冷え・腹痛・頻尿に効く?話題の小建中湯(しょうけんちゅうとう)をやさしく解説

冷え・腹痛・頻尿に効く?
話題の小建中湯(しょうけんちゅうとう)をやさしく解説

夜尿症があるので『小建中湯』使えますか?

小建中湯(しょうけんちゅうとう)は、体力が落ちていて疲れやすい方や、

腹痛・冷え・頻尿・多尿、小児の夜尿症などの症状を訴える方に使われる漢方薬です。

小建中湯はオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。


小建中湯(しょうけんちゅうとう)とは

小建中湯(しょうけんちゅうとう)は、体力が落ちていて疲れやすい方や、腹痛・冷え・頻尿・多尿、小児の夜尿症などの症状を訴える方に使われる漢方薬です。


小建中湯の特徴

漢方古典に由来した処方

この薬は、漢方の古典『傷寒論(しょうかんろん)』や『金匱要略(きんきようりゃく)』に記載された処方に基づき、現代のエキス顆粒剤として再構成された医療用漢方薬です。

製剤の構成と特徴

桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)に膠飴(こうい:麦芽糖)を加えた処方で、次の5種類の生薬を煎じて作られます。

  • シャクヤク
  • ケイヒ
  • タイソウ
  • カンゾウ(甘草)
  • ショウキョウ

効能・効果(どんなときに使う?)

体質が虚弱(きょじゃく)で疲れやすく、血色が悪い、腹痛、動悸(どうき)、手足のほてり、冷え、頻尿・多尿などを伴う人に用いられます。

適応される主な症状・病態:

  • 小児虚弱体質
  • 疲労倦怠(けんたい)/神経質
  • 慢性胃腸炎(胃腸虚弱)
  • 小児夜尿症
  • 夜なき

有効性(エビデンスと臨床研究)

臨床での使用実態(ガイドラインより)

  • 「夜尿症診療ガイドライン」では、建中湯類(けんちゅうとうるい)が実際の医療現場で多用されている一方、質の高い研究は少ないとされています。
  • 標準治療(デスモプレシンやアラーム療法)の補助として併用されることが多いと明記されています。

臨床研究の例(観察研究)

夜尿症の難治例に対して、小建中湯を1日2回(2.5g/回)追加した後ろ向き観察研究(n=110)があります。

  • 難治例24例に対する評価では、有効または著効が15例
  • 10歳以上では効果が高かったとの結果(『Medicine』誌 2022年報告)。

※この研究は観察研究であり、ランダム化比較試験ではありません。

結論(当院での方針)

  • 小建中湯は、夜尿症や胃腸虚弱などへの有用性が臨床的に示唆されています。
  • ただし、エビデンスは限定的であり、標準治療の妨げとならないよう、体質(証)に基づいて慎重に併用を判断します。

用法・用量(のみかた)

  • 成人:通常1日15.0gを2〜3回に分けて食前または食間に内服します。
  • 年齢・体重・症状に応じて増減可能です。

使い方のコツ

  • 服用を始めたら、体調の変化をしっかり観察してください。
  • 効果がはっきりしない場合は、継続投与を避けるのが原則です。

使用できない方(禁忌)・注意が必要な方

明確な「禁忌」記載はなし

ただし、以下のような方には使用を避けるか、慎重な判断が必要です。

使用を控えるべき方:

  • 甘草(カンゾウ)製剤で副作用(偽アルドステロン症)を起こしたことがある方
  • 高血圧や低カリウム血症の既往がある方
  • 利尿薬を使用中の方

妊娠・授乳中の使用:

  • 妊娠中:利益が危険性を上回ると判断された場合のみ使用
  • 授乳中:母乳栄養の有用性を踏まえ、授乳の継続可否を医師と相談

飲み合わせに注意が必要な薬(相互作用)

併用注意薬

  • 甘草を含む漢方薬:芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散など
  • グリチルリチン酸含有製剤
    • グリチルリチン酸アンモニウム+グリシン+L-システイン
    • グリチルリチン酸アンモニウム+グリシン+DL-メチオニン配合錠

これらとの併用により、偽アルドステロン症(低カリウム血症、むくみ、血圧上昇)やミオパチー(筋力低下)のリスクが高まるため注意が必要です。


副作用と発生頻度

重大な副作用(頻度不明)

  • 偽アルドステロン症(ぎあるどすてろんしょう)
     → 低カリウム血症、血圧上昇、体液の貯留、浮腫、体重増加など
  • ミオパチー
     → 筋肉の異常。特に低カリウム状態で脱力感・けいれん・四肢の麻痺が出ることがあります。

→ 異常を感じたら、ただちに服用を中止して医師に相談しましょう。

その他の副作用(頻度不明)

  • 過敏症状(かびんしょうじょう):
     発疹、発赤、かゆみ など

特に注意が必要なケース

  • 高齢者や長期間使用する場合は、副作用が起きやすいと報告されています。

まとめ(受診の目安)

  • 小建中湯は、虚弱で腹痛や冷えを伴う方に適した漢方薬です。
  • 夜尿症、慢性胃腸炎、疲労倦怠などの症状に応じて使われます。

ポイントまとめ:

  • エビデンスは限定的だが、臨床的に有用な場面あり
  • 証(体質)を重視して適応を判断
  • 甘草・グリチルリチン酸との併用や副作用(低K・浮腫など)には注意

→ むくみ、だるさ、筋力低下、血圧上昇などに気づいたら、早めにご相談ください。

参考文献・出典

JAPIC 添付文書(医薬品情報センター)

KEGG DRUG Database(D06984)

ツムラ インタビューフォーム(医療関係者向け詳細情報)

『夜尿症診療ガイドライン』日本夜尿症学会(建中湯の位置づけに関する記載あり)

観察研究:Medicine誌(2022)「難治性夜尿症に対する小建中湯の後ろ向き研究」

よくある質問(Q&A)


小建中湯は、他の同系統の漢方薬と比べてどんな点が優れていますか?

小建中湯は「桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)」をベースに、体力・消化機能を補う“膠飴(こうい)”を加えた処方です。
同じ系統の漢方薬と比較した強みは以下の通りです:

  • 冷え+腹痛+虚弱体質など、幅広い虚弱症状に対応
  • 小児や高齢者など、体力のない人にも使いやすい穏やかな処方
  • 膠飴によって、胃腸機能のサポートや疲労改善の補助効果も期待されます。

他の漢方薬が「痛み」や「冷え」など個別の症状にフォーカスしているのに対し、小建中湯は「全体的な体力回復と症状の緩和を両立」させる処方設計が特徴です。

小建中湯の医療用漢方薬としての発売はいつからですか?

ツムラ小建中湯エキス顆粒(医療用)は、昭和60年(1985年)5月31日に「薬審2第120号通知」に基づいて承認されました。
これにより、医療用として正式に保険適用される形で流通が始まりました。

小建中湯の薬価と、1か月使った場合の実際の負担額は?

ムラ小建中湯(医療用)の薬価は6.9円/gです。通常用量(1日15g)で1か月使用すると…

項目内容
1日量15g
月間合計15g × 30日 = 450g
薬価合計6.9円 × 450g = 3,105円
自己負担(3割)930〜940円/月

※薬局調剤料・技術料は別途加算されます。


小建中湯は、どのくらいで効果が出て、どれくらい続きますか?

小建中湯は西洋薬と異なり、即効性は乏しく、1~2週間ほどで徐々に効果が現れるとされています。
特に、胃腸症状や体力の改善など「体質から整える」ことを目的とするため、持続的な服用で安定した効果が期待されます

ただし、効果の感じ方は体質や症状により個人差があります。症状の改善が見られない場合は医師に相談を。

妊娠中でも小建中湯は飲めますか?

妊娠中の使用は「治療上の利益がリスクを上回る場合に限り使用」とされています。

  • 成分のカンゾウ(甘草)は、偽アルドステロン症(むくみ・高血圧・低カリウム血症)のリスクがあるため注意が必要です。
  • 基本的には「医師の判断と指導のもとで使用可否を決定」します。

自己判断での服用は避け、まず主治医に相談してください。

授乳中に飲んでも赤ちゃんに影響はありませんか?

授乳中の小建中湯の使用については、明確な母乳移行の報告はないものの、以下の点に注意します:

  • 母乳栄養の利点と薬の効果を天秤にかけ、授乳の継続・中止を医師と相談のうえ判断します。
  • 成分のカンゾウによる影響(体液貯留、電解質変動)には注意が必要です。

医師に相談のうえ、赤ちゃんの様子もよく観察しながら使用します。

小建中湯は子どもにも使えますか?

使用できます。むしろ小建中湯は小児の夜尿症や虚弱体質に対してよく処方される漢方薬です。
ただし…

  • 臨床試験は小児を対象に実施されていない(=有効性・安全性のエビデンスが乏しい)
  • 医師の判断のもと、年齢・体重に応じて用量を調整する必要があります。

特に乳幼児や低体重児には慎重な判断が必要です。自己判断せず、小児科医・漢方専門医と相談してください。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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