前立腺肥大に使う「アボルブ」とは?どんな薬でどんな効果があるの?

前立腺肥大に使う「アボルブ」とは?
どんな薬でどんな効果があるの?

夫が『アボルブ』使っています。どんな薬ですか?

アボルブ®カプセル0.5mgは、前立腺肥大症の治療薬です。

排尿トラブル(尿が出にくい、トイレが近いなど)の改善が期待できます。

アボルブはオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。


アボルブ®(デュタステリド)とは

アボルブ®カプセル0.5mgは、前立腺肥大症の治療薬です。

男性ホルモンのひとつ「テストステロン」は、より強力な「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変化し、前立腺の肥大に関わっています。

この薬は、DHTをつくる酵素(5α還元酵素1型・2型)のはたらきを同時にブロックし、DHTを減らすことで、前立腺を小さくします。

その結果、排尿トラブル(尿が出にくい、トイレが近いなど)の改善が期待できます。

  • 開発会社:グラクソ・スミスクライン社(GSK)
  • 日本での承認・発売:2009年7月承認、9月発売
  • **オーソライズド・ジェネリック(AG)**あり
     例:デュタステリドカプセル0.5mgAV「武田テバ」(2020年発売)

アボルブ®の特徴

  • 1型・2型の酵素をどちらも抑える
     → DHTをより強力に減らす
  • DHTを抑えることで前立腺を縮小
     → 排尿困難・頻尿などの症状が改善
  • 効果はゆっくり現れる
     → 6か月ほどで効果を判断する
  • PSA(前立腺がんのマーカー)に影響
     → 約半分に下がるため、測定値は2倍に換算して評価
     → free/total PSA比は影響されない


効能・効果

  • 前立腺肥大症

※ 前立腺が大きくなっていない人への有効性は未確認です。
(国内試験では「前立腺体積30mL以上」が対象)


有効性(臨床試験のポイント)

国内第II相試験(24週)

  • 前立腺体積:−25.3% 減少
  • I-PSS(国際前立腺症状スコア)・最大尿流率ともに有意に改善

国内第III相試験(52週)

評価項目プラセボ群0.5mg群(アボルブ)p値
I-PSS−3.7点−5.3点0.003
最大尿流率+0.7 mL/sec+2.2 mL/sec<0.001
前立腺体積−10.8%−33.8%<0.001

DHT(ジヒドロテストステロン)抑制効果

  • 血液中DHT:6か月で約90%減少
  • 前立腺内DHT:3か月で約93%減少(海外データ)

💡 DHTは前立腺肥大の主な原因とされる男性ホルモン。アボルブ®はこれを強力に抑えます。


用法・用量

  • 通常、0.5mgを1日1回内服します(食後でなくてもOK)

食事の影響

  • 食事によって、体内に吸収される量(AUC)が少し減ることがありますが、効果に大きな影響はありません

評価のタイミング

  • 効果が早く出る場合もありますが、6か月後の評価が基本です。

服用上の注意

  • カプセルは噛んだり開けたりしないでください
  • 中の薬が漏れると粘膜に刺激があります
     → 皮膚についた場合はすぐに石けんと水で洗い流す

使用できない方(禁忌)

以下の方は服用できません:

  • デュタステリドや同系統の薬にアレルギーがある方
  • 女性(妊婦・授乳婦含む)
     → 皮膚から吸収される可能性あり
  • 小児
  • 重度の肝機能障害がある方

PSA測定と前立腺がんの注意点

  • DHTの抑制により、PSA値は約半分に減少します
  • 評価の際は2倍に換算して判断
  • PSAが上がり続ける場合は、前立腺がんや薬の飲み忘れなどを考慮
  • 中止後は約6か月で元のPSA値に戻ります

飲み合わせに注意が必要な薬

アボルブ®は主にCYP3A4という体内の酵素で分解されます。

注意が必要な薬(血中濃度が上がる可能性あり)

  • リトナビル(抗HIV薬)
  • ケトコナゾール(抗真菌薬)
  • ベラパミル・ジルチアゼム(心臓の薬)

影響が少ないとされる薬(外国データ)

  • コレスチラミン
  • ワルファリン
  • ジゴキシン
  • タムスロシン
  • テラゾシン

💬 飲んでいる薬やサプリは、必ず医師に伝えてください


主な副作用

重大な副作用(まれ)

  • 肝機能障害(1.5%)
  • 黄疸(頻度不明)
     → 白目や皮膚の黄ばみ、だるさ、食欲不振、濃い尿など
     → 症状が出たらすぐ受診を

その他の副作用

  • 性機能関連
    • 勃起不全(3.2%)
    • 性欲低下(1.7%)
    • 射精障害、女性化乳房、乳房痛
  • その他
    • めまい、気分の落ち込み、味覚異常
    • 脱毛・多毛、下痢、腹部不快感、倦怠感
    • 血中CK(筋肉酵素)上昇

その他の注意点

精子や精液への影響

  • 健康な成人男性に52週投与すると:
    • 精子数・運動率・精液量が18〜26%低下
    • ただし正常範囲内にはとどまる
    • 受胎能力への影響は不明

男性乳がんの報告

  • 市販後に男性乳がんの報告あり(因果関係は不明)

高悪性度の前立腺がん(Gleasonスコア8〜10)

  • 国際試験(8231例、4年間)での発生率:
発症率
プラセボ群0.5%
アボルブ群1.0%
相対リスク約2倍(2.06)

アボルブ®は前立腺がん予防薬ではありません
 → 定期的な検査が大切です


まとめ

  • アボルブ®はDHTを強力に抑えることで前立腺を小さくし、排尿トラブルを改善します。
  • 効果判定は6か月が目安です。
  • PSAの評価や副作用(性機能・肝機能)に注意が必要です。
  • 女性・小児・重度の肝機能障害がある方には使用できません。

💡 処方を検討する際は、以下をふまえて総合的に判断しましょう:

  • 症状の程度
  • 前立腺の大きさ
  • PSAの経過
  • 併用薬
  • 性機能への影響
  • 費用(先発品・AG・ジェネリックの選択)

参考文献・出典

🧾【PMDA】アボルブカプセル0.5mg 添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

【PMDA】アボルブ インタビューフォーム(PDF)
→ 医療従事者向けに詳細な薬効・副作用・臨床試験データを掲載

🔹 KEGG DRUG・ATCコード

  • KEGG DRUG:D03820
  • ATCコード:G04CB02(5α還元酵素阻害薬)

🔹 代表的な論文・文献

Akaza H, et al., Jpn J Clin Oncol, 2011.
→ 日本人データに基づいた臨床試験結果の考察

Andriole GL, et al., N Engl J Med, 2010.
→ 前立腺がん予防に関するリスク評価の国際研究

よくある質問(Q&A)


アボルブは、同じ系統の薬と比べてどんな強みがありますか?

アボルブ®の強みは、「1型・2型の両方の5α還元酵素を抑える」点にあります。
一般的な同系統薬であるプロペシア®(フィナステリド)は「2型」のみに作用しますが、アボルブはより広範囲にDHT(ジヒドロテストステロン)を抑制でき、前立腺の縮小効果が強力とされています。

また、臨床試験では前立腺体積の大幅な縮小(約33.8%)と排尿スコア・尿流量の改善が明確に示されています。

アボルブの先発品はいつ発売された薬ですか?

アボルブ®カプセル0.5mg(デュタステリド)は、2009年7月に日本で承認され、同年9月に発売されました。
開発元はグラクソ・スミスクライン株式会社(GSK)です。

アボルブを30日間処方された場合の薬価と自己負担額の目安は?

2025年現在の薬価基準では以下の通りです:

製品名薬価(1カプセルあたり)30日分(1日1回)自己負担(3割負担の場合)
アボルブ®(先発品)61.1円1,833円約550円/月
武田テバAGなど(後発品)26.8円804円約240円/月
最安後発品(22.9円)687円約210円/月

💡 補足:自己負担額は薬剤費のみの概算であり、実際の窓口負担は処方料・調剤料等を含めた額になります。

アボルブの作用発現時間と効果の持続時間はどれくらいですか?

アボルブはゆっくりと効果を発揮する薬です。

  • 作用発現の目安:数週間~1か月で一部の改善を感じることがありますが、効果の評価は6か月後が基本です。
  • 持続時間(半減期):体内での半減期は3〜5週間と長く、血中濃度の安定には約5か月かかります。

1日1回の内服で安定した効果が持続します。

アボルブは子どもに使えますか?

アボルブは小児には使用できません(禁忌)

小児対象の臨床試験も実施されていないため、医学的にも適応外となっています。減しないようにしましょう。

小児に対しての有効性や安全性は確認されていません

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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