジェニナック服用後2時間以上あけるなどの注意が必要です。

抗不整脈薬

クラスIA抗不整脈薬(キニジン、プロカインアミドなど)
クラスIII抗不整脈薬(アミオダロン、ソタロールなど)

QT延長などの不整脈に注意が必要です。
QT延長とは、心電図の変化によって危険な不整脈が起こりやすくなる状態のことです。

一部のNSAIDs(痛み止め)

ジクロフェナク、ロキソプロフェンなど

けいれんが起こることがあるとされています。

テオフィリン

喘息などで使われる薬です。

→ テオフィリンの血中濃度が上がり、吐き気、頭痛、不整脈、けいれんなどの

中毒症状が出やすくなることがあります。

ワルファリン

血液を固まりにくくする薬です。

→ ワルファリンの作用が強まり、出血しやすくなるおそれがあります。

血糖降下薬

グリメピリドなど

→ 一緒に使うと、低血糖など血糖値の異常に注意が必要です。

副腎皮質ホルモン(ステロイド)

プレドニゾロン、ヒドロコルチゾンなど

腱障害のリスクが高まる可能性があります。
腱障害とは、アキレス腱などに痛みや炎症が起こったり、まれに切れたりする副作用です。

ニトログリセリン/硝酸イソソルビド

→ 一緒に使うことで、血圧が下がりやすくなる可能性があります。

大切なポイント

ここに書かれていない薬でも注意が必要なことがあります。
処方薬、市販薬、サプリメントを含めて、今使っているものは必ず医師・薬剤師に伝えてください。


副作用と発生頻度

承認時までの国内臨床試験での頻度(目安)

承認時までの国内臨床試験では、安全性評価対象702例のうち、

  • 副作用あり:18.8%(132例)
  • 臨床検査値異常あり:30.1%(211例)

と報告されています。

ここでいう臨床検査値異常とは、血液検査などで数値の変化がみられたものを含みます。
症状として自覚しない場合もあります。

比較的よくみられた副作用(例)

承認時までのデータでは、次のような副作用がみられました。

  • 下痢:3.28%(23/702)
  • 頭痛:1.71%(12/702)
  • 軟便:1.42%(10/702)
  • 悪心(吐き気):1.00%(7/702)

よくみられた検査値異常(例)

血液検査では、特に肝機能に関係する数値の上昇が報告されています。

  • ALT(GPT)増加:10.40%(72/692)
  • AST(GOT)増加:8.38%(58/692)
  • アミラーゼ増加:4.23%(29/685)

ALTやASTは、肝臓の状態をみる代表的な検査値です。
これらが上がると、肝臓に負担がかかっている可能性があります。

重大な副作用(頻度は不明だが要注意)

頻度は不明でも、起きた場合には早めの対応が必要な副作用があります。
添付文書では、主に次のようなものが挙げられています。

  • ショック、アナフィラキシー
  • 重い皮膚症状(SJS/TEN、多形紅斑)
  • QT延長など重い不整脈
  • 劇症肝炎など重い肝障害
  • 低血糖/高血糖
  • 偽膜性大腸炎
  • けいれん
  • 精神症状(幻覚、せん妄など)
  • 間質性肺炎
  • 急性腎障害
  • 大動脈瘤・大動脈解離
  • 末梢神経障害(しびれなど)
  • 腱障害(アキレス腱炎、腱断裂など)

こんな症状が出たら早めに受診を

次のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。

  • 呼吸が苦しい、全身にじんましんが出る、顔や唇が腫れる
    → アレルギー反応の可能性があります。
  • 強い発疹、水ぶくれ、目の充血
    → 重い皮膚障害の可能性があります。
  • 動悸、めまい、失神
    → 不整脈の可能性があります。
  • 強い腹痛、血便、ひどい下痢
    → 偽膜性大腸炎などの可能性があります。
  • 胸・背中・お腹の突然の強い痛み
    → 大動脈瘤や大動脈解離の可能性があります。
  • アキレス腱などの痛みや腫れ
    → 腱障害の可能性があります。

まとめ

ジェニナック錠200mgは、キノロン系の内服抗菌薬で、のど・気管支・肺・耳・副鼻腔などの感染症に使われます。

この薬のポイント

重い副作用はまれでも、気になる症状があれば早めに相談することが大切です。

1日1回投与で治療しやすい薬です。

臨床試験では、呼吸器感染症や耳鼻咽喉科領域の感染症で有効率が示されています。

妊婦、小児、キノロン系抗菌薬でアレルギーを起こしたことがある方には使えません。

制酸薬やミネラル製剤、抗不整脈薬、テオフィリン、ワルファリン、血糖降下薬など、

飲み合わせに注意が必要です。

比較的よくみられる副作用は、下痢、頭痛、軟便などです。

血液検査では、肝機能の数値上昇がみられることがあります。

参考文献・出典

  • ・厚労省
  • 抗微生物薬適正使用の手引き
  • ・日本感染症学会
  • 抗菌薬使用指針
  • ・添付文書(PMDA)
  • 最重要情報源
  • ・UpToDate
  • 臨床医向け
  • ・WHO抗菌薬分類
  • 論文
  • Lancet
  • CID
  • JAMA

よくある質問(Q&A)


ジェニナックは、同じ系統の抗生物質と比べてどこが強みですか?

わかりやすくいうと、1日1回で使いやすく、呼吸器や耳・鼻の感染症で使いやすいこと

そして球菌の中でも耐性菌に強いデータがあることが大きな特徴です。添付文書・インタビューフォームでは、呼吸器・耳鼻咽喉科領域の主要な原因菌に広く作用し、多剤耐性肺炎球菌にも強い抗菌活性が示されています。さらに、AUCが大きく組織移行が良いため、1日1回投与でも薬がしっかり届く設計です。

比較するときのイメージ

  • ジェニナック:1日1回で使いやすい。肺炎球菌、とくに耐性菌を意識したい場面で特徴がある。
  • レボフロキサシン:広く使われているが、ジェネリックも多く価格面では有利なことが多い。
  • アベロックス(モキシフロキサシン):同じく1日1回だが、薬価はジェニナックより高い。
  • グレースビット、ラスビックなど:それぞれ特徴はあるが、価格や適応、使い分けは異なる。

つまり、「呼吸器・耳鼻科で、1日1回で、耐性肺炎球菌も意識したい」という点が、

ジェニナックのわかりやすい強みです

ジェニナックの先発薬はいつ発売されましたか?

ジェニナック錠200mgの販売開始は2007年10月です。アステラス製薬の発売案内でも、2007年10月5日国内新発売と案内されています。

30日分処方された場合の薬代の目安は?

ジェニナック錠200mgの薬価は1錠139.4円です。

通常量は1回400mgを1日1回なので、200mg錠なら1日2錠です。

30日分では60錠になり、薬剤費は8,364円が目安です。

自己負担の目安(薬剤費のみ)

  • 3割負担:約2,509円
  • 2割負担:約1,673円
  • 1割負担:約836円

なお、ジェニナックは通常、のど・気管支・肺・中耳炎・副鼻腔炎などの感染症に使う薬なので

30日処方は実際にはあまり一般的ではありません

実際の支払い額は、これに診察料・処方せん料・調剤料などが加わります。

効き始めるまでの時間は?どのくらい持続する?

体の中の動きでみると、健康成人に400mgを1回飲んだとき、

血中濃度が最大になるまでの時間(Tmax)は平均1.58時間でした。

つまり、飲んで1〜2時間くらいで血中ではしっかり上がってくる薬です。

また、半減期は約12.4時間で、1日1回投与が基本です。

これは、1回飲むと24時間単位で効きやすい設計と考えてよいです。

ただし、症状が楽になるまでの時間は別です。熱、のどの痛み、せき、痰などの改善は、

感染症の種類や重さによって違います。

血中では早く上がりますが、体感としては1〜数日かけて改善をみることが多いです。

妊娠中でも飲める?

使えません。

添付文書では、妊婦または妊娠している可能性のある女性は禁忌(使ってはいけない)

とされています。

理由として、キノロン系抗菌薬では、成長期の関節や軟骨への影響が問題になることがあり、

妊娠中は安全性を優先して避ける薬とされています。

妊娠中や妊娠の可能性がある場合は、自己判断で飲まず、必ず医師に申告してください。

授乳中は飲める?

添付文書では、授乳しないことが望ましいとされています。

理由は、ヒト母乳中へ移行することが認められているためです。

つまり、

  • 母乳には移る
  • そのため授乳中は慎重に判断が必要
  • 使うなら、授乳を続けるかどうかも含めて医師と相談
    という薬です。

「絶対に使えない」とまでは書かれていませんが、

そのまま気軽に飲んでよい薬ではありません。

子どもに使える薬?

使えません。

添付文書では、小児等には投与しないこととされています。

小児を対象とした臨床試験は行われておらず、動物実験では関節軟骨障害が認められています。

そのため、子どもの感染症では、年齢や体重に合わせて別の抗菌薬が選ばれるのが一般的です。

ジェニナックは「強い抗生物質」ですか?

「強い」という言い方は少しあいまいですが、少なくともジェニナックは、

呼吸器や耳鼻科の感染症で、原因菌に対してしっかり効くよう設計されたキノロン系抗菌薬です。

とくに、多剤耐性肺炎球菌にも強い抗菌活性が示されている点は特徴です。

ただし、強い薬=誰にでも一番よい薬ではありません。副作用、飲み合わせ、妊娠中かどうか、

子どもかどうかなどで向き不向きがあり、医師が感染部位や原因菌を考えて選ぶ薬です。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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