トイレが近い・出にくい…それって前立腺?ユリーフの効果と注意点

トイレが近い・出にくい…それって前立腺?
ユリーフの効果と注意点

夫が尿が出し切れないみたいです。『ユリーフ』使えますか?

ユリーフ(一般名:シロドシン)は、前立腺肥大症による排尿のトラブル

(尿が出にくい、出し切れない、夜中に何度もトイレに起きる等)を改善する薬です。

前立腺や尿道の筋肉に多くある「α1A受容体」にだけピンポイントで作用し、

尿の通り道の圧力を下げて排尿をスムーズにしてくれます。

ユリーフはオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。


ユリーフ®(シロドシン)とは?

――効果・副作用・飲み合わせを医師がやさしく解説

メタ説明:ユリーフ®(シロドシン)は前立腺肥大症による排尿障害を改善するお薬です。効果や副作用、飲み合わせ、使い方などを医師がやさしく丁寧に解説します。


ユリーフ®とは

ユリーフ®(一般名:シロドシン)は、前立腺肥大症にともなう排尿障害(尿が出にくい、夜に何度も起きる、尿意が急にくる等)を改善するためのお薬です。

この薬は、前立腺や尿道の平滑筋(へいかつきん)に多いα1A受容体を選択的にブロックし、尿の通り道の圧力を下げることで、スムーズな排尿を助けます。

適応症:前立腺肥大症に伴う排尿障害


ユリーフ®の特徴

● 狙いを定めた設計

キッセイ薬品工業が、ふらつき・立ちくらみなどの血圧への影響をできるだけ減らしながら、前立腺まわりでしっかり効く薬として開発。その後、第一三共と共同で治験・販売が進められました。

● α1A受容体への高い選択性

前立腺・尿道・膀胱三角部などの下部尿路組織に多く存在する受容体にしぼって作用。結果として、尿道の圧力を下げて排尿をスムーズにします。

● 早期から効果が実感できる

臨床試験では、服用1週目から自覚症状の改善傾向が見られています。

● 剤形の選択肢あり

通常錠に加えて、OD錠(口腔内崩壊錠)もあります。舌の上で溶けるので水なしでも服用可能(※寝たままの服用は誤嚥防止のためNG)。


効能・効果

  • 前立腺肥大症にともなう排尿障害の改善

※ユリーフは、前立腺を小さくする薬ではありません。あくまで症状をやわらげる「対症療法(たいしょうりょうほう)」です。
効果が乏しい場合は、手術など他の治療法を検討します。


有効性(有効性試験のポイント)

● 第Ⅱ相試験(4週間)

投与量I-PSS改善量
ユリーフ8mg/日−6.6点
プラセボ(偽薬)−3.0点

I-PSS(国際前立腺症状スコア):排尿困難や頻尿など7項目を点数化(0–35点)し、点数が低いほど症状が軽いとされます。


● 第Ⅲ相試験(12週間)

  • I-PSS低下量
     ユリーフ:−8.3点 / プラセボ:−5.3点
  • 25%以上改善した人の割合
     ユリーフ:76.4% / プラセボ:50.6%
  • 軽症レベルまで改善した人の割合
     ユリーフ:47.7% / プラセボ:31.5%
  • 投与1週目から効果が出始め、重症例でも改善あり

● 長期投与試験(52週間)

  • 自覚症状と最大尿流率が持続的に改善
  • 安全性も確認済み

用法・用量

  • 通常量:**4mgを1日2回(朝・夕食後)**に内服します。
  • 体調に応じた調整
     腎機能・肝機能が落ちている方や高齢の方は、2mgから開始するなど調整が必要です。
  • OD錠の注意点
     舌の上で崩壊→水なしで服用可能。
     寝たまま服用は避けてください(誤嚥のリスク)。水で飲んでもOK。

使用できない方・注意が必要な方

● 禁忌(使えない方)

  • 本剤に対するアレルギーのある方

● 注意が必要な方

  • 起立性低血圧がある方:ふらつきが悪化する可能性
  • 降圧薬を服用中の方:併用で血圧が下がりすぎることがあります
  • 腎臓・肝臓に障害のある方、高齢の方:血中濃度が上がりやすいため少量から
  • 白内障手術の予定・既往がある方
     **IFIS(術中虹彩緊張低下症候群)**という合併症が起きることがあるため、
     必ず眼科医に申告してください
  • 運転や高所作業をする方:めまいやふらつきに注意

飲み合わせに注意が必要な薬

相手薬リスク
降圧薬(例:ARB、Ca拮抗薬)低血圧、立ちくらみ
PDE5阻害薬(ED薬)症候性低血圧(ふらつき、気分不良)
アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール等)血中濃度が上昇→副作用リスク増

その他の薬やサプリ、市販薬でも飲み合わせが問題となることがあります。必ずすべて申告してください。


副作用とその頻度

● よくある副作用(5%以上)

  • 射精障害(逆行性射精など)
     臨床試験で17〜22%。薬をやめれば多くは元に戻ります。
  • 口渇(こうかつ)
  • 下痢・軟便
  • 立ちくらみ・ふらつき・めまい
  • 鼻閉(鼻づまり)

● まれだが重い副作用(0.1%未満)

  • 失神や意識消失(血圧低下による)
  • 肝機能障害・黄疸(おうだん)
     だるさ、食欲低下、尿の色が濃い、目や皮膚が黄色くなるなどの症状

いずれも症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。



まとめ

  • ユリーフ®は、前立腺肥大症にともなう排尿障害を改善する薬です。
  • 4mg×2回が標準用量。年齢・腎機能・肝機能・併用薬で調整が必要です。
  • 射精障害やふらつきは比較的よく見られる副作用ですが、重い副作用は少ないとされています。
  • 降圧薬やED治療薬との飲み合わせには注意が必要です。
  • 白内障手術の経験がある方は必ず眼科に申告を。
  • 「夜中に何度もトイレに行く」「出し切れない感じがある」などでお困りの方は、生活習慣の見直しとともに、適切な薬物療法を受けることで改善が期待できます。

参考文献・出典

JAPIC 添付文書https://www.pmda.go.jpから検索可能)

KEGG DRUGhttps://www.kegg.jp/ → Drug→ Silodosin)

インタビューフォーム(製薬企業公式資料:キッセイ薬品)

臨床試験論文
 – 薬学雑誌126巻(S)、J Urol 164(2), 578-583 など
 – PubMed等でも "Silodosin BPH trial" で多数ヒットします 1993年

よくある質問(Q&A)


ユリーフってどんな薬?何に効くの?

ユリーフ(一般名:シロドシン)は、前立腺肥大症による排尿のトラブル(尿が出にくい、出し切れない、夜中に何度もトイレに起きる等)を改善する薬です。
前立腺や尿道の筋肉に多くある「α1A受容体」にだけピンポイントで作用し、尿の通り道の圧力を下げて排尿をスムーズにしてくれます。

この薬の同じ系統の薬に対する強みは?

ユリーフの有効成分「シロドシン」は、α1遮断薬の中でも特に「α1A受容体」への選択性が高いのが特徴です。
α1A受容体は前立腺や尿道などに集中しているため、他の受容体に作用しにくく、血圧への影響(ふらつき・立ちくらみなど)を抑えながらしっかり排尿改善に働きます
また、服用初期から効果が実感しやすいことも臨床試験で示されています。

先発薬はいつ発売されたの?

ユリーフの先発品は、2006年に「ユリーフカプセル」として初承認されました。
その後、**2008年に錠剤、2015年に口腔内崩壊錠(OD錠)**が追加承認されています。

1か月分処方された場合の薬価と実際の自己負担額は?

先発品(ユリーフ錠4mg)を1回1錠×1日2回=1日2錠、**30日分(60錠)**服用した場合:

  • 薬価総額:約1,734円(28.9円×60錠)
  • 自己負担額(3割負担):約520円程度

後発品(4mg)は13.2円前後/錠のため、同条件で:

  • 薬価総額:約792円
  • 自己負担額:約240円程度

※調剤料などを含めた実際の窓口支払い額は、薬局によって異なります。

効果が出るまでどのくらい?どれくらい続くの?

効果が出るまでの時間(作用発現時間)服用初日から1週間以内に症状の改善が見られることが多いです。

持続時間:血中半減期は約6〜7時間ですが、1日2回服用することで1日中安定した効果が期待できます。

子どもにも使える薬ですか?

ユリーフは小児(18歳未満)に対する有効性・安全性が確認されていません
そのため、子どもへの使用はできません

ユリーフの副作用はどんなものがある?

代表的な副作用は:

  • 射精障害(逆行性射精など):17〜22%程度
  • めまい・立ちくらみ(起立性低血圧)
  • 下痢・軟便、口の渇き、鼻づまり

ごくまれに:

  • 意識消失(失神)
  • 肝機能障害・黄疸

が起こることもあります。不安な症状があれば、医師に相談してください。

飲み合わせに注意が必要な薬は?

降圧薬(血圧が下がりすぎることがあります)

ED治療薬(シルデナフィル、バルデナフィルなど)
 → 血圧が急に下がることがあります。

アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール、ケトコナゾール等)
 → ユリーフの血中濃度が上がり、副作用のリスクが高まります。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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