切れ痔・いぼ痔のつらい症状に使う薬「強力ポステリザン軟膏」副作用や注意点は?

切れ痔・いぼ痔のつらい症状に使う薬
「強力ポステリザン軟膏」副作用や注意点は?

痔で『強力ポステリザン軟膏』を使っています。

大腸菌死菌浮遊液による自然治癒の促進と、

ステロイドによる抗炎症作用の合剤ですね。

強力ポステリザン軟膏はオンライン診療で処方可能です。

この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。

強力ポステリザン軟膏とは?


強力ポステリザン軟膏は、
「大腸菌の死んだ菌(死菌:しきん)」と「ステロイド成分(ヒドロコルチゾン)」を含む、痔(ぢ)の治療薬です。

  • 炎症(えんしょう)をしずめる
  • 傷の治りをうながす
  • 感染を防ぐ力を高める

といった作用があります。


成分と働き

大腸菌死菌浮遊液
→ 白血球(免疫細胞)を集めて、傷の治りを助けます。

ヒドロコルチゾン(ステロイド)
→ 腫れ・痛み・かゆみをしずめる抗炎症成分です。



特徴

  • 1922年(ドイツ)
     大腸菌死菌に感染防御や創傷治癒の作用があるとされ、痔の治療に応用。
  • 1957年
     ヒドロコルチゾンを加えた「強力」ポステリザンとして登場。
  • 現在(日本)
     マルホが販売。薬の再評価も済んでおり、今でも多くの医療現場で使用されています。

📝 歴史のある薬で、効果と安全性のデータがしっかりしています。


効能・効果

  • 痔核・裂肛による出血・痛み・はれ・かゆみ
  • 肛門手術後の傷
  • 肛門まわりの湿疹・皮膚炎
  • 軽い直腸炎(直腸のただれ)

有効性(日本での臨床試験)

合計1,632人を対象にした試験(うち二重盲検試験あり)での有効率

対象疾患有効率(有効以上)
痔核80.2%(304/379)
裂肛74.6%(50/67)
手術創90.0%(819/910)
肛囲湿疹96.2%(25/26)
直腸炎90.4%(226/250)

🔍 幅広い症状に対して高い効果が確認されています。


用法・用量(使い方)

  • 通常:1日1〜3回、適量を塗るまたは注入する

使用上の注意

  • 2gチューブの場合:ノズル部分だけを肛門に挿入。チューブ全体は入れないでください。
  • 目のまわりには使えません
  • 長期使用は避けてください。

使用できない方(禁忌)

以下の方は使用できません

  • 使用部位に感染がある(化膿・結核・ウイルスなど)
  • カビ(真菌)感染がある(カンジダ症・白癬など)
  • 本剤やヒドロコルチゾンにアレルギーがある

📌 感染があるときは原則使用不可。必要な場合は、抗菌薬や抗真菌薬と一緒に使うこともあります。



飲み合わせの注意点

  • 特に併用NGな薬はありません
  • ただし、感染やカビの疑いがある場合は、本剤のみの使用は避けてください。

🚫 他の外用薬(特にステロイド)を重ね塗りしないようにしましょう。


副作用とその頻度

✅重大な副作用(頻度不明)

  • 緑内障・後嚢白内障

✅その他の副作用

頻度主な症状
0.1〜5%未満かゆみ(そう痒感)
0.1%未満便意、使用部位の不快感
頻度不明発疹、皮膚炎、皮膚感染、網膜障害、眼球突出、副腎抑制など

✏️ 広い範囲に塗る・長く使うと副作用のリスクが上がります。症状が悪化したときはすぐ医師に相談を。


まとめ

  • ヒドロコルチゾン(炎症止め)+大腸菌死菌(傷の治りを助ける)の組み合わせ
  • 痔・裂肛・手術後の傷・湿疹・軽い直腸炎に使用
  • 1日1〜3回が目安。長期使用や目まわりへの使用はNG
  • 感染やカビがある場所には使えません(必要なら抗菌薬併用)

参考文献・出典

PMDA医薬品医療機器総合機構 公開の添付文書(最新版)
 → https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

KEGG DRUGデータベース(D01973)
 → https://www.genome.jp/kegg-bin/show_drug?D01973

インタビューフォーム(ヴィアトリス製薬)
 → 臨床試験データ・作用機序・副作用頻度など詳細に記載されています

よくある質問(Q&A)


強力ポステリザン軟膏ってどんな薬ですか?

肛門や直腸の炎症・痛み・かゆみなどを和らげる外用薬です。
大腸菌死菌浮遊液による自然治癒の促進と、ヒドロコルチゾンによる抗炎症作用の組み合わせで、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、肛門部手術後、肛門周囲の湿疹や軽度な直腸炎などに使われます。

同じ系統の他の痔の薬と比べて、強力ポステリザン軟膏の強みは何ですか?

他のステロイド外用剤と異なり、「大腸菌死菌浮遊液」による局所免疫の賦活(ふかつ)作用・創傷治癒促進作用が加わっている点が特長です。
つまり、「炎症を抑えるだけ」でなく、「患部の回復を助ける」アプローチが可能です。
この二重の効果は、肛門部の創傷や術後ケア、繰り返す痔症状への総合的ケアに強みを持っています。

強力ポステリザン軟膏の先発薬はいつ発売されましたか?

日本では、マルホ株式会社が1953年にポステリザン軟膏を発売し、
その後ヒドロコルチゾンを配合した「強力ポステリザン軟膏」が1957年にドイツで登場し、国内でも販売されました。

1か月(30日)分の薬価と、実際の自己負担額の目安は?

強力ポステリザン軟膏の薬価は以下のとおりです:

  • 薬価:20.4円/g
  • 例)2gチューブを30日使用(1日2g想定)
     → 20.4円 × 2g × 30日 = 約1200円(保険点数上)

保険負担に応じた目安額:

保険負担割合自己負担額の目安(30日)
3割負担約360円
1割負担(高齢者等)約120円

※実際の用量や処方日数により変動します。

妊娠中に強力ポステリザン軟膏は使えますか?

原則として使用は避けるべきですが、どうしても必要な場合に限り使用されます。

  • 局所使用であっても、ヒドロコルチゾン(ステロイド)が胎児へ影響する可能性が指摘されています。
  • 特に妊娠初期や長期使用、大量使用は避けるべきとされています。

授乳中の使用は可能ですか?

母乳への影響はほとんどないとされていますが、注意は必要です。

  • ヒドロコルチゾンは局所投与であれば血中移行がわずかであり、母乳への影響も少ないと考えられています。
  • ただし、広範囲・長期使用は避けるのが原則です。
  • 乳房や乳輪付近には塗布しないことが重要です。

子どもでも使えますか?どんな点に注意すべきですか?

基本的には小児でも使用可能ですが、以下のような注意が必要です:

  • 長期使用や広範囲塗布による副作用(副腎機能の抑制、発育への影響)の報告があります。
  • 皮膚の薄い部位への塗布は吸収が高くなるため、医師の指示を守ることが重要です。

自己判断で使わず、小児科または皮膚科医に相談しましょう。

効果が出るまでどれくらいかかりますか?持続時間は?

添付文書には明確な数値はありませんが、一般的に:

  • ステロイド(ヒドロコルチゾン)による炎症の軽減効果は数時間以内にあらわれることが多いです。
  • 大腸菌死菌浮遊液による治癒促進効果はやや緩やかで、数日~1週間程度で効果が実感されることが多いです。

持続時間は1回塗布で数時間〜半日程度とされ、通常は1日1〜3回の使用でコントロールします。

長く使っても大丈夫ですか?

長期連用はおすすめできません。

使用は最短期間での改善を目指し、2週間以上使っても症状が改善しない場合は医師に再相談してください。

改善した場合は使用を中止しましょう。

この記事の監修者

原 達彦
原 達彦梅田北オンライン診療クリニック 院長
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。

【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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