食後の血糖値を下げる薬「ボグリボース」って?飲み方・注意点まとめ
食後の血糖値を下げる薬「ボグリボース」って?
飲み方・注意点まとめ

食後高血糖で『ボグリボース』を使っています。

糖尿病の薬で食前に服用します。
食後に血糖値が上がりやすい方に適した処方ですね。
ボグリボースは、オンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
目次
ボグリボースとは
ボグリボース(一般名:Voglibose)は、α(アルファ)-グルコシダーゼ阻害薬という種類の糖尿病治療薬です。
食後の血糖値の上昇をゆるやかにする働きがあります。
小腸で二糖類(しょ糖など)を単糖に分解する酵素「α-グルコシダーゼ」の働きを抑えることで、糖の消化・吸収をゆっくりにします。
先発品は「ベイスン」、ジェネリックはさまざまな製薬会社から出ています。
ボグリボースの特徴
- 国内で長く使われている薬
→1994年に「ベイスン」として登場。ジェネリックも普及。 - 血中移行が少ない=“局所作用型”
→腸管内で効く薬。承認された量では、血液中にほとんど移行しないとされています。 - 剤形のバリエーションが豊富
→水がなくても飲みやすいOD錠やフィルムも選べます。
効能・効果
● 糖尿病の「食後過血糖」の改善
食後に血糖値が上がりやすい方へ。
食事・運動療法のみや、他の糖尿病薬・インスリンを使っても食後の上昇が気になる場合に使われます。
● 2型糖尿病の発症予防(0.2mg製剤のみ)
糖尿病予備軍の方で、以下の条件に当てはまる場合に検討されます。
- 食事・運動療法を3〜6か月しても改善なし
- 高血圧・脂質異常症・肥満(BMI≧25)・家族歴 いずれかあり
⚠ 0.3mg製剤にはこの効能はありません。
● 医療者向けの投与判断の目安
- 食事・運動療法のみの方:食後2時間血糖が200mg/dL以上
- 他薬を使っている方:空腹時血糖140mg/dL以上
有効性(国内臨床試験の結果)
● 食後高血糖の改善
- 中等度以上の改善:46%
- 軽度以上の改善:74%(567例)
食事療法単独/他剤併用いずれでも効果を確認。
平均7か月の長期投与でも効果は持続しました。
● 予備軍での2型糖尿病発症抑制(0.2mg)
- 発症リスクを約40%抑制(ハザード比:0.595、p=0.0014)
- 発症率:
48週後:2.6% vs 7.0%
96週後:4.8% vs 13.2%(ボグリボース群 vs プラセボ群)
用法・用量
- 通常:0.2mgを1日3回、毎食直前に服用
- 効果が不十分なら:0.3mgまで増量可
- 高齢者:0.1mg×3回から慎重に開始(おなかの症状に注意)
- ポイント:「食後」ではなく「食直前」に服用
使用できない方(禁忌)
以下の方には投与できません:
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡・前昏睡
- 重度の感染症、術前後、外傷などでインスリンが必要な状態
- 過去にアレルギー(過敏症)を起こしたことがある方
そのほか、以下の方は医師と相談:
- 腸閉塞の既往、重い腸疾患
- 重い肝・腎機能障害
- 妊娠中・授乳中の方
飲み合わせに注意が必要な薬
● 低血糖リスクが上がる組み合わせ
- インスリン
- スルホニル尿素系(SU薬)
- その他糖尿病薬
※特に併用時は少量から始めて慎重に。
● 血糖値に影響を与える薬
| 血糖降下作用を強める | 血糖降下作用を弱める |
|---|---|
| β遮断薬、サリチル酸剤、MAO阻害薬、フィブラート系、ワルファリンなど | アドレナリン、副腎皮質ホルモン(ステロイド)、甲状腺ホルモンなど |
📌これらの薬と併用する場合は、血糖値の変動に注意して測定を行います。
低血糖が起きたときの対応
ボグリボースはショ糖(砂糖)の分解を妨げるため、
低血糖の時は「ブドウ糖」で対処しましょう。
→ ブドウ糖タブレットを常備すると安心です。
主な副作用と頻度
● よくあるもの(5%以上)
- おなかの張り
- ガスの増加(放屁)
- 下痢
● ときどきみられる(0.1〜5%)
- 軟便、腹鳴、腹痛、便秘、吐き気、食欲不振 など
● まれだが重大
- 低血糖(特に他剤併用時)
- 腸閉塞(腹痛・嘔吐・強い膨満感)
- 重い肝障害・劇症肝炎・黄疸
- 高アンモニア血症による意識障害(重い肝硬変の方)
まとめ
- ボグリボースは、食後の血糖上昇をゆるやかに抑える薬です。
- 小腸で働くため、食直前の服用が重要です。
- 0.2mg製剤には、糖尿病予備軍に対する発症抑制効果もあります。
- お腹の張りや下痢が出やすい薬ですが、低血糖時は砂糖ではなくブドウ糖で対処することが必要です。
- 他の薬との組み合わせや持病によっては向かない場合もあります。
自己判断せず、必ず医師に相談しましょう。
🍽️ 当院の方針
当院では、生活習慣の見直しとあわせて、
「食後血糖の上がりやすさ」や「お腹の症状の出やすさ」を確認しながら、無理のない処方を一緒に考えていきます。
気になる方はお気軽にご相談ください。の薬と一緒に飲んでいいか不安」など、
ぜひお気軽にご相談ください。最適な服用法から中止のサインまで、丁寧にご説明いたします。
参考文献・出典
論文:Voglibose for prevention of type 2 diabetes mellitus: a randomised, double‑blind trial in Japanese individuals with impaired glucose tolerance (Lancet, 2009) — 予備群(耐糖能異常)での発症抑制効果を示しています。ランセット+1
論文:Voglibose : An Alpha Glucosidase Inhibitor (Dabhi AS 他, 2013) — ボグリボースの作用機序・比較データを概説。PMC
公的文書:PMDA「レビュー報告書」など — 承認・添付文書の根拠となっています。pmda.go.jp+1
保険・薬価関連:コスト効果分析(経済評価論文)などにも掲載あり。
よくある質問(Q&A)
-
この薬の同じ系統のお薬(既製薬品)に対する強みは?
-
ボグリボースは、腸で糖の吸収をゆるやかにする「α‑グルコシダーゼ阻害薬」というグループに属するお薬です。
同系統のお薬として、アカルボースやミグリトールがあります。
ボグリボースの “強み” として、例えば以下の点が報告されています:
- in vitro(試験管/実験室)で、マルターゼやスクラーゼ(糖を分解する酵素)に対して、アカルボースよりも強い阻害作用が認められています。
- 臨床比較研究でも、「ボグリボースは比較対象のα‑グルコシダーゼ阻害薬と同等以上の効果と、胃腸症状(お腹が張る、ガスが出るなど)の許容性(使いやすさ)を示していた」という報告があります。
つまり“既製のお薬”と比べて、「同じ系統でありながら、やや効きが強め/腸での作用が明確/使いやすい剤形がある」という優位点があると捉えられます。
ただし、「どれが絶対に良いか」は個人差がありますので、使用の際は医師と「なぜこの薬を選ぶのか」を確認することが重要です。
-
先発薬の発売年の情報を教えてください。
-
ボグリボース(ベイスンとして)は、1994年9月に日本で初めて販売されました。
したがって先発薬としては20年以上にわたり使われている実績ある薬剤です。
-
1か月(30日)処方時の薬価・実際の目安価格(自己負担額含む)を教えてください。
-
日本において、後発品などで「1錠あたり約10.4円〜15.2円」という薬価の目安が提示されています(0.2mg/0.3mg製剤)
例えば「1錠あたり10.4円」の製品を1日3回毎食前に服用し、30日処方と仮定すると:
10.4円 × 3回 × 30日 = 約 936円(薬価ベース)患者さんの自己負担が3割の場合、そのおおよその金額は 約 280円〜300円程度 となります。
「1錠あたり15円」の薬価の場合、15円 × 3 × 30 = 約 1350円、自己負担3割なら約 400円〜450円 程度。
ただし、薬価改定/剤形(錠/OD錠/ODフィルム)/保険点数・調剤料等により実際の請求金額は多少変動しますので「目安」としてご参照ください。
-
作用発現時間・持続時間はどのくらい?
-
ボグリボースは、「食後血糖(食事直後〜2時間以内など)が上がるのを防ぐ」ことを主な目的とした薬です。
作用発現(どれくらいで働き始めるか)および持続時間(どれくらいの時間効くか)については明確な「○分/○時間」という記載が添付文書に詳細に示されていない面もあります。
ただし研究報告として、液体食においてボグリボース投与群で胃排出(※食べたものが胃から腸に移る速度)が遅くなったという報告があり、腸管内での作用が比較的速めに起こることが示唆されています。
臨床的には「毎食直前(食事が始まる直前)に服用」する指示があるため、“毎食に合わせて3回”という用法がそのまま作用時間設計になっていると理解されます。
持続時間は「次の食事まで」の間をカバーする程度を想定するとよく、食事毎の負荷に対応する設計です。
要点として:「食事直前に飲む」ことが、最も適切な作用発現・持続のために重要です。
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妊娠中の使用はどうですか?
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現時点では、妊娠中(妊娠している可能性のある女性を含む)にボグリボースを服用する安全性は十分確立されていません。
添付文書等でも「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」とされており、慎重な判断が必要です。
リスクとしては、腸内でのガス・膨満・消化器症状の可能性、そして母体および胎児への影響が明確に裏付けられていない点があります。
このため、妊娠中の方には、まず食事・運動療法など非薬物療法の徹底、その上で医師と「この薬を使うかどうか・時期・量」の相談を行うことが推奨されます。
まとめると:妊娠中は原則慎重に扱い、「必要性・代替手段・タイミング」を医師とよく相談することが重要です。
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授乳中の使用はどうですか?
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授乳中(母乳をあげている女性)においても、ボグリボースの母乳移行・乳児への影響を示す十分なデータはありません。
一部情報には「母乳中への移行が認められている可能性がある/母乳栄養児への影響が未確定」とするものがあり、授乳中の使用も慎重に考えるべきとされています。
また、動物試験において、母体の糖質吸収抑制に起因して乳汁産生が抑制されたという報告もあります(ラット試験)。
授乳中にこの薬を使う場合は、母乳育児の継続メリットと薬剤使用のリスクを比較検討し、医師・薬剤師と相談の上、モニタリング(乳児の体重増加・母乳量・母体血糖など)を行いながら慎重に使用するべきです。
ポイント:授乳中も「使える/使えない」と一概には言えず、個別判断が必要です。
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子ども(小児)への使用可否と注意点は?
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ボグリボースは、小児(子ども)を対象とした臨床試験が十分に行われておらず、安全性・有効性が確立されていません。
そのため、子どもへの使用は原則として適用外または慎重に考えられ、一般に成人人体データに基づいて判断されることになります。
注意点としては、子どもは成長・発達が進行中であり、糖質負荷・代謝・腸管機能・薬剤の吸収などが成人とは異なる可能性があるため、医師がリスク・ベネフィットを慎重に評価する必要があります。
また、服用中に消化器症状(下痢・ガス・腹痛)が出やすいため、子どもでは症状の訴えが難しい場合もあり、モニタリングが重要です。
まとめると:子どもへの投与は“例外的”または“慎重使用”という位置づけで、医療専門家の判断が不可欠です。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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