風邪やインフル初期に効く漢方「麻黄湯」とは?効果・飲み方・副作用をやさしく解説

風邪やインフル初期に効く漢方「麻黄湯」とは?
効果・飲み方・副作用をやさしく解説

寒気で関節の節々が痛いです。『麻黄湯』使えますか?

麻黄湯は、「寒気(さむけ)が強く、発熱・頭痛・節々の痛みがあるのに、汗が出ていない」

ような風邪やインフルエンザの初期に使われます。

麻黄湯はオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。


麻黄湯とは

麻黄湯(まおうとう)は、漢方の古典『傷寒論(しょうかんろん)』に記された処方で、
悪寒(おかん)・発熱・頭痛・腰痛があり、自然に汗が出ないタイプの風邪やインフルエンザ初期などに用いられる代表的な漢方薬です。

■ 主な構成生薬(しょうやく)

  • キョウニン(杏仁)
  • マオウ(麻黄)
  • ケイヒ(桂皮)
  • カンゾウ(甘草)

■ 代表的な含有成分

  • アミグダリン(杏仁由来)
  • エフェドリン(麻黄由来)
  • グリチルリチン酸(甘草由来)

効能・効果

以下のような症状に使われます(汗が自然に出ない状態が目安):

  • 感冒(かぜ)
  • インフルエンザ(初期)
  • 関節リウマチ
  • 喘息(ぜんそく)
  • 乳児の鼻づまり・哺乳困難

有効性(薬理作用に基づく情報)

■ 確認された薬理作用

  • ウイルス増殖の抑制
  • 抗炎症作用

■ 実験データの概要

  • PGE₂(プロスタグランジンE₂)産生や遊離の抑制が細胞実験で示唆
  • アレルギー反応(48時間PCA反応)を動物モデルで抑制

※臨床試験(人での大規模な治験)の詳細データは提示されていません。
実際の処方では、証(しょう)=体質・症状の組み合わせを重視して適応を判断します。


用法・用量

  • 通常、成人:1日7.5gを2〜3回に分けて
    食前または食間に服用
  • 例:2.5gを1日3回
  • 年齢・体重・症状により増減あり

使用できない方・注意が必要な方(禁忌・慎重投与)

■ 医師の判断で慎重投与が必要なケース

  • 病後の衰弱期/著しい体力低下
  • 胃腸虚弱・悪心・嘔吐がある
  • 発汗が多い人(発汗過多・全身脱力の恐れ)
  • 心疾患(狭心症・心筋梗塞など)や高血圧のある方
  • 排尿障害がある方
  • 甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
  • 重い腎障害
  • 妊娠中または妊娠の可能性がある方(医師の慎重な判断が必要)
  • 授乳中の方(授乳継続か中止を検討)
  • 小児(臨床試験なし)
  • 高齢者(生理機能が低下しているため、減量配慮が必要)

飲み合わせに注意が必要な薬(相互作用)

以下の薬剤・漢方と併用する際は副作用リスクが上がるため注意が必要です。

◎【1】交感神経刺激を増強する薬

併用すると、不眠・動悸・発汗過多・脱力感などが出やすくなります。

  • マオウ含有の漢方:葛根湯、小青竜湯、麻黄附子細辛湯
  • エフェドリン類:エフェドリン塩酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩
  • 総合感冒薬(例:フェキソフェナジン+プソイドエフェドリン)
  • MAO阻害薬:セレギリン、ラサギリン
  • 甲状腺製剤:チロキシン、リオチロニン
  • カテコールアミン系:アドレナリン、イソプレナリン
  • キサンチン系:テオフィリン、ジプロフィリン

◎【2】甘草やグリチルリチン酸含有製剤

→ 偽アルドステロン症(低カリウム血症によるむくみ・筋力低下など)のリスクが上がります。

  • 芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散
  • グリチルリチン酸含有製剤(システイン・アミノ酸複合など)

◎【3】その他注意点

  • 他の漢方と併用する際は、同じ生薬が重複していないか確認を。

副作用と頻度

■ 重大な副作用(頻度不明)

  • 偽アルドステロン症
    浮腫(むくみ)、血圧上昇、体重増加、低カリウム血症など
  • ミオパチー
    脱力感、四肢のけいれん・まひなど(低K血症が原因)

■ その他の副作用(頻度不明)

  • 過敏症:発疹、赤み、かゆみ
  • 自律神経系:不眠、動悸、精神興奮、脱力感など
  • 肝機能異常:AST/ALTの上昇
  • 消化器症状:胃部不快感、吐き気、食欲不振
  • 泌尿器:排尿障害

※以下のような症状が出たら、服用を中止し、速やかに医師へ相談を:

  • ふくらはぎのつりや筋力低下
  • 急な体重増加・むくみ
  • 強いだるさや動悸
  • 皮膚の発疹・かゆみ
  • 尿が出にくい

まとめ

偽アルドステロン症・ミオパチーなどの副作用に注意し、違和感を感じたら早めの受診を。最適な治療を一緒に見つけていきましょう。

麻黄湯は、発熱・頭痛・悪寒があり、汗が出ないタイプの風邪やインフル初期に適した漢方薬です。

ツムラ製剤は抽出から製剤まで品質管理された顆粒タイプで服用しやすい。

ウイルス抑制・抗炎症作用も示されていますが、処方では証(しょう)と症状経過をみながら使います。

飲み合わせに注意すべき薬剤が多く、服用前には必ず医師に相談を。


参考文献・出典

🔹 公的・公式文書

  • ツムラ麻黄湯エキス顆粒(医療用)添付文書(JAPIC、PMDA)
  • KEGG DRUG:D07042
  • 厚生省薬務局 薬審2第120号通知(S.60.5.31)

🔹 学術論文(薬効薬理や基礎研究)

Nyunt A.K. et al., アレルギー, 44(4), 503-512, (1995)

中畑則道ら, Pharma Medica., 11(12), 246-253, (1993)

Nakahata N. et al., 和漢医薬学雑誌, 15(2), 116-122, (1998)

よくある質問(Q&A)


麻黄湯はどんな風邪に効くの?どんな人が向いてる?

麻黄湯は、「寒気(さむけ)が強く、発熱・頭痛・節々の痛みがあるのに、汗が出ていない」ような風邪やインフルエンザの初期に使われます。
また、喘息(ぜんそく)や関節リウマチの急性期、乳児の鼻づまりや哺乳困難にも適応があります。

この薬の同じ系統の既製漢方薬に比べて、麻黄湯の強みは?

麻黄湯は「発汗をうながす作用」と「気道を拡げる作用(気管支拡張)」が強い点が特長です。
類似処方の葛根湯(かっこんとう)よりも解熱・鎮咳・去痰作用が強く、汗がまだ出ていない時期の寒気を伴う風邪に向いています。

麻黄湯の先発品はいつ発売されたの?

現在の「ツムラ麻黄湯エキス顆粒(医療用)」は、昭和60年(1985年)に厚生省の通知「薬審2第120号」に基づいて製造承認された製品です。
なお、麻黄湯自体の処方は中国の古典「傷寒論」に起源があり、2000年以上の歴史があります。

1か月(30日)処方時の薬価と自己負担額の目安は?

ツムラ麻黄湯エキス顆粒の薬価は11.4円/gです。通常処方(7.5g/日)での30日あたりの薬価は以下のとおり:

項目金額の目安
薬価(30日分)約2,565円(7.5g × 11.4円 × 30日)
自己負担(3割負担の場合)約770円程度

※初診料や再診料、調剤料などは別途必要です。
※薬価は変動する可能性があります。

作用の発現時間と持続時間はどのくらい?

麻黄湯の発汗・解熱作用は比較的早く現れるとされています(漢方的には「急性期向け」)。

  • 発現時間:服用後30分〜1時間ほどで体が温まり、発汗を感じることが多いです。
  • 持続時間:効果は数時間続きますが、症状が改善するまで数日服用することが一般的です。

    ただし、汗が出すぎたり脱水症状を起こすこともあるため、用量やタイミングは医師の指示に従いましょう。

妊娠中に麻黄湯は使っていいの?

妊娠中の使用については、「治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与」とされています。
なぜなら、構成生薬のマオウ(麻黄)カンゾウ(甘草)は、

  • 血圧上昇作用
  • 子宮収縮の可能性(間接的に)
    などがあるため、慎重な判断が必要です

自己判断での服用は絶対に避けてください。
妊娠中に風邪症状がある場合は、必ず医師に相談を。。

授乳中でも麻黄湯は飲める?

授乳中でも、医師の判断のもとで使用されることがあります。
現時点で麻黄湯の構成成分が母乳に移行するかについて、明確なデータはありませんが:

  • マオウ(エフェドリン):少量ながら母乳へ移行する可能性あり
  • 甘草(グリチルリチン):長期使用でホルモンバランスに影響の可能性

使用する場合は短期間にとどめ、赤ちゃんの様子にも注意が必要です。

子どもに麻黄湯は使える?注意点は?

麻黄湯は乳児や小児にも使用されることがありますが、
臨床試験(大規模な治験)は実施されておらず、年齢や体重に応じた慎重な調整が必要です。

  • 乳児では「鼻づまり」「哺乳困難」などに使用例あり
  • 小児での使用量は医師が調整(成人量をそのまま使うのは危険)

➡ 必ず小児科または漢方に詳しい医師に処方してもらいましょう。
家庭での自己判断での使用は避けてください。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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