吐き気・胃のムカムカに|ナウゼリンはどんな薬?副作用や注意点をわかりやすく解説
吐き気・胃のムカムカに
ナウゼリンはどんな薬?副作用や注意点をわかりやすく解説

吐き気があるので『ナウゼリン』使えますか?

ナウゼリンは消化管運動改善剤に分類されます。
坐剤・シロップ・OD錠など剤形が豊富で脳内に移行しにくいため、
中枢神経への副作用が少ないです。
吐き気を抑えるだけでなく、胃の動きを促進する作用(胃排出促進)もあります。
小児・高齢者にも幅広く使えます(用量調整前提)
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
ナウゼリン®(一般名:ドンペリドン)とは
ナウゼリン®は、消化管運動改善薬に分類されるお薬で、
吐き気・嘔吐(おうと)・食欲不振・胃のもたれといった胃腸の不快な症状をやわらげるために使われます。
この薬は、以下の2つの働きで効果を発揮します:
- 脳にある「嘔吐中枢(おうとちゅうすう)」を刺激する部分(CTZ=化学受容器引き金帯)をブロックする
- 胃の動きを調節する「ドパミン受容体」に作用して、胃の動きをスムーズにする
小児・成人の両方に使われ、
**がん治療薬(抗がん剤)**や、**パーキンソン病治療薬(レボドパ)**による吐き気にも有効です。
目次
ナウゼリン®の特徴
日本では協和キリン社が開発したナウゼリン®が先発薬です。
効能・効果(どんな症状に使う?)
成人
- 慢性胃炎(まんせい いえん)
- 胃下垂症(いかすい しょう)
- 胃切除後症候群(いせつじょご しょうこうぐん)
- 抗がん剤・レボドパによる消化器症状
(例:悪心・嘔吐・食欲不振・おなかの張り・胸やけ・腹痛など)
小児
- 周期性嘔吐症(しゅうきせい おうとしょう)
- 上気道感染症にともなう胃腸症状
- 抗がん剤による消化器症状
有効性(日本国内での試験結果)
| 疾患・状況 | 有効率 |
|---|---|
| 慢性胃炎 | 67.4%(277/411例) |
| 胃下垂症 | 74.2%(23/31例) |
| 胃切除後症候群 | 85.7%(6/7例) |
| 抗がん剤による症状 | 55.4%(216/390例) |
| レボドパによる症状 | 89.1%(212/238例) |
| 小児の嘔吐や胃腸症状 | 約60〜90%(剤形や用量で差あり) |
※試験は現在の厳密な無作為比較試験(RCT)とは異なる古い形式を含みます。
そのため「効く人が多いが、個人差がある」と理解しておきましょう。
用法・用量(のみ方)
成人
- 通常:10mgを1日3回、食前に
- レボドパ併用時:5〜10mgを1日3回、食前に
※年齢・症状によって調整されます
小児
- 1日1.0〜2.0mg/kgを3回に分けて食前に服用(最大30mg/日)
- 6歳以上:最大1.0mg/kg/日まで
- 1歳以下:用量に注意
- 3歳未満:7日以上連続使用は避ける
🌡 発熱や脱水があるときは、服用後の様子をよく観察してください
日常生活での注意
- 眠気・めまいが出ることがあります
→ 車の運転や危険な作業は避けましょう
使用できない方(禁忌)
以下に当てはまる方は服用できません
- 本剤の成分に過敏症の既往がある
- 消化管出血・腸閉塞・腸に穴が空いたことがある
- プロラクチノーマ(下垂体の腫瘍)がある
飲み合わせに注意が必要な薬
● CYP3A4を阻害する薬
- 例:イトラコナゾール、エリスロマイシン など
→ QT延長リスクが高まる
● 向精神薬(ドパミン遮断)
- 例:プロクロルペラジン、ハロペリドール など
→ 錐体外路症状や内分泌異常のリスクあり
● 抗コリン薬
- 例:ブチルスコポラミン、チキジウム
→ ナウゼリンの効果が弱まることがある
● 制酸薬・H2ブロッカー・PPIなどの胃薬
- 例:シメチジン、ラニチジン、オメプラゾール
→ 吸収が低下 → 服用のタイミングをずらすのが基本
● ジギタリス製剤
- 例:ジゴキシン
→ 中毒のサインが見えにくくなる → 血中濃度のチェックが必要
💡 お薬手帳やサプリの情報は診察時に伝えてください。
特に、心臓・肝臓・腎臓に病気のある方や高齢の方は副作用が出やすくなります。
副作用と発生頻度
❗ すぐに受診が必要な重い副作用(頻度不明またはまれ)
- アナフィラキシー(発疹、息苦しさ、顔の腫れなど)
- 錐体外路症状(首のつっぱり、目が動かない、手のふるえなど)※0.1%未満
- 意識障害・けいれん
- 肝機能障害・黄疸
- QT延長・不整脈・失神感
→ 高用量や高齢者では特に注意。
🌀 比較的よくある副作用
- 下痢(0.1〜5%未満)
- 便秘、腹痛、胸やけ、口の渇き(0.1%未満)
- 眠気、ふらつき、発汗(0.1%未満)
- 発疹、じんましん、動悸(0.1%未満)
🧒 小児では特に注意!
1歳以下や3歳未満では連続使用を避けて慎重に使います。
まとめ(受診を考えている方へ)
ナウゼリン®(ドンペリドン)は、吐き気を抑え、胃の動きを整える薬です。
がん治療中やパーキンソン病の薬による不快感の軽減にも使われ、成人・小児どちらにも対応します。
ただし、QT延長・不整脈・神経症状などの重い副作用がまれにあるため、
高齢者・乳児・持病のある方は特に注意が必要です。
💬 他の薬との飲み合わせも重要なので、自己判断での使用や増減は避け、
既往歴・服用中の薬を共有したうえで、医師にご相談ください。
参考文献・出典
添付文書(最新版:2024年10月 第5版)
インタビューフォーム(杏林製薬/キッセイ薬品)
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品情報検索
KEGG DRUG(D10433)
国内第III相試験(T301試験、T302試験)の学会発表またはCTD資料
ガイドライン:日本排尿機能学会「過活動膀胱診療ガイドライン」など
よくある質問(Q&A)
-
ナウゼリンはどんなときに使う薬ですか?
-
ナウゼリンは、吐き気・嘔吐・胃のもたれ・食欲不振など、消化器症状をやわらげるお薬です。
抗がん剤やパーキンソン病の薬(レボドパ)によって起こる胃の不調にも使用されます。
また、大人だけでなく小児にも使えることが特徴です。
-
この薬の同じ系統の薬に対する強みは?
-
ナウゼリンは**消化管運動改善剤(ドパミンD2受容体拮抗薬)**に分類されますが、
以下のような強みがあります:- 脳内に移行しにくいため、他のドパミン遮断薬に比べて中枢神経への副作用が少ない
- 吐き気を抑えるだけでなく、**胃の動きを促進する作用(胃排出促進)**もある
- 小児・高齢者にも幅広く使える(用量調整前提)
- 坐剤・シロップ・OD錠など剤形が豊富
一方、QT延長などの心臓への影響には注意が必要です。
-
ナウゼリン(先発薬)はいつ発売された薬ですか?
-
日本でのナウゼリン®(協和キリン)の初承認は1982年(昭和57年)、
ジェネリックは1996年頃から登場しています。
医療現場で40年以上使用されている歴史ある薬剤です。
-
ナウゼリンの1か月(30日)処方時の薬価・実際の自己負担額は?
-
剤形・規格 薬価(1錠) 30日分(1日1回) 自己負担3割 自己負担1割 ナウゼリン錠10(先発) 8.8円 264円 約79円 約26円 ドンペリドン錠10mg「JG」等(後発) 6.1円 183円 約55円 約18円 ※薬局調剤料等は別途。
-
ナウゼリンは飲んでからどのくらいで効きますか?効果はどのくらい続きますか?
-
作用発現時間(のみ始めて効き始めるまで):約30分〜1時間
効果の持続時間:4〜6時間程度
※症状や体質、空腹時かどうかにより差があります。れる場合」以外は避けるのが基本です。
妊娠中の方は、必ず医師に相談してください。
-
妊娠中にナウゼリンは使えますか?
-
妊娠中の使用は原則として慎重投与です。
医師が「使う必要がある」と判断したときのみ処方されます。
動物実験で催奇形性(さいきけいせい:赤ちゃんの奇形のリスク)が報告されており、
妊娠中の使用は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合」に限定されます。
-
授乳中にナウゼリンを飲んでも大丈夫ですか?
-
授乳中の使用は注意が必要です。
- ナウゼリンは母乳中に移行することが確認されています(動物データ)。
- 乳児への影響の可能性を考慮し、医師は以下のように対応します:
- 授乳を一時中断する
- 少量・短期間で処方する
- 他の薬へ切り替える
「授乳中」と伝えたうえで、医師に必ずご相談ください。
-
ナウゼリンは子どもに使えますか?年齢制限や注意点は?
-
使えますが、年齢・体重に応じて用量を厳密に調整する必要があります。
- 通常:1日1.0〜2.0mg/kgを3回に分けて投与(最大30mg)
- 6歳以上:1日1.0mg/kgまでが上限
- 1歳以下や3歳未満の乳幼児では、
- 特に副作用(けいれん、意識障害、神経症状)に注意
- 7日以上の連続使用は避けるとされています(添付文書 9.7)
小児では安全性のデータが限られるため、医師の指示を厳守してください。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
詳しいプロフィールはこちら
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