モーラスパップはどんな痛みに効く?五十肩・ひざ痛にも使える医療用湿布の話
モーラスパップはどんな痛みに効く?
五十肩・ひざ痛にも使える医療用湿布の話

肩痛があり『モーラスパップ』を使っています。

モーラス®パップは、有効成分としてケトプロフェンを含む
「貼るタイプの痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛薬:NSAIDs)」です。
モーラスパップはオンラインで処方することができます。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
モーラス®パップとは
モーラス®パップは、有効成分としてケトプロフェンを含む「貼るタイプの痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛薬:NSAIDs)」です。
腰や膝、肩などの炎症をともなう痛みや腫れをおさえる目的で、医師の処方で使う湿布薬です。
30mgと60mgの規格があり、主に30mgは比較的小さな部位、60mgは膝や腰など広めの部位に使います(いずれも処方内容は医師が判断します)。
なお、これは市販薬ではなく医療用医薬品であり、自己判断での購入・使用はできません。
モーラス®パップの特徴
モーラス®シリーズは、久光製薬が「飲み薬だけに頼らず、皮膚から薬を吸収させて痛みを抑える」ことを目指して開発した外用薬です。
ケトプロフェンは、皮膚から体内へ吸収されやすく、炎症部位に集まりやすい性質があるため選ばれました。
モーラス®パップ30mgは、こうした研究を経て発売された「湿布タイプ」のケトプロフェン製剤で、のちにより広い範囲を一枚で覆えるように面積を2倍にした60mg製剤も開発されています。
患者さん目線での特徴
- 炎症や痛みのある部位に直接作用
ケトプロフェンが皮膚から吸収され、関節や筋肉などの痛みのもとに届いて炎症物質(プロスタグランジン)を抑えます。 - 飲み薬に比べ、胃への負担が少ない
血中濃度は内服薬より低く、全身への影響が少ないとされます。ただし、腎臓病や喘息などの持病がある方は、必ず医師と相談が必要です。 - 粘着性・伸縮性が良く、曲がる関節にも貼りやすい
膝や肘のような動く部位でもはがれにくい設計です。 - においが少なめ
従来の湿布に比べてにおいが気になりにくいとの報告があります。 - 長年の使用実績があり、効果と安全性のデータが豊富です。
効能・効果
モーラス®パップは、以下の病気や症状にともなう痛みや腫れを抑える目的で使用されます。
- 変形性関節症(膝・股関節などの軟骨がすり減ることで起こる痛み)
- 肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)
- 腱(けん)・腱鞘炎(けんしょうえん)、腱周囲炎(手首や指の炎症)
- 上腕骨上顆炎(じょうわんこつじょうかえん)〔テニス肘など〕
- 筋肉痛
- 外傷後の腫れ・痛み(打撲や捻挫後など)
「肩こりだから貼っておこう」という自己判断での使用はおすすめされません。
必ず医師の診断を受けて、指示された範囲・期間で使用してください。
有効性(臨床試験データより)
日本全国の285施設で行われた臨床試験(合計1,836例)では、「中等度改善以上」の改善率が以下のように報告されています。
| 疾患名 | 改善率(中等度以上) |
|---|---|
| 変形性関節症 | 約59% |
| 肩関節周囲炎 | 約56% |
| 腱・腱鞘炎、腱周囲炎 | 約80% |
| 上腕骨上顆炎(テニス肘など) | 約78% |
| 筋肉痛 | 約72% |
| 外傷後の腫れ・痛み | 約83% |
- サリチル酸メチル(一般的な湿布成分)に比べて、筋肉痛に対する改善効果が優れていた
- ケトプロフェンの飲み薬と同等の効果があった
非劣勢(ひれつせい)…すでにある薬と比べて「劣っていない」ということを証明する試験結果です。
用法・用量
通常、成人には1日2回、患部に貼るよう指示されます(例:朝・夕)。
ただし、
- 規格(30mg または 60mg)
- 1回に使う枚数・貼る場所
- 使う日数
などは個別に医師の判断が必要です。
貼り方のポイント
- 貼る部位の皮膚は清潔にしてよく乾かす
- 傷・湿疹・粘膜(わきの下・陰部など)には貼らない
- 入浴後すぐは避け、少し時間をおいてから貼る
- 同じ場所に貼り続けない(かぶれ予防のため)
光線過敏症(こうせんかびんしょう)対策
モーラス®パップは、紫外線に反応して強いかぶれが出ることがある湿布です。
- 使用中は、必ず衣服やサポーターで貼付部を覆う
- 薄い白い服は紫外線を通すので、濃い色の服を選ぶ
- 剥がした後も、数日〜数か月は紫外線に注意
- 赤み・かゆみ・ヒリヒリ感があれば、すぐ中止し、遮光・受診
使用できない方(禁忌)
次のような方は、モーラス®パップを使用できません。
- 本剤やケトプロフェンでアレルギー症状を起こしたことがある方
- アスピリン喘息の方(解熱鎮痛剤でゼーゼーする発作が出たことがある方)
- チアプロフェン酸・スプロフェン・フェノフィブラート・オキシベンゾン・オクトクリレンなどでかぶれたことがある方
- 光線過敏症の既往歴がある方
- 妊娠後期の女性(胎児へのリスクあり)
その他、
- 妊娠中期までの妊婦さん・妊娠の可能性がある方
- 腎臓病・喘息・潰瘍など持病がある方
- 高齢者や小児
も、慎重な使用が求められます。必ず医師と相談してください。
使い合わせに注意が必要な薬
貼り薬でも、他の薬との併用に注意が必要です。
特に注意したい薬
- メトトレキサート(リウマチ・がん治療薬)
→ ケトプロフェンで作用が強まり、副作用リスクが増える可能性があります。 - 他のNSAIDs(ロキソニン、ボルタレンなど)
→ 胃腸障害・腎障害・喘息発作などのリスク上昇。 - 血液をサラサラにする薬、利尿薬、高血圧の薬
→ 必ずお薬手帳を医師・薬剤師に提示しましょう。
副作用と発生頻度
1. よく見られる副作用(主に皮膚症状)
- 発疹
- 赤み・かゆみ
- ヒリヒリ感、刺激感
- 腫れ、水ぶくれ、びらん
- 色素沈着(しみ)、色素脱失(白く抜ける)
国内データ:6,908例中、141例(2.04%)に副作用(すべて接触皮膚炎)が発生
2. まれだが重い副作用
- ショック・アナフィラキシー
呼吸困難、全身じんましん、顔のむくみなど - 喘息発作の誘発(アスピリン喘息)
- 重い接触皮膚炎
水ぶくれ・ただれが広がり、全身に症状が出る場合も - 光線過敏症
紫外線を浴びた部分に激しいかゆみ・赤み・水ぶくれ。
数日〜数か月後に現れることもあります。
これらの症状が出た場合は、すぐに使用を中止し、貼っていた部分を遮光し、受診してください。
息苦しさ・意識障害がある場合は救急対応が必要です。
まとめ:モーラス®パップとうまく付き合うために
モーラス®パップは、ケトプロフェンを含む医療用湿布薬で、関節痛や筋肉痛、外傷後の痛みに使用されます。
- 有効率は6〜8割と高く、長年使われている実績があります。
- 一方で、皮膚トラブル(かぶれ・光線過敏症など)に注意が必要な薬です。
- 使用中は紫外線対策を徹底し、異常があればすぐ中止して受診しましょう。
- 妊娠後期やアレルギー体質の方では使用できない場合もあります。
- 他の薬との併用は、医師や薬剤師と相談を。
湿布薬は気軽に使いがちですが、モーラス®パップはしっかりした効果と、それに伴う注意点のある薬です。
実際の使用は、主治医や薬剤師の指導に従ってください。
参考文献・出典
KEGG DRUGデータベース:
薬の構造や分類、関連薬品情報など
→ KEGG D00132
医薬品医療機器総合機構(PMDA):
添付文書(使用上の注意、禁忌、臨床成績など)
→ PMDA添付文書検索
久光製薬の医療関係者向け資料(一般非公開)
論文:
例)斉田勝ほか「医薬品研究」1986年、矢野忠則ら「応用薬理」1986年 など
よくある質問(Q&A)
-
この薬の同じ系統の湿布と比べて、どこが優れているの?
-
モーラス®パップは、ケトプロフェンという成分を使った医療用の湿布薬です。
他の湿布(市販のフェルビナクやサリチル酸メチルを使ったもの)と比べて:
- 皮膚からの吸収率が高く、効果がしっかり届く
- 貼った部位に集中的に効く
- 飲み薬と同じ成分なのに、胃への負担が少ない
- においが少なく、貼り心地が良い
- 動く関節にもフィットしやすい伸縮性
などの特長があります。
ただし、副作用(かぶれ・光アレルギー)の注意は他よりやや多めです。
-
モーラス®パップの発売はいつ?(先発薬の発売年)
-
最初の「モーラス®パップ30mg」は、1988年(昭和63年)に久光製薬から発売されました。
その後、貼る面積が大きい「60mg」タイプは、2005年に製造承認、2007年に販売名変更され、現在の形になっています。
-
1か月分もらったらいくらかかる?薬価と自己負担額の目安は?
-
モーラス®パップの薬価は以下のとおりです。
規格 薬価 1日2枚×30日分 自己負担3割の目安 モーラス®パップ30mg 17.6円/枚 約1,056円(薬価ベース) 約320円前後+調剤料等 モーラス®パップ60mg 21.1円/枚 約1,266円(薬価ベース) 約380円前後+調剤料等 ※「1日2枚使用×30日」で計算。薬局での処方料・管理料等を含めると、実際の支払いは800~1500円程度になることがあります。
-
この薬の効果はどれくらいで出て、どれくらい続くの?
-
- 効果の出始め:貼ってから数時間以内(2〜6時間目安)
- 効果の持続時間:貼っている間はずっと(最大12時間程度)
1日2回貼りかえることで、常に効果が続くように設計されています。
-
妊娠中にモーラス®パップは使ってもいいの?
-
妊娠後期(妊娠8か月以降)は使用できません。
胎児の血管(動脈管)を閉じてしまうリスクがあるからです。妊娠中期・初期では、医師が必要と判断した場合のみ使用可。
できるだけ使わない方が安全とされています。妊娠している可能性がある場合も、自己判断で使わずに必ず医師に相談してください。では妊娠糖尿病やPCOSでの使用例もあり、ガイドラインにより対応が異なるため、担当医との相談が不可欠です。
-
授乳中はモーラス®パップを使っても大丈夫?
-
授乳中にモーラス®パップを使っても、
- 母乳への移行はごくわずかであるとされています。
- 一般的には「使用可能」ですが、できるだけ短期間・必要最小限の使用が推奨されます。
貼る部位が乳房周囲である場合は、乳児が直接触れないよう十分に注意してください。
-
子どもに使っても大丈夫?
-
モーラス®パップは、小児への使用に対する明確な承認はありません(小児を対象とした臨床試験なし)。
ただし、医師が必要と判断した場合に限り処方されることはあります。
以下に注意しましょう:小さなお子さんには、誤って口に入れないよう注意
肌が敏感なため、貼った部分がかぶれやすい
貼る場所・使用時間を守ること
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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