ゲンタシン軟膏とは?皮膚の赤み・じゅくじゅくに使う抗生物質の外用薬

ゲンタシン軟膏とは?
皮膚の赤み・じゅくじゅくに使う抗生物質の外用薬

とびひで『ゲンタマイシン軟膏』使えますか?

ゲンタマイシン軟膏は、アミノグリコシド系(細菌のたんぱく質合成を止めて殺菌するタイプ)

に分類される抗生物質の外用薬です。特にとびひや化膿した湿疹などでよく処方されます。

ゲンタマイシン軟膏はオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

ゲンタマイシン軟膏とは

ゲンタマイシン軟膏は、アミノグリコシド系(細菌のたんぱく質合成を止めて殺菌するタイプ)に分類される抗生物質の外用薬です。

細菌のたんぱく質合成を止めることで、殺菌的に作用します。

代表的な製品に
ゲンタシン軟膏0.1%(高田製薬)があり、
同濃度のクリーム製剤(ゲンタシンクリーム0.1%)も存在します。

※同成分の点眼薬(0.3%)もありますが、この記事では皮膚用の軟膏について解説します。


ゲンタマイシン軟膏の特徴

有効成分はゲンタマイシン硫酸塩で、天然のMicromonospora(マイクロモノスポラ)属という細菌の培養から得られる混合物です。

  • 1970年に日本で初めて発売され、以来長く使われてきた実績があります。
  • 富士製薬工業による後発品は1990年に承認され、
    その後、医療事故防止の観点から名称変更を経て
    2016年に「ゲンタマイシン硫酸塩軟膏0.1%『F』」として再承認されました。

この薬の特長

  • 広範囲の菌に効く
  • 皮膚への刺激が少ない
  • 耐性菌(薬が効かなくなる菌)対策として、短期間使用が推奨

効能・効果

対象となる菌種(感受性のある菌)

  • ブドウ球菌属
  • レンサ球菌属(※肺炎球菌は除く)
  • 大腸菌
  • クレブシエラ属
  • エンテロバクター属
  • プロテウス属
  • モルガネラ・モルガニー
  • プロビデンシア属
  • 緑膿菌

適応となる疾患(治療できる病気)

  • 表在性皮膚感染症(とびひ、毛のう炎など)
  • 慢性膿皮症
  • びらん・潰瘍の二次感染

※抗生物質は「原因菌に効くかどうか」が大切です。
必要に応じて培養検査感受性検査を行い、
短期間での使用にとどめるのが基本です。


有効性(臨床試験の結果)

国内の臨床試験(237例)において、以下のような有効率が報告されています。

適応症有効率(%)対象例数
表在性皮膚感染症82.8%106/128例
湿疹やその類似疾患の二次感染69.8%37/53例
慢性膿皮症の二次感染64.9%24/37例
びらん・潰瘍の二次感染57.9%11/19例
  • 軟膏・クリームいずれも有効性が確認されています。
  • 使用部位や症状に応じて、軟膏/クリームを使い分けます。
    (例:ジュクジュクしている部位にはクリームを選ぶなど)

用法・用量(使い方)

  • 1日1〜数回、患部に直接塗布します。
    または、ガーゼにのばして貼付してもかまいません。

注意点

  • 長期使用は避けることが基本です。
  • 眼科用には使えません(目には使用不可)
  • 改善が乏しい・悪化している場合は、
    他の原因(耐性菌・真菌・湿疹など)を考慮し、医師に相談しましょう。

使用できない方(禁忌)

以下の方は使用できません

  • ゲンタマイシンにアレルギーがある方
  • 他のアミノグリコシド系抗生物質にアレルギーがある方
  • バシトラシンにアレルギーがある方

使用に注意が必要なケース

明記された相互作用はありませんが、以下に当てはまる場合は医師・薬剤師へ相談を。

  • 他の外用抗生物質やステロイド外用剤を使っている方
  • 多剤併用中の方(高血圧・糖尿病などの基礎疾患がある場合)

副作用とその頻度

重要な注意点

  • 耐性菌のリスクを避けるため、
     感受性を確認した上で必要最小限の期間にとどめる
  • アレルギー症状(そう痒・赤み・腫れ・ぶつぶつ・水ぶくれなど)が出たら
     すぐ使用を中止して受診

副作用の頻度

  • 0.1%未満:発疹
  • 頻度不明:腎障害、難聴

全身に影響が出ることはまれですが、
尿が出にくい・耳鳴り・聞こえにくいなどの症状があれば、使用をやめてすぐ医療機関へ。


まとめ

ゲンタマイシン軟膏は、皮膚の細菌感染症に使う抗生物質の外用薬です。

  • 広く菌に効き、殺菌的に作用します。
  • 皮膚への刺激が少ないのも特徴です。

使用のポイント

  • 1日1〜数回塗布短期間使用が原則
  • 目には使用不可
  • 発疹などの異常があれば使用を中止して受診

まれに腎障害・難聴の副作用もあるため、注意が必要です。

軟膏/クリームの使い分けや、他の薬との併用が必要なケースもあります。


参考文献・出典

【添付文書(医療用医薬品解説書)】
 → PMDA(医薬品医療機器総合機構)の医療用医薬品情報
 「ゲンタマイシン硫酸塩軟膏」「ゲンタシン」で検索可能

【KEGG DRUG ID】
 → D01063(構造・作用・分類が掲載)

【文献】
 出口浩一ら, Jpn. J. Antibiot., 1990
 Hahn et al., J. Infect. Dis., 1969
 Waitz JA et al., J. Infect. Dis., 1969

よくある質問(Q&A)


この薬の同じ系統の既製薬品に対する強みは?

ゲンタマイシン軟膏(ゲンタシン軟膏など)は、アミノグリコシド系抗生物質に分類されます。
同じような抗生物質外用薬には以下のようなものがあります:

成分系統主な違い・特徴
フシジン酸(フシジンレオ)蛋白合成阻害(別系統)黄色ブドウ球菌に特化。MRSAにも一部有効。
ムピロシン(バクトロバン)異なる作用機序鼻腔MRSA保菌に使用されることもある。
バシトラシン細胞壁合成阻害系スペクトルは狭め。ゲンタマイシンとは交差アレルギーあり。

🟢 ゲンタマイシン軟膏の強みは、広い抗菌スペクトル
ブドウ球菌・レンサ球菌・緑膿菌など複数の菌に効くこと、
そして皮膚刺激性が少ない点が特長です。

この薬の先発品はいつ発売されたの?

ゲンタマイシン軟膏の先発品(ゲンタシン軟膏0.1%)は1970年に日本で発売されました。

アミノグリコシド系外用薬として、長年にわたり皮膚科や小児科で広く使用されています。

1か月(30日)処方時の薬価と実際の目安価格は?

【薬価】

  • ゲンタシン軟膏(先発品):11円/g
  • 後発品(例:ゲンタマイシン硫酸塩軟膏「F」):8.7円/g

【1か月使用想定量(例:1日1g×30日)】

  • 先発品:11円 × 30g = 330円(薬価ベース)
  • 後発品:8.7円 × 30g = 261円

【自己負担目安(3割負担の場合)】

  • 先発品:約 100円前後
  • 後発品:約 80円前後

※診察料・処方料・調剤料は別途かかります。

効果が出るまでの時間や、持続時間は?

効果発現時間:塗布後、数時間以内に抗菌作用が始まるとされます。
 ただし、目に見えて症状が改善するには1〜3日程度かかることが多いです。

持続時間:外用薬なので、作用時間は数時間程度です。
 そのため1日1〜数回の使用が必要になります。

妊娠中の使用は大丈夫?

妊娠中でも基本的には使用可能とされています。

ただし、以下に注意が必要です:

  • 全身への吸収が少ないとはいえ、長期間・広範囲の使用は避ける
  • 使用中に発疹など異常が出たらすぐ中止
  • 必要であれば、医師の判断のもとで使うようにしましょう

📌 海外ではFDA妊娠カテゴリーC(動物実験で有害報告があるが、人では明確でない)に分類されることもあります。

授乳中でも使える?母乳への影響は?

授乳中でも基本的には使用可能とされています。

  • 成分が母乳に移行する可能性は極めて低いと考えられています。
  • ただし、乳頭に直接塗布する場合は、授乳前に拭き取るなどの配慮が必要です。

📌 赤ちゃんが直接なめてしまうような部位に使用する際は、医師・薬剤師に相談を。

子どもに使っても大丈夫?

はい、小児にも使用可能です。

  • 特にとびひや化膿した湿疹などでよく処方されます。
  • 皮膚が薄い部位や顔などは注意して使います。

注意点:

赤ちゃんに使う場合は、おむつかぶれや真菌との見分けが重要なため、自己判断せず受診を

広範囲や長期間の使用は避ける

使用後に異常があれば、すぐ受診

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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