ジヒドロコデインってどんな薬?咳止めの最終兵器
ジヒドロコデインってどんな薬?
咳止めの最終兵器

つらい咳が治まらなく『ジヒドロコデインリン酸塩』を使っています。

通常の咳止めで効かないときに処方される作用の強い薬です。
オピオイド(麻薬系)成分を含むため、安易な使用はやめましょう。
ジヒドロコデインリン酸塩はオンライン診療で処方可能です。
この記事では、公的資料を参考に薬の特徴をわかりやすくお伝えします。
目次
ジヒドロコデインリン酸塩とは
ジヒドロコデインリン酸塩(Dihydrocodeine Phosphate)は、コデイン系オピオイドという分類の薬です。
以下の目的で使用されます:
- 咳(せき)をしずめる(鎮咳〈ちんがい〉作用)
- 痛みをやわらげる(鎮痛〈ちんつう〉作用)
- 激しい下痢をおさえる(止瀉〈ししゃ〉作用)
一部の製剤は劇薬・麻薬指定されています。
ジヒドロコデインリン酸塩の特徴
● 歴史的背景
1911年、コデインの構造を一部変更して合成され、1913年に鎮咳薬として使用が始まりました。
日本やドイツでは特に長年にわたり使われ続けています。
● はたらきと作用の強さ
- 脳の「咳中枢(がいちゅうすう)」に作用して咳を抑えます。
- 鎮痛・下痢止めの効果もあり、コデインの約1.4倍の咳止め効果があるとされています。
効能・効果
- 呼吸器疾患に伴う咳や不安の軽減
- 痛み(とうつう)の緩和
- 激しい下痢の改善(※感染症による下痢には使いません)
有効性
- 長年の使用実績
- コデインより強い鎮咳作用(約1.4倍)
- オピオイドとして痛みや下痢にも有効
ただし、O157や赤痢など感染性の下痢には使えません。
また、人によっては薬の効き方に差が出るため、小児などには使用制限があります。
用法・用量
- 成人: 通常 1回10mg、1日30mg(1日3回に分けて飲む)
例:10%散剤なら 1回0.1g、1日0.3g - 高齢者: 少ない量から慎重に使い始めます(副作用のリスクが高いため)
- 小児: 12歳未満は使用禁止
医師の指示に従って服用し、自己判断で量を変えないようにしましょう。
使用できない方(禁忌)
以下の条件に当てはまる方は服用できません:
- 重い呼吸抑制がある
- 12歳未満の小児
- 扁桃・アデノイドの手術後の18歳未満
- ぜんそく発作中
- 重い肝臓の障害
- 心不全を伴う慢性肺疾患
- 痙攣状態(てんかん重積、破傷風など)
- 急性アルコール中毒
- アヘン系薬に対するアレルギー
- O157や赤痢など出血性大腸炎
注意が必要な方(慎重投与)
以下の方には、医師の慎重な判断が必要です:
- 肝臓・腎臓・心臓の機能障害
- 呼吸器や脳の疾患
- 代謝性アシドーシス、甲状腺・副腎機能低下
- 薬物依存の既往、衰弱状態
- 前立腺肥大、消化管の手術歴
- けいれんの既往、胆道疾患、炎症性腸疾患
飲み合わせに注意が必要な薬
以下の薬と一緒に飲むと、眠気や呼吸抑制、血圧低下などの副作用が強く出ることがあります。
- 睡眠薬、抗精神病薬、麻酔薬、アルコールなど(中枢神経抑制薬)
- 抗うつ薬(三環系・MAO阻害薬)
- β遮断薬(血圧や心拍に影響)
- ワルファリン(血液をサラサラにする薬)
→ 効果が強く出すぎることがあります - 抗コリン薬(重い便秘や尿が出にくくなることあり)
- ナルメフェン(オピオイドの作用を弱める)
代謝に関わる酵素(薬の分解に関与)
ジヒドロコデインリン酸塩は、体内で分解されて効果を発揮したり、体外に排出される仕組みが関係しています。主に以下の酵素が関わっています:
- UGT2B7・UGT2B4:
薬を体の外に出しやすい形(水に溶けやすく)に変える働きがあります。 - CYP3A4・CYP2D6:
肝臓の酵素で、薬の代謝に関与します。
CYP2D6は人によって活性の強さに差があり、薬の効き方に個人差が出る要因です。
例:
・代謝が速い人 → 効果が強く出すぎる場合あり
・代謝が遅い人 → 効果が弱かったり、副作用が出やすくなることも
このような代謝酵素の働きや体質差を考慮して、特に小児や高齢者では慎重に使用されます。
副作用とその頻度
● よくある副作用(頻度不明)
- 眠気、めまい、視覚の違和感、発汗
- 吐き気、嘔吐、便秘
- 発疹、かゆみ、排尿しにくい
- 血圧の変動、不整脈、顔のほてり
● 重大な副作用(頻度不明)
- 呼吸抑制(息苦しさ、呼吸の乱れ)
- 依存性(やめたときに禁断症状)
- 錯乱・せん妄(意識が混乱する)
- 無気肺、気管支けいれん、喉頭浮腫
- 腸が動かなくなる(麻痺性イレウス)、中毒性巨大結腸
異常を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
万が一、過量に服用した場合はナロキソンという拮抗薬が使われることがあります。
まとめ
ジヒドロコデインリン酸塩は、以下のような症状に対して効果のあるコデイン系のオピオイド薬です。
- 咳(せき)
- 痛み
- 強い下痢
参考文献・出典
✅ 添付文書(PMDA/JAPIC掲載)
→ 禁忌、副作用、薬理などが網羅
✅ KEGG DRUG:D01481
→ 化学構造、代謝酵素、国際的分類など
✅ Clin Pharmacol Ther., 85(1), 31-35, (2009)
→ CYP2D6代謝と母乳への影響に関する臨床報告
✅ 田中千賀子ほか『NEW薬理学 改訂第7版』(南江堂)
→ コデイン類の薬効比較データが記載
よくある質問(Q&A)
-
ジヒドロコデインってどんなときに使われるの?
-
主に以下の症状に対して使われます:
- つらい咳をしずめたいとき(鎮咳)
- 痛みをやわらげたいとき(鎮痛)
- 激しい下痢をおさえたいとき(止瀉)
咳止めとして処方されることが多いですが、オピオイド(麻薬系)成分を含むため、使用には医師の判断が必要です。
-
この薬は同じ系統の薬と比べて何が強みなの?
-
ジヒドロコデインは、コデインと同じモルヒナン系オピオイドですが、次のような特長があります:
- 鎮咳作用はコデインの約1.4倍と強力
- 鎮痛作用や止瀉作用もあり、多目的に使える
- 比較的血中濃度の上昇が穏やかで、即効性と持続性のバランスが良い
そのため、強すぎず弱すぎない咳止めや痛み止めとして使いやすいという強みがあります。
-
ジヒドロコデインの先発薬っていつ発売されたの?
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ジヒドロコデイン自体は1911年に合成、1913年に鎮咳薬として紹介され、
日本では戦前から医療現場で使われています。
「第一三共」や「タケダ」などから先発品の原末・散剤が長く販売されており、非常に歴史のある薬です。
-
1か月(30日)分もらうと、薬代はいくらくらい?
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以下は代表的な薬価と自己負担額(目安)です(2025年改訂時点)。
製剤名 10%散換算 薬価(税込) 自己負担(3割) ジヒドロコデインリン酸塩散10%「第一三共」 1日0.3g × 30日 = 9g 137.9円/g 約1,241円/月 ジヒドロコデインリン酸塩散1%「ホエイ」など 1日3g相当 × 30日 = 90g 11.3円/g 約1,017円/月 ※処方される量により異なります。あくまで薬価ベースの概算です。
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どれくらいで効きはじめて、どれくらい続くの?
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作用発現時間:経口で服用後 約30分以内
効果持続時間:およそ4〜6時間程度
個人差や症状の程度によって変動しますが、1日3回服用(8時間おき)の処方が一般的です。
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妊娠中にジヒドロコデインを飲んでも大丈夫?
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基本的に妊娠中の使用は避けます。どうしても必要な場合は、医師が有益性が危険性を上回ると判断したときに限って処方されます。
- 動物実験で催奇形性(さいきけいせい)の報告あり
- 出産直前の使用で、新生児に呼吸抑制や退薬症状が現れることがある
特に妊娠後期〜分娩前後の使用は避けましょう。
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授乳中にジヒドロコデインを使ってもいいの?
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授乳中は使用を避けるべき薬です。
- 母乳に移行することが確認されており、乳児に傾眠(けいみん:眠りすぎ)、呼吸困難などの副作用が報告されています。
- 代謝酵素CYP2D6の活性が強い母親(超迅速代謝型)の場合、母乳中の代謝産物が濃くなる可能性があり特に危険です。
医師に相談のうえ、授乳を一時中止するか、代替薬を検討してください。
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子どもには使えるの?
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12歳未満の小児には使用禁止(禁忌)です。理由は:
- 呼吸抑制のリスクが高い
- 海外では、死亡例を含む重篤な副作用報告あり
また、18歳未満でも以下の状況では使用禁止です:
- 扁桃(へんとう)やアデノイドの摘出手術後の鎮痛目的
そのため、子どもへの処方には特に厳しい制限がある薬です。
この記事の監修者

- 梅田北オンライン診療クリニック 院長
-
【経歴】
産業医科大学 医学部医学科 卒業。済生会系病院での臨床研修・救急、総合診療勤務を経て、複数の企業で嘱託や専属産業医を歴任。
その後、産業医学・公衆衛生の専門性を活かし、「梅田北オンライン診療クリニック」を立ち上げる。
現在は京都大学大学院(社会健康医学系専攻)に在籍し、働く人々の健康や医療アクセスの課題に向き合いながら、臨床と予防の両面から医療の新しい形を実践している。
【資格・所属】
日本産業衛生学会・社会医学系専門医・指導医/労働衛生コンサルタント(保健衛生)/
産業医科大学産業医学ディプロマ/日本東洋医学会/JATEC・ACLS・AMLS修了 ほか
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