アトピーで顔に塗れる薬が知りたい!ステロイドじゃない選択肢「プロトピック」とは?

アトピーで顔に塗れる薬が知りたい!
ステロイドじゃない選択肢「プロトピック」とは?

アトピー性皮膚炎に『プロトピック』が処方されました。

顔や首は、ステロイドを長期使用すると

皮膚が薄くなる(萎縮)や毛細血管の拡張が起こりやすいため、

プロトピックのような「皮膚萎縮を起こさない薬」は非常に有用です。

プロトピックはオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

プロトピック軟膏とは

プロトピック軟膏は、「タクロリムス水和物(すいわぶつ)」という成分を含む、
アトピー性皮膚炎のための“非ステロイド外用薬”です。

  • 一般名:タクロリムス水和物軟膏
  • 薬効分類:アトピー性皮膚炎治療剤(カルシニューリン阻害薬)

主な製剤:

  • プロトピック軟膏0.1%(主に成人用)
  • プロトピック軟膏0.03%小児用(2歳以上の小児向け)

ステロイド外用薬とは作用の仕組みが異なり、
「皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)」という副作用が出にくいのが大きな特徴です。
そのため、顔や首などステロイドを使いにくい部位でよく使われるお薬です。


プロトピック軟膏の特徴

もともとは「移植医療の免疫抑制剤」として開発

1984年、藤沢薬品(現在のアステラス製薬)が、
放線菌(ほうせんきん)Streptomyces tsukubaensisの代謝産物から、
新しいマクロライド系免疫抑制剤「タクロリムス」を見出しました。

当初は以下の目的で使われていました:

  • 腎移植・肝移植・心移植・肺移植・膵(すい)・小腸移植での拒絶反応の予防
  • 骨髄移植での拒絶反応および移植片対宿主病(GVHD)の抑制

このような飲み薬・注射薬(プログラフ)として開発され、
現在も日本を含む100か国以上で使用されています。

その後、経口剤として以下の疾患にも適応が広がりました:

  • 重症筋無力症(きんむりょくしょう)
  • 関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合)
  • ループス腎炎(腎えん)
  • 難治性(なんちせい)潰瘍性大腸炎(中等症~重症)
  • 多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎

皮膚のアレルギー反応を「ピンポイントで抑える」外用薬へ

タクロリムスは以下のような働きを持ちます:

  • T細胞(免疫細胞の一種)の働きを抑えることで、炎症を起こすサイトカイン(IL-2、IFN-γ、IL-4など)の産生を抑制
  • 肥満細胞からのヒスタミン放出を抑える
  • 好酸球やランゲルハンス細胞の働きも抑える

これらの作用から、アトピー性皮膚炎の炎症を抑える薬として適しているとされました。

【開発の流れ】

  • 1989年:外用剤(塗り薬)としての製剤研究が開始
  • 1999年6月:成人アトピー性皮膚炎に対して「プロトピック軟膏0.1%」が承認
  • 2003年7月:小児アトピー性皮膚炎に「プロトピック軟膏0.03%小児用」が承認
  • 2017年10月:販売承認がアステラス製薬からマルホへ移管

このようにして、皮膚に塗る免疫抑制薬として確立されました。


ステロイド外用薬との違い

非ステロイドなのに高い効果

プロトピック軟膏は、以下のような効果が認められています:

  • 顔・首では「中等度のステロイド」より高い効果
  • 体(手足・胴体)では「strongクラスのステロイド」と同等の効果
  • ステロイドで問題になる皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)が起こらない
  • 顔・首など、ステロイドを使いづらい部位に向いている

注意点

  • 使用初期にヒリヒリ感や熱感が出ることがある
  • 免疫を少し抑える薬なので、皮膚の感染症が出やすくなることがある
  • 長期的な発がんリスクについては:
    • 大規模調査で明らかなリスク増加は確認されていない
    • ただし、一部で悪性リンパ腫や皮膚がんの報告もあり、ゼロとは言いきれない

プロトピック軟膏の効能・効果

効能・効果(添付文書記載):アトピー性皮膚炎

ただし、次のようなケースでの使用に限られています:

  • ステロイド外用剤で効果が不十分
  • 副作用でステロイドが使いにくい
  • 医師がプロトピックがより適切と判断した場合

よく使われる部位の例

  • 顔・首などのデリケートな部位
  • ステロイドで皮膚が薄くなってしまった部位
  • 長期に炎症が続いている部位

(以下、続きます)
続きのリライト(有効性、使い方、副作用、禁忌など)は次のメッセージでお届けします。

以下は後半のリライトです(続き部分)。前半と同様のルール(構成変更なし・見出し追加・語句整理・仮名・やさしい言い換え)で整理しています。


有効性(臨床試験の結果)

顔面・頸部(顔や首)での効果

成人アトピー性皮膚炎の患者さんを対象に行われた試験で、

  • 顔・首にプロトピック軟膏0.1%を1日2回、1週間使用
  • 中等度の強さのステロイド外用薬と比較

したところ、

  • 「中等度改善」以上の改善率:97.3%(71/73例)
  • ステロイドよりも「効果の出る早さ」が早く、改善度も高い

という結果が得られました。

顔や首は、ステロイドを長期使用すると皮膚が薄くなる(萎縮)や毛細血管の拡張が起こりやすいため、
プロトピックのような「皮膚萎縮を起こさない薬」は非常に有用です。

体(胴体・手足)での効果

  • プロトピック軟膏0.1%を、1日2回・3週間塗布
  • 強め(strongクラス)のステロイド外用薬と比較

という試験では、

  • 「中等度改善」以上の改善率:93.6%(73/78例)
  • strongクラスのステロイドと同等の効果

が確認されました。

QOL(生活の質)の改善

かゆみや炎症が改善することで:

  • 夜ぐっすり眠れるようになる
  • 見た目の改善で、人前に出やすくなる

など、生活の質(QOL)の改善も報告されています。


用法・用量(使い方)

※ここでは成人向け「プロトピック軟膏0.1%」の一般的な使い方を説明します。
使用については、必ず医師の指示を優先してください。

基本的な使い方

  • 1日1~2回、患部に適量を薄く塗る
  • 1回あたり最大5gまで
  • 1日2回使用する場合は、12時間おきが目安

使用期間と中止の目安

  • 使用開始から2週間以内に改善がない場合は、いったん使用を中止して医師と相談
  • 症状が落ち着いたら、漫然と使い続けない
  • 症状が悪化する場合も、すぐに中止して受診

使用時の注意点

  • 粘膜、外陰部、口の中には使わない
  • 目の近くに塗るときは、目に入らないように注意
     → 万が一目に入った場合は、すぐに水で洗い流し、刺激が続くときは医師へ
  • 潰瘍(かいよう)やはっきりしたびらん(ただれ)には、まず適切な処置をしてから使用
  • 密封療法(ラップ療法など)や重ね塗りによる密封は禁止
     → 血中濃度が高まり、副作用リスクが上がります
  • 日光に当たらないように注意
     → 日焼けランプ・紫外線ランプも避ける
  • 広範囲に塗る場合や重い皮疹の場合は、腎機能検査が必要になることがあります

使用できない方(禁忌)

以下の方にはプロトピック軟膏は使えません:

  • 潰瘍や強いびらん(ただれ)がある部位に塗る方
  • 高度な腎障害がある方、重い高カリウム血症の方
  • 魚鱗癬様紅皮症(ぎょりんせんようこうひしょう/Netherton症候群など)の方
  • 2歳未満の乳幼児
  • 2歳以上の小児で0.1%製剤を使用しようとする場合
     → 小児には0.03%製剤を使います
  • 本剤の成分にアレルギー(過敏症)がある方
  • 紫外線療法(PUVAなど)を現在行っている方

※該当する可能性がある方は、使用前に必ず医師へ伝えてください。


使い合わせに注意が必要な治療・薬

併用が禁じられている治療

  • PUVA療法などの紫外線療法(UVA/UVBなど)

使用中は:

  • 紫外線療法を新たに始めない
  • 日焼けランプ・紫外線ランプを避ける

ことが必要です。

その他、注意が必要な例

  • 免疫抑制薬(飲み薬・注射)を使っている
  • 日焼けを繰り返すような仕事や生活をしている
  • 他のアトピー治療薬を同じ場所に塗っている

→ どんな薬を飲んでいるか、何を塗っているか、すべて医師に伝えましょう。診療・処方は個別の症状・体質に応じて異なります。ぜひ一度ご相談ください。


参考文献・出典

KEGG DRUG(D00107):薬理作用、構造式などの基本情報

PMDA添付文書(プロトピック軟膏0.1%・0.03%):効能・用法・副作用など詳細

PubMed論文

  • Paller AS et al., J Am Acad Dermatol. 2020;83(2):375-381.
  • Katayama I et al., Int Arch Allergy Immunol. 1996;109:390-397.

皮膚科学会ガイドライン(アトピー性皮膚炎診療ガイドライン):治療の位置づけや推奨度

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?

プロトピック軟膏(タクロリムス)は「カルシニューリン阻害薬」に分類される非ステロイド外用薬です。

同じく皮膚の炎症を抑えるステロイド外用薬と比較して、以下の強みがあります:

  • 皮膚が薄くならない(皮膚萎縮を起こさない)
  • 毛細血管の拡張や皮膚の変色が起こりにくい
  • 顔や首などステロイドを使いにくい部位でも安心して使いやすい

ステロイドに比べて即効性はやや劣ることがありますが、 副作用が少なく、長期使用に向いている点が最大のメリットです。

先発薬の発売年は?

プロトピック軟膏0.1%(成人用)は1999年6月に日本で承認されました。小児用の0.03%製剤は2003年7月に承認されています。

1か月(30日)処方時の薬価と自己負担額の目安は?

プロトピック軟膏0.1%(先発品・マルホ):58.4円/g

一般的な使用量:1日5gまで使用可

【30日間使用の薬剤費】

  • 5g × 30日 = 150g
  • 150g × 58.4円 = 8,760円

【自己負担額の目安(3割負担)】

  • 2,630円(+調剤料や技術料が別途かかります)

※後発品では価格がさらに安くなります(例:タクロリムス軟膏0.1%「タカタ」は29.2円/g)

作用の発現時間と持続時間は?

効果の発現時間(効き始め):塗布後6時間以内に血中濃度の上昇が確認されます。

臨床的な改善は1〜2日目から徐々に見られることが多く、最大効果は1週間ほどで実感されることが一般的です。

作用の持続時間:1日1〜2回塗布で十分な効果が持続するとされています。

妊娠中の使用は可能ですか?

妊娠中の使用は、「治療上の有益性がリスクを上回る場合」に限り使用可とされています。

動物実験では胎児毒性や催奇形性(奇形を起こす可能性)が報告されており、 ヒトでの安全性は確立されていません。

そのため、妊娠中は慎重に検討し、必要最小限にとどめるべき薬といえます。

授乳中に使っても大丈夫?

ヒトで母乳中への移行が報告されているため、注意が必要です。

使用する場合は、

母乳育児を継続するかどうか医師と相談し、可能であれば授乳後に塗布し、次の授乳まで時間をあけるなどの工夫が推奨されます。

子どもへの使用はできますか?注意点は?

2歳未満の乳幼児には使用できません。

2歳以上の小児には「0.03%小児用製剤」を使用します。

成人用の0.1%は基本的に小児には使用しません。

【注意点】

使用部位、量、頻度については、必ず小児科医や皮膚科医の指示に従うことが大切です。

子どもは皮膚が薄く、吸収率が高いため、広範囲への塗布や長期使用は避ける必要があります。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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