トイレが近い・我慢できない…過活動膀胱に効くベタニスとは?副作用や注意点も解説

トイレが近い・我慢できない…過活動膀胱に効くベタニスとは?
副作用や注意点も解説

尿意切迫感があるので『べタニス』使えますか?


ベタニス®は尿意切迫感・頻尿・切迫性尿失禁に効果的ですが

似たような症状を起こす他の病気がないかを確認する必要があります。

  • 例)尿路感染症、尿路結石、膀胱がん、前立腺がんなど

💡 前立腺肥大症などの下部尿路閉塞がある方は、まずそちらの治療を優先します。

症状が落ち着いている方はオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

ベタニス®とは


ベタニス®(一般名:ミラベグロン)は、日本で開発された世界初の選択的β3アドレナリン受容体作動薬です。

この薬は、膀胱の筋肉(排尿筋)にあるβ3受容体を刺激して膀胱をゆるめ、

膀胱の容量(ためられる量)を増やすことで、トイレの間隔を延ばし、強い尿意や尿漏れを防ぎます。

従来の「抗コリン薬」と異なり、排尿の勢い(収縮力)には影響しにくいとされます。


ベタニス®の特徴

OABは身近な疾患

日本では、40歳以上の約12.4%(約810万人)が過活動膀胱と推定されており、日常生活の質(QOL)に大きく影響します。

従来薬(抗コリン薬)の副作用が課題

これまで広く使われていた抗コリン薬では、以下のような副作用が起こりやすく、服薬継続の妨げになることもありました。

  • 口の渇き(口内乾燥)
  • 便秘
  • 目のピントが合いにくくなる(調節障害)

β3作動薬という新しい働き方

ベタニスは「膀胱をゆるめてためる」方向に働く薬で、排尿を妨げにくいのが特長です。
ただし、尿が出にくくなる副作用(尿閉)のリスクがまったくないわけではないため注意が必要です。

日本発・世界初の新薬

2005年に国内で治験が始まり、2011年に承認。
1日1回の内服で効果が持続する“徐放性製剤”として設計されており、続けやすい治療薬です。


効能・効果

ベタニスは、過活動膀胱に伴う次のような症状に使用されます:

  • 尿意切迫感(急に我慢できない強い尿意がくる)
  • 頻尿(昼間や夜間の排尿回数が多い)
  • 切迫性尿失禁(トイレに間に合わず漏れてしまう)

有効性(試験結果)

▶ 国内12週間の二重盲検試験の結果(ベタニス50mg vs プラセボ)

項目ベタニスプラセボ差(改善度)
1日の排尿回数−1.67回−0.86回約 −0.8回
尿意切迫感回数−1.85回−1.37回約 −0.5回
尿失禁回数−1.12回−0.66回約 −0.5回
切迫性尿失禁回数−1.01回−0.60回約 −0.4回

▶ 52週間の長期試験

上記の改善効果は、1年後まで維持されました。


用法・用量

▶ 通常の服用方法

  • 50mgを1日1回、食後に内服

▶ 徐放性製剤のための注意

  • かまずにそのまま服用してください。
     → 割る・砕く・すりつぶすと、薬の作用が変わるおそれがあります。

▶ 用量調整が必要な方

  • 中等度の肝機能障害(Child-Pughスコア7〜9):25mg 1日1回から開始
  • 重度の腎機能障害(eGFR 15〜29):25mg 1日1回から開始

▶ 血圧測定を

  • 投与により血圧が上昇することがあるため、服用前・服用中は定期的な血圧チェックをおすすめします。


使用できない方(禁忌)

次のいずれかに該当する場合、ベタニスの使用はできません。

  • ベタニスの成分に過敏症の既往
  • 重い心疾患がある(心拍数の増加などが悪化するおそれ)
  • 妊婦、または妊娠している可能性がある女性
  • 授乳中の女性
  • 重度の肝機能障害(Child-Pugh 10以上)
  • フレカイニド/プロパフェノンを内服中(※併用禁忌)

飲み合わせに注意が必要な薬

代表的な注意薬(※自己判断で服用せず、必ず医師に相談)

  • アドレナリン系薬剤(アドレナリン、イソプレナリン)
     → 頻脈・不整脈のリスク
  • CYP3A4強力阻害薬(イトラコナゾール、リトナビル等)
     → ベタニスの血中濃度が上がり、心拍数増加の可能性
  • CYP酵素誘導薬(リファンピシン、フェニトインなど)
     → 効果が弱まる可能性
  • CYP2D6の基質薬(デキストロメトルファン、抗うつ薬、メトプロロールなど)
     → 血中濃度が上がり、副作用が出やすくなる
  • ピモジド
     → QT延長(心電図異常)や重い不整脈のリスク
  • ジゴキシン
     → 血中濃度のモニタリングが望ましい
  • 抗コリン薬(トルテロジンなど)
     → 併用で尿が出にくくなる可能性
  • 5α還元酵素阻害薬(デュタステリド等)
     → 併用時のデータがなく、安全性が不明

副作用とその頻度

▶ 重大な副作用(頻度不明)

  • 尿閉(尿がまったく出ない)
  • 高血圧(収縮期180mmHg以上、拡張期110mmHg以上に上昇した例あり)

▶ 比較的よくある副作用(12週試験で発現率2%以上)

  • 便秘:約3%
  • 口の渇き:約2.6%
  • 肝・筋酵素の上昇(ALT、γ-GTP、CK等):2〜4%前後

※副作用発現率はベタニス群24.5%、プラセボ群24.0%と大きな差は認められませんでした。

▶ その他の報告例

  • 動悸、頻脈、血圧上昇、発疹、めまいなど

体調の変化を感じたら、早めに医師に相談してください。


特に注意が必要な方

  • 心疾患や不整脈の既往がある方
  • QT延長(心電図異常)の既往や電解質異常(低カリウム血症)
  • 緑内障のある方(眼圧が上がる可能性があり)
  • 高齢で肝・腎機能が低下している方(慎重投与が必要)

まとめ

砕かず、かまずにそのまま服用しましょう

ベタニス®は、膀胱を“ためる”力を高める、新しいタイプのOAB治療薬(β3作動薬)

1日1回の内服で、尿意切迫感・頻尿・尿漏れの改善が期待できます

効果は12週で確認され、1年の長期使用でも維持


参考文献・出典

医療用医薬品 添付文書(ベタニス錠、PMDA公開)

インタビューフォーム(アステラス製薬)

KEGG DRUG(D09535)

臨床試験報告(国内第II相・第III相・長期投与試験)

PubMed掲載論文例:
 - Yamaguchi O, et al. BJU Int. 2014;113(6):951–960.
 - Iitsuka H, et al. Clin Drug Investig. 2014;34(1):27–35.

よくある質問(Q&A)


ベタニスはこれまでの薬と何が違うの?どんな強みがある?

ベタニス®は、それまで主流だった「抗コリン薬(ムスカリン受容体拮抗薬)」と作用の仕組みが異なります。

従来薬(抗コリン薬)は、膀胱だけでなく唾液腺や腸にも作用するため、

  • 口の渇き
  • 便秘
  • 目のピントが合いづらい

などの副作用が出やすいとされていました。

それに対しベタニスは、「膀胱のβ3アドレナリン受容体を選択的に刺激する薬」で、
膀胱の“ためる力”だけを高めるように働き、副作用が出にくいことが強みです。
また、排尿の勢い(収縮)に影響しにくい点も特長です。

ベタニスっていつからある薬なの?発売年を教えて

ベタニス®は、2011年7月に日本で初めて承認された薬です。
それ以前にはβ3作動薬は存在しておらず、ベタニスが世界初のβ3アドレナリン受容体作動薬として登場しました。

ベタニスの値段は?1か月分の自己負担はいくらぐらい?

薬価(1錠あたり)は以下の通りです(2021年時点):

  • ベタニス錠25mg:83.8円/錠
  • ベタニス錠50mg:141.7円/錠

通常処方されるのは50mgを1日1回ですので、

  • 30日分の薬価:141.7円 × 30錠 = 4,251円

自己負担額(3割負担の方)では、
約1,275円/月が目安になります。

※調剤料などは含まれていません。

ベタニスは飲んでからどのくらいで効く?効果はどのくらい続くの?

作用の目安は以下の通りです(添付文書・臨床試験より):

  • 作用発現までの時間(Tmax):3〜5時間後にピーク濃度
  • 作用持続時間(T1/2):25〜36時間

したがって、1日1回の服用で効果が持続するよう設計されています。

初回から体感できる方もいれば、効果の実感には1〜2週間程度かかる方もいます
続けて使うことが大切です。

妊娠中にベタニスは使っても大丈夫?

妊娠中の使用は推奨されていません。

動物実験では、胎児への影響(着床後の死亡率の増加、骨の形成異常など)が報告されています。
そのため、添付文書上は**「妊婦、または妊娠の可能性がある女性には投与しないこと」**と明記されています。

妊娠中の尿トラブルがある場合は、まず産婦人科での相談が必要です。

授乳中でもベタニスを飲めるの?母乳への影響は?

授乳中の使用も原則として避けるべきとされています。

ラットでの動物試験では、母乳中への薬の移行が確認されており、
出生児の生存率や体重増加への影響も認められています。

人間における安全性データはなく、
授乳中の服用は控え、必要なら授乳中止や他の治療選択肢も含めて医師と相談しましょう。

子どもにもベタニスは使えるの?

小児(15歳未満)に対する安全性・有効性は確立されていません。

国内では小児を対象とした臨床試験が行われていないため、
添付文書上も「使用経験がなく、慎重に検討すること」と記載されています。

現時点では、子どもには使用を避けるべき薬と考えた方がよいでしょう。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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