糖尿病の薬「フォシーガ」って安全?使い方と気をつけたい副作用
糖尿病の薬「フォシーガ」って安全?
使い方と気をつけたい副作用

糖尿病で『フォシーガ』を使っています。

フォシーガ®錠は、SGLT2阻害薬という飲み薬です。
尿に糖が排泄されることで血糖値が下がる仕組みです。
症状が落ち着いている方で定期的に採血されている方は
オンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
フォシーガ®錠とは
フォシーガ®錠(一般名:ダパグリフロジン)は、SGLT2阻害薬という飲み薬です。
腎臓でブドウ糖(グルコース)とナトリウムの再吸収を行う「SGLT2」というたんぱく質の働きを選択的にブロックします。
その結果、尿に糖が排泄されることで血糖値が下がる仕組みです。
また、浸透圧利尿(しんとうあつりにょう)やナトリウム排泄によって、
- 腎臓の糸球体(しきゅうたい)の負担を減らす
- 体の余分な水分を出す
といった効果も期待されます。
食事の影響を受けにくく、1日1回の服用で使いやすいのも特徴です。
フォシーガ®錠の特徴
- 2012年に世界初のSGLT2阻害薬としてオーストラリアで承認されました。
- 2024年10月時点で、130カ国以上で承認されています。
日本での承認経緯
| 年 | 承認内容 |
|---|---|
| 2014年 | 2型糖尿病で承認 |
| 2019年 | 1型糖尿病を追加 |
| 2020年 | 慢性心不全(標準治療中)を追加 |
| 2021年 | 慢性腎臓病を追加 |
| 2023年 | 心不全において、左室駆出率(LVEF)に関係なく使用可能に拡大 |
実用面でのメリット
- SGLT2に対する高い選択性(SGLT1に比べて約1,400倍)
- 食前・食後のどちらでも服用できる
注意点
重い副作用として、
- ケトアシドーシス(糖が少なくても起こることがある)
- 重い感染症
- 脱水症状
などが報告されており、使い方と経過観察がとても大切です。
効能・効果
以下の病気に対して使われます。
- 2型糖尿病
- 1型糖尿病(基本はインスリン治療で、これは補助薬です)
- 慢性心不全(標準的な治療を受けている方が対象)
- 慢性腎臓病(末期腎不全・透析中の方は除く)
💡 補足
重度の腎機能障害や透析中では、血糖を下げる効果はほとんど期待できません。
また、eGFRが25未満の場合、腎臓病の改善効果も十分でない可能性があるため、慎重な判断が必要です。
有効性(有効性試験の要点)
● 2型糖尿病(血糖コントロール)
- 日本での24週間試験:HbA1cが−0.35〜−0.39%低下。体重も約1.3kg減少。
- 用量反応試験(12週間):5mg/10mgでHbA1cは−0.74〜−0.80%低下。
- 長期単独療法(52週間):HbA1c −0.66%、体重 −2.6kg ほどの改善。
※eGFRが45未満になると、効果はやや低下します。
● 1型糖尿病(インスリンとの併用)
- 国際試験(52週):24週時点でHbA1cが−0.37%(5mg)/−0.42%(10mg)低下。
- インスリン総量は約11%減少。
⚠ 一方で、糖尿病ケトアシドーシス(DKA)が増加:
プラセボ群 0.4%に対し、5mg 4.1%、10mg 3.7%。
→ 適切な患者選択と、服用に対する丁寧な説明が必要です。
● 慢性心不全(HFrEF/HFpEF)
- DAPA-HF試験(LVEF≦40%):
心血管死または心不全悪化のリスクを26%低下(HR 0.74)
糖尿病があってもなくても有効でした。 - DELIVER試験(LVEF>40%):
同じリスクを18%低下(HR 0.82)
→ 左室駆出率に関係なく、心不全の悪化と心血管死の予防効果が示されました。
● 慢性腎臓病(DAPA-CKD試験)
eGFRの低下、末期腎不全(ESKD)、腎死、心血管死のリスクを39%低下(HR 0.61)
→ 糖尿病の有無を問わず、有効性が確認されています。
用法・用量(飲み方)
| 対象疾患 | 通常の服用量 |
|---|---|
| 2型糖尿病 | 5mg 1日1回(効果が弱ければ10mgへ) |
| 1型糖尿病 | 5mg 1日1回から開始し、必要に応じて10mgへ |
| 慢性心不全/腎臓病 | 10mgを1日1回 |
⚠ 1型糖尿病ではインスリンの代替薬ではありません。必ず併用し、インスリンは中止しないでください。
過度なインスリン減量はDKA(ケトアシドーシス)を引き起こすことがあります。減量の上限目安は20%以内です。
服用タイミング
- 食前・食後どちらでも服用可能。
- 尿が多く出るため、脱水予防に水分補給を意識してください。
使用できない方(禁忌)
以下の方は使えません。
- 本剤の成分で過敏症を起こしたことがある方
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡/前昏睡(この場合はインスリンと輸液が最優先)
- 重症感染症、手術前後、重いけが(インスリンによる管理が推奨されます)
また、以下の方には慎重に検討されます:
- 妊娠中・授乳中の方(原則投与不可)
- 小児、高齢者、重度の腎障害・肝障害のある方
飲み合わせに注意が必要な薬
● 低血糖を起こしやすくなる薬
- インスリン
- スルホニルウレア(SU薬)
- 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド系 など)
→ 併用時は低血糖に注意し、必要に応じて用量を調整します。
● 血糖に影響する薬
- 低血糖方向に働く薬:β遮断薬、サリチル酸製剤、MAO阻害薬 など
- 高血糖方向に働く薬:副腎皮質ホルモン、アドレナリン、甲状腺ホルモン など
● その他の注意薬
- 利尿薬(ループ・サイアザイド系):脱水や血圧低下に注意
- リチウム製剤:血中リチウム濃度が下がる可能性あり。精神科の処方医と連携を。
- α-グルコシダーゼ阻害薬と併用中の低血糖時は、「ブドウ糖(グルコース)」で対処しましょう(砂糖では無効です)。
副作用と発生頻度
■ 重大な副作用(早めに受診を)
- 低血糖(頻度不明):冷や汗、手の震え、動悸、眠気など
- 腎盂腎炎(0.1%未満)
- 壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)(頻度不明)
- 敗血症(0.1%未満)
- 脱水(頻度不明):口の渇き、立ちくらみ、血圧低下、尿量の減少
- ケトアシドーシス(DKA):
吐き気、食欲低下、腹痛、のどの渇き、全身のだるさ、息切れ、意識もうろうなど
→ このような症状が出た場合は、すぐに医療機関へ。血中・尿中のケトン体測定が必要になることもあります。
■ よくある副作用
- 5%以上:性器感染症(カンジダなど)
- 1〜5%未満:
尿路感染(膀胱炎など)、体液減少、便秘、口の渇き、頻尿、陰部のかゆみなど
✨ 予防のポイント
- こまめな水分補給
- 陰部を清潔に保つ
- 排尿時の違和感や陰部の痛みがあれば、早めに受診しましょう
- 内服後は腎機能(eGFRや血清クレアチニン)の定期チェックが必要です。
まとめ(受診の目安)
フォシーガ®は、血糖・心臓・腎臓に横断的に効果があるSGLT2阻害薬です。
- 2型糖尿病:HbA1cを改善し、体重減少も期待
- 心不全・腎臓病:悪化リスクや死亡率を下げる効果
一方で、
- DKA(ケトアシドーシス)
- 感染症(特に陰部・尿路)
- 脱水
などの副作用があるため、患者さんごとの適切な選択と指導が必要です。
参考文献・出典
PMDA医薬品情報検索(添付文書・インタビューフォーム)
厚生労働省:診療報酬・薬価収載資料
DAPA-HF試験:N Engl J Med 2019; 381:1995-2008
DAPA-CKD試験:N Engl J Med 2020; 383:1436-1446
DELIVER試験:N Engl J Med 2022; 387:1089-1098
よくある質問(Q&A)
-
この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?
-
フォシーガ®(ダパグリフロジン)は「SGLT2阻害薬」の一つです。同系統の主な薬には以下があります:
- ジャディアンス®(エンパグリフロジン)
- ルセフィ®(ルセオグリフロジン)
- スーグラ®(イプラグリフロジン)
- カナグル®(カナグリフロジン)など
フォシーガの強み:
食前・食後どちらでも服用可能(他剤では食前指示ありのものも)
世界初のSGLT2阻害薬として開発されたため、臨床試験が非常に豊富で信頼性が高い
糖尿病だけでなく、心不全・慢性腎臓病への適応があり、LVEFに関係なく使用可能
DAPA-HFやDAPA-CKDなど大規模な国際試験での効果が実証済み
-
先発薬の発売年の情報
-
フォシーガ®は、
- 2012年10月にオーストラリアで初承認
- 日本では2014年3月に2型糖尿病の治療薬として承認・発売されました。
その後、2019年に1型糖尿病、2020年に慢性心不全、2021年に慢性腎臓病への適応が追加されました。
-
1か月(30日)処方時の薬価・実際の目安価格
-
用量 薬価(1錠あたり) 1日1回×30日分の薬価 自己負担額(3割負担) 5mg 83.6円 2,508円 約752円 10mg 136.4円 4,092円 約1,228円 ※薬局によってはこれに調剤料や薬剤管理指導料が加算されるため、実際の支払額は若干上がります。
-
作用発現時間・持続時間
-
作用発現時間(血糖降下作用):服用後おおよそ1~2時間で効果が出始めます。
持続時間:24時間以上持続するため、1日1回の服用で十分です。
-
妊娠中の使用
-
原則として使用不可(禁忌ではないが推奨されない)
動物試験で胎児腎機能への影響が示唆されているため、妊娠後期ではとくにリスクあり。
妊娠中にSGLT2阻害薬を使っていた場合は、妊娠が判明した時点で中止することが一般的です
-
授乳中の使用
-
ヒトでの母乳移行性は不明。動物では乳汁移行が確認されている。
授乳中は慎重投与とされています。
投与する場合は、授乳を中止するか、医師の指示のもとで慎重に判断。
-
子どもへの使用可否と注意点
-
18歳未満の小児に対する安全性・有効性は確立していません。
日本では小児への使用は承認されていません(適応外)。
成長・発達に影響する可能性が否定できず、現時点では小児には使用すべきでないとされています。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
最新の投稿
コラム2026年1月10日ナパゲルンは五十肩や筋肉痛に使える?効果・塗り方・副作用まとめ
コラム2026年1月9日ゼポラステープとは?関節や筋肉の痛みに効く貼り薬を医師が解説
コラム2025年12月31日慢性的な関節の痛みはボルタレンテープで良くなる?効き目と使い方
コラム2025年12月30日ボルタレンゲル・ローションの使い方と注意点|腰痛・関節痛に効果ある?






