食後の血糖値が気になる方に|アカルボースの効果と注意点
食後の血糖値が気になる方に
アカルボースの効果と注意点

食後高血糖で『アルカボース』を使っています。

アカルボースは「食後の血糖上昇」を的確に抑える薬で、食直前に服用することが重要です。
糖尿病が落ち着いている方は、オンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
アカルボースとは
アカルボースは、食後に急激に上がる血糖値をゆるやかにする飲み薬です。薬効分類は「α(アルファ)-グルコシダーゼ阻害薬」で、糖尿病治療に使われます。
アカルボースの特徴
アカルボースは、小腸で糖質を分解する酵素(α-グルコシダーゼ、α-アミラーゼ)をゆるやかにブロックします。
- デンプンや砂糖の分解・吸収をゆっくりにする
→ 食後血糖の急上昇を抑制 - インスリン分泌を直接うながさない
→ 単剤では低血糖が起きにくい(※他の薬と併用する場合は注意)
2009年に後発医薬品として承認され、先発品(グルコバイ)との生物学的同等性も確認済みです。
効能・効果
糖尿病における食後過血糖の改善
以下の条件を満たす場合に使います:
- 食事療法や運動療法のみでは血糖コントロールが不十分な方
- 経口薬やインスリンを併用してもコントロールが難しい方
投与の目安
- 食事・運動のみの方:食後2時間血糖が200 mg/dL以上
- 他剤併用の方:空腹時血糖が140 mg/dL以上
有効性(臨床試験の結果)
単独療法(プラセボ対照試験)
- 8週間:有用以上 38.8% vs プラセボ 13.8%(p<0.001)
- 24~28週間:有用以上 58.8% vs プラセボ 20.0%(p<0.05)
併用療法
- SU薬併用:改善率 約33~39%、副作用は「おなら」「腹部のはり」など
- インスリン併用:改善率 約48%、長期でも効果持続あり
血糖指標の改善
- 食後血糖の上昇を抑制
- 血糖の日内変動(時間帯による振れ幅)を縮小
- 昔の指標であるHbA1(HbA1cの前身)も有意に低下
用法・用量
- 通常:1回100mg、1日3回、各食の直前に服用
- 開始時:お腹への負担を考え、50mgから様子を見て増量も可
- 高齢者:基本は50mgから慎重に
ポイント
- 食直前に飲むのが最大のコツ
- 効果が不十分なときは2〜3か月を目安に見直し
- 血糖が十分に下がったら、中止して経過観察も検討されます
使用できない人(禁忌)
以下に該当する方は使えません:
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡・前昏睡
- 重症感染症・手術前後・大きなけが(インスリン管理が優先)
- 本剤にアレルギーのある方
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある方(安全性未確立)
飲み合わせに注意が必要な薬
低血糖リスクが高まる組み合わせ
- SU薬/インスリン/ビグアナイド/インスリン抵抗性改善薬/速効型糖尿病薬
- β遮断薬/サリチル酸薬/MAO阻害薬 など
👉 他の糖尿病薬の作用に加え、アカルボースの効果で低血糖の危険が増します。
→ 低用量で開始し、必要に応じて調整します。
効果が弱まる可能性
- アドレナリン/副腎皮質ホルモン/甲状腺ホルモンなど
→ 血糖が下がりにくくなる可能性あり
血中濃度が変わる可能性
- ジゴキシン:濃度が上下することあり → モニタリングと調整が必要
消化器症状が強くなる可能性
- ラクツロース・ラクチトール:おなら・腹部膨満が増加することあり
効果を相殺する可能性がある薬
- ジアスターゼなどの炭水化物分解酵素剤:機序が正反対のため、効果を打ち消し合う恐れあり
併用を避けたい可能性がある薬(参考)
- コレスチラミン製剤:アカルボースの効果が増強される可能性(海外報告)
副作用と頻度
注意点
低血糖が起きたら 砂糖(ショ糖)ではなく「ブドウ糖」で対処してください。
アカルボースは砂糖の分解を遅らせるため、効果が出ません。
よくある副作用(時間とともに軽快することが多い)
- 5%以上:腹部膨満(お腹のはり)、鼓腸(おならの増加)、軟便
- 5%未満:排便増加、下痢、腹痛、便秘、食欲の変化、消化不良、頭痛、めまい など
👉 つらいときは減量や腸内ガス対策薬の併用も検討
重大な副作用(頻度はまれ)
- 低血糖:単剤では稀だが、他剤併用で0.1〜5%未満
- 腸閉塞:腹部膨満・嘔吐・腹痛が続くときは要受診
- 肝機能障害・黄疸・劇症肝炎:0.1%未満
→ 開始後6か月は月1回の肝機能検査が推奨 - 高アンモニア血症による意識障害(重い肝硬変の方に注意)
その他の注意点
- 運転・高所作業:低血糖リスクに注意
- 検査値への影響:1,5-AGという数値が下がりやすく、血糖コントロールの指標にはならない
まとめ
アカルボースは「食後の血糖上昇」を的確に抑える薬で、食直前に服用することが重要です。
消化器症状が出やすいものの、多くは時間経過で軽快します。症状がつらいときは、医師に相談し減量や中止を検討してください。
- 他の糖尿病薬と併用時は低血糖注意 → ブドウ糖で対応
- 肝機能は定期チェック(とくに開始後6か月)
- 効果が出なければ2〜3か月で見直しも視野に
受診の目安
- 食後2時間だけ血糖が高い
- 食後の血糖変動が気になる
- 他の糖尿病薬で「空腹時は良いが食後が高い」
このような場合、アカルボースは治療の選択肢になり得ます。適応や飲み合わせの確認が必要ですので、医師にご相談ください。
参考文献・出典
厚生労働省「医薬品添付文書情報(アカルボース錠)」
KEGG DRUG Database: D00216 Acarbose
医学と薬学, 22, 365–381 (1989), 東純一ほか
薬理と治療, 24, 837–872 (1996), 河盛隆造ほか
Nagoya J. Med. Sci., 47, 35–41 (1984), 早川哲夫ほか
バイエル薬品株式会社 インタビューフォーム(グルコバイ®)
沢井製薬株式会社 医療用医薬品添付文書(アカルボース錠「サワイ」)
よくある質問(Q&A)
-
この薬(アカルボース)の同じ系統の薬と比べた強みは?
-
アカルボースは、同じ「α-グルコシダーゼ阻害薬」グループの中でも作用が穏やかで使いやすいことが特徴です。
同系統の代表薬には次のようなものがあります。薬剤名 主な特徴 アカルボース(グルコバイ®など) もっとも使用歴が長く、作用の立ち上がりが緩やか。お腹の張りやガスなどの副作用が比較的少ない。 ボグリボース(ベイスン®) 効果は強めだが、胃腸への刺激がやや強い傾向。 ミグリトール(セイブル®) 吸収されやすく、全身作用も多少ある。腎機能低下時は注意が必要。 つまりアカルボースは「最初に試しやすいα-グルコシダーゼ阻害薬」として位置づけられています。
-
先発薬(グルコバイ)の発売年はいつ?
-
アカルボースの先発薬であるグルコバイ®(バイエル薬品)は、1993年に日本で承認・発売されました。
その後、2009年にジェネリック医薬品(アカルボース錠「サワイ」など)が登場しています。
-
1か月(30日)分処方されたときの薬価と実際の負担額は?
-
製品名 薬価(公定価格) 1日投与量の目安 30日分の薬価合計 自己負担額(3割負担) アカルボース錠50mg「サワイ」 10.8円/錠 3回/日(1日3錠) 約972円 約290円 アカルボース錠100mg「サワイ」 19.3円/錠 3回/日(1日3錠) 約1,737円 約520円 ※食事の前に服用する薬のため、1日3回×30日で90錠として計算。
※調剤技術料・薬剤服用歴管理料などは別途加算されます。
-
作用の発現時間と持続時間は?
-
アカルボースは食後の血糖上昇を抑える薬であるため、
「食直前に服用して、その食事に対して効果を発揮」します。- 作用発現時間:服用後すぐ(同じ食事の消化過程で作用)
- 作用持続時間:おおよそ3〜4時間程度(食後血糖のピークをカバー)
1回ごとの食事にあわせて飲むのが基本で、定期的な連続服用が必要です。
-
妊娠中の使用はできる?
-
妊娠中はアカルボースを使用できません。
添付文書では「妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しないこと」と明記されています。
理由は、ヒトでの安全性データが十分にないためです。糖尿病のある妊婦さんでは、インスリンでの管理が一般的に推奨されます。
胎児への影響を避けるため、内服薬ではなく注射薬によるコントロールが原則です。
-
授乳中に使っても大丈夫?
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動物実験では、アカルボースが乳汁に移行することが確認されています。
そのため、授乳婦に使う際は「授乳を続けるか・薬を使うか」を慎重に検討します。通常は、
- もしくはインスリンなど別の薬に切り替える
- 医師と相談のうえで一時的に授乳を中止する
という対応が取られます。
-
子ども(小児)に使える?
-
アカルボースは小児を対象とした臨床試験が実施されていません。
したがって、18歳未満への投与は推奨されていません。どうしても必要な場合は、専門医の判断で体重や状態を考慮して慎重に使われます。
ただし、一般的な糖尿病治療では食事療法とインスリンが基本です。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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