風邪がなかなか治らない…冷えからくる体調不良に「麻黄附子細辛湯」が効く理由

風邪がなかなか治らない
冷えからくる体調不良に「麻黄附子細辛湯」が効く理由

風邪で冷えが来ます。『麻黄附子細辛湯』使えますか?

寒気(さむけ)、微熱、体のだるさ、手足の冷え、めまいなど、

「冷えが関係している風邪や気管支炎」の初期症状によく使われる漢方薬です。

とくに体力が落ちていて、冷えによる不調が目立つ人に向いています。

麻黄附子細辛湯はオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。


麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)とは

麻黄附子細辛湯は、以下の3種類の生薬からなる漢方薬です:

  • マオウ(麻黄)
  • サイシン(細辛)
  • ブシ末(附子)

体が冷えて元気がなくなる虚証(きょしょう)タイプの方に用いられます。主に、

  • 悪寒(さむけ)
  • 微熱(びねつ)
  • 全身倦怠(だるさ)
  • 四肢の冷えや痛み
  • 低血圧による頭痛やめまい

といった症状を伴うかぜや気管支炎に効果があります。



麻黄附子細辛湯の特徴

成分の代表例

  • エフェドリン(マオウ由来)
  • アサリニン(サイシン由来)
  • ベンゾイルメサコニン/14-アニソイルアコニン(ブシ由来)

効能・効果

以下のような冷えとだるさを伴う症状のかぜ・気管支炎に用います。

  • 悪寒、微熱
  • 全身倦怠感
  • 頭痛・めまい(低血圧傾向)
  • 手足の冷えや痛み

⚠️ 体力が充実して熱がこもりやすい方には不向きな場合があります(証の不一致)


有効性(薬理データ・動物実験)

▶ 抗侵害受容作用(痛みを感じにくくする)

  • 低温ストレスによる痛み過敏モデルで有効
  • セロトニン神経やカテコールアミン神経が関与

▶ 抗炎症作用

  • ヒスタミンやブラジキニンによる浮腫(むくみ)を抑制
  • ラットの足の腫れ(カラゲニン誘発)や肉芽の増殖も抑制

▶ 鎮痛作用(マウス・ラット試験)

  • 酢酸ライジング法、テールフリック法、尾圧法などで効果確認

※いずれも添付文書・文献(1996~1998年)に基づく前臨床データです


用法・用量

  • 通常:成人1日7.5g(顆粒)
    • 2~3回に分けて、食前または食間に内服

調整の目安

  • 年齢・体重・症状により調整
  • 数日服用しても改善しない場合は、継続を避ける or 方剤変更を検討

使用できない方(禁忌または慎重投与)

以下の方は使用を避けるか医師に相談が必要です。

  • 妊婦・妊娠の可能性のある方
    → ブシ末による副作用の懸念
  • 高度な腎障害のある方
  • 体力が充実して暑がり・のぼせやすい方
    → 動悸、不眠、舌のしびれ等の副作用が出やすい
  • 以下の持病がある方
    • 重症高血圧
    • 心疾患(狭心症・心筋梗塞など)
    • 排尿障害
    • 甲状腺機能亢進症
    • 胃腸虚弱・悪心・嘔吐・発汗過多
  • 小児・高齢者(ブシ含有、生理機能の低下により慎重投与)

飲み合わせに注意が必要な薬

以下の薬とは併用注意です(副作用や刺激作用の増加の恐れあり)。

⚠️ マオウ・エフェドリン類

  • 漢方薬:葛根湯、小青竜湯、麻黄湯など
  • 一般薬:エフェドリン塩酸塩、dl-メチルエフェドリン、フェキソフェナジン+プソイドエフェドリン製剤など

⚠️ MAO阻害薬

  • セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩など

⚠️ ホルモン・刺激系製剤

  • 甲状腺ホルモン:レボチロキシン、リオチロニン
  • カテコールアミン:アドレナリン、イソプレナリン
  • キサンチン系:テオフィリン、ジプロフィリン

※市販の風邪薬や鼻炎薬にも上記成分が含まれていることがあります。


副作用とその頻度

■ 重大な副作用(頻度不明)

  • 肝機能障害・黄疸
    • AST、ALT、ALP、γ-GTPなどの値が著しく上昇
    • 症状:だるさ、食欲低下、白目が黄色くなる、尿が濃くなるなど

■ その他の副作用(頻度不明)

分類症状
過敏症発疹、発赤
自律神経系不眠、発汗過多、動悸、頻脈、興奮、脱力
消化器口の渇き、胃の不快感、悪心・嘔吐、食欲不振
泌尿器排尿障害
その他のぼせ、舌のしびれ

特に体力のある熱体質の方・心疾患・腎疾患・甲状腺疾患のある方は注意が必要です。


まとめ

麻黄附子細辛湯は、冷えが強く虚証のかぜ・気管支炎に使う漢方薬です。

  • 抗炎症・鎮痛・抗アレルギーなどの薬理効果が報告されています。
  • ただし、証(体質)との相性が重要。
  • 数日で効果が出ないときは継続しない判断も必要です。

安全性と飲み合わせ

市販薬との重複にも注意を丈夫か」など、少しでも不安がある場合は、医師・薬剤師にご相談ください。併用できる?などの疑問は、症状や体質に応じて変わります。医師と相談しながら、最適な治療を一緒に見つけていきましょう。


参考文献・出典

以下の資料は、麻黄附子細辛湯についての医学的な裏付けや安全性評価に役立ちます。

医療用医薬品添付文書情報(PMDA)
 → https://www.pmda.go.jp/

JAPIC添付文書(ツムラ製品など)
 → https://www.japic.or.jp/

KEGG DRUG:D07043
 → https://www.genome.jp/entry/D07043

医療用医薬品インタビューフォーム(ツムラ・小太郎・三和など)

和漢医薬学雑誌・Am. J. Chin. Med. などの論文(例:池田孔己ほか, 1996)

よくある質問(Q&A)


麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)ってどんな症状に効くの?

寒気(さむけ)、微熱、体のだるさ、手足の冷え、めまいなど、「冷えが関係している風邪や気管支炎」の初期症状によく使われる漢方薬です。
とくに体力が落ちていて、冷えによる不調が目立つ人に向いています。

この薬はどんな他の漢方薬と違うの?強みはある?

同じ「かぜ」に使われる漢方としては、葛根湯(かっこんとう)小青竜湯(しょうせいりゅうとう)がありますが、麻黄附子細辛湯は以下の点で異なります:

  • 体力が弱って冷えているタイプの人向け(=虚証)
  • 葛根湯のような「熱・発汗を促すタイプ」と違い、冷えを温めることが中心
  • ブシ(附子)による温め効果と鎮痛効果が加わっているのが特徴

「ゾクッと寒い」「手足が冷たい」「だるくて食欲がない」など、冷えのサインがある風邪により適しています。

麻黄附子細辛湯の発売はいつから?

ツムラ製の麻黄附子細辛湯エキス顆粒(医療用)は、昭和60年(1985年)に「厚生省薬務局薬審2第120号通知」に基づいて承認・販売されています。
つまり
医療用としての歴史は約40年近く
あり、安全性評価・使用実績も豊富です。

1か月(30日)処方された場合、費用はどのくらい?自己負担はいくら?

例:ツムラ麻黄附子細辛湯エキス顆粒(薬価:18.4円/g)

  • 通常量:7.5g/日 × 30日 = 225g
  • 薬価合計:225g × 18.4円 = 4,140円
負担割合自己負担の目安
3割負担約1,240円/月
1割負担(高齢者など)約414円/月

※調剤料・処方箋料等を含まない金額。剤形やメーカーにより価格は上下します。ローチできるとされています。

どのくらいで効果が出る?作用の持続時間は?

用発現:1〜3日で徐々に症状の改善がみられるケースが多い

風邪の初期段階であれば、1日目から効果実感を得ることもあります。

持続時間:通常は1回の服用で4〜6時間程度作用し、1日2〜3回服用します。

ただし西洋薬と異なり、即効性よりも体質に合うかどうか(証)が効果に影響します.

妊娠中でも麻黄附子細辛湯を使っていいの?

原則として、妊娠中は使用を避けることが望ましいとされています。

  • 麻黄附子細辛湯には「ブシ(附子)末」という成分が含まれており、これは妊娠中の母体や胎児への影響(子宮収縮・心拍数変動など)の懸念があるためです。
  • 特に妊娠初期~中期は慎重投与または禁忌扱いされるケースもあります。

使用を検討する場合は、必ず主治医や漢方専門医に相談しましょう。

授乳中に飲んでも大丈夫?母乳に影響はある?

授乳中の使用は絶対に禁止ではありませんが、慎重に使用すべき薬です。

  • ブシなどの成分が母乳中にどれくらい移行するかの詳細なデータは不明ですが、安全性が確立されているとはいえません。
  • 添付文書では「治療上の有益性と母乳栄養の有益性を比較し、授乳の継続または中止を検討すること」とされています。

授乳を継続したい場合は、代替の漢方や西洋薬を含めて医師に相談してください。

子どもには使えるの?小児の使用について注意点は?

小児にも使用できますが、慎重に投与する必要があります。

  • 麻黄附子細辛湯にはブシ末(附子)が含まれ、体格や代謝の未熟な小児では副作用リスクが高くなることがあります。
  • 医師が年齢・体重・症状を考慮して用量を調整する必要があり、市販薬としては販売されていません。

決して自己判断では与えず、小児科・漢方専門医の指示に従ってください。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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