「最近トイレが近い」と感じたら読むページ|ベオーバ®ってどんな薬?

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ベオーバ®ってどんな薬?

尿意切迫感があるので『べオーバ』使えますか?

ベオーバは尿意切迫感・頻尿・切迫性尿失禁に効果的ですが

似たような症状を起こす他の病気がないかを確認する必要があります。

  • 例)尿路感染症、尿路結石、膀胱がん、前立腺がんなど

初回の方は処方はできませんが、継続の方はオンラインで処方することができます。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

ベオーバ®(ビベグロン)とは?

  • 膀胱にあるβ3アドレナリン受容体を選択的に刺激
  • 膀胱の筋肉(平滑筋)をゆるめて、尿をためやすくする作用

ベオーバ®の特徴

  • 高い選択性
    β3受容体に対して選択的に作用し、膀胱をリラックス → 膀胱容量が増える(非臨床試験)
  • 1日1回でOK
    臨床試験では1日1回投与で効果が持続し、52週まで維持
  • QOL(生活の質)の改善
    国内試験ではKHQ(キング健康調査票)の全9項目が改善
    → 例:「睡眠」「仕事・家事」「人間関係」など

効能・効果

過活動膀胱(OAB)に伴う以下の症状を改善します:

  • 尿意切迫感:突然トイレに行きたくなる
  • 頻尿:昼夜問わず排尿回数が多い
  • 切迫性尿失禁:我慢できず漏れてしまう

受診前に確認したいこと(重要)

似たような症状を起こす他の病気がないかを確認する必要があります。

  • 例)尿路感染症、尿路結石、膀胱がん、前立腺がんなど
  • 対策:問診・尿検査・画像検査などで除外診断

💡 前立腺肥大症などの下部尿路閉塞がある方は、まずそちらの治療を優先します。


有効性

国内第III相試験(T301)

対象:過活動膀胱患者 1,107例/期間:12週

評価項目ベオーバ50mgプラセボプラセボとの差有意差
排尿回数(1日あたり)−2.08回−1.21回−0.87回分の上乗せ改善p<0.0001
尿意切迫感回数−2.28回−1.77回約−0.5回分の改善p=0.0001
切迫性尿失禁回数−1.35回−1.08回約−0.3回分の改善p=0.0015

📌 日常的には「もう1回分トイレに行かずに済む」程度の改善感が目安です。


長期投与試験(T302)

  • 52週投与でも排尿・切迫感・失禁の改善が持続
  • KHQ(QOL指標)も長期間にわたって全項目で改善

用法・用量

  • 通常、成人に50mgを1日1回、食後に服用します

📝 注意点

  • 飲み忘れたら、気づいたときに1回分だけ服用(2回分まとめて飲まない)
  • 7日以内に効果が安定(定常状態)に

使用できない方(禁忌)

  • 本剤の成分にアレルギーがある方

⚠️ 慎重投与(医師の判断が必要)
以下の方は状況に応じて判断します:

  • 心臓疾患
  • 高度の肝機能障害
  • 妊娠中・授乳中
  • 小児
  • 高齢者
  • 腎障害 など

飲み合わせに注意が必要な薬

ビベグロンは、CYP3A4およびP-糖タンパク(P-gp)という代謝経路で分解されます。

血中濃度が上がる薬(作用が強まりすぎる恐れ)

  • ケトコナゾール:2倍以上に上昇
  • ジルチアゼム、リトナビル、イトラコナゾール など

血中濃度が下がる薬(効果が弱まる恐れ)

  • リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン など

📌 トルテロジン(他のOAB薬)とは大きな相互作用なし


副作用と発生頻度

【重大な副作用】

  • 尿閉(尿が出ない、出づらい)
    • 初期症状:下腹部の張り・痛み、尿が出ない・残る感じ

▶ 見られたらすぐに受診してください。


【主な副作用(臨床試験)】

  • 口の渇き(1.4%)
  • 便秘(1.6%)
  • 尿路感染(膀胱炎など)
  • 残尿感

全体の副作用発生率:50mg群で7.6%、プラセボ群で5.1%

【頻度不明の報告】

  • QT延長(心電図異常)、動悸
  • 発疹、かゆみ、多汗
  • 目の乾き・まぶしさ・かすみ
  • 肝機能の異常値(AST、ALT、γ-GTP)
  • 倦怠感、むくみ、筋肉痛 など

👴 高齢者や肝・腎機能が低下している方は、副作用が出やすくなる傾向があります。医師のフォローのもとで使用します。


まとめ

  • ベオーバ®は膀胱の緊張をゆるめ、蓄尿を助ける薬
  • 過活動膀胱の三大症状(尿意切迫感・頻尿・切迫性尿失禁)に効果
  • 1日1回で効果持続、QOLも全体的に改善
  • 尿閉に注意、使用前に他の病気を除外することが大切
  • 飲み合わせに注意し、医師・薬剤師に相談を

💬 「効きはじめのタイミングは?」「別の薬と併用できる?」などの疑問は、症状や体質に応じて変わります。医師と相談しながら、最適な治療を一緒に見つけていきましょう。


参考文献・出典

添付文書(最新版:2024年10月 第5版)

インタビューフォーム(杏林製薬/キッセイ薬品)

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品情報検索

KEGG DRUG(D10433)

国内第III相試験(T301試験、T302試験)の学会発表またはCTD資料

ガイドライン:日本排尿機能学会「過活動膀胱診療ガイドライン」など

よくある質問(Q&A)


ベオーバ®は同じ系統の薬と比べてどんな強みがありますか?

同じβ3作動薬「ミラベグロン(商品名:ベタニス®)」と比べて、選択性の高さや心臓への影響の少なさが特長です。

ベオーバ®(ビベグロン)は、膀胱にあるβ3アドレナリン受容体に選択的に作用することで、膀胱の緊張を和らげます。
同じ作用機序の先行薬「ベタニス®(ミラベグロン)」と比べて:

  • β1・β2受容体への影響がより少ない
    → 心拍数や血圧への影響が起きにくいとされています(試験管内のテスト)
  • 代謝物が少ない(主に未変化体で存在)
    → 薬物間相互作用が起きにくく、併用薬の幅が広がる可能性があります

ベオーバ®の発売年はいつですか?

2018年9月に日本で発売されました。

ベオーバ®は、2017年9月に承認申請され、翌2018年9月に「過活動膀胱」に対して製造販売が承認されました。
開発は、米国メルク社の創製後、日本国内では杏林製薬とキッセイ薬品による共同開発です。

1か月(30日分)処方された場合の薬価や自己負担額はいくらですか?

薬価は1錠あたり146.1円で、30日分だと約4,383円。自己負担は約1,315円(3割負担の場合)です。

【参考計算】

自己負担(3割負担の方):約1,315円
※処方箋料・調剤料・管理料は別途必要です

薬価:146.1円 × 30錠 = 4,383円(薬価ベース)

ベオーバ®は飲んでからどれくらいで効きますか?効果はどれくらい続きますか?

通常、服用後1~3時間で効果が現れ、1日1回の服用で24時間持続します。

薬物動態のデータによると、服用後の血中濃度の最大到達時間(Tmax)は約1~3時間
効果は24時間以上持続するため、1日1回の服用で十分です。

また、繰り返し飲むことで7日以内に血中濃度が安定(定常状態)に達します。

妊娠中にベオーバ®を使っても大丈夫ですか?

妊娠中の使用は原則控えるべきです。やむを得ない場合のみ、医師と相談のうえ慎重に使います。

  • 動物実験では、胎児への薬の移行が確認されています(ラット)
  • 妊婦に対する安全性は十分に確立されていません

したがって、「どうしても必要と判断される場合」以外は避けるのが基本です。
当院では処方しません。

授乳中にベオーバ®を使ってもいいですか?

慎重に検討する必要があります。母乳に移行する可能性があるため、医師の判断が重要です。

  • 動物実験で、ビベグロンが乳汁中に移行することが報告されています(ラット)
  • 人におけるデータはありませんが、影響を完全に否定できません

したがって、授乳中の使用を検討する際は:

医師と相談のうえ、授乳を中止するか薬を控えるかを判断します

当院では処方しません。

子どもにはベオーバ®を使えますか?

現時点では、子どもへの安全性や効果は確立されておらず、使用は推奨されません。

  • 小児を対象とした臨床試験は実施されていません
  • そのため、原則として成人以外には使用されていません

当院では処方しません。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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