副鼻腔炎・慢性鼻炎に使われる漢方薬『辛夷清肺湯』をわかりやすく解説

副鼻腔炎・慢性鼻炎に使われる漢方薬
『辛夷清肺湯』をわかりやすく解説

鼻づまりがあるので『辛夷清肺湯』飲んでいます。

辛夷清肺湯は、鼻づまり・慢性鼻炎・蓄膿症に処方される医療用漢方薬です。

基礎研究では炎症をしずめる働きが確認され、臨床でも使用実績があります。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。


辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)とは

― 鼻づまり・慢性鼻炎・蓄膿症に使う医療用漢方の効果と副作用

この記事では、受診を検討している方に向けて「ツムラ辛夷清肺湯エキス顆粒(医療用)」を中心に、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)の基本情報をやさしく解説します。
効果・飲み方・副作用・注意点を、エビデンスや添付文書に基づき整理しています。


■ 辛夷清肺湯とは?

漢方古典『外科正宗』に記された処方「辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)」をもとに、現代の技術で作られた医療用漢方エキス製剤です。
主薬である**「辛夷(しんい)」=モクレンのつぼみ**は、鼻の通りをよくする働きで知られています。


■ 主な構成生薬(9種)

  • セッコウ
  • バクモンドウ
  • オウゴン
  • サンシシ
  • チモ
  • ビャクゴウ(百合)
  • シンイ
  • ビワヨウ
  • ショウマ

製剤により配合比率は一定に規定されています。

ツムラ製品は以下の製法が特徴:

  • 水で煎じて抽出 → 噴霧乾燥 → 有機溶媒を使わず造粒
    独自の乾式造粒法で、服用しやすい顆粒状に

■ 辛夷清肺湯の特徴

  • 古典処方の現代版
     『外科正宗』記載の処方を、標準化された現代の漢方製剤として再現。
  • 製剤のつくり方
     水で有効成分を抽出し、噴霧乾燥 → 顆粒化。化学溶剤は使わない安全な製造法。
  • 承認と法的位置づけ
     **厚生省の通知(昭和60年5月31日付)**に基づき、医療用漢方として製造承認を取得。
  • 名称の由来
     主薬の「辛夷」に加え、鼻や気道の炎症を“清肺”=肺(呼吸器)を清めると表現したのが由来。

■ 効能・効果(鼻の慢性症状)

  • 鼻づまり
  • 慢性鼻炎
  • 蓄膿症(=慢性副鼻腔炎)

添付文書に明記された適応症です。


■ 有効性(薬効薬理・研究報告)

◎ 薬理作用(基礎データ)

  • ヒトの白血球(好中球)で、fMLP刺激による活性酸素の産生を抑える作用が確認されています(in vitro=試験管内での実験)。
  • 一方、別の刺激(オプソニン化ザイモザン)には反応を示さず、炎症の一部を選択的に抑える可能性が示唆されています。

◎ 臨床的な報告

  • 国内の耳鼻咽喉科領域での文献(耳鼻臨床 1992年)で、慢性鼻疾患に対する使用経験が紹介されています。

👉 鼻の炎症・熱感・膿などが続くタイプの患者さんに、実際の診察を通じて処方が検討されます。


■ 用法・用量(飲み方)

  • 通常、成人は1日7.5gを2〜3回に分けて食前または食間に服用します。
  • 年齢・体重・体質に応じて増減可

👉 飲み忘れた場合:
思い出した時に1回分を。次の服用時間が近いときは、1回抜かして元のリズムに戻します。まとめて飲むのはNG


■ 使用できない方(禁忌)

添付文書上、明確な禁忌記載はありませんが、以下の方は慎重に判断されます。

状況注意点
胃腸が弱い方食欲不振、下痢、胃の不快感が出やすい
著しく体力が低下している方副作用が出やすい可能性あり
妊娠中・授乳中有益性が上回る場合のみ使用
小児臨床試験未実施
高齢の方生理機能の低下により、減量を考慮

☑ **過去にアレルギー症状が出た方(本剤または構成生薬)**は、必ず申告しましょう。


■ 飲み合わせ注意

  • 他の漢方との併用で同じ生薬(サンシシ・オウゴン・チモなど)による重複に注意
  • サプリメント・健康食品含め、現在服用中のすべての薬を医師に伝えることが大切です。

■ 副作用とその頻度

【重大な副作用(頻度不明)】

  • 間質性肺炎:咳、息切れ、発熱 → 速やかに中止し、胸部X線やCTで確認
  • 肝機能障害・黄疸:AST/ALTの著明上昇
  • 腸間膜静脈硬化症(長期投与例で報告あり)
     腹痛、下痢、便秘、腹部膨満、便潜血などの反復症状に注意。長期内服では定期検査(内視鏡・CT)を検討

【その他の副作用(頻度不明)】

  • 過敏症:発疹、かゆみ、じんましんなど
  • 消化器症状:食欲不振、下痢、胃の不快感など

👉 気になる症状が続く場合は、すぐに服用を中止して受診しましょう。


■ まとめ

辛夷清肺湯は、鼻づまり・慢性鼻炎・蓄膿症に処方される医療用漢方薬です。
基礎研究では炎症をしずめる働きが確認され、臨床でも使用実績があります。

  • 成人:1日7.5gを2~3回に分けて、食前または食間に服用
  • 体質(証)や経過を見ながら、適宜調整されます。

長期使用ではサンシシ由来の腸間膜静脈硬化症、間質性肺炎、肝障害などに注意が必要です。


■ 受診時のポイント

  • 現在の症状の経過(いつから・どんな鼻汁・嗅覚や味覚の変化・発熱の有無
  • 現在使っている薬(市販薬・サプリ含む

これらを持参のうえ、処方の可否や必要な検査を医師と相談してください。ょう。


参考文献・出典

【添付文書】
 https://www.info.pmda.go.jp (医療用医薬品の情報提供サイト)

【KEGG MEDICUSデータベース】
 https://www.kegg.jp/medicus/drug/D06992 (構成成分、薬効分類など)

【ツムラ公式:医療関係者向け情報】
 https://medical.tsumura.co.jp/

【主要文献】
 松永信也ほか, 耳鼻臨床, 1992年 85(12): 1975-1980
 → 慢性鼻炎・副鼻腔炎への使用経験をまとめた論文

よくある質問(Q&A)


市販薬と比べて、病院で処方される「辛夷清肺湯」の強みは何ですか?

市販の漢方薬にも「辛夷清肺湯」はありますが、病院で処方される医療用製剤(ツムラ・クラシエなど)は製法・成分が一定で、効果の再現性が高いのが特長です。
ツムラ製剤では**有機溶媒を使わない「乾式造粒法」**が用いられており、味やにおいが穏やかで飲みやすく、品質も安定しています。

医療用の辛夷清肺湯(ツムラ)の発売はいつから?

厚生省通知に基づき、昭和60年(1985年)に製造承認を受け、医療現場での使用が始まりました。
※薬事承認番号は「薬審2第120号(昭和60年5月31日)」。

1か月分(30日間)処方されたときの薬価や自己負担額の目安は?

【ツムラ辛夷清肺湯エキス顆粒(医療用)】の場合:

  • 薬価:15.5円/g
  • 通常の処方量:1日7.5g → 30日で225g
  • 総薬価:15.5円 × 225g = 3,487.5円

▼自己負担額の目安(3割負担の例)
→ 約1,050円(+調剤料や管理料)

※他社製品の薬価(参考)

クラシエ:18.6円/g

小太郎:8.5円/g

大杉(オースギ):6.7円/g

辛夷清肺湯の効果はどのくらいで現れますか?作用はどのくらい続きますか?

辛夷清肺湯は、即効性のある薬ではなく、体質や炎症傾向に応じてゆるやかに作用するタイプの漢方薬です。

  • 効果が出るまで:数日~1週間程度が目安(個人差あり)
  • 作用の持続:飲み続けている間は効果が持続しますが、中止後は徐々に戻るケースも

👉 継続投与の可否は、症状の改善状況や医師の判断で調整します。になります。

妊娠中でも辛夷清肺湯は使えますか?

妊娠中の使用は「慎重投与」扱いです。
添付文書では「治療上の有益性が危険性を上回るときのみ使用を検討する」と記載されています。

  • 使用可否:主治医の判断によります
  • 注意点:胎児への明確なリスクは報告されていないものの、妊娠初期や長期使用は避けるのが一般的です

👉 風邪症状や鼻炎などで処方されるケースもありますが、必ず産婦人科医に相談しましょう。

授乳中に辛夷清肺湯を飲んでも赤ちゃんに影響ありませんか?

授乳中も「慎重投与」とされています。
添付文書では「母乳栄養の有益性と治療上の有益性を比較し、継続または中止を判断」と記載。

  • 母乳への移行:成分移行の詳細なデータは不足
  • 使用可否:多くの臨床現場では、短期間の使用であれば許容されることもあります

👉 不安があれば、授乳中の服薬歴を小児科にも共有しておくと安心です。

子どもに辛夷清肺湯を使ってもいいですか?

添付文書上、小児に対する臨床試験は実施されていません。
そのため、小児への処方は医師の裁量に任されています。

必ず医師に相談のうえ、年齢・体格に応じた用量調整が必要

小児用製剤(体重換算量)での処方例はある

保護者が飲み残しや苦味を嫌がる点に配慮が必要

この記事の監修者

佐田七海子