MS温シップはどんな痛みに効く?冷湿布との使い分けや注意点をやさしく紹介

MS温シップはどんな痛みに効く?
冷湿布との使い分けや注意点をやさしく紹介

腰痛で『MS温シップ』を使っています。

MS温シップは、
・サリチル酸メチル
・dl-カンフル
・トウガラシエキス(成分:カプサイシン)

が配合された温感タイプの医療用湿布(しっぷ)です。オンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

1. MS温シップとは

MS温シップは、
・サリチル酸メチル
・dl-カンフル
・トウガラシエキス(成分:カプサイシン)

が配合された温感タイプの医療用湿布(しっぷ)です。分類上は「鎮痛(ちんつう)・消炎(しょうえん)温感パップ剤(薬効分類 2649)」に含まれます。

代表的な商品名は以下のとおりです:
・MS温シップ「タカミツ」
・MS温シップ「タイホウ」


2. MS温シップの特徴

2-1. 冷感から温感湿布へ

サリチル酸メチルを含む湿布は、もともとカオリンをベースにした泥状タイプから始まりました。
その後、製剤の安定性や安全性が改良され、現在のシート型パップ剤へと進化しました。

従来の「冷感湿布」は、
・湿布の水分が蒸発
・l-メントールによる冷感

によって皮膚表面の温度を下げ、急性の炎症(けがの直後など)に適していました。

しかし慢性的な痛みには、「冷やす」ことがかえって悪化を招くことがあるため、血流を良くする温感タイプの湿布が適応されます。

この考えから、
・温感を与えるトウガラシエキス(カプサイシン)
・痛みや炎症を抑えるサリチル酸メチルとdl-カンフル

を組み合わせた温感パップ剤が開発され、それが「MS温シップ」です。

2-2. 成分ごとのはたらき

  • サリチル酸メチル
     → 痛みや炎症を抑える成分(外用の鎮痛・消炎成分)
  • dl-カンフル
     → スーッとする清涼感と軽い刺激で血行をよくする
  • トウガラシエキス(カプサイシン)
     → 温かさを感じさせることで、痛みを感じにくくする

これら3つの成分が組み合わさり、「温めながら痛みをやわらげる」湿布として機能します。


3. MS温シップの効能・効果

添付文書に記載されている効能・効果は以下のとおりです:

  • 捻挫
  • 打撲
  • 筋肉痛
  • 関節痛
  • 骨折痛

つまり、関節や筋肉まわりの炎症をともなう痛みをやわらげる湿布です。

「寒い季節になると昔のけがが痛む」
「同じ動きを続けて肩や腰が痛くなる」

といった場面で医師が温感湿布を処方することがあります。


4. 有効性(どのくらい効くの?)

4-1. 動物実験で確認されていること

サリチル酸メチルなどの成分は、動物を用いた実験で以下のような効果が確認されています:

  • ラットの足の腫れ・赤みを抑える抗炎症作用
  • マウスやラットに対する鎮痛(ちんつう)効果

また、トウガラシエキスには、

  • 温感刺激で血流を改善
  • 痛みの信号を感じにくくする効果

などが確認されています。

4-2. 人での効果について

MS温シップは1990年代に承認され、長年医療現場で使われています。

ただし、
・臨床試験で「何%の人に効果があった」という詳細なデータは限られている
・効果の感じ方には個人差がある

といった点もあります。


5. MS温シップの使い方(用法・用量)

基本の使い方

  • プラスチックのフィルムをはがし、患部に貼る
  • 1日1〜2回使用する

5-1. 貼る前のポイント

  • 汗をかいているときは、清潔なタオルでふいてから使用
  • 肌が敏感な人は、短時間だけ試して様子を見る
  • 赤み・かゆみが出たら、すぐにはがす

5-2. 入浴との関係

注意点として:

  • 入浴の30分以上前には湿布をはがす
  • お風呂上がりすぐに新しい湿布を貼らない

これは、入浴で血行が良くなった状態で温感湿布を使うと、刺激が強くなりやすいためです。

5-3. 貼ってはいけない場所

  • 傷口や粘膜
  • 湿疹や発疹が出ている部位
  • 目や目の周り

これらは添付文書でも明確に使用禁止とされています。


6. 使用できない方・注意が必要な方

6-1. 使用できない方(禁忌)

  • 本剤に過敏症(アレルギー)の既往がある方

過去にMS温シップや類似の湿布で、
・じんましん
・皮膚のただれ
・強いかゆみ

などが出たことがある場合は、必ず医師や薬剤師に相談してください。

6-2. 注意が必要な方

  • 妊婦または妊娠の可能性がある方
     →「安全性は確立していない」ため、有益性が上回ると判断された場合にのみ使用とされています。
     → 妊婦への他の薬剤(シクロオキシゲナーゼ阻害剤)で胎児の影響が報告されています。
  • 乳幼児・小児
     → 「刺激が強すぎることがある」とされており、慎重な使用が必要です。
  • 皮膚が敏感な方・アレルギー体質の方
     → パッチテスト的に短時間だけ使って様子を見るのが安心です。

7. 他の薬との併用について

明確な併用禁忌や相互作用の記載はありません。

しかし、以下のような場合は相談が必要です:

  • 他の痛み止め(飲み薬や湿布)を使っている
     → 成分の重複や刺激が強くなるリスク
  • サリチル酸系の薬でかぶれたことがある
     → 同様の反応が出る可能性あり
  • 広範囲に長期間使っている
     → 成分が体内に多く吸収され、副作用リスクが上がる場合あり

8. 副作用とその頻度

8-1. 主な副作用

・発赤(皮膚が赤くなる)
・発疹(ぶつぶつ)
・腫脹(はれ)

いずれも皮膚の**過敏反応(かぶれ)**です。

8-2. 頻度について

副作用の頻度は明確に示されておらず、個人差が大きいと考えられています。

  • 皮膚が弱い方:かぶれが出やすい
  • 丈夫な方:ほとんど症状が出ない場合も

8-3. 使用中に異常を感じたら

次のような症状が出た場合は、すぐに使用を中止し、医師に相談を:

  • 貼った部分に強い赤みや水ぶくれ
  • ヒリヒリ感、焼けるような痛み
  • 我慢できないかゆみ
  • 他の部位にもじんましんが広がる

9. まとめ ~MS温シップを上手に使うには~

  • サリチル酸メチル・dl-カンフル・トウガラシエキス配合の温感タイプの湿布です。
  • 主に関節や筋肉の痛み、慢性の炎症に対して使用されます。
  • 冷やす湿布とは異なり、「温めて血行を良くする」ことで効果を発揮します。
  • 使用方法は「1日1〜2回、患部に貼る」が基本。
     入浴前後や湿疹部位などには注意が必要です。
  • 過敏症のある方は使用できません。妊婦や小児などへの使用は医師の判断に基づいて行います。
  • 主な副作用はかぶれで、頻度は不明です。異常を感じたら無理せず中止しましょう。

参考文献・出典

【添付文書】
 MS温シップ「タカミツ」の最新の添付文書(2024年10月改訂 第2版)
 → PMDAやJAPICで閲覧可

【KEGG DRUG】
 MS温シップ成分に関する薬効情報:
 https://www.kegg.jp/entry/D08723 (MS温シップの配合薬)

【代表的な文献】
 岩倉泰一郎ほか, 基礎と臨床, 12(3), 534–548 (1978)
 岩倉泰一郎ほか, 薬理と治療, 9(8), 3157–3167 (1981)
 → カプサイシンやサリチル酸メチルの薬理効果について記載あり

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?

MS温シップは、トウガラシエキス(カプサイシン)を含む“温感タイプ”の湿布です。冷湿布に比べて、慢性的な痛みや、冷えが原因のコリ・こわばりに適しています。

同じサリチル酸メチル系湿布でも、「冷感タイプ」は捻挫直後などの急性炎症に、「温感タイプ」は慢性の肩こり・腰痛など血行不良が関わる痛みに使い分けされます。

✅ 強みまとめ:

安価なジェネリックで経済的

温感+鎮痛成分の相乗効果

血行を促すカプサイシン配合

先発薬の発売年はいつ?

MS温シップの成分を含む温感タイプの湿布は、元々1980年代後半から1990年代にかけて登場しています。

本剤「MS温シップ『タカミツ』」自体は、1995年11月に承認、1996年8月1日に発売されました。先発品に近い成分のパップ剤として、当時から使われています。

1か月(30日)処方されたときの薬価と自己負担額は?

MS温シップ「タカミツ」の薬価は、0.89円/gです。

例えば、1枚あたり20gの湿布を1日2枚(40g)、30日分使用した場合

  • 薬価計算:
     0.89円 × 40g × 30日 = 1,068円
  • 自己負担(3割負担の場合):
     約320円前後

※処方料・調剤料・再診料などは別途かかります。

この薬の作用発現時間や持続時間は?

MS温シップは貼付後30分〜1時間程度で温感や効果を感じ始めることが多いとされています。

持続時間については、個人差はありますが、4〜8時間程度で徐々に温感が弱まり、効果も落ちていきます。

※連続使用よりも、1日1〜2回の貼り替えが適切とされています。

妊娠中にMS温シップは使っていいの?

妊娠中の使用は慎重にする必要があります。特に中期以降は注意が必要です。

● 添付文書では
「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用」と記載があります。

● 胎児へのリスク例:

  • 他の鎮痛成分で胎児の腎機能障害や動脈管収縮が報告された事例もあり、同様の懸念があります。

✅ 医師と相談のうえ、自己判断では使わないようにしてください。

授乳中の使用はできる?

授乳中の使用は原則として可能とされていますが、注意が必要です。

MS温シップの有効成分(サリチル酸メチル、カンフル、カプサイシン)は、経皮吸収量が少なく、母乳への移行もごくわずかと考えられています。

子どもに使えるの?年齢制限はある?

MS温シップは、小児に対する使用実績が少なく、乳幼児には刺激が強すぎる可能性があります。

● 添付文書では:
「乳幼児には刺激が強すぎることがある」とされており、使用は避けるのが安全です。

✅ 小学生以上で皮膚が丈夫な子どもに使う場合も、医師・薬剤師に相談してから使いましょう。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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