テネリア錠とは?効果・副作用・飲み方をわかりやすく解説【2型糖尿病】

テネリア錠とは?
効果・副作用・飲み方をわかりやすく解説【2型糖尿病】

糖尿病があるので『テネリア錠』を使っています。

テネリア錠(テネリグリプチン)は、1日1回で食後も空腹時も血糖を整えるDPP-4阻害薬です。

糖尿病が落ち着いている方はテネリア錠はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

テネリア錠(テネリグリプチン)とは

テネリア錠は、2型糖尿病の治療に使われる「DPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ4)阻害薬」という種類の飲み薬です。

食後に腸から分泌されるホルモン GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1) がこわれにくくなるように働き、

  • 血糖が高いときだけインスリン分泌を助ける
  • グルカゴン(血糖を上げるホルモン)を抑える

ことで、血糖を下げすぎにくくしながらコントロールする薬です。

田辺三菱製薬が日本で開発した薬で、1日1回の内服で効果が続く設計になっています。
(一般名:テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物

テネリア錠の特徴

日本発のDPP-4阻害薬として2012年に発売されました。その後、患者さんの生活スタイルや飲みやすさに合わせられるよう、次のような剤形が追加されています。

  • 40mg錠:2018年発売(よりしっかり下げたい場合に使用)
  • OD錠(おーでぃーじょう:口腔内崩壊錠)20mg/40mg:2021年発売

1日1回で24時間作用

  • 普通錠の半減期:
    • 20mg:約24.2時間
    • 40mg:約20.8時間
  • 朝・昼・夕の食後高血糖と、翌朝の空腹時血糖のどちらも改善することが、臨床試験で確認されています。

からだからの出方(肝臓・腎臓の2ルート)

テネリア錠は、

  • 肝臓
  • 腎臓

の2つのルートから体外へ出ていきます。
そのため、腎機能だけでなく肝機能の状態も含めて、医師が全体を見ながら使い方を判断しやすい薬です。

OD錠(口腔内崩壊錠)の利点

OD錠は、水がなくても口の中で溶けるタイプの錠剤です。

  • 錠剤が飲みにくい方
  • 水分の摂取に制限がある方

などで、服薬の負担やストレスを減らすことが期待できます。
普通錠と**生物学的同等(せいぶつがくてきどうとう:体の中での動きがほぼ同じ)**であることが確認されています。

効能・効果

  • 2型糖尿病

※糖尿病治療の基本である食事療法・運動療法をきちんと行ったうえで、それだけでは効果が不十分な場合に使う薬です。

有効性(臨床試験の要点)

※すべて国内で行われた臨床試験などに基づく数値です。

単独療法(12週間)

食事・運動療法のみで血糖が十分に下がらない2型糖尿病の方に対する試験です。

  • 20mg:HbA1cのプラセボとの差
    −0.90%(n=79)
  • 40mg:HbA1cのプラセボとの差
    −1.01%(n=81)

低血糖の副作用発現率は

  • 20mg:0%
  • 40mg:3.7%

でした。

単独療法(別試験・12週間)

  • テネリグリプチン20mg:
    • HbA1c:−0.79%(プラセボとの差)
    • 空腹時血糖:−19 mg/dL
    • 食後2時間血糖:−44.7 mg/dL

この試験では、低血糖は認められませんでした。

併用療法(12週間)

他の糖尿病薬をすでに使用している方への「追加」効果の試験です。

  • グリメピリド併用:HbA1c プラセボ差 −1.00%
  • ピオグリタゾン併用:HbA1c プラセボ差 −0.74%

長期投与(52週間)

1年間使い続けたときのHbA1cの変化です。

  • 単独療法:−0.63%
  • グリニド系薬剤併用:−0.76%
  • メトホルミン(ビグアナイド)併用:−0.78%
  • α-グルコシダーゼ阻害薬併用:−0.89%

インスリン併用(16週間+延長)

インスリン治療をしている2型糖尿病の方に、テネリア錠20mgを追加した試験です。

  • 16週時のHbA1cプラセボ差:−0.80%
  • 延長52週時の平均変化:−0.81%

まとめると:

  • 単独でも併用でもHbA1cを有意に低下させる
  • 1日1回の内服で、食後と空腹時の血糖の両方を改善する

ことが示されています。

用法・用量

  • 通常、成人は20mgを1日1回内服します。
  • 効果が不十分な場合、経過をよく見ながら40mg 1日1回へ増量できます。

飲むタイミング

  • 食事による影響は大きくありませんが、
    「毎日ほぼ同じ時間帯」に飲むと飲み忘れを防ぎやすくなります。
  • 医師から「朝食前」など具体的な指示がある場合は、その指示に従ってください。

OD錠の飲み方

  • 口の中で溶かして飲んでも、水で飲んでもどちらでも大丈夫です。

効果判定と生活上の注意

  • 3か月内服しても効果が乏しい場合は、他の薬への変更や併用など、治療方針を見直します。
  • 低血糖の可能性があるため、
    自動車の運転・高所作業など危険を伴う作業を行う方は特に注意が必要です。

使用できない方(禁忌)

次のような方には使用できません

  • テネリア錠の成分に対して過敏症(かびんしょう:アレルギーなど)の既往がある方
  • 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡(こんすい)/前昏睡、1型糖尿病の方
    → 速やかな輸液やインスリン投与が必要となるため、本剤は不適切です。
  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷がある方
    → これらの場合も、インスリン注射での血糖管理が望まれます。

飲み合わせに注意が必要な薬

服用中または今後開始予定の薬は、必ずお薬手帳を使って医師・薬剤師に伝えてください。

糖尿病治療薬との併用

  • スルホニルウレア(SU)薬
  • インスリン製剤

これらと併用すると、低血糖のリスクが高くなります
→ 場合によっては、SUやインスリンの減量を検討します。

そのほか、

  • 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド系)
  • α-グルコシダーゼ阻害薬
  • ビグアナイド系薬(メトホルミンなど)
  • チアゾリジン系薬
  • SGLT2阻害薬
  • GLP-1受容体作動薬

などを併用する場合も、低血糖や副作用に注意しながら使います

※特に、GLP-1受容体作動薬との併用は、まだ有効性・安全性が確立されていません。

血糖に影響する薬

血糖をさらに下げやすくする薬

  • β遮断薬
  • サリチル酸薬(アスピリンなど)
  • モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬 など

血糖を上げやすくする薬

  • アドレナリン
  • 副腎皮質ステロイド(ステロイドホルモン)
  • 甲状腺ホルモン など

心電図QT延長のリスクがある薬

  • クラスIA抗不整脈薬(キニジン、プロカインアミド など)
  • クラスIII抗不整脈薬(アミオダロン、ソタロール など)

これらは単独でもQT延長を起こすことが知られている薬であり、
テネリア錠との併用時も慎重な観察が必要です。

また、CYP3A4阻害薬の一部(例:ケトコナゾール)で、テネリグリプチンの血中濃度が上昇することがあります。

副作用と発生頻度

国内の全臨床試験(効能追加承認時点)では、

  • 副作用は1,645例中156例(9.5%)にみられました。

主な副作用

  • 低血糖:2.6%
    特に、SU薬やインスリンと併用している場合に起こりやすくなります。
  • 便秘:0.9%
  • その他:腹部膨満、腹部不快感、悪心(むかつき)、腹痛、下痢 など
  • 検査値の変化:肝機能検査値の上昇、アミラーゼ・リパーゼの上昇 など

重い副作用(頻度は高くありませんが重要)

  • 重篤な低血糖
  • 腸閉塞(ちょうへいそく)
  • 肝機能障害(かんきのうしょうがい)
  • 間質性肺炎(かんしつせいはいえん)
  • 類天疱瘡(るいてんぽうそう:みずぶくれができる皮膚の病気)
  • 急性膵炎(きゅうせいすいえん)

💡 こんな症状があれば要注意です

  • 強い眠気、ふらつき、意識が遠のく感じ
  • 高度の便秘、苦しいほどの腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐
  • 息切れ、咳、発熱
  • 理由のわからない発疹や水ぶくれ
  • 背中に抜けるような強い腹痛や嘔吐

→ このような症状が出た場合は、すぐに内服を自己判断で続けず、速やかに医療機関を受診してください。

特に注意が必要なケース

  • インスリン併用時には、低血糖の副作用が15.6%と高くなります。
  • 高齢の方、肝機能・腎機能に不安がある方では、薬の効き方や体内での処理が変わることがあります。

そのため、

  • 定期的な血糖チェック
  • 採血などでの検査値の確認

を行いながら、安全に使っていきます。

まとめ

  • テネリア錠(テネリグリプチン)は、1日1回で食後も空腹時も血糖を整えるDPP-4阻害薬です。
  • 日本で開発され、OD錠など飲みやすさに配慮した剤形も用意されています。
  • 単独・併用いずれでも、HbA1cを有意に低下させることが臨床試験で示されています。

一方で、

  • 単独では低血糖は比較的起こりにくいものの、
    SU薬やインスリンとの併用では低血糖リスクが上がるため注意が必要です。
  • 異変を感じたら、まず糖質(ブドウ糖や砂糖入り飲料など)をとり、すぐに医療機関へ相談してください。

服用は通常、20mg 1日1回から始め、
効果が不十分な場合に40mgへ増量を検討します。

飲み合わせや、心臓・肝臓・腎臓の持病などによっては、
使い方を慎重に調整する必要があります。

自己判断での中止・増量・減量は禁物です。
気になる症状や不安な点があれば、受診時に遠慮なく相談してください。します。


参考文献・出典

✔ 添付文書(最新)

  • 医薬品の効能・用法・副作用・禁忌などの公式文書
  • PMDA(医薬品医療機器総合機構)のウェブサイトで閲覧できます
    ※「テネリア錠 添付文書」で検索可

✔ インタビューフォーム(IF)

  • 添付文書より詳しい、薬の“設計図のような文書”
  • 薬理・臨床試験結果・薬物動態などが詳しい
    → 医療者も参考にするレベルの資料

✔ 厚生労働省・日本糖尿病学会のガイドライン

  • 「2型糖尿病治療ガイド」
  • 「糖尿病診療ガイドライン」
    → DPP-4阻害薬の立ち位置や使い分けが理解しやすい

✔ 主な論文(国内)

Kadowaki et al., 2013
→ HbA1c改善効果、インスリン併用時の効果、安全性などがまとまっています。

Nakamaru et al., 2014

よくある質問(Q&A)


テネリア錠の強みは?ほかのDPP-4阻害薬と比べてどう違う?

テネリア錠の大きな強みは次の3つです。

① 1日1回で“24時間しっかり効く”持続性

半減期が長め(20mgで約24.2時間)で、朝・昼・夕の食後血糖と翌朝の空腹時血糖の両方をカバーできます。
→「食後だけ効く薬」よりも安定した血糖コントロールが期待できます。

② 肝臓と腎臓“どちらでも代謝・排泄される”

多くのDPP-4阻害薬は腎臓での排泄が多いですが、テネリア錠は肝臓+腎臓の2ルート
→腎機能が不安定な人でも、比較的使いやすいのが特徴です。

③ 飲みやすい“OD錠(口の中で溶ける錠剤)”がある

水がなくても飲めて、普通錠と動きは同じ。
→高齢の方、嚥下が苦手な方、外出先でも飲みやすいのがメリット。

まとめると、
⚪ 24時間作用
⚪ 腎・肝のダブル排泄
⚪ OD錠あり
この3つがテネリア錠ならではの強みです。

テネリア錠(先発薬)はいつ発売された?

20mg製剤:2012年発売(田辺三菱製薬)

40mg製剤:2018年に追加

OD錠(20mg・40mg):2021年発売

日本で創製された“国産のDPP-4阻害薬”です。

1か月(30日)処方での薬価と自己負担額の目安は?

薬価(2024年改定時点):

製剤薬価(1錠)
テネリア錠20mg98.3円
テネリア錠40mg147.3円

30日分の薬価

  • 20mg × 30錠 = 2,949円
  • 40mg × 30錠 = 4,419円

自己負担額(3割負担の場合)

  • 20mg:884円程度/月
  • 40mg:1,326円程度/月

※初診料・再診料・検査などは別途必要です。
※高額療養費制度の対象外(この薬だけでは上限に達しません)。。

効果はどれくらいで出るの?作用発現時間と持続時間が知りたい

✔ 効果が出はじめるタイミング

  • 飲み始めて数日〜1週間ほどで食後血糖に変化が出る人が多いです。

✔ 継続効果(持続時間)

  • 半減期:20mg 約24.2時間/40mg 約20.8時間
    1日1回で24時間しっかり作用が続きます。

✔ HbA1cが下がる時期

多くの人は 8〜12週間(2〜3か月)で改善量が見えてくる
→ 3か月で方針を判断するのはこのためです。

妊娠中でもテネリア錠は使える?

結論:妊娠中は「慎重投与」扱いで、基本的には使用を避ける薬です。

理由

  • ヒトでの安全性データが十分ではない
  • 妊娠中は血糖管理がとても重要で、インスリンが第一選択になることが多い

どうしても必要な場合

医師が

  • 母体の状態
  • 胎児へのリスク
  • ほかの治療との比較
    を慎重に評価したうえで、例外的に判断します。

妊娠希望の人・妊娠の可能性がある人へ

妊娠がわかった時点で、自己判断で中止せずに必ず医師に相談してください。

授乳中でも使える?母乳への移行は?

結論:授乳中も「慎重投与」扱いで、使用はできるだけ避ける薬です。

理由

  • 母乳への移行データが十分にない
  • 乳児への影響が不明な点が残っている

どうしても必要な場合

  • 医師が必要性を慎重に判断したうえで、
    授乳を続けるか/やめるかを相談した上で使用する場合があります。

ポイント

  • 赤ちゃんの低血糖や発疹、元気がない様子などは注意して観察
  • 心配な症状があればすぐに受診を

子ども(小児)でも使える?安全性は?

結論:小児への安全性は確立されておらず、基本的に使用しません。

理由

  • 国内外ともに 小児での十分な臨床試験がない
  • 成長期の子どもは薬の代謝が大人と大きく異なる可能性がある

例外は?

糖尿病の専門医が、どうしても必要と判断した場合に限られます
(ただし通常はインスリン治療が標準です)

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら