ロゼックスゲルとは?顔の赤み・皮膚のにおいに使われる塗り薬をやさしく解説

ロゼックスゲルとは?|
顔の赤み・皮膚のにおいに使われる塗り薬をやさしく解説

酒さで『ロゼックス®ゲル』使えますか?

ロゼックス®ゲルは

がん性皮膚潰瘍の臭気

酒さ(赤み・ブツブツ)に効果がある塗り薬です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

ロゼックスゲルとは

ロゼックス®ゲル0.75%(一般名:メトロニダゾール)は、皮膚に直接塗って使う水性ゲルの処方薬です。
日本ではマルホ株式会社が販売しており、効能は以下の2つです:

  • 酒さ(しゅさ)
  • がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減

ロゼックスゲルの特徴

✅ 世界的に使われている塗り薬

  • 1988年に米国で酒さ治療薬として承認
  • 60か国以上で販売(Rozex®, Metrogel® など)

✅ 日本では2つの効能が段階的に承認

  • 2014年:「がん性皮膚潰瘍の臭気軽減」として初承認
  • 2022年:「酒さ」の効能が追加承認

作用のポイント(しくみ)

酒さに対して

  • 活性酸素の発生をおさえる
  • TNF-α(炎症物質)などを減らす
    → 赤みやブツブツ(炎症性皮疹)をおさえる作用があります

潰瘍臭に対して

  • 嫌気性菌(けんきせいきん)への抗菌作用
  • プトレシン・カダベリンなど、においの原因物質の発生をブロックします

💡 水性ゲルなので、顔にも塗りやすく使用感も良好です


効能・効果

  • がん性皮膚潰瘍部位の殺菌・臭気の軽減
  • 酒さ(赤みやブツブツ)

有効性(臨床試験での効果)

がん性皮膚潰瘍の臭気改善

  • 国内第Ⅲ相試験で、14日間の塗布によって
    95.2%(21例中20例)で「におい」が改善
    • 90%信頼区間(CI):79.3–99.8

酒さに対する効果

  • 二重盲検(にじゅうもうけん:患者も医師も誰が何を使ったか知らない状態)試験(130例)
  • 1日2回・12週間の塗布

▼ 主要評価項目(2つの達成)

  • 「炎症性皮疹の減少」
  • 「紅斑(こうはん:赤み)の改善」
両方達成の割合
本剤群72.3%(47/65)
プラセボ群36.9%(24/65)

群間差 35.4%(95%CI 17.9–51.3)/P<0.0001
→ ブツブツと赤みの両方に明らかな改善効果がありました。


用法・用量(使い方)

🔹 がん性皮膚潰瘍の臭気対策

  • 1日1〜2回
  • 潰瘍面を清拭してから使用
  • ガーゼに塗って貼るか、直接塗って保護する

🩹 注意: 患部が乾燥していると出血しやすくなるため、湿潤(しっとり)状態を保つよう注意が必要です。

🔹 酒さの治療

  • 1日2回、洗顔後にやさしく塗布
  • 通常は12週間まで
  • 長期使用は医師が判断します

☀️ 紫外線(日光・日焼けランプ)にあたると薬の効果が弱まるため、なるべく避けましょう。

💡 刺激感や乾燥が出たら

  • 回数を減らす
  • 一時中止し、医師に相談を

🍷 飲酒はNG(下記「併用注意」を参照)


使用できない方(禁忌)

以下に該当する方は使用できません

  • 成分に過敏症(かびんしょう)の既往がある
  • 脳・脊髄に器質的疾患がある(腫瘍を除く)
  • 妊娠3か月以内の方(妊娠初期)

使用に注意が必要な薬や習慣(併用注意)

❌ 飲酒は必ず避ける

  • メトロニダゾールは アルデヒド脱水素酵素(ALDH)を阻害
  • そのため、アセトアルデヒドが体内にたまりやすくなり
    → 吐き気・嘔吐・顔のほてり・精神症状 などが出る可能性

📌 リトナビル内用液(アルコール含有) も同様に注意!

相互作用がある主な薬剤

  • ワルファリン等(抗凝固薬) → 出血リスク増
  • リチウム → 血中濃度上昇、リチウム中毒の恐れ
  • 5-FU(抗がん剤) → 作用増強の恐れ
  • ブスルファン/シクロスポリン → 作用増強
  • ジスルフィラム → 精神症状(錯乱など)
  • フェノバルビタール → ロゼックスの効果が減弱することあり

特別な人への使用注意

  • 妊婦
    • 妊娠初期は禁忌
    • 妊娠3か月以降は、有益性がリスクを上回る場合に限り検討
  • 授乳中の方
    • 母乳へ移行するため、授乳は避けるのが望ましい
  • 小児・高齢者・既往歴がある方
    • 体質・持病・加齢に応じて医師が使用の可否を判断します

副作用と頻度

よく見られる副作用

頻度症状
5%以上潰瘍部位からの出血(潰瘍臭対策時に多い)※9.5%報告あり
5%未満接触皮膚炎、乾燥、かゆみ、つっぱり感、皮脂欠乏症

その他・頻度不明

  • 紅斑、ヒリヒリ感、皮膚の痛み・刺すような感覚、刺激感、落屑(らくせつ:皮むけ)、顔の腫れ
  • 末梢神経障害(しびれ・感覚低下)、味覚異常(金属味)、悪心、じんましん、血管浮腫などもまれに報告あり

🧠 広範囲の使用や潰瘍部位への使用では、
全身に吸収されるため、神経障害や血液障害など、内服薬に近い副作用が出ることも
医師の管理下で使用します


🚨 こんな時は受診を!

  • 刺激感や出血が強い、長く続く
  • 手足のしびれ、力が入らない
  • 息切れ、出血が止まりにくい

などの異常があれば、早めに受診してください


まとめ

ロゼックス®ゲルは:

  • 酒さ(赤み・ブツブツ)
  • がん性皮膚潰瘍の臭気
    に効果がある塗り薬です。

✅ 基本の使い方

  • 酒さ:1日2回、12週間まで
  • 潰瘍臭:1日1〜2回、清拭後に塗布

✅ 注意点

  • 飲酒はNG
  • 妊娠初期は使用不可
  • 飲んでいる薬は医師に必ず伝える
  • 異常が出たら中止・調整が可能

📌 当院では

患者さん一人ひとりの症状・体質・併用薬にあわせて
適切な塗り方・使用期間・スキンケアまで丁寧にご案内しています。

気になる赤みや「におい」は我慢せず、まずはご相談ください。


参考文献・出典

医薬品添付文書(マルホ/PMDA)
→ 詳細な効能・用法・副作用の情報あり

日本緩和医療学会の推奨資料
→ がん性皮膚潰瘍臭の管理にメトロニダゾールを紹介

酒さ治療に関する皮膚科学会ガイドライン(参考:日本皮膚科学会)

PubMed登録文献(例:Watanabe K. et al., Support Care Cancer, 2016)

薬効薬理に関する文献(抗炎症作用、抗菌機序など)

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?

ロゼックス®ゲルの有効成分メトロニダゾールは、「抗菌作用」と「抗炎症作用」の両方を兼ね備えている点が最大の特徴です。
ほかの外用抗菌薬(ゲンタシン・フシジンレオ・ゼビアックスなど)は基本的に殺菌または静菌作用が中心であり、炎症そのものを抑える効果は限定的です。

特に「酒さ」や「がん性皮膚潰瘍臭」では、炎症と感染が混在しているケースが多く、メトロニダゾールのように両面からアプローチできる薬は非常に有用です。

ロゼックス®ゲルはいつ発売されたの?

  • 1988年(米国): 「酒さ治療薬」として最初に承認
  • 1994年(英国): 「がん性皮膚潰瘍臭の軽減」で追加承認
  • 2014年(日本): がん性皮膚潰瘍のにおい対策として初承認
  • 2022年(日本): 酒さの効能が追加承認されました

👉 日本ではまだ比較的新しい薬で、他の抗菌外用薬とは異なる目的・位置づけで承認されています。

1か月分(30日)の薬価と実際の費用は?

●【薬価(定価)】

  • ロゼックス®ゲル 0.75%:71.6円/g
  • 1日1g使用×30日=30g → 約2,148円(薬価)

●【自己負担の目安】

負担割合自己負担額(30g想定)
3割負担約645円
1割負担(高齢者など)約215円

※ 処方料・調剤料は別途かかります。

●【後発品あり】
「メトロニダゾールゲル0.75%『マルイシ』」は 37.5円/g半額近くで、同様の効果が期待できます。

どれくらいで効く?作用発現や持続時間は?

酒さ(赤み・ブツブツ)の場合:
数日〜1週間以内に軽度な改善が見られることもありますが、本格的な効果は2〜4週以降に実感するケースが多く、12週(約3か月)で評価されます。

がん性皮膚潰瘍臭の場合:
→ 臨床試験では14日間で95.2%がにおい改善数日〜1週間以内に臭気軽減を感じる方も多いです。

🕒 持続時間は明確なデータは少ないものの、1日2回の塗布で安定効果が見られる設計になっています。

妊娠中でも使えるの?

妊娠初期(3か月以内)は使用禁止(禁忌)です。

これは、成分が胎盤(たいばん)を通過して胎児に届くことが確認されているためです。

妊娠4か月以降は、医師が「治療上の有益性が危険性を上回る」と判断した場合のみ使用可です。
→ 必ず医師に相談し、自己判断での使用は避けてください。

授乳中は使える?赤ちゃんへの影響は?

授乳中の使用には注意が必要です。

  • 経口剤のデータでは、母乳中に有効成分が移行し、母体と同程度の濃度になることが報告されています。
  • そのため、可能であれば授乳は避けるのが望ましいとされています。

📌 どうしても使用が必要な場合は、
「使用期間中のみ授乳を一時中止」など、医師の指示に従って調整する方法もあります。

子ども(小児)には使えるの?

現時点で小児を対象とした国内の臨床試験は実施されていません

そのため、子どもへの使用は慎重に判断されるべきとされています。

👶 年齢・症状・使用部位などをふまえて、医師の判断が必要です。
自己判断では使わないようにしてください。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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