スーグラ錠の効果と注意点|朝1回の糖尿病の飲み薬ってどんな感じ?

スーグラ錠の効果と注意点
朝1回の糖尿病の飲み薬ってどんな感じ?

糖尿病薬として『スーグラ錠』を使っています。

スーグラ錠は、SGLT2阻害薬と呼ばれる糖尿病治療薬です。

尿に糖を排出して血糖値を下げるのが特徴です。

糖尿病が落ち着いている方はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

スーグラ錠とは

スーグラ錠(一般名:イプラグリフロジン L-プロリン)は、SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬と呼ばれる糖尿病治療薬です。

腎臓の「近位尿細管」にあるSGLT2という糖の運び屋(トランスポーター)をブロックし、尿に糖を排出して血糖値を下げるのが特徴です。

この薬はインスリンの量や効き目には直接関与しないため、インスリンに依存せず血糖を改善できるという特徴があります。


スーグラ錠の特徴

  • アステラス製薬と寿製薬の共同開発によって、日本で最初に承認された国産SGLT2阻害薬です。
  • 2014年に2型糖尿病で承認され、2018年には1型糖尿病(インスリン併用)への適応が追加されました。

インスリンに頼りにくい方への新たな選択肢

腎臓で糖の再吸収を抑えるため、インスリンの増量が難しい患者さんでも血糖改善が期待できます。

体内の水分バランスに注意

利尿作用によりのどの渇き・頻尿・脱水が起こることがあり、こまめな水分補給が必要です。

特有の注意点

まれにですが、SGLT2阻害薬ならではの副作用として、

  • 尿路・性器の感染症
  • ケトアシドーシス(けっとうがあまり高くなくても起こることがある危険な状態)
    などが報告されています。

効能・効果

  • 2型糖尿病
  • 1型糖尿病(インスリン製剤との併用)

適応に関連する大切な注意点

  • 重い腎機能障害や透析中の方には使えません(効果が期待できないため)。
  • 中等度の腎機能障害では効果が低下する可能性があり、慎重な判断が必要です。
  • 1型糖尿病では、インスリン治療をしっかり行っても効果が不十分な場合に限って使用を検討します。

有効性(国内試験の要点)

※以下は国内臨床試験からの抜粋です。数値は患者さん向けに整理しています。

単独療法(2型)

  • 12週間の試験では、HbA1cは
      50mgで約1.3%、25mgで約1.0%、100mgで約**1.3%**低下(プラセボ調整後)
  • 16週間の試験では
      50mgで約**1.24%**低下、空腹時血糖も有意に改善
  • 長期(24〜52週)でもHbA1c低下効果は維持されました(約0.3〜0.5%

併用療法(2型)

併用薬HbA1c低下幅(プラセボ比)
メトホルミン1.30%
ピオグリタゾン0.88%
スルホニルウレア1.14%
インスリン1.07%(16週)

※インスリンとの併用では低血糖リスクがやや上昇します。

腎機能が落ちた2型糖尿病の方

  • 軽度〜中等度の腎機能低下では、HbA1cの低下幅は小さくなります。
  • 中等度では統計的に有意でないこともあります。

1型糖尿病(インスリン併用)

  • 24週間でHbA1cが約**0.36%**低下。
  • インスリン量は1日あたり平均7単位程度減少
  • ただし、低血糖やケトアシドーシスのリスクには十分注意が必要です。

用法・用量

2型糖尿病

  • 通常:1日1回50mgを朝食前または朝食後に服用
  • 効果不十分時は100mgまで増量可

1型糖尿病(インスリン併用)

  • 通常:1日1回50mgを朝に服用
  • 効果不十分時は100mgまで

🛑 インスリンの代わりにはなりません!
 中止すると高血糖やケトアシドーシス(重症の代謝異常)を招きます。

  • インスリンは少し減らすことがありますが、減らしすぎに注意
     臨床試験では、開始時に約15%の減量が目安とされていました。

飲み方のコツと注意

  • 朝1回の内服を守りましょう(食前・食後どちらでもOK)。
  • 水分補給を意識しましょう(脱水予防)。

使用できない方(禁忌)

以下の方は使用できません

  • 本剤成分に過敏症のある方
  • 重症ケトーシス糖尿病性昏睡または前昏睡
  • 重い感染症・手術前後・大きなけがの直後(インスリン管理が必要)

原則使わない/慎重に判断すべき方

  • 重度の腎機能障害、透析中
  • 妊娠中・妊娠の可能性がある方
  • 授乳中(授乳を避けるのが望ましい)
  • 高齢者利尿薬を使っている方脱水になりやすい方

飲み合わせに注意が必要な薬

低血糖を起こしやすい組み合わせ

  • インスリン製剤
  • スルホニルウレア
  • 速効型インスリン分泌促進薬
  • GLP-1受容体作動薬
  • DPP-4阻害薬
  • ビグアナイド
  • チアゾリジン
  • α-グルコシダーゼ阻害薬 など

低血糖リスクに注意。必要に応じて相手薬を減量します。

※1型ではインスリン減量は過度に行わないよう注意。

薬理学的に低血糖を助長する薬

  • β遮断薬
  • サリチル酸製剤
  • モノアミン酸化酵素阻害薬
  • フィブラート系薬剤

こまめに血糖や体調を確認します。

血糖を上げる作用のある薬

  • 副腎皮質ステロイド
  • 甲状腺ホルモンなど

→ 血糖コントロールの乱れに注意。

脱水を助長しやすい薬

  • ループ利尿薬
  • サイアザイド系利尿薬

のどの渇き・ふらつき・低血圧に注意。

💡代謝の参考情報:
スーグラは主にUGT2B7で代謝されます。


副作用と発生頻度

重大な副作用(注意が必要なサイン)

● 低血糖(約1.0%)

  • ふるえ、冷や汗、動悸、強い空腹感 など
  • 対処:ブドウ糖や砂糖入り飲料を摂取
  • ※α-グルコシダーゼ阻害薬を併用中は必ずブドウ糖で対応してください

● ケトアシドーシス(DKA)

  • 血糖が高くなくても起こることあり(隠れDKA)
  • 吐き気、食欲低下、腹痛、のどの渇き、だるさ、息苦しさ、意識もうろう など
  • 速やかに受診してケトンの検査を

● 感染症の重症化

  • 腎盂腎炎(約0.1%)
  • フルニエ壊疽(会陰部の壊死性筋膜炎:頻度不明)
  • 敗血症(はいけつしょう:頻度不明)

● 脱水・血圧低下(約0.2%)

  • 口の渇き、頻尿、めまい など

● アナフィラキシー(頻度不明)

  • 発疹、呼吸のしづらさ、血圧低下 など
    すぐに救急受診

よくある副作用

  • 頻尿、口渇、体重減少、便秘
  • 膀胱炎、カンジダ外陰部感染(かゆみ・おりもの増加)
  • めまい、頭痛、だるさ など

検査値への影響(知っておくと安心)

  • 作用機序上、尿糖は常に陽性になります。
  • 1,5-AGは低下しますが、これは問題ありません。
  • 腎機能(eGFRなど)が一時的に変動することがあります。

運転・高所作業について

  • 低血糖の可能性があるため、車の運転や危険作業に従事する場合は注意が必要です。

まとめ

  • スーグラは、腎臓で糖の再吸収を抑えるSGLT2阻害薬
  • 2型糖尿病だけでなく、1型糖尿病(インスリン併用)にも適応があります。
  • 朝1回の内服で続けやすく、幅広い併用療法でHbA1c改善が期待できます。
  • 腎機能低下時には効果が弱まることがあり、注意が必要です。
  • 脱水・感染症・低血糖・ケトアシドーシスなど、SGLT2阻害薬特有の注意点があり、とくに1型ではインスリンを絶対に中止しないことが重要です。

参考文献・出典✔ 厚生労働省「添付文書(電子化された公式データ)」

医薬品医療機器総合機構(PMDA)
副作用・禁忌・注意点の最新版が必ずここに反映されます。

✔ 日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」

→ SGLT2阻害薬の使い方、他剤との位置づけ、注意点が分かりやすい。

✔ 主要臨床試験(国内)

1型糖尿病への追加効果を評価した国内試験
→ HbA1c低下、インスリン減量効果、DKAリスクの詳細データあり。

CLEAR study(スーグラ単独・併用の有効性)

よくある質問(Q&A)


この薬(スーグラ)の“同じ系統の薬”と比べた強みは何ですか?

SGLT2阻害薬の中でも「日本人を対象としたデータが豊富」「1型糖尿病にも適応がある」という強みがあります。

SGLT2阻害薬には、以下のような既存薬があります:

  • ジャディアンス(エンパグリフロジン)
  • フォシーガ(ダパグリフロジン)
  • ルセフィ(ルセオグリフロジン)
  • カナグル(カナグリフロジン)
  • デベルザ/アプルウェイ(トホグリフロジン)

その中でスーグラの特徴は:

✔ 日本人のデータが特に多い(国内開発品)

→ 体格や生活習慣が異なる海外データより、日本人に近い条件での臨床試験結果がそろっている

✔ SGLT2阻害薬で 数少ない「1型糖尿病」にも適応追加された薬

→ 「インスリンだけでは血糖が安定しない」1型の方にも使用できる点は大きな違い。

✔ 排尿トラブルや脱水が起きにくいとされるデータもある

→ SGLT2阻害薬は共通して脱水リスクがあるが、スーグラは国内報告において
口渇・多尿の副作用が比較的少ない」という傾向が示された試験があります。

スーグラの“先発薬”の発売年はいつ?

2014年に日本で発売されました。

  • 2014年:2型糖尿病で承認・発売開始
  • 2018年:1型糖尿病への適応追加(インスリン併用)

SGLT2阻害薬の中では比較的早い時期に登場した薬です。

30日分処方された場合、薬価と自己負担額はいくら?

薬価ベースでは以下の通りです。

  • スーグラ錠50mg:薬価 1錠 102.6円
  • 30日分 → 約3,078円

【自己負担額の目安(診察料など除く薬代のみ)】

負担割合月額の薬代(目安)
1割負担308円
2割負担616円
3割負担924円

※調剤基本料・薬剤師指導料などは含めていません。
※薬価は改定で変動する場合があります。

効果が出始める時間と、どれくらい持続しますか?

作用発現時間

飲んでから数時間で、尿に糖が出始めます。
(血糖値への実感は数日〜1週間程度)

✔ 効果の持続時間

24時間持続するため、朝1回でOKという設計です。

※1型の場合はインスリン量とのバランス調整が必要です。

妊娠中にスーグラは使えますか?

妊娠中は使用できません。

✔ 理由

  • 動物実験で胎児の腎臓の発育に悪影響が出たデータがある
  • 人での安全性が証明されていない
  • 妊娠中の血糖管理は、インスリンが最も安全

✔ もし妊娠が判明したら

すぐに主治医へ相談し、インスリンなど安全性の高い薬に切り替えます。

授乳中にスーグラは使えますか?

基本的には使用を避けます。

✔ 理由

  • 母乳へ移行する可能性を完全には否定できない
  • 乳児の腎臓に影響する可能性がある
  • 安全性データが不十分

✔ どうしても必要な場合

  • 授乳をやめる
    または
  • 代替薬(多くはメトホルミンなど)を検討

医師と授乳の可否を含めて必ず相談してください。

子どもはスーグラを使えますか?

18歳未満は基本的に使えません。

✔ 理由

  • 小児での安全性・有効性データが不足
  • 体内の水分バランスが崩れやすく、脱水・ケトアシドーシスが重症化しやすい

✔ 小児糖尿病で使われる薬は?

2型:生活習慣改善、メトホルミンなどが一般的
(SGLT2阻害薬は通常使いません)

1型:インスリンが中心

インスリンと併用する場合、何に注意すればいいですか?

減量しすぎるとケトアシドーシスが起きるため、必ず医師の指示で調整します。

目安として臨床試験では
 → 開始時 15%程度の減量が用いられました(個人差あり)

スーグラは「血糖は下げるが、インスリンは増やさない」薬

インスリンを大きく減らしすぎると
 → 血糖が高くなくてもケトアシドーシスが起こる

水分補給はどれくらい必要?どんな飲み物がいい?

のどの渇きを感じる前から、こまめに水分をとるのが安全です。

✔ 1日の目安

通常より コップ2〜3杯 追加 するイメージ。

✔ おすすめの飲み物

  • 無糖のお茶
  • 経口補水液(脱水気味のとき)

※スポーツドリンクは糖分が多いので注意。

尿路感染症や性器感染症を防ぐには?

排尿を我慢しない

入浴・シャワーで清潔を意識

デリケートゾーンを乾燥させすぎない

痒み・痛みが出たら早めに受診
→ 抗菌薬・抗真菌薬で改善が早い

スーグラは尿に糖が出るため、菌が増えやすくなる点が特徴です。

この薬を飲むと体重が減るって本当?

多くの方で体重が少し減る傾向があります。

  • 余分な糖が尿に出る(1日あたり数十グラム程度)
  • それに伴って体重が1〜3kg程度減ることが多い

ただし、過度な体重減少は脱水のサインのこともあります。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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