抗生物質オーグメンチンとは?効く病気・飲み方・注意点まとめ
抗生物質オーグメンチンとは?
効く病気・飲み方・注意点まとめ

中耳炎が再発して『オーグメンチン』が処方されました

オーグメンチンは、細菌が作るβ-ラクタマーゼによる薬の分解を防ぎ、
アモキシシリンの効果を補うために作られた抗菌薬です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
クラブラン酸カリウム/アモキシシリン水和物配合(オーグメンチン)とは
オーグメンチンは、2つの成分を組み合わせた内服用の抗菌薬です。
- アモキシシリン(AMPC):ペニシリン系の抗菌薬で、細菌の細胞壁を作るはたらきを邪魔して、殺菌作用を発揮します。
- クラブラン酸(クラブラン酸カリウムとして配合):細菌が作る酵素「β-ラクタマーゼ」をおさえる働きを持つ成分です。この酵素は、抗菌薬を壊してしまう性質があるため、それを防ぐことでアモキシシリンの効果を助けます。
販売名には次のような製剤があります。
- オーグメンチン配合錠125SS
- オーグメンチン配合錠250RS
オーグメンチンの特徴
ペニシリン系やセフェム系の抗菌薬が効かなくなる理由のひとつに、「細菌がβ-ラクタマーゼという酵素を作り、薬を分解してしまう」ことがあります。
この問題への対策は主に2つあります。
- 酵素に壊されにくい薬を新しく作る
- 酵素そのものの働きを止める薬(阻害剤)を作る
クラブラン酸は、1974年にイギリスのビーチャム社(現在のグラクソ・スミスクライン社)で世界で初めて発見された、β-ラクタマーゼを阻害する成分です。
このクラブラン酸と、酵素によって壊されやすいアモキシシリンを組み合わせて開発されたのが、オーグメンチンです。
名前の由来も「増強する(Augment)」から来ています。
オーグメンチンの特長(わかりやすくまとめると)
- β-ラクタマーゼを作る菌にも効果が出やすくなる(単独のアモキシシリンより有利なことも)
- 広い種類の菌に対応できる(抗菌スペクトルが広い)
- 飲み薬としての吸収が良く、血液や尿の中にしっかり届く
- 混合感染(複数の菌が原因)で、一部の菌が薬を壊すようなケースにも対応しやすい
ただし、どんな感染にも効くわけではありません。
風邪などウイルス性のものには効かず、状況によっては別の抗菌薬の方が適している場合もあります。
効能・効果
対象となる菌(感受性がある菌)
- ブドウ球菌属
- 淋菌(りんきん)
- 大腸菌
- クレブシエラ属
- プロテウス属
- インフルエンザ菌
- バクテロイデス属
- プレボテラ属(ただしプレボテラ・ビビアを除く)
適応となる感染症
- 皮膚:表在性・深在性皮膚感染症、慢性膿皮症
- 耳・のど:咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎、中耳炎
- 呼吸器:急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染
- 尿路:膀胱炎、腎盂腎炎
- 性感染症:淋菌感染症
- 婦人科:子宮内感染、子宮付属器炎
- リンパ系:リンパ管炎、リンパ節炎
なお、咽頭炎や中耳炎、気管支炎などでは、抗菌薬が不要な場合もあります。
「抗微生物薬適正使用の手引き」などに沿って、使用の必要性を判断することが推奨されています。
有効性(臨床試験の結果)
日本国内で実施された臨床試験では、以下のような成績が示されています。
- 試験参加:延べ183施設
- 総症例:2797例
- 効果判定対象:2538例
- 有効と判定された例:1905例(82.9%)
細菌が消えたかどうか(細菌学的有効率)は83.8%(1665/1986)でした。
さらに、アモキシシリン単独と比較した試験では、皮膚感染症・呼吸器感染症・中耳炎・尿路感染などにおいて、オーグメンチンの方が成績が良いとされました。
この結果は、クラブラン酸によって「アモキシシリンが効きにくい状況で上乗せ効果が期待できる」という考えに一致しています。
用法・用量(のみ方)
大人の標準的な用量(添付文書より)
- オーグメンチン配合錠125SS:1回2錠、1日3〜4回、6〜8時間おきに飲む
- オーグメンチン配合錠250RS:1回1錠、1日3〜4回、6〜8時間おきに飲む
年齢や症状によって、医師が調整します。
腎臓の機能が悪い方では、薬が体にたまりやすいため、飲む間隔をあけるなどの調整が必要です。
腎臓に持病がある方は、診察時に必ず伝えてください。
飲み方や注意点(実際に服用する際に)
- 医師の指示された日数を勝手に短くしない(再発や耐性菌の原因になります)
- 飲み忘れたときは、処方元や薬剤師に相談しましょう(個別に判断が必要です)
使用できない人(禁忌)
次に当てはまる方は、原則としてこの薬を使えません。
- オーグメンチンの成分でアレルギーを起こしたことがある
- 伝染性単核症(発疹が出やすくなるため)
- この薬の成分で黄疸や肝障害を起こしたことがある
また、ペニシリン系・セフェム系でアレルギーを起こした方や、喘息・蕁麻疹(じんましん)体質の方は、事前に必ず申告してください。
飲み合わせに注意が必要な薬
以下の薬と一緒に使うと、効果や副作用に影響が出ることがあります。
- ワルファリン:血が止まりにくくなる(INRが上がる)ことがあります
- 経口避妊薬(ピル):効果が弱くなる可能性があります
- ミコフェノール酸モフェチル:免疫抑制薬の効果が弱くなる報告があります
- メトトレキサート:体にたまって毒性が出る可能性があります
- プロベネシド:アモキシシリンの血中濃度に影響を与える可能性があります
サプリメントや市販薬を含め、すべての薬を医師や薬剤師に伝えるようにしましょう。
副作用と発生頻度
副作用はどのくらい起こるか
調査では、合計18,183例中、3.22%(586例)に副作用が見られたと報告されています。
主なものは以下の通りです。
- 消化器症状(下痢、吐き気、腹痛など):2.12%
- 皮膚症状(発疹、蕁麻疹など):0.32%
- 肝機能検査値の異常:0.38%
- 血液検査異常(好酸球増加など):0.11%
特に注意が必要な副作用(重大な副作用)
重い副作用がまれに起こることがあります。次のような症状があれば、すぐに受診してください。
- ショックやアナフィラキシー(呼吸困難、冷汗、顔の腫れなど)
- 重い皮膚障害(スティーブンス・ジョンソン症候群やTENなど)
- 偽膜性・出血性大腸炎(強い腹痛や血便、水のような下痢が続く)
- 肝障害(黄疸、強いだるさ、濃い色の尿など)
- 急性腎障害
- 血液障害(血球が減るなど)
- 間質性肺炎・好酸球性肺炎(咳、息切れ、発熱)
- 無菌性髄膜炎(強い頭痛、発熱、意識の変化など)
- 胃腸炎症候群(投与後すぐの繰り返す嘔吐、小児で報告多い)
「いつもと違う強い症状」や「急な体調悪化」は、自分で判断せず、すぐに医師や救急に相談してください。
まとめ
オーグメンチンは、細菌が作るβ-ラクタマーゼによる薬の分解を防ぎ、アモキシシリンの効果を補うために作られた抗菌薬です。
皮膚、呼吸器、耳鼻科、尿路、婦人科の感染症などに使われますが、原因菌が効く(感受性がある)場合に限られます。
日本国内の試験では、有効率82.9%などの結果が出ており、アモキシシリン単独よりも効果が高いことが示されています。
副作用としては、消化器症状(下痢など)が多く、重いアレルギー反応や皮膚障害、腸炎などにも注意が必要です。
アレルギー歴や肝障害歴がある方は使用できず、ワルファリン、ピル、免疫抑制薬などとの併用には特に注意が必要です。
服薬中のことを医師にきちんと伝えることが大切です。を伝え、適切な診断のもと使用することが大切です。
参考文献・出典
- ・厚労省
- 抗微生物薬適正使用の手引き
- ・日本感染症学会
- 抗菌薬使用指針
- ・添付文書(PMDA)
- 最重要情報源
- ・UpToDate
- 臨床医向け
- ・WHO抗菌薬分類
- 論文
- Lancet
- CID
- JAMA
よくある質問(Q&A)
-
この薬の「強み」は?ほかの抗生物質と何が違う?
-
一番の強みは、「普通のペニシリンが効きにくい菌にも効きやすい」ことです。
多くの細菌は「βラクタマーゼ」という酵素を出して抗生物質を壊します。
オーグメンチンは- アモキシシリン(本体の抗生物質)
- クラブラン酸(酵素を止める成分)
を組み合わせています。
イメージ
普通の抗生物質:鍵
菌の酵素:鍵を壊すハンマー
クラブラン酸:ハンマーを止める人そのため
- アモキシシリン単独より効く範囲が広い
- 混合感染(複数の菌)に強い
- 呼吸器・皮膚・尿路など幅広く使える
というのが強みです。
逆に
・超耐性菌
・ウイルス(風邪など)
には効きません。
-
先発薬はいつ発売された薬?
-
世界での初登場は1981年頃(欧州)です。
日本では1980年代後半に登場しています。クラブラン酸自体は
1974年に英国で発見された、
世界初のβラクタマーゼ阻害剤です。つまり
「古いが、今でもよく使われる定番抗菌薬」
という位置づけです。
-
30日分処方された場合の薬代の目安は?
-
例:250RS錠
1回1錠 × 1日3回薬価:45.7円/錠
1日
45.7円 × 3 = 約137円30日
約4,110円(薬価ベース)自己負担の目安
3割負担:約1,230円
1割負担:約410円※実際は
・処方日数
・後発薬
・調剤料
で変動します。抗生物質は
通常5〜14日処方が多く
30日処方はまれです。
-
効き始めるまでの時間は?どのくらい持続する?
-
血中濃度ピーク
→約1.5時間後効果体感
→早い人で1〜2日
→通常2〜3日持続時間
→約6〜8時間そのため
1日3〜4回飲みます。重要
症状が良くなっても
途中でやめないこと
(耐性菌の原因)
-
妊娠中でも飲める?
-
原則
必要な場合は使用可
とされています。分類
比較的安全な抗菌薬ただし
・医師判断が必須
・自己判断で使用不可注意
一部研究で
前期破水時の予防投与で
新生児の腸炎リスク上昇
が示唆された報告あり通常の感染症治療では
大きな問題は報告少ないです。必ず
「妊娠中です」と
医師に伝えてください。
-
授乳中は飲める?
-
基本
授乳中でも使用可
とされています。母乳移行
→少量移行赤ちゃんへの影響
まれに
・下痢
・発疹注意
異常あれば受診通常は
授乳継続しながら
使用される薬です。
-
子どもに使える薬?
-
使われます。
むしろ
小児で非常に多い抗菌薬です。ただし
錠剤は
小児試験が少ないため- シロップ
- ドライシロップ
が使われます。
注意
小児でまれに
「薬剤誘発胃腸炎症候群」
(数時間後の嘔吐)
報告あり強い嘔吐があれば受診。
-
下痢になるって本当?
-
かなり多いです。
理由
腸内細菌が変わるため対策
・整腸剤併用
・水分補給受診目安
・血便
・強い腹痛
・止まらない下痢この場合
偽膜性大腸炎の可能性。
-
飲み合わせで危険な薬は?
-
特に重要
- ワルファリン
- メトトレキサート
- ピル
- 免疫抑制薬
必ず
服用中の薬は
全部申告。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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