じゅくじゅく・かゆい湿疹に…フルコートFの効果と使い方
じゅくじゅく・かゆい湿疹に…
フルコートFの効果と使い方

痒い湿疹に『フルコートF軟膏』を使っています。

フルコートF軟膏は、ステロイド(フルオシノロンアセトニド)
+抗生物質(フラジオマイシン硫酸塩)の配合薬です。
同じステロイド外用薬の中でも、「二次感染(細菌が上乗せされる状態)を同時に治療できる」点が
大きな強みです。フルコートF軟膏はオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
フルコートF軟膏とは
フルコートF軟膏は、ステロイド外用薬(フルオシノロンアセトニド)と抗生物質(フラジオマイシン硫酸塩)を配合した処方薬です。
湿疹や皮膚炎などで、じゅくじゅく(湿潤)・びらん(ただれ)・かさぶた(結痂)があり、二次感染(細菌の上乗せ)を伴っているときに使用します。
- 通常の「フルコート(Fなし)」はステロイド単剤
- 「フルコートF」は抗生物質が加わった配合剤 → 細菌感染への対応が可能
フルコートF軟膏の特徴
(開発の経緯をふまえて)
- 1960年:米国シンテックス社がフルオシノロンアセトニドを開発
- 1961年:国内で「フルコート」クリームとして発売
- 1963年:抗生物質を加えた「フルコートF軟膏」販売開始
- 1980年:再評価により有効性・安全性が確認
- 2004年:効能・効果の整理通知
- 2009年:販売名変更に伴う再承認・薬価収載
この薬は、
- ステロイドが炎症を素早く鎮める
- フラジオマイシンが細菌を殺菌する
という2つの効果を活かし、
湿潤やびらんがある部位、または二次感染が起こりやすい皮膚症状に適しています。
効能・効果
対象となる菌種
- フラジオマイシン感性菌(=この抗生物質に効く菌)
適応症
- 深在性皮膚感染症
- 慢性膿皮症
- 次のような疾患で、湿潤・びらん・かさぶたがある、または二次感染を伴っている場合:
- 湿疹・皮膚炎(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎など)
- 乾癬(かんせん)
- 陰部・肛門部の皮膚そう痒症(ひふそうようしょう)
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
- 外傷・熱傷・手術創の二次感染
❌注意:カビやウイルスによる皮膚感染症、ダニ(疥癬)やシラミなどの動物性皮膚疾患には使用できません(後述の禁忌参照)
有効性
(臨床試験結果)
国内の臨床試験(湿疹・乾癬・熱傷・膿皮症など)で、
有効率は80.7%(1,030/1,277例)と報告されています。
- ステロイドの抗炎症作用
- フラジオマイシンの抗菌作用
この2つの相乗効果が高い有効率につながっています。
用法・用量(塗り方)
- 通常:1日1~数回、患部に薄く塗布または塗り込む(塗擦 とうさつ)
- 方法:ガーゼに伸ばして貼付する方法もあります
- 回数や期間:症状に応じて医師が調整
密封療法(ODT)について
- 密封療法は効果が強まる一方、副作用リスクも高くなります
- 自己判断で行わないでください
注意部位
- 顔・目の周り:薬の吸収が良いため、副作用が出やすい。薄く・短期間が原則
- 改善がない/悪化時:すぐに使用を中止し、早めに受診
- 改善後は、できるだけ早く中止します
使用できない方(禁忌)
以下に該当する場合は使用できません:
- フラジオマイシン耐性菌・非感性菌による皮膚感染症
- 細菌・カビ・スピロヘータ・ウイルスの感染症
- 疥癬(かいせん)・シラミなどの動物性皮膚疾患
- 本剤の成分に過敏症の既往歴がある方
- 鼓膜穿孔のある外耳炎
- アミノグリコシド系抗生物質(例:ゲンタマイシンなど)に過敏な方
- 潰瘍(ベーチェット病を除く)や深い熱傷・凍傷
使用に注意が必要な方・場面
妊娠中
- 広範囲・長期・大量・ODTの使用は避けましょう
(動物実験で胎児への影響報告あり)
小児
- ODTや大量使用で発育障害の恐れあり
- おむつ使用時は、密封状態になるため特に注意
高齢者
- 副作用が出やすいため慎重に使用を
眼のまわり
- 眼圧上昇・緑内障・白内障のリスクあり → 眼科用には使用不可
外耳(耳の中)
- 鼓膜に穴がある場合は禁忌
長期連用
- 副腎皮質ホルモンの全身的な副作用(ホルモンバランスの異常)の恐れ
その他注意
- 本剤の油性成分がコンドームなどラテックス製品を劣化させるため、接触を避けてください
- 他のステロイドや抗生物質の外用剤と併用する場合は、副作用リスク増 → 医師に相談を
副作用と発生頻度
◆重大な副作用(頻度不明)
- 眼圧亢進・緑内障:特に目元使用時は注意
- 後嚢白内障・緑内障:長期・広範囲・ODT使用時にリスクあり
◆その他の副作用
| 発現頻度 | 内容 |
|---|---|
| 0.1~5%未満 | 魚鱗癬様皮膚変化、紫斑、多毛、色素脱失、刺激感、乾燥、発疹など |
| 頻度不明 | ざ瘡疹、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎、皮膚萎縮、毛細血管拡張、紅斑、接触皮膚炎など |
| 内分泌系 | 下垂体・副腎機能の抑制(長期・広範囲・ODTで) |
| 長期連用 | 腎障害、難聴が起こることあり |
🔔 目のかすみ・強い赤み・膿・耳鳴り・聞こえにくさなどが出たら、すぐに使用を中止し医療機関へ。
まとめ
フルコートF軟膏は、
「ステロイド+抗生物質」の配合により、炎症と細菌感染の両方に対応できる外用薬です。
- 有効率80.7%と良好な効果が確認されており、
- 滲出・びらん・二次感染のある皮膚症状に特に向いています。
ただし…
- 長期・広範囲・密封(ODT)では副作用のリスクが高くなる
- 目の周り・妊婦・小児・高齢者には慎重に
- カビ・ウイルス・疥癬・シラミには使えない
参考文献・出典
添付文書(2023年4月改訂 第1版 D6)/田辺三菱製薬
KEGG DRUG:D04795(配合剤)/D01825(フルオシノロンアセトニド)/D01618(フラジオマイシン硫酸塩)
主要文献:
中村家政ほか, 西日本皮膚科, 38(2), 317-326 (1976)
内山光明, 基礎と臨床, 9(5), 1045-1053 (1975)
鹿取信, 炎症とプロスタグランジン, 74-93 (1986)
Stoughton RB, Arch Dermatol., 99(6), 753-756 (1969)
✅ 添付文書とKEGGは最新情報の確認に必須。
✅ 国内外論文では、抗炎症・抗菌の相乗効果や臨床有効率(約80%)が報告されています。
よくある質問(Q&A)
-
この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?
-
フルコートF軟膏は、ステロイド(フルオシノロンアセトニド)+抗生物質(フラジオマイシン硫酸塩)の配合薬です。
同じステロイド外用薬の中でも、「二次感染(細菌が上乗せされる状態)を同時に治療できる」点が大きな強みです。たとえば、リンデロンVGやデルモゾールGも同系統ですが、フルコートFは皮膚のじゅくじゅくやびらん部位に使いやすい基剤(軟膏ベース)で、浸透が穏やかかつ刺激が少ないのが特徴です。
炎症と感染を一緒に抑える目的では、医療現場でも「バランス型の配合剤」として位置付けられています。
-
先発薬の発売年は?
-
フルオシノロンアセトニドは1960年にアメリカ・シンテックス社で開発。
日本では田辺製薬(現・田辺三菱製薬)が提携し、- 1961年:「フルコート」クリームとして発売
- 1963年:抗生物質を加えた「フルコートF軟膏」発売
その後、1980年に再評価で有効性・安全性を確認、
2009年に販売名変更に伴う再承認・薬価再収載が行われています。
-
1か月(30日)処方時の薬価・実際の目安価格(自己負担額含む)
-
フルコートF軟膏の薬価は22.3円/g(2023年4月改訂)です。
- 医師がよく処方する量(5g×10本=50g)を30日分とした場合:
→ 薬価:約1,115円
→ 3割負担なら約340円前後(調剤料・薬剤料別)
薬価は後発品に比べるとやや高めですが、抗菌剤を含むステロイド外用薬の中では標準的な価格帯です。
- 医師がよく処方する量(5g×10本=50g)を30日分とした場合:
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作用の発現時間・持続時間
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- 作用発現:塗布後、数時間以内に赤みやかゆみの軽減がみられることが多いです。
- 持続時間:12〜24時間程度持続しますが、皮膚の状態によって異なります。
ステロイド作用は細胞レベルで炎症を抑えるため、即効性と持続性のバランスが良いタイプです。
フラジオマイシンは皮膚表面で局所的に細菌を殺菌し、全身への影響はほとんどありません。
-
妊娠中の使用(使用の可否・リスク・注意点)
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妊娠中でも、医師の判断で必要最小限の範囲・期間であれば使用可能です。
ただし、動物実験では胎児への影響(外形異常や発育抑制など)が報告されており、
「広範囲・長期・大量・密封法(ODT)」は避けることが基本です。🔸お腹・胸・太ももなど、吸収のよい部位は特に注意。
🔸「使う必要がある時だけ、短期間で終える」ことを原則に。
-
授乳中の使用(母乳への移行・使用の可否と注意点)
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授乳中も医師の管理下で局所使用は可能です。
成分の血中移行はわずかで、母乳への移行はほとんどないとされています。ただし、
- 乳首や乳輪部への直接塗布は避ける(乳児が口にする可能性があるため)
- 長期・広範囲の使用は避け、症状が落ち着いたら中止する
という点に注意してください。
-
子どもへの使用可否と注意点
-
小児にも使えますが、皮膚が薄く吸収が早いため、副作用が出やすい傾向があります。
特におむつ部位は「密封療法と同じ状態」になるため、- 長期間の使用
- 広範囲の塗布
- 強いステロイドの併用
は避けるようにします。
🔸発疹・赤み・肌の萎縮などが出たら早めに中止して受診を。
🔸医師の指示どおりに「量・期間・回数」を守ることが大切です。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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