のどの痛みや膀胱炎に出された「アモキシシリン」ってどんな薬?

のどの痛みや膀胱炎に出された薬
「アモキシシリン」ってどんな薬?

扁桃腺炎があるので『アモキシシリン』使えますか?

アモキシシリンは、
・肺炎球菌など呼吸器系の菌に比較的強い
・胃酸に強く、飲み薬で使いやすい
・ピロリ除菌に使える
という特徴があります。

感染症(ピロリ菌除去除く)で必要な場合は

アモキシシリンはオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。


アモキシシリン(サワシリン®)とは

  • 薬の種類:合成ペニシリン系抗菌薬(こうきんやく)
  • 一般名:アモキシシリン水和物(Amoxicillin Hydrate)

働き(作用機序)

細菌の細胞壁を作る働きをじゃまして、細菌をこわして退治します(殺菌的に作用)

特徴

  • 抗菌力はアンピシリンとほぼ同じですが、肺炎球菌(はいえんきゅうきん)にはやや強いとされています。
  • アモキシシリンは「細菌」に効く薬で、かぜ(ウイルスが原因)には基本的に効きません

アモキシシリンの特徴

  • 日本では1970年代から使用されており、長い実績があります。
  • 日医工のアモキシシリンでは:
    • 1977年:承認取得
    • 1981年:販売開始
    • 2003年:品質再評価をクリア
    • 2004年以降:ピロリ菌除菌への適応が追加
    • 2011年:小児用量への対応として125mgカプセル承認

昔からある薬ですが、ピロリ除菌などの新たな使い方が段階的に整備されてきた薬でもあります。


効能・効果(何に効く?)

適応菌種(効きやすい菌)

アモキシシリンがよく効く細菌:

  • ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属
  • 淋菌(りんきん)、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌
  • ピロリ菌、梅毒トレポネーマ など

適応症(主な病気)

部位別にわけて紹介します。

皮膚

  • 表在性皮膚感染症
  • 深在性皮膚感染症
  • 慢性膿皮症
  • 外傷・熱傷・手術創の二次感染 など

耳鼻科・呼吸器

  • 咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎
  • 肺炎、中耳炎、慢性呼吸器病変の二次感染 など

泌尿器

  • 膀胱炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)
  • 前立腺炎、精巣上体炎(せいそうじょうたいえん) など

婦人科

  • 子宮内感染、子宮付属器炎 など

眼科・歯科

  • 涙嚢炎(るいのうえん)、麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
  • 歯周炎、歯冠周囲炎、顎炎(がくえん) など

その他

  • 骨髄炎(こつずいえん)、猩紅熱(しょうこうねつ)、梅毒、淋病など

ピロリ菌関連

  • 胃潰瘍(いかいよう)・十二指腸潰瘍におけるピロリ感染
  • 胃MALTリンパ腫
  • 免疫性血小板減少症
  • 早期胃がん内視鏡治療後のピロリ除菌補助
  • ピロリ感染胃炎(ピロリ陽性+内視鏡診断が条件)

有効性(ピロリ除菌の成功率)

アモキシシリンは単独ではなく3剤併用で使用されます。

3剤併用療法の例:

  • アモキシシリン+クラリスロマイシン+胃酸を抑える薬(PPIなど)

除菌率(国内データ)

ランソプラゾール併用:

  • 胃潰瘍
     クラリスロマイシン200mg:87.5%
     クラリスロマイシン400mg:89.2%
  • 十二指腸潰瘍
     クラリスロマイシン200mg:91.1%
     クラリスロマイシン400mg:83.7%

オメプラゾール併用:

  • 全体平均:78.8%(胃潰瘍75.9%、十二指腸潰瘍81.8%)

※耐性菌(クラリスロマイシンが効かない菌)があると除菌率が下がるため、2次除菌(薬の組み合わせ変更)が行われることもあります。


用法・用量(飲み方)

自己判断せず、医師の指示通りに

以下は添付文書に基づく標準的な投与法です。


1)感染症(ピロリ菌を除く)

成人:

  • 1回 250mg、1日3〜4回内服
    (年齢・症状で増減)

小児:

  • 1日 20〜40mg/kg を3〜4回に分けて内服
    (最大:90mg/kg/日まで)

腎臓が悪い方では量の調整や間隔の延長が必要になります。


2)ピロリ菌感染症(成人)

① 1次除菌(7日間)

  • アモキシシリン:750mg
  • クラリスロマイシン:200mg(必要に応じて増量)
  • PPI(胃酸を抑える薬):規定量
    → 上記3剤を1日2回、7日間内服

② 1次除菌が失敗したとき(2次除菌)

  • アモキシシリン:750mg
  • メトロニダゾール:250mg
  • PPI:規定量
    → 同じく1日2回、7日間内服

除菌判定(13C-尿素呼気試験)に関して

治療終了4週間以上経過してから行うのが望ましいとされています。服薬中や直後は、偽陰性(誤って陰性と出る)になりやすいためです。



使用できない方(禁忌)

  • アモキシシリンに過敏症(アレルギー)歴のある方
  • 伝染性単核症の方(発疹のリスク↑)

注意が必要な方

以下のような方は医師へ伝え、用量調整や経過観察が大切です。

  • ペニシリン系/セフェム系抗生物質にアレルギーがある
  • アレルギー体質
  • 腎臓が悪い方
  • 妊婦・授乳中の方
  • 高齢者

飲み合わせに注意が必要な薬(相互作用)

  • ワルファリン(血が止まりにくくなる)
  • 経口避妊薬(ピル)(効果が弱くなる可能性)
  • プロベネシド(アモキシシリンの血中濃度↑)
  • メトトレキサート(副作用が出やすくなる)

市販薬やサプリも含めて、すべての薬を医師・薬剤師に共有しましょう。


副作用とその頻度

よくみられる副作用

  • 下痢、吐き気、嘔吐、腹痛、食欲不振
  • 発疹(0.1〜5%未満)
  • ピロリ除菌時は下痢15.5%、軟便13.5%

重大な副作用(すぐ受診が必要)

  • ショック/アナフィラキシー(息苦しさ、赤み、じんましん など)
  • 重い皮膚障害(スティーブンス・ジョンソン症候群、TENなど)
  • 血液障害(発熱、のどの痛み、出血)
  • 肝障害(黄疸、だるさ、尿が濃い)
  • 腎障害(尿が少ない、むくみ)
  • 大腸炎(腹痛、血便)
  • 間質性肺炎、好酸球性肺炎(咳、息切れ)
  • 無菌性髄膜炎(頭痛、吐き気、首のこわばり)

まとめ

  • アモキシシリン(サワシリン®)は、細菌に効く抗生物質です。
  • 幅広い感染症やピロリ除菌に使われます。
  • ピロリ除菌は3剤併用で7日間(1次/2次除菌)
  • アレルギー歴や飲み合わせには要注意
  • 下痢や発疹はよくある副作用、重症例はすぐ受診を

不要な抗菌薬の使用を避け、必要なときに正しく使うことが治療成功と「耐性菌(薬の効かない菌)」対策につながります。

参考文献・出典【公的機関・添付文書】

  • PMDA(医薬品医療機器総合機構)
  • 健康保険適用情報(保険診療での位置づけ確認)
  • 3剤除菌のガイドライン(日本ヘリコバクター学会)

【医学論文】

  • ピロリ菌除菌療法の有効性の国内臨床試験報告
  • クラリスロマイシン耐性菌の除菌率への影響

特にピロリに関しては
日本ヘリコバクター学会ガイドラインが信頼できます。

よくある質問(Q&A)


この薬はどんな薬ですか?

細菌に感染した時に使う抗生物質です。
皮膚、のど、肺、歯、尿路など幅広い細菌に効き、ピロリ菌の除菌にも使われます。
ただし、かぜ(ウイルス)には効きません。

抗生物質は全部同じでは?何が違うの?

抗生物質は「何に効くか」「どこに届くか」「副作用」の違いがあります。
アモキシシリンは、
・肺炎球菌など呼吸器系の菌に比較的強い
・胃酸に強く、飲み薬で使いやすい
・ピロリ除菌に使える
という特徴があります。

この薬の同じ系統の既存薬に対する強みは?

アモキシシリンは ペニシリン系抗生物質 に分類されます。
代表的な近い薬は アンピシリン(ビクシリン®) です。

比較すると:

項目アモキシシリンアンピシリン
胃酸への耐性強い→内服で効きやすい弱い→吸収が不安定
吸収率高い(約75~90%)低め(約30~55%)
肺炎球菌に対する抗菌力やや強い標準
ピロリ除菌適応ありなし

つまりアモキシシリンは 飲み薬として安定しており、ピロリ除菌に必須なのが強みです。

先発薬はいつ発売されたの?

アモキシシリンの先発薬 「サワシリン®」は1974年に発売されています。
その後、ジェネリック(後発品)も広く普及しました。

1か月(30日)処方された場合の薬価と負担額は?

(例:アモキシシリン250mgカプセル)

薬価は 1カプセル 10.4円
標準的な成人量は 1回250mg × 1日3回 = 1日3カプセル

計算すると:

  • 1日:10.4円 × 3カプセル = 31.2円
  • 30日:31.2円 × 30 = 936円

自己負担額は:

  • 3割負担:約280円/月
  • 1割負担:約90円/月

かなり安価な薬で、継続治療でも負担は小さめです。
(※ピロリ除菌は7日間なので、この限りではありません)

作用が出るまでどれくらい?効果はどれくらい続く?

飲んで1~2時間で血中濃度がピークになります
・効果は 約6~8時間持続するため、
 添付文書では1日3~4回に分けて飲む形になっています

妊娠中でも飲めますか?

状況によります。
結論として:

  • 抗生物質の中では比較的安全性が高いとされています
  • ただし、自己判断では不可
  • 必要性がある場合に医師が選択します

海外の安全性分類では
FDA妊娠カテゴリーB(動物で問題なし、人では情報不足)に相当し、
妊娠中に使われることも珍しくありません。

注意点:

胎児よりも母体の感染リスクで処方が判断されることが多い

ウイルス性のかぜには効かないのでむやみに飲まない

授乳中でも飲めますか?

多くの場合は授乳を続けながら使用できます。

理由:

  • 母乳への移行量は少なく、乳児にも小児量として使用実績があるため

ただし注意点:

自己判断で授乳を中断しないことス性のかぜには効かないのでむやみに飲まない

赤ちゃんに 下痢・発疹 がみられることがあります

起こった場合は処方医または小児科へ相談

子どもも使えますか?

使えます。小児にもよく処方されます。
特に 中耳炎・扁桃炎・肺炎 などで使用されます。

注意点:

  • 体重で用量が決まる(mg/kg)
  • 最大量が決められている(90mg/kg/日まで)
  • 新生児・低出生体重児は経験不足のため慎重扱い

子ども向けには 細粒やドライシロップもあります。

抗生物質なのに風邪(ウイルス)には効かないの?

効きません。
風邪の原因はほとんどウイルスなので、
抗生物質=細菌を殺す薬 とは相性が悪いのです。

ただし例外として、風邪に続いて

  • 中耳炎
  • 肺炎
  • 副鼻腔炎

などの細菌感染が起きた場合に使われることがあります。

この薬で下痢しやすいって本当?

本当です。抗生物質は腸内の良い菌も減らすため、
下痢・軟便はそこそこ多い副作用です。

重症の下痢(血便など)は
偽膜性大腸炎(ぎまくせいだいちょうえん)の可能性があるため、
すぐ受診が必要です。

どんな薬とは一緒に飲まない方がいい?

注意が必要なのは:

  • ワルファリン(血が固まりにくくなる)
  • 経口避妊薬(ピルの効果が弱くなる)
  • プロベネシド(血中濃度が上がる)
  • メトトレキサート(副作用が強くなる)

市販薬・サプリも含め、必ず医師に申告しましょう。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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