セルタッチってどんな湿布?ひざ・肩・腰の痛みに使える貼り薬の選び方

セルタッチってどんな湿布?
ひざ・肩・腰の痛みに使える貼り薬の選び方

膝が痛いので『セルタッチ』を使っています。

セルタッチは、有効成分フェルビナクを含む貼り薬(湿布)で、

関節や筋肉の痛みや腫れをやわらげる外用の痛み止め(経皮鎮痛消炎薬)です。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」というグループに属します

(内服のロキソニンやボルタレンと同じ仲間です)

セルタッチはオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。



セルタッチとは

セルタッチは、有効成分フェルビナクを含む貼り薬(湿布)で、関節や筋肉の痛みや腫れをやわらげる外用の痛み止め(経皮鎮痛消炎薬)です。

病院やクリニックで処方される医療用医薬品で、「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」というグループに属します(内服のロキソニンやボルタレンと同じ仲間です)。

セルタッチの製品ラインナップ

  • セルタッチパップ70/140(パップ剤:いわゆる湿布タイプ)
  • セルタッチテープ70(テープ剤:薄くて伸縮性のあるタイプ)

いずれも、1枚あたりフェルビナクを70mgまたは140mg含んでおり、使い方や効果はほぼ共通です。どれも「痛みや炎症をおさえる」ことを目的としています。


セルタッチの特徴

もともとフェルビナクは、ぬるタイプ(軟膏やローション)の外用薬として使われてきました。
しかし、これらは1日に何回もぬり直す必要があり、患者さんの負担やぬり忘れが課題でした。

帝國製薬が開発した「貼るだけで長く効くフェルビナク」

そこで帝國製薬が、貼るだけで一定時間効果が続く湿布薬として開発したのが「セルタッチパップ70」です(1993年承認)。
その後、サイズが2倍の「セルタッチパップ140」が登場し、広い部位にも使いやすくなりました。

名称の変更と新しいタイプの登場

医療現場での取り違えを防ぐため、製品名が「セルタッチ」から「セルタッチパップ70」へ変更され(2008年)、さらに薄くて貼りやすい「セルタッチテープ70」が2010年に追加されました。


剤形ごとの主な特徴

セルタッチパップ70・140(パップ剤)

  • 日本で最初のフェルビナク含有湿布
  • 無香性(においがない)
  • 水分を多く含み、貼るとひんやり感がある
  • 比較的厚みがあり、広範囲の部位にも向いている

セルタッチテープ70(テープ剤)

  • パップよりも薄く、よく伸びる
  • 関節など動く部位にもフィットしやすい
  • こちらも無香性
  • 水分を含まないため、貼ったときの冷たさが少ない
  • 効果や有効成分の量はパップ70と同じ

どの剤形を使うかは…

貼る場所(関節か広い面か)、好み(冷たさや厚み)、皮膚の状態などを考慮して、医師と相談して選ぶのが一般的です。


セルタッチの効能・効果

セルタッチは、以下のような炎症をともなう痛みに対して、腫れと痛みをやわらげる目的で使われます。

対象となる主な症状

  • 変形性関節症(膝や股関節などのすり減りによる痛み)
  • 肩関節周囲炎(五十肩など)
  • 腱(けん)・腱鞘炎、腱周囲炎(手首・肘・アキレス腱の使いすぎによる炎症)
  • 上腕骨上顆炎(じょうわんこつじょうかえん:テニス肘)
  • 筋肉痛(肩こりや腰の筋肉痛など)
  • 捻挫や打撲による痛み・腫れ

対症療法であることに注意

セルタッチは「原因を治す薬」ではなく、「症状を和らげる薬」です。
関節の変形や姿勢のくせ、筋力の低下などが原因であれば、リハビリや運動療法などもあわせて行うことが大切です。


セルタッチの有効性

(臨床試験の結果)

セルタッチパップ70については、国内の臨床試験や市販後の調査で次のようなデータがあります。

試験結果の概要

対象:4,269人
効果:中等度以上の改善が約68.8パーセントに確認されました。

症状別の改善率

  • 変形性関節症:約60パーセント
  • 五十肩などの肩関節周囲炎:約70パーセント
  • 腱・腱鞘炎:約74パーセント
  • 腱周囲炎:約82パーセント
  • テニス肘など:約68パーセント
  • 筋肉痛:約70パーセント
  • 捻挫・打撲後の痛み:約78パーセント

※効果には個人差があり、痛みの程度や原因、年齢、他の治療との併用によって異なります。

薬理作用の仕組み

フェルビナクは、プロスタグランジンという痛みや炎症を引き起こす物質の生成をおさえることで、鎮痛・抗炎症作用を発揮します。


セルタッチの用法・用量

パップ・テープいずれも以下のように使います。

基本的な使い方

  • 1日2回、患部に貼付
  • 例:「朝と夜」に貼り替えるのが一般的

医師から指示がある場合は、それに従ってください。

使用時のポイント

  • 前に貼った湿布ははがしてから新しいものを貼る
     → 重ね貼りはNG。かぶれの原因になります。
  • 皮膚を清潔にしてから貼る
     → 汗や汚れがあると、はがれやすくなったり、皮膚が荒れることがあります。
  • 傷・ただれ・発疹がある場所には貼らない
     → 刺激で炎症が悪化するおそれがあります。
  • 長時間、同じ場所に続けて貼らない
     → 皮膚トラブルを防ぐために、毎回少しずつ場所をずらすのがおすすめです。

セルタッチを使えない方(禁忌)

以下の方はセルタッチを使用できません。

使用してはいけない方

  • フェルビナクやセルタッチにアレルギーがある方
     → 過去に発疹・呼吸困難・腫れなどが出たことがある場合は必ず申告を。
  • アスピリン喘息の方
     → アスピリンやNSAIDs(痛み止め)で喘息発作が出たことがある方は使用できません。

慎重に使用する必要がある方

  • 一般的な喘息のある方
     → 非ステロイド薬でも発作のリスクがあるため、慎重に使用します。
  • 皮膚に感染がある場合
     → 貼ることで感染を見えにくくし、治療が遅れることがあります。
  • 妊婦・妊娠の可能性がある方
     → NSAIDsは胎児に影響を与えることがあるため、医師の判断でリスクとベネフィットを天秤にかけて判断します。
  • 小児
     → 子どもへの使用に関しては臨床試験が行われていないため、使用には十分な注意が必要です。

セルタッチと他の薬の併用について

明確な併用禁忌薬はなし

セルタッチには、「これと一緒に使ってはいけない」という薬(併用禁忌薬)は添付文書上ありません。

ただし、注意が必要なケース

  • 他のNSAIDs(内服薬・外用薬)と一緒に使う場合
     → 全体としてのNSAIDsの量が増え、副作用のリスク(胃や腎臓への影響など)が高まります。
  • 腎臓や胃腸に持病がある方
     → 外用でもごく少量ながら血中に吸収されるため、医師と相談したうえで使用しましょう。

セルタッチの副作用とその頻度

よくある副作用(多くは皮膚のトラブル)

  • 皮膚炎(発疹・湿疹など)
  • そう痒(かゆみ)
  • 発赤(赤み)
  • 接触皮膚炎
  • 刺激感
  • 水疱(みずぶくれ)

発生頻度:おおよそ0.1〜1パーセント未満

インタビューフォームによれば、過去のデータでは5,033例中71例(1.41パーセント)に副作用が報告されています。

重大な副作用(まれだが注意)

  • ショック
  • アナフィラキシー(急激なアレルギー反応)

頻度は不明ですが、下記のような症状が出たらすぐに使用をやめ、受診してください。

  • 全身のじんましん
  • 顔や口の腫れ
  • 息苦しさ、ゼーゼーする
  • めまい、意識が遠のく感じ

まとめ:セルタッチとうまく付き合うために

セルタッチは、フェルビナクを含む非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の湿布薬です。

痛みが続く場合は、医師に相談して原因や治療方針を見直すことが重要です。慮なくご相談ください。

パップ剤とテープ剤があり、痛み・腫れをやわらげる効果があります。

関節痛、筋肉痛、打撲、腱炎など、さまざまな痛みに使用されます。

臨床試験では、およそ7割前後の方に中等度以上の改善が確認されています。

副作用の多くは貼った場所の皮膚トラブルですが、まれに重いアレルギー反応も報告されています。

「貼るだけ」で効果を感じられる便利な薬ですが、原因を治す薬ではありません。

参考文献・出典

PMDA 添付文書・インタビューフォームPMDA医薬品情報)

KEGG DRUG(D01675):医薬品の作用機序・分類・代謝など

薬理と治療(1992年、大西ら・柴ら):セルタッチの薬理試験や臨床成績に関する報告

Prostaglandins誌(Tolmanら, 1975):フェルビナクの抗炎症メカニズムに関する研究

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の貼り薬と比べて、どんな強みがあるの?

セルタッチは、フェルビナクを含む湿布薬(パップ剤・テープ剤)の中で、以下のような特長があります。

  • 日本初のフェルビナク湿布薬(パップ剤)として開発された実績あり
  • 無香性・高い粘着性・伸縮性など、使用感に優れる
  • 特に「テープ剤」は、関節などの動きやすい場所にもフィットしやすい

同じNSAIDs系の貼り薬には、ジクロフェナク(ボルタレンテープ)やロキソプロフェン(ロキソニンテープ)もありますが、これらは皮膚刺激がやや強めであることも。
それに比べてセルタッチは皮膚への刺激が比較的少なく、においも控えめなので、「肌が弱い方」や「においが気になる方」に好まれやすいです。で、乳酸アシドーシスという重い副作用リスクもあるため、腎機能や体調の把握が不可欠です。

セルタッチ(先発薬)はいつ発売されたの?

セルタッチパップ70は、1993年(平成5年)に最初に承認されました。
その後、2007年にセルタッチパップ140(倍サイズ)が、2010年にはセルタッチテープ70が追加で発売されています。

1か月(30日)使ったときの薬価と自己負担額の目安は?

例えば、セルタッチパップ70を1日2枚、30日間使用した場合:

  • 薬価:17.6円/枚 × 60枚=1,056円(薬価ベース)
  • 自己負担額(3割負担の方):約317円

※処方せん料・調剤料は別途かかります。
※パップ140やテープ70を使う場合も、薬価はほぼ同じです。

貼ったあと、どれくらいで効き始めて、どのくらい続きますか?

  • 効果が出るまで:約2〜4時間程度
  •  貼付後、少し時間をおいてからじわじわと痛みをやわらげます。
  • 持続時間:およそ12時間程度
  •  そのため、1日2回(朝・夜)の貼り替えで効果を持続できます。

妊娠中でもセルタッチは使えるの?

妊娠中の使用は基本的に慎重に行うべきとされています。

  • 特に妊娠中期〜後期は、NSAIDsにより胎児の腎機能障害や動脈管収縮などのリスクが報告されています。
  • 「治療上の利益がリスクを上回る場合にのみ使用」が原則。

使用を検討している妊婦さんは、必ず事前に医師に相談してください。市販薬との自己判断による併用も避けましょう。では妊娠糖尿病やPCOSでの使用例もあり、ガイドラインにより対応が異なるため、担当医との相談が不可欠です。

授乳中でも使っていいの?

授乳中の使用に関して、添付文書では「母乳中への移行は不明」とされています。

  • ただし、外用薬であり血中への移行量が少ないことから、通常の使用であれば大きな問題は起きにくいと考えられています。
  • それでも心配な方は、授乳の直後に貼り、次の授乳までに貼り替えるといった工夫も一案です。

心配な方は、産婦人科や薬剤師に個別に相談するのが安心です。

子どもでもセルタッチは使えるの?

セルタッチは小児に対する臨床試験が実施されていないため、基本的には慎重な使用が求められます

特に乳児・未就学児への使用は避け、必要であれば小児科医の判断で処方されることがあります。

年齢や体格による吸収量の違いがあり、貼る量・面積が過剰になると副作用のリスクが高まるおそれも。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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